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【スペシャル連載】第12回 「人は感情に流される。だから数字をもとに考える」――東日本大震災をかんがえる本『世界はとつぜん変わってしまう?』


これまで「あたりまえ」だと思っていた毎日は、ある日とつぜんなくなってしまうかもしれない? それはたとえば、災害によってかもしれませんし、別の理由によってかもしれません。
十一年前にここ・日本で起こったとても大きな地震、東日本大震災を知ることで、あなたも「世界がとつぜん変わってしまう」かもしれないことについて、ちょっとかんがえてみませんか?

第3期は、子どもの貧困についての研究をしている阿部彩さんに質問をした内容を一部抜粋の形で紹介します。
最後の記事は、これから大人になるみんなに知ってほしい視点について。さっそく話をきいてみましょう。


 

Q.いまぼくたち、わたしたちが学校で勉強していることで、ほかに研究につながることはありますか?

A.グラフを読んで分析できる学生が少ないな、と感じることがあります。これからは、そういうことが得意な人たちが出てくるといいなと思います。小中学生のみんなは算数の授業でデータの活用を学ぶ機会もあると思うので、数字をもとに考える視点が身につくといいですね。

 

Q.数字をもとに考えることで社会は変わるんですか?

A.人は感情に流されます。たとえばニュース番組で、津波で家を失った人の人数をデータで見せるよりも、実際に被災し、家を流された人にインタビューした映像を流す方が、人の心は動きます。
 映像を目で見たり、エピソードをきいたりして、『感じる』ことも大事です。でも、感情にまかせるだけで判断してほしくないという気持ちがあります。
 もちろん、一人ひとりの物語を知ることも大切です。
 たとえば困っている人がいたときに、この人はどういう気持ちなの? と寄りそって考える。そこにプラスして、じゃあこういう状況にいる人が何人いて、それは全体の何パーセントで、どのような助けを必要としているの? と、考えて社会に呼びかけていく……これから大人になるみんなには、そういう見方があることを知ってほしいと思っています。

この回答をしてくれたのは…

阿部彩さん
「貧困」や「社会保障」をテーマに研究活動を続けています。2008年には『子どもの貧困――日本の不公平を考える』(岩波書店)を出版。日本の子どもの貧困問題について、さまざまなデータをもとにわかりやすく解説しています。


連載は以上です! 書籍『世界はとつぜん変わってしまう?』の中では、さらにくわしく、また広範な内容について扱っていますよ。ぜひご一読くださいね。

本の中ではさらにくわしく

災害を前に「自分も何かしたい!」と思ったとき、なにができる? 貧困の問題と震災やコロナの問題はどう関わっている? くわしくは『世界はとつぜん変わってしまう?』第三章で取り上げています。


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