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昆虫採集旅行へ! 【クワガタ大国】インドネシア・スマトラ島2024

今回は筆者が2024年の5月にインドネシアのスマトラ島へ昆虫観察に訪れた際のお話をします。スマトラ島はインドネシアの中の1つの島の名前で、面積は473,600㎢、日本の面積の1.3倍になります。インドネシアはクワガタ大国と言われており、約300種類ものクワガタが生息しています。そんなスマトラ島のとある山に登って、クワガタを含むたくさんの昆虫を観察するツアーに参加してきました!


写真:PIXTA


移動が過酷すぎる……

 まずは東京の羽田空港からインドネシアのジャカルタ空港まで、7時間のフライト。夜にジャカルタに到着したので、夕食を食べたあと、空港近くのホテルで一泊しました。

 そして翌朝、ジャカルタ空港からスマトラ島のパレンバン空港まで約2時間のフライト。やっと昆虫観察ができるぞ!と思いきや、なんと空港から車で約8時間の移動……。山のふもとのとある村に到着し、ここがゴールかと思いきや、なんと待ち受けていたのは1時間の山登り……。

 現地の人が運転するバイクの後ろに乗り、ぬかるんだ山道をガタガタと約30分間上り、そこから先はジャングルの中を30分間ひたすら進みます。そして日本を出発してから40時間以上かけて、今回のキャンプ地に到着したのです。



 到着した場所はジャングルの中。もちろんトイレもお風呂もありません。広大なジャングルの中に小さな川が流れているだけです。ちなみにスマトラ島にはスマトラトラやマレーグマなどの肉食獣も生息しています。そんな場所で3泊4日の野宿がスタートしました。


スマトラトラ。写真:PIXTA


マレーグマ。写真:PIXTA


ライトトラップ!

 キャンプ地に到着したと同時に、現地の方がライトトラップの準備をしてくれました。キャンプで作ってもらったナシゴレンを食べ、ライトトラップを見に行くと、40時間以上の移動の疲れが吹っ飛ぶような時間が待っていました。



 巨大なコガシラアワフキのなかま、キノハダカマキリ、トゥルンカートゥスホソアカクワガタ、その他日本では見られないバッタやキリギリスなど、見たことない昆虫たちがたくさん飛んできました。ライトトラップで見かけた特徴的な昆虫をいくつか紹介します!

キノハダカマキリの一種




名前のとおり、木の肌に擬態しているカマキリです。他のカマキリとは違い、地面を這うようにカサカサと高速で歩く姿はゴキブリを連想させました。

ラコダールツヤクワガタ




日本でも昆虫ショップなどで流通しているクワガタ。翅や頭部が黄色く、非常に美しいです。オスは最大で90mm近くにも達すると言われています。
ツヤクワガタのなかまは日本には生息していません。

ヨロイコケギス




熱帯雨林の苔に擬態したような姿のキリギリス。背中の棘のような部分は硬い。日中に苔の上に紛れているとまず見つけられないと思います。

コーカサスオオカブト



日本でもとても人気なアジア最大のカブトムシ。今回の遠征ではオスを見ることができませんでした……。

リオックの一種




ライトトラップの周辺の木低木で発見。まだ幼虫だったにも関わらず強力なアゴで何度も噛みついてきました。リオックのなかま(Sia属)は、東南アジア周辺で3種確認されているようで、スマトラ島に生息している種は日本でペットとして流通しているリオックとは別種のようです。

ホソアカクワガタを探す

 今回の遠征のメインは「エラフスホソアカクワガタ」という巨大なホソアカクワガタを探すことです。スマトラ島の中でも、標高が高い地域にのみ生息しているため、見つけるのがとても困難と言われています。

 キャンプ地を出発して、ジャングルの中の道なき道を歩いていきます。トゲのある植物がたくさん生えている中、ぬかるんだ急斜面のアップダウンを何時間も移動します。足を滑らしたら谷底に落下して死んでしまうような斜面を何度も歩き、たどり着いた木の上を指さして、現地の人が「トゥルンカートゥス!」と叫びます。

 我々には何にも見えない中、その枝を詳細に辿ると本当にクワガタがついているではありませんか!(現地の人は相当目がいいようだ)

 長竿を伸ばしてなんとか採集できたのは、トゥルンカートゥスホソアカクワガタという、エラフスによく似た種類のクワガタでした。前日のライトトラップで飛んで来たものは小さい個体だったので、大型個体のかっこよさに圧倒されました。



 その後も山を歩くと現地の人がいろんな昆虫を見つけてくれました。

 しかし2日間挑戦しても、目的のエラフスホソアカクワガタを見つけることはできませんでした。3日目は諦めて別の採集をしていたのですが、ふと現地の人がテントまでやってきて「お土産だ」と葉っぱの包みを差し出してきました。

 その包みから出てきたのは、なんと巨大なエラフスホソアカクワガタだったのです。我々が採集できていなかったのを見かねて、別チームで違うポイントを回って採集してきてくれたようです。なんという体力と捜索力……。




3泊4日が終了。次の島へ……

 日中は山に入り採集、夜はライトトラップ観察というのを3泊4日繰り返し、4日目の夜中に山を出発しました。暗いうちから荷物をまとめて、また山道を抜けて、バイクで山道を降る……。帰りのバイクは何度かチェーンが外れて転倒しかけ、生きた心地がしなかったです(笑)

 こうして無事スマトラ島での昆虫観察を終えて、ジャカルタ空港へ戻ってきましたが今回のインドネシア遠征はスマトラ島で終わりではなく、フローレス島やコモド島にまでいきました。その全貌はむし岡だいきのYouTubeチャンネルからご覧いただけたらと思います。

インドネシアで未知なる昆虫を探せ!〜インドネシア遠征ドキュメンタリー〜


 

子供の頃にテレビで海外の昆虫たちを見た時、遠い夢のように感じていましたが、2024年は今回の遠征を含め、なんと3カ国も昆虫観察に行かせていただくことができました。

今回紹介したインドネシアは、日本人向けの自然観察ガイドなどもいるため、みなさんもぜひ一度は海外での昆虫観察に出かけてみてはいかがでしょうか?

【プロフィール】
むし岡だいき
昆虫採集YouTuber 。チャンネル登録22万人 、一番好きな昆虫はコロギス。




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