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~安倍晋三元首相銃撃事件収録~ どうやって「最新」は作られる!? 角川まんが学習シリーズ『日本の歴史』第16巻制作の裏側を大公開!

『日本の歴史』第16巻は2022年10月13日に刊行されると、その内容の新しさについて驚きの声が上がりました。刊行のつい3ヶ月ほど前に起きたばかりの、安倍元首相銃撃事件がまんがで収録されていたからです。なぜ、このような最新の出来事を収録できたのでしょうか? それには、前もっての準備のほかに、偶然がありました。今回はその裏側をご案内します!


『日本の歴史』第16巻



歴史ものの学習まんがは、普通のエンタメまんがにくらべ制作に非常に時間がかかり、収録内容は刊行の2年前には固めるのが通常です。それが収録されるべき内容か、描き方に間違いがないかなどを、事前にしっかり検討してその巻の構成を決めたうえで、まんがの制作に入るからです。

しかし、この第16巻では、刊行わずか3か月前に起きた大事件・安倍晋三元首相銃撃事件をまんがで収録しています。歴史もの学習まんがとしては驚異的なスピードです。


●もともと空けてあったラスト8ページ

もともとこの第16巻の制作にあたっては、最新の出来事を入れるため、最後の第4章ラスト8ページは、収録内容検討の段階からその分を空けて進行していました。

実はそれは、2021年2月刊行の『世界の歴史』でも行った、最新の出来事を入れるためのテクニックでした。『世界の歴史』第20巻でもラスト8ページを空けてあり、東京オリンピック・パラリンピック2020を収録するイメージでいたのですが、全く予期しなかった世界的大事件・感染症拡大が起きて、収録することになったのでした。


『世界の歴史』第20巻 212-213ページ


この『日本の歴史』第16巻では2022年4~5月の段階で、空白にしていた8ページ分の収録内容を監修の五百旗頭薫先生と相談し、2022年2月に起きたロシアによるウクライナ侵攻とそれに対する国内の動向などを入れることにして、最後の最後、何かにそなえて一段だけ白く空けた形でまんが家の柳沼行さんに執筆してもらいました。


『日本の歴史』第16巻 212ページ初校ゲラ


『日本の歴史』第16巻監修/東京大学教授 五百旗頭薫先生


 

そして6月には「ゲラ」と言われる仮の印刷ページを、編集部の内部や監修の先生、校正者などで確認する作業に入りました。学習まんがの場合、このゲラ確認作業で修正点が多く出るので1回では終わらず、直してはまた新たなゲラを確認して…を何回も繰り返します。


●運命のその日

2回目のゲラ確認作業が始まったころには夏になっていました。
その日は朝から監修・五百旗頭薫先生に当社まで来ていただいていました。制作作業がせっぱつまってきたため、KADOKAWAの会議室にカンヅメ(※部屋にこもって集中作業するという編集用語)になって一冊分の監修作業を、一気にやって貰っていたのです。
昼ごろ、衝撃のニュースが飛び込んできました。奈良県奈良市の近畿日本鉄道大和西大寺駅北口付近にて、安倍元首相が銃撃されたというのです。
そう、まさにその日は2022年7月8日、安倍元首相銃撃事件が起きた日でした。
カンヅメ中の五百旗頭先生にご連絡すると、「マンガの内容に変更を加える必要はありますか」とお訊ねがありました。もちろんです!
すぐさま五百旗頭先生と、この事件をこの第16巻にどう入れるか、扱い方や分量・方向性を、膝を突き合わせて検討しました。まだ事件の全容どころか、安倍元首相の生死も分かっていない頃のこと、先生も私も、衝撃冷めやらぬ中での打ち合わせでした。
編集部が提示したまんがイメージに対し、五百旗頭先生がその場で検討とアドバイスをくださり、その結果を後日まんがラフの形にまとめました。



今起きた事件を、『日本の歴史』に収録していく――。あんなにも、歴史の1頁がめくられたその瞬間にいると痛感したことはありません。
その後、さらに細かな用語などを五百旗頭先生と詰めていきました。テキストが固まったところで作画の柳沼さんにお渡しすると、インパクトのあるまんが案が出てきました。




その形で急いで執筆してもらい、最後の最後に、すでに仕上がっていた原稿から差し替えて収録、何とか刊行に間に合わせたのでした。

今振り返ると、あの日たまたま五百旗頭先生が会社にいらしていた偶然あってのスピードとクオリティでした。元首相銃撃という大きな事件を、歴史としてどう捉えどう描くべきか、直接お話しして細かくやり取りできたからこそ、短期間で方向性を定めてまんがに仕上げていくことができたのです。

そうして2022年10月に発売になった『日本の歴史』第16巻は、収録している時代の新しさでは、2023年時点でも他社類書の中で最新となっています。
その「最新」実現の裏には、制作時のこだわりと偶然があったのでした。

この『日本の歴史』第16巻は、ここ10年の日本のできごとが1冊にまとまっている点で今のところ類書が無く、中学受験の時事問題対策や、高校や大学受験の小論文対策にもうってつけと評価を受けています。
最新の現代史をまんがで楽しく読みながら、この記事で、歴史がどうまんがとして描かれていくかに思いを馳せて頂けましたら幸いです。

 

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