
岸壁には、おりて行きやすいような足場が階段のように続いていて、簡単に砂浜までたどり着いた。砂浜の先は、すぐそばまで森の木々がせり出してきていて、そこから森へすぐ行けそうだ。本当に色々な特徴を持つ土地がまざっている異様な島だ。
カリブモンクアザラシたちはみんな寝ていて起きない。
「お前ら、ごろごろ寝てるだけでいいな~」
しゃがみこんでアザラシの幸せそうな顔をのぞきながらジェイクが笑った。ターゼンは鼻をくんくんとさせて、
「さかな? にく?」
と言った。あまりにも動かないから食べ物と思っているらしい。
「食べちゃだめだよ!」
君はあわててターゼンをアザラシから引きはなした。そうして、ふと森へと続く砂浜のはしに目をやった。
――何かがこちらを見ている。クマじゃないか!
「カリフォルニアハイイログマー!」
シェリーが声にならない声を上げた。カリフォルニアのゴールドラッシュとともに移住してきた人間によって数をへらして絶滅したらしいが、ハイイログマとはグリズリーのことだ。体長が2~3メートルはありそうだぞ!?
生き物の名をつげたあとのシェリーは、君のほうを見て固まって口をパクパクさせている。「どうする!?」とでも君に言っているのだろう。アザラシたちは気づかず、まだ寝ている。
一瞬の判断が命運を分けそうだ――。