僕たちの身近な自然には、まだ知られざる生命のドラマが息づいています。より広く自然を見ることで、みなさんがいつも歩いている道端や眺めている川が、これまでとは違った表情を見せたり、何気ない日常が実は楽しさに満ちあふれていたりします。僕と一緒に、命をいただく冒険へ出発しましょう。
連載第1回は、「近くの自然には未知なるうまさが潜んでいる!」の中から「エサ代0円で穴釣り! ?」を紹介します!
※本連載は『水辺の冒険日記 いきものはいつも隣にいる』から一部抜粋して構成された記事です。
<近くの自然には未知なるうまさが潜んでいる!>エサ代0円で穴釣り! ?
海のバケモノが釣れた代わりに沈んだ誕プレ
どうも、水ラーメンです。
僕のチャンネルの中で再生回数が一番多い釣りの動画は「【穴釣り】エサ代0円。とんでもない化け物が釣れました」である。
消波ブロックの隙間に隠れているいきものを、100 円ショップの釣り具と現地調達した0円のエサで釣ろうという内容だ。
2023年の公開から伸び続け、420万再生を突破! たくさんの視聴者さんが見てくれて本当にうれしい。
実は釣りで再生回数を伸ばすのは難しい。ファーストインパクトで勝負しようと思い、サムネに海中に続く謎めいた穴を大きく使ったほか、赤字の「え?」やタイトルの「化け物」という強いワードで期待させる効果を狙った。2年前は穴釣りが人気のコンテンツだったことも味方したと思う。
消波ブロックの隙間に釣り糸を垂らす瞬間のワクワク感は最高!
動画で紹介している穴釣りは、めっちゃ簡単だから試してほしい。使うのは100円ショップの釣り具で十分。いきものは生息地で食べているものに食いつくことが多いから、現地調達した無料のエサがむしろ極上だ。
まずは僕の動画ではおなじみの推し貝・マツバガイを採取。バリうまいのに獲っている人がほとんどいないマイナーな食材。潮通しがいい(潮の流れで海水が常に入れ替わっている)外洋に面した磯にたくさんいるので、潮干狩りで採集するアサリやハマグリに負けない未知のうまさをみなさんに も味わってほしい。
マイナスドライバーでマツバガイを剝がしたら、ブラクリ(オモリの先にハリがついた仕掛け)に小さく切った貝の身を引っかける。あとは消波ブロックの隙間にある狭い穴に釣り糸を垂らし待つだけで、穴に潜むとんでもないバケモノこと、香りも旨味も最高級のカサゴが釣れる。
ただし、カサゴやメバルのような根魚は周辺からあまり移動しないので、獲りすぎるとその場所からいなくなってしまう。水産資源を守るために、自分の食べる分だけ獲ったらリリース(獲った場所で放すこと)が基本だ。
成長に時間がかかるカサゴは、15〜20センチ以下のちっちゃいヤツもリリースしよう。数が少ない魚種に限っては子孫を生むメス、特に産卵期の腹パン個体(抱卵中のメス)も積極的にリリースするべきだと思う。
僕がこのとき持ち帰ったカサゴは、26㎝前後の2匹だけ。大きいほうが脂ものっていてうまいからこそ、大物を狙いたい。
おすすめの釣り場を聞かれることもあるけど、乱獲を防ぐために僕は場所を特定されないように気をつけている。ぶっちゃけると、全国からやって来たがめつい釣り人が獲り尽くしてしまうからだ。
そういうマナーの悪い人たちは、外道(期待はずれのいきもの)が釣れれば消波ブロックの隙間に詰めて無駄死にさせることもあるとか。僕は見かけたら注意しているけど、マジできりがない。外道扱いされているオオスジイシモチもオヤビッチャも、塩焼きにすれば丸ごと食べられておいしいよ。
釣りはマナーを守って、未知のいきものや味覚との出会いを楽しんでほしいと思って動画を撮っているから、「欲張らずに一貫して自然を守っているのが素晴らしい」というコメントはうれしかった。
えらそうなことを言ってしまったけど、この動画には僕を反面教師にしてほしい場面もある。消波ブロックの濡れているところは滑るからサンダルで行ったらダメ。海中に落ちたら死ぬ。特に斜めになっている場所は危険。どうしても通らなければいけないときは、群生しているカメノテを足場にすると滑りにくい。
魚は釣れなかったらその場にいないことがほとんどなので、どんどん移動したほういいけど、夢中になっているうちに危ない場所へ行かないように注意して。
水辺には毒を持ついきものがいることも忘れてはいけない。たとえば動画にゲスト出演してくれたスベスベマンジュウガニは、フグと同じ猛毒のテトロドトキシンを保有する。名前のとおり甲羅はスベスベしていて、おまんじゅうみたいに丸っこい。指でつまめるくらい小さいカニだけど、脚を1本食べただけであの世行きの可能性がある殺人ガニ。
僕はとりあえず食べてみる野食家だけど、越えてはいけないラインは見極めているつもり。いきものがまとう派手な色は「毒があるぞ」という警告色だということもあるから、覚えておこう。
このときにコラボしたほのぼのゆうさんは、「100均の釣具でサメ釣ってフカヒレ作る」で、サメの釣り方を教えてくれた釣り名人。
僕の誕生日(9月23日)にはちょっと早いけど、リールをプレゼントしてくれた。3分後、海に落とした。本当にびっくりしたときって、「……ぁ」みたいな小さい声しか出ないんよ。消波ブロックの隙間から沈んでいくリールを見送りながら号泣した。
いつか逃したカサゴが恩返しに海の底からリールを運んできてくれないかな……。
快晴の下で、ほのぼのゆうさんとの1枚。この後リールが……
気を取り直して捕まえたショウジンガニは、別名・みそ汁ガニ。「磯っぴと呼んでいる」「みそラーメンは最高」というコメントもあった。僕は塩ラーメンにして食べたことがあるけど、マジでうまい。足が速いけど穴釣りでも釣れる。
ただ、弱りやすくて、バケツに入れただけだと真っ先に死んでしまう。エアーポンプで生かして持ち帰るか、クーラーボックスで氷締め(仮死状態にし鮮度を保つ)をしたほうがいい。
カサゴは臭みの原因になる内臓を抜いてから5日間熟成させた。キッチンペーパーを巻いて食品保存袋に入れた状態で冷蔵庫に寝かせておくと、硬直が解けて身がやわらかくモチモチの食感に変わる。
獲ったいきものは命に感謝していただく。何としてもおいしく食べたいから、料理の腕を上げるのが目標だ。
楽しさの裏に危険があることを忘れずに
水辺に限らず、自然には楽しさがあると共に危険が必ずあります。ちょっとした気のゆるみなどで甘く見ていると大きな事故など命にかかわる事態に繋がってしまいます。特に小さいお子さんは、ひとりで冒険に出るのではなく、ご家族に必ず確認を取って楽しんでほしいです。いつもみなさんに自然の素晴らしさを届けている僕も危険な体験をたくさんしてきました。楽しさを追いかけるだけではなく、安全面にも配慮して、新たな大冒険へ出発しましょう!