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大人気ゲーム『星のカービィ ディスカバリー』が、角川つばさ文庫から小説になって登場! プププランドにとつぜんあらわれた、ナゾのうずに吸いこまれ、『新世界』にたどりついたカービィたちの冒険を、大ボリュームでためし読みれんさいしちゃいます!(全5回)
◆第2回
ナゾのうずに吸いこまれて、見たこともない『新世界』にやってきたカービィ。
あたらしい仲間・エフィリンと出会ったカービィのところへ、大声をひびかせてやってきた『ある人物』とは、いったいだれ!?
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うずの向こうは新世界!後編
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「カービィ! カービィだ! わああ!」
大きく手を振って駆けよってきたのは、バンダナワドルディだった。背中に、長いヤリをしょっている。
「ワドルディ! わあい、ワドルディ!」
カービィも飛び上がって、駆け出した。二人はしっかり抱き合って、よろこんだ。
「やっぱりカービィも、この世界に来てたんだね。会いたかったよ!」
「うん! ぼくも、ワドルディたちのこと、さっきからずっと探してたんだよ」
「……さっき?」
「うん。さっき、うずに吸いこまれて、砂浜で目がさめて、それからずっと!」
「……え? えーと……カービィ……」
バンダナワドルディは、混乱(こんらん)したような顔でカービィを見つめた。
「カービィは、さっき、うずに吸いこまれた……ってこと?」
「うん!」
「ぼくらがうずに吸いこまれて、この世界にやって来たのは、もうずいぶん前のことなんだよ」
バンダナワドルディは、両手を広げた。
「デデデ大王様やカービィのこと、何日も何日も、探してたんだ」
「……え?」
「でも、ぜんぜん手がかりがなくて……そんなとき、エフィリンと出会って、仲良くなったんだ。みんなで、ここに町を作って、暮らしてたんだよ」
「……ええええ?」
カービィは、わけがわからず、ポカーンとした。
ワドルディたちがうずに吸いこまれてから、これまでに、町を作り上げるほどの日々がすぎている……?
カービィは、ついさっき、この世界にやって来たばかりなのに?
「どうなってるの? ぼくら、いっしょに吸いこまれたのに」
「うーん……よくわからないけど……」
バンダナワドルディは、考えこみながら言った。
「あのうずの中で、時間がねじれちゃったんじゃないかな。だから、うずに吸いこまれたのは同時でも、出てきた時間や場所はバラバラなんだと思う」
「うーん……」
カービィは考えてみたが、さっぱりわからない。
とにかく、バンダナワドルディの言うとおりなのだろうと思って、話を続けた。
「デデデ大王は、いないの?」
「……うん。うずの中ではぐれてしまって、まだ見つからないんだ」
バンダナワドルディは、しょんぼりした。
カービィは、明るい声で、バンダナワドルディをはげました。
「だいじょーぶ、きっと会えるよ! ひょっとすると、デデデ大王は、先にデデデ城に帰って、ワドルディたちをまってるのかもしれないね」
すると、エフィリンが、ざんねんそうに首を振った。
「ううん。ポップスターは、すぐに帰れるような場所じゃなさそうだよ」
「……そうなの?」
「うん。ボク、ずっとこの星にいるけど、ポップスターのことは、ワドルディたちから聞くまで、ぜんぜん知らなかったんだ。たぶん、この星と、ワドルディたちの星は、べつの宇宙にあるんだよ」
「べつの……宇宙……!?」
カービィは目をまるくした。
どうやら、思っていたよりも、たいへんな場所に来てしまったようだ。
バンダナワドルディが言った。
「エフィリンに聞いたんだけど、今ぼくらがいる場所は、ネイチェル草原っていうんだって。森やみずうみが近くにあって、ちょっとプププランドににてるでしょ? だから、ぼくら、ここに町を作ることにしたんだよ。ひょっとしたら、大王様も、この草原のどこかにいらっしゃるんじゃないかって気がして……でも、ビースト軍団に、全部こわされちゃった」
「ビースト軍団?」
カービィが聞き返すと、エフィリンが言った。
「おそってきたヤツらのことだよ。毛むくじゃらのヤツはガルルフィ、オリを運んでた鳥はクロッカーっていうんだ」
バンダナワドルディがつけくわえた。
「ビースト軍団のリーダーは、レオンガルフっていうんだって。ぼくは見たことないけどね、すごく強いらしいんだ」
エフィリンはうなずいた。
「軍団のヤツらは、レオンガルフの言いなりだからね。たぶん、すべてレオンガルフの命令だと思うんだ。町をこわしたのも、ワドルディたちをさらって行くのも。ボクも、カービィが駆けつけてくれなかったら、さらわれるところだった!」
エフィリンは、おそろしそうにからだをふるわせた。
カービィは、力強い声で言った。
「ぼくが来たから、もうだいじょーぶ! ワドルディたちを助けに行こう。エフィリンも、ぼくといっしょにいれば、だいじょーぶだよ」
「うん! ありがとう、カービィ!」
エフィリンは、目をキラキラさせてカービィを見た。
「ワドルディたちが、いっつも話してたんだ。カービィは、ものすごーく強いって。さっきの戦いで、それが本当だってわかったよ!」
バンダナワドルディが、心配そうに言った。
「だけど、この世界でも、コピー能力を使えるのかな? カービィ、もう、ためしてみた?」
「ううん! コピー能力は使ってないけど、かわりにおもしろい能力を使えるようになったんだよ!」
「え? おもしろい能力?」
「うん! 車をね……」
カービィはあたりを見回したが、車は見当たらない。さっき、くるまほおばりをやめた場所に、置いてきてしまったままだ。
「あとで見せてあげる。とにかく、すごくおもしろいから! まずは、みんなでワドルディたちを助けに行こうよ」
バンダナワドルディとエフィリンは、うなずいた。
エフィリンが言った。
「それじゃ、手はじめに、ショッピングモールをしらべてみよう」
「しょっぴんぐもーる?」
「うん。このネイチェル草原の北のほうにある、大きな建物だよ。今は、使われてないけどね。ビースト軍団は、あちこちの廃墟(はいきょ)に住みついて、ワドルディをさらうための拠点(きょてん)にしてるらしいんだ」
「それじゃ、ワドルディたちは、そこに……?」
「うん、たぶん。クロッカーたちがオリを北に運ぶのが見えたからね。ボクが案内するから、ついてきて!」
「よーし、行こう!」
カービィが、力強くさけんだときだった。
空のかなたから、なにかがぐんぐん近づいてきた。
気づいたカービィは、目をこらして見つめた。
黄色い星だ。カービィとバンダナワドルディは、同時にさけんだ。
「ワープスター!?」
ワープスターは、すべるように急降下してきて、三人の目の前でピタッと止まった。
エフィリンは、おどろいてさけんだ。
「小さな星……!? これ、なに?」
「ワープスターだよ! ぼくといっしょに、あのうずに吸いこまれてたんだね。来てくれて、ありがとう、ワープスター!」
カービィは、ぴょこんとワープスターに飛び乗り、バンダナワドルディとエフィリンに手をさしのべた。
「さあ、乗って! ワープスターがあれば、どんな場所だって、ひとっ飛びだよ!」
「うん!」
バンダナワドルディは、はりきってワープスターに乗った。
エフィリンは、おっかなびっくり乗りこんで、ワープスターのかどにギュッとしがみついた。
「ひょ、ひょっとして……飛ぶの、これ?」
「もちろんだよ! それ、行けー!」
カービィがさけぶと、ワープスターはぐんぐんスピードアップ。
最初はこわがっていたエフィリンも、すぐになれて、歓声(かんせい)を上げた。
「すごい、すごい! なんて速いんだろう! これなら、あっというまにショッピングモールに着くよ!」
しかし、とつぜん、バンダナワドルディがさけんだ。
「ちょっとまって! 止まって、ワープスター!」
ワープスターは、空中で急停止。
放り出されそうになったエフィリンは、悲鳴を上げた。
「ひゃああああ! な、なに!? どうしたの、バンダナくん?」
「今、声が聞こえた気がしたんだ」
バンダナワドルディは、あたりを見回した。
カービィにも、聞こえてきた。どこか遠いところで、かすかに声がひびいている。
「この声……ワドルディたちだ!」
バンダナワドルディは、うなずいた。
「みんなが、助けを求めて、泣いてるんだ」
「この近くで、つかまってるんだね。探そう!」
ワープスターは高度を下げて、ゆっくり進んだ。
バンダナワドルディが、前方に見えるトンネルを指して、言った。
「あのトンネルの中から聞こえてくる!」
「うん! 行こう!」
カービィたちは、ワープスターから飛び下りた。
バンダナワドルディと無事に再会できたカービィ。
ビースト軍団にさらわれてしまったワドルディたちを助けるため、カービィは、バンダナワドルディ、そしてエフィリンといっしょに、新世界の冒険の旅へ出発します!
次回もお楽しみに!
『星のカービィ ディスカバリー 新世界へ走り出せ!編』れんさい第3回(8月19日更新予定)に続く
作:高瀬 美恵 絵:苅野 タウ 絵:ぽと
- 【定価】
- 792円(本体720円+税)
- 【発売日】
- 【サイズ】
- 新書判
- 【ISBN】
- 9784046321800
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