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【環境問題や生物多様性についても学べる!】水の中に潜む水生昆虫たち

みなさんは昆虫採集といえば、公園でチョウやセミを捕まえたり、森でカブトムシを探したりすることをイメージする人が多いと思います。

しかし昆虫は陸上だけではなく、川や池、田んぼ横の水路など、水のある場所にはさまざまな昆虫が潜んでいます!

水生昆虫の多くは春から秋、そして種類によっては寒い冬でも見ることができます。

今回の記事ではそんな水生昆虫たちを紹介します。


水生昆虫とは?

 水生昆虫とは、基本的に水の中で生活している昆虫たちの総称です。

 タガメやゲンゴロウ、トンボの幼虫であるヤゴなどが含まれます。流れのない池や沼に生息するものもいれば、流れのある川に生息するものなど、昆虫の種類によって生息する場所はさまざまです。

 タガメやタイコウチ、ミズカマキリなどは前脚にカマを持っています。彼らはカメムシ目の肉食昆虫で、他の水生昆虫や小さな魚などを捕まえて、その体液を吸汁します。ゲンゴロウやミズスマシ、ガムシなどは甲虫のなかまです。水生昆虫の成虫の多くは羽を持っており、水中から出て空を飛んで移動することも可能です。

水生昆虫のなかまたち

 それでは、水生昆虫のなかまを数種類紹介します。

①タガメ




日本最大の水生昆虫であり、カメムシ目の昆虫の中でも日本最大となります。名前の由来は「田んぼのカメムシ」。ため池や流れの少ない水路などに生息しており、カエルや小さな魚などを、前脚のカマを使ってとらえます。近年開発によって大きく数を減らしており、現在では販売を目的とする採集が禁止されています。

②タイコウチ




枯葉によく似ている昆虫です。泳ぎはあまり得意ではなく、ゆっくり泳ぎます。タガメと同じく、他の生き物を捕まえて、体液を吸汁します。

③ゲンゴロウ




水中に住む、大型の甲虫です。死んだ魚の肉などを食べます。オスは前脚が吸盤のようになっており、交尾の際にメスの背中に張り付きます。近年開発とともに数を大きく減らしている昆虫です。

④ミズカマキリ




カマキリのような見た目をしていますが、カメムシ目の昆虫です。カマキリと同じく、前脚のカマを使って、マツモムシなどの小さな昆虫などを捕まえて体液を吸汁します。

⑤ヤゴのなかま




トンボの幼虫はヤゴと呼ばれ、そのほとんどが水中で過ごします。発達した下唇と呼ばれる部位を使って、他の生き物を捕食する肉食昆虫です。冬も水中で越冬している種類が多いため、冬でも採集することが可能です。

水生昆虫はどうやったら探せる?

 では実際に水生昆虫たちを探してみましょう。ヤゴなどは都会近くの池や水路でも見つけることができます。水生昆虫が潜んでいやすい場所は、側面がコンクリートで舗装されておらず、水際に植物がたくさん生えているような水辺です。水生昆虫を探すときは、タモ網を使うのが一般的です。タモ網を水の中に入れて、草の根際をガサガサとすくってみましょう。良い場所に網を入れることができれば、枯葉や水草に混じって、ヌマエビや小さな魚など、たくさんの生き物が入ります。

 基本的に多くの水生昆虫は、日中は植物の影に隠れていることが多いので、植物が多いところをガサガサするのがおすすめです。



水中の生態系が乱れている……


上記のような探し方をしたときに、あまり水生昆虫が見つからない水辺があります。それは「アメリカザリガニ」が生息する水辺です。アメリカザリガニはもともと日本には生息していなかった生き物です。1920年代に食用ガエルの餌として輸入されたものが逃げ出し、日本に定着してしまったと言われています。アメリカザリガニは水生昆虫を捕食したり、水中の水草をハサミで切ってしまったりと、水生昆虫の生息場所を荒らしてしまいます。繁殖力も非常に高く、一度侵入するとあっという間にたくさんのアメリカザリガニで埋め尽くされてしまいます。そのためアメリカザリガニが生息する水辺では、多くの水生生物が生活することができず、アメリカザリガニのせいで多くの水生生物が数を減らしています。

現在ではアメリカザリガニは「条件付き特定外来生物」に指定されており、飼育以外の理由で生きたままの移動をしたり、別の水辺への放流をしたりすることが禁止されています。

 

飼育する際に注意することはある?

 水生昆虫も他の昆虫たちのように、家に持ち帰って飼育することができます。その際に気をつけないといけないのは「水」です。私たちが日常で使っている水道水には、水生昆虫たちが苦手なカルキ成分が含まれています。捕まえてきた水生昆虫をすぐに水道水に入れてしまうと、弱ってしまう種類もいるため、バケツなどに溜めて1日置いた汲み置きの水を使うか、カルキ抜きなどを使って、カルキを減らしてから使用するようにしましょう。水槽やプラケースにカルキを抜いた水を入れ、昆虫の種類に応じて水草や流木などの足場を入れます。



 エサは、昆虫の種類によって異なります。タガメ、タイコウチ、ミズカマキリ、ヤゴなどは、小さな魚やヌマエビ、おたまじゃくしなど、小さな生きている生き物を与えます。ゲンゴロウには、死んだ昆虫や煮干しなどを与えます。野外では見られない捕食シーンなどを観察してみましょう。食べ残しなどで水はすぐ汚れていくので、数日に一回、半分ずつ水を交換しましょう。




おわりに

今回は水生昆虫について紹介しました。ひと昔前まではたくさん生息していたと言われている水生昆虫は、生息環境が年々減ってきていることから、生息数を大きく減らしています。水生昆虫たちから、様々な環境問題や生物多様性について学ぶことができます。

夏だけでなく1年中挑戦することができる昆虫採集ですので、みなさまもチャレンジしてみてください!



写真:PIXTA

 

【プロフィール】
むし岡だいき
昆虫採集YouTuber 。チャンネル登録22万人 、一番好きな昆虫はコロギス。




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