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大人気ゲーム『星のカービィ ディスカバリー』が、角川つばさ文庫から小説になって登場! プププランドにとつぜんあらわれた、ナゾのうずに吸いこまれ、『新世界』にたどりついたカービィたちの冒険を、大ボリュームでためし読みれんさいしちゃいます!(全5回)
◆第3回
ビースト軍団にさらわれたワドルディたちみんなを助けるため、冒険の旅に出発したカービィ、バンダナワドルディ、エフィリンの三人組。
どこからか、かすかに、ワドルディたちの声が聞こえてきました。早く見つけて、助け出してあげなくちゃ!
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ワドルディをさがせ!前編
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トンネルは、山をくりぬくように掘(ほ)られていた。
三人は、あたりに気をくばりながら、暗いトンネルにふみこんだ。
あちこちに、工事の道具や、見たこともない文字が書かれた看板(かんばん)などが放り出されている。ずいぶん昔のものらしく、どれも古びていた。
ワドルディたちの泣き声が、奥のほうから聞こえる。
それにまじって、聞き覚えのあるうなり声も、あちこちから聞こえてきた。
「ガルルルル……!」
エフィリンがさけんだ。
「ガルルフィだよ! 気をつけて!」
「よぉし!」
バンダナワドルディはヤリをかまえ、周囲(しゅうい)をうかがった。
カービィたちの侵入(しんにゅう)に気づいたガルルフィが、次々におそいかかってくる。
「たぁぁ!」
今のカービィには、コピー能力はないけれど、ガルルフィが相手なら、すっぴんでじゅうぶん。
バンダナワドルディも、勇敢(ゆうかん)にヤリを振りまわして、ガルルフィをけちらした。
エフィリンは、目をまるくした。
「ほんとに強いんだね、二人とも! ボク、バンダナくんがこんなに強いなんて、知らなかった!」
バンダナワドルディは、てれくさそうに言った。
「カービィといっしょにいると、力がわいてくるんだよ。さあ、この調子で、みんなを助けよう!」
「うん! 声が近くなってきたよ!」
三人は、ワドルディたちの泣き声のほうへ、進んでいった。
しかし、とちゅうで、高いカベにぶつかってしまった。
「あれ? 行き止まりかな……?」
「カービィ、上を見て。ほら、あそこまでのぼれば、先へ行けるみたいだよ」
バンダナワドルディの言うとおり、カベの上にとびらが見える。
ホバリングではとどかないほどの高さだった。
「どうしようか……?」
考えこんだとき、エフィリンが言った。
「カービィ、あそこに、かいだんがあるよ! あれを持ってきて、のぼろうよ!」
エフィリンが見つけたのは、工事現場で使われていたものらしいかいだんだった。
たしかに、あれを使えば、とびらにとどきそうだ。
とびらの下まで運ぼうと、三人で力を合わせて押したり引いたりしてみたが、かいだんはとても重かった。顔をまっかにしてがんばっても、びくともしない。
バンダナワドルディが、息をはずませて言った。
「動かないね……他の方法を考えるしかないのかな……」
「うーん……」
カービィは考えこんだが――そのとき、すばらしいアイデアがひらめいた。
「そうだ! あの車と同じように、ほおばってみたらどうかな!?」
「え? ほおばる……って?」
「かいだんほおばりだよ。見てて!」
カービィはかいだんに向き直り、思いっきり息を吸いこんだ。
ごぉぉぉぉぉ!
重いかいだんが、ガタガタと動き出し、ふわりと宙(ちゅう)に浮いた。
「……え!?」
バンダナワドルディとエフィリンは、目をみはった。
すいこみを受けたかいだんが、カービィめがけて飛んでいく!
バンダナワドルディは悲鳴を上げた。
「あぶない! よけて、カービィ!」
しかし、カービィはかまわずに吸いこみ続けた。
カービィの口が、信じられない大きさに広がったかと思うと――かいだんを、すっぽりほおばってしまった。
バンダナワドルディはまっさおになり、かいだんの形になったカービィに駆けよった。
「カービィ! だいじょうぶ!? 返事をして!」
かいだんをほおばったカービィは、しゃべることはできないが、ぴょんぴょん飛びはねてみせた。
心配のあまり、なみだぐんでいたバンダナワドルディは、あっけにとられた。
「カービィ、無事なんだね?」
カービィは、返事のかわりに、よたよたと進み始めた。
とびらの真下にやってくると、気合いをこめて、かいだんをはき出した。
三人がかりでも動かなかったかいだんが、ちょうどいい場所へと移動した。
「ぷはーっ! うまくいったね!」
カービィは満足して、かいだんを見上げた。これなら、カベの上のとびらに入れそうだ。
エフィリンは、飛び回りながらさけんだ。
「すごい、すごいよ、カービィ! こんなことまでできちゃうなんて!」
バンダナワドルディは、ドギマギしたようすで言った。
「びっくりしたぁ……こんなの、初めて見たよ。あ、ひょっとして、さっき言ってた『おもしろい能力』って……」
カービィは、うなずいた。
「うん。大きなものをほおばると、からだがビヨーンとのびてね、ほおばったものの形になっちゃうんだよ!」
「そんな力、プププランドにいたときは、なかったよね?」
カービィは、うずの中での体験を思い出して、言った。
「ナゾのうずの中で、からだがぐーんとのびたり、ねじれたりしたんだよ。でも、ちっとも痛くなかった。たぶん、うずの力で、からだがのびちぢみできるようになったんじゃないかな」
「すごい力だね……でも、無理しちゃダメだよ、カービィ。からだがのびすぎて、元にもどらなくなっちゃったら困るよ」
「へーきへーき! さあ、行こう!」
三人は、カービィを先頭に、かいだんをのぼっていった。
☆゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜・。。・
トンネルのいちばん奥に、ワドルディたちはとらえられていた。
三人いる。オリにつめこまれて、そのまわりをガルルフィたちが見はっていた。
「うう……うわああん……大王様……」
「せんぱい……ひっくひっく……バンダナせんぱい……」
ワドルディたちのすすり泣きが、ひびいている。ときおり、ガルルフィたちが「うるさい」とばかりにほえかかるが、ワドルディたちは泣きやまなかった。
ものかげでようすをうかがっていたカービィたち三人は、目を見合わせて、うなずいた。
まず、飛び出したのは、バンダナワドルディ。ヤリをかまえて、大声を上げた。
「みんな、助けに来たよ!」
カービィも、駆け出しながらさけんだ。
「行くぞ! たぁぁぁ!」
戦う力のないエフィリンは、声を張り上げておうえんした。
「がんばれ、バンダナくん! がんばれ、カービィ!」
とつぜんの襲撃(しゅうげき)に、ガルルフィたちは大あわて。飛びかかろうとしたが、カービィたちの前には、ひとたまりもない。
「キュウゥゥゥン……!」
なさけない声を上げて、逃げ出してしまった。
オリの中のワドルディたちは、うれしそうにさけんだ。
「わあ、バンダナせんぱい! エフィリンも!」
「それに、カービィさん!? カービィさんまで、ここに!?」
バンダナワドルディが、オリの戸を開けた。
「話は、あと! さあ、出て! 敵の援軍(えんぐん)がくる前に、逃げるよ!」
「はい!」
ワドルディたちは、オリから飛び出した。
みんなそろって走り出そうとしたとき、ひとりのワドルディが声を上げた。
「待ってください、バンダナせんぱい!」
「え? どうしたの、ものしりくん?」
ものしりくんと呼ばれたワドルディは、他のワドルディたちとは少しちがったようすをしていた。
学者のようなぼうしをかぶり、メガネをかけている。
ものしりワドルディは、メガネをくいっと押し上げて言った。
「あの、ついたてのかげに、なにか良いものがかくされているものと思われます」
「え?」
「ガルルフィたちの様子を観察していて、気づいたのです。彼らは、戦っている間もずっと、ついたてを気にしていました。まるで、そこにある宝物を守ろうとするように」
バンダナワドルディは、うなずいた。
「ものしりくんが言うなら、まちがいないね。探してみよう」
カービィは、ふしぎに思ってたずねた。
「えーと、きみは、ものしりくんっていうの?」
「はい、カービィさん。以後、お見知りおきを」
ものしりワドルディは、うなずいて言った。
「ぼくは、以前から本を読むのが好きだったのですが、この世界に来て、考える時間が増えたためか、ますます頭がさえるようになったのです。みんなから、ものしりくんとよばれています」
「そっかぁ。すごいね。よろしくね、ものしりくん」
「こちらこそ!」
二人が話している間に、バンダナワドルディとエフィリンは、ついたての後ろをのぞきこんだ。
エフィリンが言った。
「宝物なんて、ないなあ。ぼうしがあるだけだよ」
しかし、バンダナワドルディは大声で叫んだ。
「このぼうしは、まさか……!」
ものしりワドルディのおかげで、見つけることができた『ガルルフィたちの宝物』は、ぼうし!?
ぼうしを見たバンダナワドルディは、いったい何に気づいたの?
気になる真相は、次回で明らかに! 第4回をお楽しみに!
『星のカービィ ディスカバリー 新世界へ走り出せ!編』れんさい第4回(8月26日更新予定)に続く
作:高瀬 美恵 絵:苅野 タウ 絵:ぽと
- 【定価】
- 792円(本体720円+税)
- 【発売日】
- 【サイズ】
- 新書判
- 【ISBN】
- 9784046321800
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