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ものがたり

【スペシャルれんさい】『星のカービィ ディスカバリー 新世界へ走り出せ!編』第4回 ワドルディをさがせ!後編/ビースト軍団幹部(かんぶ)あらわる 前編


大人気ゲーム『星のカービィ ディスカバリー』が、角川つばさ文庫から小説になって登場! プププランドにとつぜんあらわれた、ナゾのうずに吸いこまれ、『新世界』にたどりついたカービィたちの冒険を、大ボリュームでためし読みれんさいしちゃいます!(全5回)

◆第4回

ワドルディたちの救出に無事成功したカービィたち。
さらに、助け出したワドルディたちのひとり「ものしりワドルディ」のおかげで、ふしぎなぼうしを発見! このぼうしって、もしかして……!?

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 ワドルディをさがせ!後編


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 バンダナワドルディは、ぼうしをていねいに持ち上げて、カービィに届けた。

「これは……!」

 カービィとバンダナワドルディは、目を見合わせて、うなずいた。

ソードのコピー能力のぼうしに、そっくりだね」

「吸いこんでごらんよ、カービィ」

「うん!」

 カービィは、思いっきり息を吸いこんだ。

 ぼうしが宙(ちゅう)を飛び、カービィの口の中へ。

 たちまち、カービィの姿が変化した。右手に、大きな剣をにぎっている。

 カービィはうれしくなって、剣をヒュンッと振った。

「やっぱり! ソードのコピー能力だよ!

 エフィリンは、おどろいて飛びまわった。

「どうなってるの!? カービィ、その剣、どこから出したの!?」

 バンダナワドルディが、にっこり笑って説明した。

「エフィリンは初めて見るんだったね。これはコピー能力っていって、カービィのふしぎな力なんだ」

「へええ……!」

 エフィリンは、興奮(こうふん)して、耳を大きく動かした。

「カービィって、すごいなあ。かいだんになったり、剣を取り出したり、いろいろなことができちゃうんだね!」

「だけど、どうしてこんなものが、ここに置いてあったんだろう?」

 バンダナワドルディは、ふしぎがった。

 ものしりワドルディが、片手(かたて)を上げて言った。

「そのぼうしは、ポップスターにあるコピー能力のぼうしと、非常(ひじょう)ににています」

「え? それが、どうかしたの?」

「この世界には、かつて、高度な文明がさかえていたのです。残されている大都会が、その証拠(しょうこ)です。コピー能力のぼうしは、なんらかの手段(しゅだん)でポップスターから運びこまれ、この星の高度な文明によって、研究および開発をされたものではないでしょうか」

 ものしりワドルディはとくいげに説明したが、カービィは、さっぱり聞いていない。

 剣をかかげて、張り切ってさけんだ。

「コピー能力が使えれば、ビースト軍団なんてこわくないよ。さあ、ワドルディたちを助けに行こう!」

 バンダナワドルディはうなずいて、ワドルディたちにたずねた。

「みんながどこに連れて行かれたか、わかる?」

「ここよりも、もっと北のほうに運(はこ)ばれたみたいです」

「やっぱり、ショッピングモールがあやしいね。行こう!」

 ものしりワドルディが言った。

「それでは、ぼくらは町にもどって、みなさんの帰りを待っていますね」

 それを聞いて、バンダナワドルディは顔をくもらせた。

「ものしりくん……ぼくらの町は……もう、ないんだよ……」

「だからこそ、です。ぼくらで、町を元どおりにするのです!」

 ものしりワドルディは、力強く言って、こぶしをにぎった。

「ガレキをかたづけて、楽しいカフェやきれいな公園を作り直します。デデデ大王様が見つかったら、ゆっくり休んでいただける場所を、今のうちに作っておきたいのです!」

 ワドルディたちは、顔をかがやかせた。

「わあ、いい考え! さすが、ものしりくん!」

「町がこわれたままじゃ、大王様がお昼寝する場所がないもんね!」

 バンダナワドルディは、笑顔になって、うなずいた。

「すごく、いい考えだね。じゃ、町のことは、きみたちにまかせるよ。たいへんだろうけど、がんばってね」

「はーい!」

 バンダナワドルディは、エフィリンに向き直った。

「エフィリンも、みんなといっしょに、町にもどってて」

「え!?」

 エフィリンは、首を振った。

「どうして? ボクもバンダナくんたちといっしょに行くよ!」

「だけど、この先には、ガルルフィよりももっと強い敵がまちかまえてるかもしれない。あぶないから……」

「ボクも行く!」

 エフィリンは、真剣な顔で言いはった。

「ボク、役に立ちたいんだ。いつも、ワドルディたちに助けられてばかりだから。こんなときは、少しでも、みんなの力になりたいんだ」

「エフィリン……」

 バンダナワドルディは、目をまるくした。

 カービィが、笑顔で言った。

「うん、いっしょに行こう。エフィリンがいたほうが、楽しいもんね」

 バンダナワドルディは、カービィののんきな笑顔につられたように、笑った。

「わかった。三人で行こう。必ず、ワドルディ隊と大王様を探し出そう!」

「おー!」

 カービィたちは、町へもどる三人のワドルディと別れて、ワープスターに乗りこみ、さらに北へと進んでいった。


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 ビースト軍団幹部(かんぶ)あらわる 前編

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 広い広い草原を、ワープスターはすいすいと飛んでいく。

 あっというまに、ショッピングモールが見えてきた。三階建ての、大きな建物だ。

 バンダナワドルディが言った。

「ショッピングモールっていうと、お店がたくさん集まってる場所のことだよね?」

 エフィリンが答えた。

「きっと、むかしはそうだったんだろうね。でも、今はあれはててるんだよ」

 カービィが、元気よく言った。

「それじゃ、早くワドルディたちを探し出そう。それ!」

 カービィは、ワープスターから飛び下りた。バンダナワドルディとエフィリンも、カービィに続いた。

 建物の中は、エフィリンが言ったとおり、あれほうだいだった。

 ゆかはひびわれ、雑草だらけだ。

 けれど、カベには色あせたポスターがはられているし、われたショーウィンドーの中には、古ぼけた家具などがかざられている。

 たしかに、むかしは、たくさんのお店がならぶ場所だったにちがいない。

 バンダナワドルディは、きょろきょろしながら言った。

「なんでも売ってたんだね。すてきなイスや、クツがならんでる……あ、あのキラキラの服、デデデ大王様ににあいそう」

「デデデ大王より、ぼくのほうがにあうよ!」

 自信たっぷりのカービィの言葉を聞いて、エフィリンは笑い出した。

「わあ、きっとにあうよ! キラキラの服を着たカービィ……」

 けれど、エフィリンはとつぜん、ハッと息をのんだ。

 気づいたバンダナワドルディが、たずねた。

「どうかしたの、エフィリン?」

 エフィリンは無言で手を上げて、カベをしめした。

 古びたポスターが、たくさんはられている。その中に一枚だけ、新しい紙があった。

 大きな耳をした、水色の生きものの絵が描いてある。エフィリンだ。

 カービィが、びっくりしてさけんだ。

「エフィリンの絵……!? どうして!?」

 エフィリンは、シュンとなって言った。

「これ、たぶん……手はいしょだよ」

「手はいしょ?」

「ビースト軍団が、ボクを見つけるために、似顔絵をはってるんだ……」

 バンダナワドルディは、しょげているエフィリンを見ると、パッと飛び上がり、手はいしょをはぎ取った。

「こんなの、はがしちゃおう! エフィリンは、ぼくとカービィが守るからね!」

「そうだよ!」

 カービィも言った。

「ビースト軍団なんかに、負けないよ。だいじょーぶだよ、エフィリン」

「カービィ……バンダナくん……」

 エフィリンは、胸がいっぱいになった様子で、顔を上げた。

「……ありがとう!」

「行こう! みんなを助けるんだ!」

 三人は、動いていないエスカレーターを、元気よくのぼっていった。

 ワドルディたちの声が聞こえないかと、あたりを見回していると――とつぜん、カービィがさけんだ。

「あーっ、見て! あそこ!」

 あまりの大声に、バンダナワドルディとエフィリンはビクッとした。

「な、なに!? カービィ、なにか見つけたの……!?」

「うん! バナナ――!」

 通路の奥に、バナナが山のようにつまれていたのだ。

 カービィは目の色を変えて、大よろこびで駆け出して行った。

「わーい、バナナ! バナナ! ぼく、大好き!」

 カービィはすわりこんで、もぐもぐとバナナを食べ始めた。

「ワドルディも、エフィリンも食べなよ。あまくて、おいしいよ!」

「びっくりした~! 危険なものを見つけたのかと思っちゃったよ。バナナだったんだね」

 バンダナワドルディはホッとして、笑い出した。

「ぼくにも、一本ちょうだい」

「はい、どうぞ!」

「あまーい! つかれがふっとんじゃうね」

 バンダナワドルディも、おいしいバナナを食べて、にっこりした。

「おなか、いっぱいになったよ! さあ、行こう!」

 カービィは、張り切って歩き出した。

 けれど、エフィリンが、ふと気づいたように顔をこわばらせた。

「待って、二人とも! こんなにたくさんバナナがつまれてるってことは……これは……ひょっとして……」

「え? どうしたの、エフィリン……」

 そのときだった。

 ガシャ――――ン!

 とつぜん大きな音がして、中庭に面したまどガラスがわれた。


「ひゃああああ!?」

 カービィたちは、その衝撃(しょうげき)でひっくり返った。

 まどから巨大なうでがぬぅっとのびてきて、毛むくじゃらの指がカービィをつまみ上げた。

「えええええええ!?」

 カービィは手足をバタバタさせたが、まったく振りほどけない。

 バンダナワドルディが起き上がってさけんだ。

「あいつは……!?」

     


ショッピングモールで山もりのバナナをおいしく食べて大満足!……と思っていたら、とつぜんまさかの大ピンチ!? カービィをつかまえた、巨大なうでの主(ぬし)は、いったい何もの!?
大ピンチの真相は、次回、明らかに!! お楽しみに!

『星のカービィ ディスカバリー 新世界へ走り出せ!編』れんさい第5回(9月2日更新予定)に続く


作:高瀬 美恵 絵:苅野 タウ 絵:ぽと

定価
792円(本体720円+税)
発売日
サイズ
新書判
ISBN
9784046321800

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