
橋の一部だった木の残がいが、しずんだ時に川にかべのようにせり上がり、それがアリゲーターの行く手をさえぎってくれた! ふり向くとアリゲーターの気配はもう感じられない。
川の中を慎重に進む。生きた心地がしなかったが、無事に対岸へ着いた!
「やった…――ん!?」
後ろのほうからバシャっという水音がした。まさかアリゲーターか? ふり向こうとした時、ズドン!と今度は地ひびきのようなにぶい音。いったい何が起こっているんだ――!?
君はおそるおそる後ろを見た。そこで目にしたのは、信じられない光景だった。
なんと、見たこともない巨大なダチョウのような鳥が、大型のアリゲーターの鼻先をふみつけていたのだ!
すがたはダチョウのようだが、明らかにサイズがおかしい。足の長さだけでも人間の大人より大きいんじゃないか!? こんなの図鑑でも見たことないぞ!?
アリゲーターは何とかのがれようと、体をくねらせたり手足を動かしていたが、巨大な足でおさえつけられ全く動けない。ワニ類のかむ力は地上最強と言われるが、その一番の武器がふうじられて、文字通り手も足も出せないでいた。
自然と巨大鳥と目が合ってしまう。未知のものへの恐怖からみんな声も出さずに走り出し、その場をはなれた。
…どれだけ走っただろうか。息が続かなくなってみんな同時に地面にたおれこんだ。
「はあ…はあ…みんな大丈夫か?」
ジェイクがようやく頭を上げて声をかけた。ソフィーの服の中にいたポポがバッと飛び出して、
「ミンナ、ゲンキ! ミンナ、ゲンキ!」と空に飛び上がる。
それを見ていたらようやくはりつめていた気持ちがゆるんだ。
「…調子いいんだから。ははっ」
君は鼻の頭に流れた汗をぬぐって笑った。そのまま目をこすって、あたりを見わたした。走り続けていたらいつの間にか密林のエリアをぬけ出していたらしい。しかし、ここは――?
続いて周りを見回したジェイクとシェリーが、ほぼ同時に声を上げた。
「やっぱりここはおかしいよ! 湿原とサバナがとなり合わせにあるなんて!」
目の前に広がっていたのは、乾燥した大地だった。さっきまで湿地帯だったのに…。
いったい何がこの島で起こっているんだ――?