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人気上昇中の新シリーズ「放課後チェンジ」が無料で読める!ドキッとしたら動物に変身!? 4人の力を合わせて事件解決!
まなみ、尊(たける)、若葉(わかば)、行成(ゆきなり)は仲良しの4人組。中1のゴールデンウイーク、フシギな指輪を見つけたことで、なんと、動物に変身しちゃった!!!
猫や犬の運動能力、タカの飛ぶ力が使える!
でも……指輪が指から外れない!!!
「放課後チェンジ 第1巻」を、ためし読みしてね!
1章 キセキの始まり
1 無敵のキズナの幼なじみ
「おい、まなみ。だいじょうぶか? まなみ……」
「……う~ん……だめ、行かないで――シロップうううううう!」
「あでっ!!!」
パッと周りが明るくなると同時に、ゴチーン! と頭にショーゲキ。
「いった~い! いきなり何⁉」
わたしが頭をおさえながら上を見ると、
「こっちのセリフだ!」
ととのった顔立ちの男子が、あごを押さえながら、にらみつけてきた。
お日さまをあびて金色に光る、やわらかそうな髪。
意志の強そうなまゆに、くりっとした大きなひとみ。
長い手足は引きしまって、いかにも活発そうなフンイキ。
よ~く知ってる彼の姿を見ても、すぐには何が起こっているのか、ピンとこない。
「えーと……ここはダレ? わたしはドコ?」
「ねぼけすぎだろ! だが親切なオレが教えてやる。
名前は斉賀(さいが)まなみ。グータラでミーハーで食欲だけは十人前の中学一年生。
幼稚園のころからずっと三つ編み。
今はゴールデンウィークで、オレと若葉(わかば)と行成(ゆきなり)といっしょに、まなみの田舎のばーちゃんとこに遊びにきてる。
絶賛かくれんぼ中にして、オレが鬼で、林の中の岩のかげで寝てるまなみを見つけたところ!」
「なるほど、理解」
説明とあわせて自然いっぱいの風景を見まわして、現実を思いだした。
幼なじみたちと、ひさしぶりに田舎に遊びにきて。
外でかくれんぼしてる間に、うっかり寝ちゃったんだね、わたし。
「でもグータラでミーハーで食欲だけは十人前ってなに⁉」
「カンペキな説明だろ」
しゃべるたびにとがった犬歯がのぞく、えらそうな彼は、神崎尊(かんざきたける)。
わたしの幼なじみ、その一。
赤ちゃんクラブからの付きあいで、昔は素直でかわいかったのに、どんどんひねくれて、口が悪くなってきた。
中学に入って以来、いっしょに遊ぶのは久しぶりだけど、アマノジャクはますますひどくなってきたかも。
「ったく……いきなり頭つきをかましやがって」
あごをおさえながら、ぼやく尊。
あ、わたしが起きた時に、尊のあごにぶつかっちゃったから、フキゲンなのかな?
「ごめんね」
謝ると、尊は「いいけど」とうなずき、やっとまゆの間のしわをゆるめた。
「うなされてたけど……あいつの夢、みてたのか」
「…………」
尊の言うとおり、さっきまでみていたのは、あの子の夢。
賢そうな金と青の瞳の、白い猫……シロップ。
思いだすと、胸が苦しくなってきた。
けど、わたしはなんでもないふりをして、言う。
「そう? 忘れちゃった」
「……ふーん」
尊は心配そうな目で見てたけど、気をとりなおすように、にやっと笑った。
「でもよかったな、まなみ。万が一この国宝級の顔にキズでもつけてたら、賠償金5兆円だぞ」
「その宇宙レベルの果てしない自信、どこからくるの? てゆうか、なんでわたしにそんな近づいてたの? ハッ、まさか寝こみを襲おうと……⁉」
「アホか! 声かけても起きないから、肩をゆすろうとしたんだよ。そしたらまなみが急に体を起こして――」
尊がそこまで言いかけたところで、ガサッと音がした。
「「⁉」」
見れば岩の向こうにある茂みから、大縄くらいの太さのヘビが、顔をのぞかせている!!
ゾーッと鳥肌が立って、頭が真っ白になった。
「シゲキしないように、 静かに離れるぞ」
かすかに青ざめた尊に小声で言われて、わたしもコクコクとうなずいた、けど…………
あ、あれ?
「……どうしよう、尊」
「?」
「腰がぬけた……」
「…………」
キョトンと首をかしげてた尊が、みるみる「マジかよ」というように顔をしかめる。
わたし、ヘビは大の苦手なんだよ~!
ビックリしすぎて、立ちあがろうとしても、足腰に力が入らない。
「さらば、まなみ。ホネは拾ってやる」
「イヤ~! 大事な幼なじみを見すてるの⁉ このひきょう者!」
「そっちこそ大事な幼なじみを思うなら『わたしはいいから一人で逃げて!』だろ」
はくじょうにも置いていこうとする尊を引きとめて、こそこそと言いあってる間にも。
ヘビは口からチロチロと舌をのぞかせて、すうっとこちらにはい出てくる。
ひい~、キモイ! こわい! ほんっとムリ!
どうしようどうしようどうしたらいい……⁉
「――まなみ。声だすなよ」
パニックになりかけていたら、不意に耳もとで尊がささやいた。
なに? と思った瞬間、わたしの背中とひざのうらにグッと手がそえられて。
ひょいっと尊に抱えあげられた。
「!」
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息をのむわたしを横抱きにしたまま、尊はそっと歩きだす。
えっ……力、すごくない……⁉
てかこれ、いわゆる『お姫さま抱っこ』ってやつじゃ……!
ヘビの恐怖も忘れて、なんだかドキドキしてきた。
中学に入ってからバタバタしてて、一カ月ぶりくらいにみんなで集まったけど。
尊、ちょっと大人っぽくなった……?
「この辺でいいか」
林の出口あたりにある大きな木の下で、尊はわたしを下ろして、はーっとため息をついた。
「ありが――」
「あーっ、腕がもげるかと思った!」
大げさに腕をさすりながら言われて、ピシッと固まるわたし。
「バスケ部のハードトレーニングがなかったら、絶対持ちあげられなかったな」
「なっ……そこは『羽根みたいに軽かった』って言うところじゃないの⁉」
「全然。まー、行きの電車でもおかし食べまくって、スキあらば寝てるグータラのまなみが重量級なのは当然か」
「重量級じゃないし! 平均体重だから!」
あー、もう、ひそかなトキメキが宇宙のかなたに消しとんだよ!
尊ってどうしてこう口が悪いんだろう⁉ 腹立つなあ!
むきーっと怒りをこらえていたら――
「あ、まなみ、見つかったんだ」
澄んだ声がひびいて、つややかな黒髪のショートボブの美少女がやってきた。