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大人気ゲーム『星のカービィ ディスカバリー』が、角川つばさ文庫から小説になって登場! プププランドにとつぜんあらわれた、ナゾのうずに吸いこまれ、『新世界』にたどりついたカービィたちの冒険を、大ボリュームでためし読みれんさいしちゃいます!(全5回)
◆第5回
ショッピングモールでワドルディたちをさがしていたら、山もりの、おいしそうなバナナを発見! バンダナワドルディ、エフィリンと三人で仲良く分け合って、さあ、冒険再開!……と思ったら、大きな腕につかまれて、カービィが大ピンチ!
この腕の主(ぬし)は、いったい何もの!?
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ビースト軍団幹部(かんぶ)あらわる 後編
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「ゴルルムンバだ! ビースト軍団の幹部(かんぶ)だよ!」
エフィリンが、ふるえながらさけんだ。
「あのバナナは、ゴルルムンバのおやつだったんだ。ゴルルムンバは、もともと怒りっぽいんだけど、おやつを食べられたから、むちゃくちゃカンカンになってるんだよー!」
「ええええ!?」
ゴルルムンバは、想像をぜっするほどの、大きなゴリラだった。三階建てのショッピングモールと、同じくらいの背の高さがある。
カービィは、あせってさけんだ。
「ぼくが、おやつを食べちゃったから!? ご、ごめんね! ぼく、知らなくて……」
ゴルルムンバの大きな目が、ギラギラと光を放った。
「グァァァァァ――!」
怒りのおたけびを上げ、カービィを放り投げる。
カービィは空中でくるっと回転し、ショッピングモールの中庭に着地した。
「ンゴォォォォォォ――!」
ゴルルムンバは、巨木のような腕を振り回し、カービィになぐりかかろうとした。
「ひゃああああ!」
カービィは、あわてて剣をかかげ、しっかりガードした。
そのとき、高いところから、泣き声が聞こえてきた。
「あれは……!」
ワドルディたちの声だ。
いったい、どこにいるのだろう。カービィは、顔を上げた。
ゴルルムンバの首に、首かざりのように、オリがぶら下げられている。ワドルディたちは、その中に閉じこめられて、大声で助けを求めていた。
「助けてー! 助けてー!」
「あ! カービィさん!? カービィさんが来てくれた!」
「助けてください、カービィさーん!」
カービィは、はっとした。
「あんなところに!」
そこへ、バンダナワドルディが、ガラスのわれたまどから飛び下りてきた。
バンダナワドルディはヤリをかまえて、さけんだ。
「みんなが、オリの中にとらえられてる! 助けなきゃ!」
「……うん!」
バンダナワドルディは、ヤリを突き出した。
「たぁぁぁぁ!」
ヤリはゴルルムンバの足をかすめた。が、少しも通用しない。
「ンガァァ!」
ゴルルムンバは、うるさそうにうでを振り、バンダナワドルディをはじき飛ばした。
「ワドルディ!」
カービィはあせったが、バンダナワドルディはすぐに立ち上がってさけんだ。
「だいじょうぶ! ぼくがあいつを引きつけるから、カービィはスキをねらって攻撃して!」
「わかった!」
バンダナワドルディはヤリを振り回して、空中に飛び上がった。
「えい、ワドコプター!」
ヤリをプロペラのように回して飛び回る、ワドルディのとくいわざだ。
ゴルルムンバの目の前を、行ったり来たりして、注意を引きつける。
ゴルルムンバは大きな目をぎょろつかせて、バンダナワドルディのゆくえを追った。
「ンガァァァ!」
手を振り回して、バンダナワドルディをつかまえようとする。
しかし、バンダナワドルディはすばやく向きを変えた。ゴルルムンバの手は、からぶりだ。
「ガァァァァァァ!」
ゴルルムンバは、いらだって、こぶしを振り回した。でも、バンダナワドルディはつかまらない。
そのすきに、カービィがゴルルムンバの足元に近づいていた。
ぜっこうのチャンス。カービィは剣をかまえて、タイミングをうかがった。
ゴルルムンバが、のび上がって、バンダナワドルディをつかまえようとした瞬間(しゅんかん)。
「ええええ――い!」
カービィは、限界まで力をためたこんしんの一撃を、ゴルルムンバの足にたたきこんだ。
「ギャオォォォォォ!」
ゴルルムンバは悲鳴を上げ、ドォッと地ひびきを立てて、たおれこんだ。
「やった!」
カービィは、ゴルルムンバが首にさげたオリに駆けよった。
バンダナワドルディが、ヤリの先でカギをこじ開けると、三人のワドルディたちが飛び出してきた。
「みんな、だいじょうぶ!?」
「だいじょうぶです! ありがとうございます、バンダナせんぱい!」
「かっこよかったです、バンダナせんぱい!」
「カービィさんと会えたんですね。よかった!」
ワドルディたちは、再会をよろこび合った。
そこへ、エフィリンが、うれしそうに耳をぱたぱたさせながらやって来た。
「二人とも無事だね、よかった~!」
「エフィリンもね!」
「うん! あのね、こんなものを見つけたんだけど……」
エフィリンは、赤いひもでとめられた、丸まった紙を差し出した。
「それは……?」
「ボク、二人が戦ってる間に、なにか役に立てないかと思って、あちこち調べてみたんだよ。そしたら、おくの部屋で、これを見つけたんだ。なんだろうね?」
カービィとバンダナワドルディは、ひもをほどいて、紙をのぞきこんだ。
フクザツな図面がえがかれている。意味のわからない記号も、びっしり書きこまれていた。
バンダナワドルディが言った。
「なにかのせっけい図みたいだね」
「せっけい図……?」
「このとおりに部品を作って組み立てたら、なにかができあがるんだ。それがなんなのかはわからないけど……」
バンダナワドルディは、紙をくるくる丸め直した。
「ビースト軍団と戦うために、役に立つかもしれない。もらって行こう。きみたちは……」
バンダナワドルディは、ワドルディたちを見回した。
「町にもどってて。ものしりくんたちが、町を作り直すためにがんばってるから、きみたちもおてつだいを……」
エフィリンが、心配そうに言った。
「でも、ここからワドルディたちだけで帰るのは、あぶないんじゃないかな。けっこうとおいし、とちゅうにはガルルフィやクロッカーもいるから……」
カービィが言った。
「だったら、ワープスターで送って行ってあげようよ!」
バンダナワドルディは、うなずいた。
「そうだね。みんなで、いったん町に帰ることにしよう。ものしりくんたちの様子も、気になるしね」
「おかたづけ、進んでるかな?」
「きっと進んでるよ。ワドルディ隊は、みんな働き者なんだ!」
カービィたちと、助けた三人のワドルディを乗せて、ワープスターは町へと引き返した。
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そのころ、ワドルディたちの町では――。
「おっかたっづけ、おっかたっづけ!」
「ぼっくらの町を、作るんだ!」
「たっのしい町を、作るんだ!」
元気に歌いながら、ワドルディたちがガレキをかたづけていた。
建物はすべてこわされてしまい、今はなにもない場所だけれど、みんなで力を合わせれば、きっとまた美しい町ができる。
デデデ大王を見つけて、みんなで楽しく暮らせる日が、もうすぐくる。そう信じて、がんばって働き続けているのだ。
ガレキのほとんどがかたづくと、ワドルディたちはあせをぬぐった。
「ふぅぅぅ! さすがに、つかれたね。少し、お休みしようか」
「こんなとき、すてきなカフェがあればなあ」
「いいね。この場所にカフェを建てようよ!」
顔を見合わせて、にっこりと、うなずき合ったときだった。
「ガルルルル……」
ぶきみな、うなり声がひびいた。
ワドルディたちは、ハッとした。
「ガ……ガルルフィだ……!」
ガレキをふみこえてあらわれたのは、八ぴきものガルルフィだった。
「ガルル……」
ワドルディたちを取りかこむように、うなりながら近づいてくる。
「また来たの!? ぼくらをつかまえに……!?」
ワドルディたちは、ガタガタとふるえた。
彼らには、武器もないし、戦う力もない。抵抗(ていこう)など、できるはずがない。
「ど、どうしよう……!?」
「来ないで、来ないで!」
もちろん、そんな願いは、ガルルフィたちには通じない。
「ガルルルル!」
声をそろえ、ワドルディたちめがけて、いっせいに飛びかかってくる!
「きゃあああああ!」
ワドルディたちは、うずくまって悲鳴を上げた。
絶体絶命(ぜったいぜつめい)――だが、その瞬間(しゅんかん)。
マントをはためかせた影が、ガルルフィたちの前に舞いおりた。
ついに、ビースト軍団の幹部(かんぶ)・ゴルルムンバと戦って、みごと勝利をおさめたカービィたち。
そのいっぽうで、ワドルディの町は、ふたたびガルルフィに襲撃(しゅうげき)されて……!! 絶体絶命の大ピンチにあらわれた、マントの影は、敵なの、味方なの!?
ドキドキの真相は、発売中の角川つばさ文庫『星のカービィ ディスカバリー 新世界へ走り出せ!編』で確かめてね!
作:高瀬 美恵 絵:苅野 タウ 絵:ぽと
- 【定価】
- 792円(本体720円+税)
- 【発売日】
- 【サイズ】
- 新書判
- 【ISBN】
- 9784046321800
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