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ものがたり

スペシャルれんさい「神スキル!!! キセキの三きょうだい、登場!」第1回 あぶない寝起き注意報!?


大人気シリーズ『世界一クラブ』の大空なつきさんの新シリーズが読める!
だれにも言えない〈神スキル〉を持つ三きょうだいが、犯罪組織にねらわれたクラスメイトを、警察に代わって、大事件から救いだす! ハラハラドキドキの物語の幕が開く!
(全5回・毎週金曜更新予定♪)


大空なつきさんの新シリーズをどこよりも早くヨメルバで大公開! 
ぜひ、れんさいを読んで、みんなの感想を聞かせてね。感想はコチラ
『神スキル!!! キセキの三きょうだい、登場!』は2023年1月12日発売予定です! お楽しみに♪

☆「神スキル!!!」動画はコチラから
 



・朝陽 小6〈ふれずに物を動かすスキル〉でも、重いものはムリ!?



・まひる 中1〈はなれた場所を視るスキル〉ただし、近い場所だけ!?



・星夜 中2〈人の心を読むスキル〉知りたくないことも聞こえちゃう!?


第1回 あぶない寝起き注意報!?





「きゃあーっ!!」

 叫び声が聞こえて、おれ、神木朝陽(かみきあさひ)は、ハッと顔を上げた。

 いつの間にか、人気のない街の中に立っている。

 あたりはうす暗くて、まわりにはだれもいない。

 けれど、遠くに悲鳴を上げながら走る女の子が見えた。

 その子を、大きな体の男が捕まえようと追いかけている。

 女の子を助けなきゃ!

 迷わずかけだす。でも、女の子とはかなり距離がある。

 このままじゃ、男が、先にその子を捕まえてしまう。

 ダメか!? ……いや、おれがスキルを使えば!

 あたりをさっと見まわすと、視界のすみに、ちょうどよい大きさの白い物があった。

 その白い物を見つめて、すべての意識を集中させる。

 背中に、独特の感覚が走る。

 この重さなら――飛ばせる!

「行け!」

 ビュンッ ――ドンッ!

 おれがスキルで飛ばした白い物が宙(ちゅう)を飛び、男のひざに勢いよく当たった。

 男が転ぶように倒れたすきに、女の子は無事に走りさっていく。

 よかった、助けられた! と、ほっとしたのもつかのま。

 男にぶつかったものを見て、目が点になる。白い物の正体は――ニワトリの目覚まし時計だ。

「ええっ、なんで、おれの目覚まし時計が~~~~!?

 ――そこで、夢は終わった。

 

 ピピピピ ピピピピ!

「あ・さ・ひ、起きて!」「もう朝だぞ、朝陽」

 目覚まし時計の音と二人の声に、おれは、ぼんやり目を開ける。

 この声は、姉のまひると兄の星夜(せいや)だ。遅刻しないように、わざわざ起こしにきたらしい。

「ふはあ……なんだ夢かあ」

 でも、変な夢だったな。少し遅くまでゲームしたせいかも? とりあえず……。

 ていねいに布団をかぶりなおす。

「……おれ、もうちょい寝る」

「ダメッ、ダメダメダメ! 朝陽、二度寝なんて絶対ダメ~~~~!」

「朝陽、頼むから起きてくれ! このままじゃ、オレたちの命があぶないっ」

「はあぁ……二人ともオーバーじゃない。ただの遅刻で命にかかわるなんて――」

「「オーバーじゃな~い!!」」

「うわっ! びっくりした。二人の声、目覚まし時計より大きくない?」

「い、いっ、いいから今すぐ起きてー! ああっ、もう限界~」「朝陽、早く!」

「あ~、わかった! 今、起きるから。えっと、目覚まし時計はここに――」

 スカッ

 まくらの横にのばした手が、空を切る。

 あれ? 時計がない。

 布団から顔を出すと、目の前をニワトリが羽ばたいていく。

 いや、あれは、ニワトリ形の目覚まし時計だ。

 ビュンッ ビュンビュン

「……目覚まし時計が飛んでる。おれ、まだ夢、見てる?」

 違う、現実だ……。まわりを見ると、他にもいろんなものが、すごい速度で飛びかってる。

 エンピツも、マンガも、かばんも、山積みにしていた洗濯ものも――。

 そのたくさんの物の間を、必死な顔のまひると星夜が、あちこち逃げまわっていた。

 

 



 あれを動かしてるの、ぜんぶ、おれ!?

「げっ!? おれ、また寝てる間に神スキルを使ってた!?

 そう叫んだ瞬間、まひるが飛んできた教科書をしゃがんでよけた。

「早くスキルを止~め~て~~~~!」

「わかった! 今、止めるから」

「あっ待て、朝陽。慎重(しんちょう)にしないと」

 ゴツッ

「いてっ!」

 スキルを解除(かいじょ)した瞬間、真上を飛んでいた目覚まし時計が落ちてきて、おれのおでこに直撃する。

 気をぬくと、スキルが切れるのは一瞬だ。

 同時に、部屋中を飛びまわっていたものがすべて床に落ちた。

「きゃああああ!」「うわあっ」

 ガシャン! ガラガラ、ドシン、ドスーン!

 ……あー。

 たくさんの物が床に落ちた振動が、ベッドまで伝わってくる。

 おそるおそる床を見ると、まひると星夜が、上から降ってきた物の下敷きになっていた。

「いたたっ。あ〜もう、どんな夢を見たら、こーなるの」

「朝陽……これ、もう何回目だ?」

「えーっと、さ、三回くらい?」

「もう百回目~~~~!」

 まひるが、ノートを頭にのせたまま叫ぶ。

 そんなこと言われても、寝てるときはコントロールできないわけで……。

 とはいえ、これはやっぱり、おれが悪い。

 だって、これは、『物を動かすスキル』――おれの、神スキルのせいだから。

「ご……ゴメンナサイ」

 おれは痛むおでこをなでながら、目覚まし時計のニワトリといっしょに頭を下げたのだった。

 

 

 

 


次回、第2回は12月16日公開予定です♪


作:大空 なつき  絵:アルセチカ

定価
792円(本体720円+税)
発売日
サイズ
新書判
ISBN
9784046321930

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