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人生4年目で知ったテントウムシの血液の味 『水辺の冒険日記 いきものはいつも隣にいる』ためし読み


僕たちの身近な自然には、まだ知られざる生命のドラマが息づいています。より広く自然を見ることで、みなさんがいつも歩いている道端や眺めている川が、これまでとは違った表情を見せたり、何気ない日常が実は楽しさに満ちあふれていたりします。僕と一緒に、命をいただく冒険へ出発しましょう。

連載第2回は、「水ラーメンの人生記」の中から「人生4年目で知ったテントウムシの血液の味」を紹介します!

※本連載は『水辺の冒険日記 いきものはいつも隣にいる』から一部抜粋して構成された記事です。

<水ラーメンの人生記>人生4年目で知ったテントウムシの血液の味

 いきものは見るのも獲るのも楽しいけど、一番の醍醐味は、食べることだと思っている。みなさんも子どものころに虫とか食べてみたことあるんじゃないかな?
 僕の記憶に残る初めて味わったいきものは、4歳のとき口にしたテントウムシの血液だ。太陽に向かって飛ぶ習性から「天道虫」と名付けられ、幸運のシンボルになっている。赤や黄色の硬いさや羽と、星にたとえられる黒い斑点が種類を見分けるポイントになる。僕が見つけたのは7つの星をもつナナホシテントウ。
「水ラーメン」へと続く味覚の旅は、ラッキーセブンのいきものから始まったのだ。
 絵本や図鑑で見たこともある虫に親しみを感じて手に乗せてみたら、傷つけたわけでもないのに黄色い汁が出てきて指にくっついた。今まで触れたことがないヌメヌメした感触と、嗅いだことのない強烈なにおい。
 どんな味がするんだろう? 人生が始まってから4年目の僕にとっては未知の体験だらけ。ものすごく臭いけど、ワンチャンおいしいかも。好奇心を抑えきれずになめてみたら……に、苦い! 舌にずっとまとわりついてくる感じが気持ち悪い。
 それもそのはず、テントウムシは「苦虫を噛み潰したような」というたとえの〝苦虫〞のモデルという説もあるほど苦い。鳥などの天敵から身を守るため、関節から毒が混じった臭くて苦い血液を分泌する反射出血という機能を持っている。
 いきものってすごい。
 食卓では味わえない味をもっと知りたい。野食に目覚めてからは気軽につまめるスナック感覚で虫をパクパク。
 数年後、この好奇心が僕を虫から遠ざけることになる。


カミキリムシの幼虫とコオロギはおいしい。カニはもっとおいしい!


 


楽しさの裏に危険があることを忘れずに

水辺に限らず、自然には楽しさがあると共に危険が必ずあります。ちょっとした気のゆるみなどで甘く見ていると大きな事故など命にかかわる事態に繋がってしまいます。特に小さいお子さんは、ひとりで冒険に出るのではなく、ご家族に必ず確認を取って楽しんでほしいです。いつもみなさんに自然の素晴らしさを届けている僕も危険な体験をたくさんしてきました。楽しさを追いかけるだけではなく、安全面にも配慮して、新たな大冒険へ出発しましょう!

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