八月の終わりは、きっと世界の終わりに似ている。
それは、たった40日の恋だった――。
- 著者:天沢 夏月
本当に好きだった。こんなにも人を好きになることは、この先一生ないだろうとさえ思った。言葉や仕草の一つ一つ、ちょっとした表情の変化、笑い声、髪から香る石鹸のにおい……思い出すと息が苦しくなる。まるで肺の中に、炭酸でも入っているみたいに。
――透子。
高校二年の夏。心臓の病が原因でなくなった彼女のことを、未だ引きずっていた成吾。
あれから四年。交換日記の空白に綴られていく新しい返事。それは見間違えようもなく、透子の文字だった。
- 【定価】
- 693円(本体630円+税)
- 【発売日】
- 【サイズ】
- 文庫判
- 【ISBN】
- 9784048926775