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『星にねがいを!』スペシャル短編!★その2★


「いみちぇん!」「サバイバー!!」あさばみゆきさん人気シリーズ
「星にねがいを!」
その7巻発売&シリーズ完結をきねんして、スペシャル短編が読めちゃうよ!


星にねがいを!(7) 勇気を胸に、ふみだせ未来!

  • 作:あさば みゆき 絵:那流
  • 【定価】770円(本体700円+税)
  • 【発売日】
  • 【サイズ】新書判
  • 【ISBN】9784046320773

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スペシャル短編②(2巻と3巻のあいだのお話だよ☆)

 

 わたしがハネて歩くと、ピンクのヒヨコキーホルダーもいっしょにハネる。
 ランランルンルン♪
 朝から空気はこごえるようだけど、わたしはハナ歌まじり、うっきうきで待ちあわせに向かう。
「ヒヨッ、アホッ。オレさま、舌かむっ、ビヨッ!」
 わたしの頭の上で、水色毛玉もいっしょにはずむ。
「じゃあ自分で飛べばいいんだよぉ」
 ブスッと言いかえしてみるけど、ビヨスケになにを言われよーが、今日のわたしはゴキゲン!
 なんたって、これから冴ちゃんとありあちゃんと、初もうでに行くんだもんねーっ!
 あそこの神社、甘酒ふるまってくれるんだっ。
 しかも参道(さんどう)からウラの公園まで、屋台もいっぱい!
 そっちも楽しみ!
 神社はウチのほうが近いんだけど、ありあちゃんちが集合場所になったんだ。

 なんでも、パパさんが車で神社まで送ってくれるんだそうで?
 
   ピンポーン♪

 玄関のチャイムを押しこむと、待ちかまえてたかのようにドアが開く!
 そして伸びてきた手に、ガッと両肩をつかまれた!
「どあわああっ! なにぃ!?」
 ゾンビ映画でこーいうシーン、見たことあるぞ!?
「日向(ひなた)さん、カクホしました!」
「よしっ! 行動を開始!」
 中に引きこまれたと同時、わたしの真後ろで、バタンッとドアがしめられた!

 ぱんっ、ぱんっ!
 景気よく手を打ちあわせる。
「チトセ小学校五年三組、出席番号十八番の日向ヒヨです! 去年はありがとうございましたっ。今年も、家族も友だちもまわりの人も遠ーい人も、みんなそろってゲンキいっぱい、幸せな年になりますよーに!」
 感謝の念をこめ、イキオイよく頭をさげる!
 が、おなかがつぶれて、ごえっとヘンな声を出しちゃった。

「ひ、日向さん。着物のときは、動きをおしとやかにね」
 ありあちゃんが、となりで顔を引きつらせる。
「帯って苦しいわね。同じ和服でも、剣道着とぜんぜんちがうわ」
「そうだよ、一之瀬(いちのせ)さん。オシャレは努力! だけど日向さんはスグ着くずれしそうだから、トクベツ強めに、帯ヒモしめちゃったんだよね」
「そーいうコトかぁ……っ」
 三人そろって、そろそろと(わたしは生まれたての馬みたいな動作で)、本殿(ほんでん)の階段をおりてゆく。

 そうなのです。
 わたしたち、三人そろってフリソデ姿で、初もうでにのぞんでいるのですっ!

 さっき待ちあわせのありあちゃんちに到着したとたん。
 和室にズラァ~ッとならべられた、宝生(ほうしょう)家代々の着物コレクションの前に立たされ、「さぁ、好きなの選んで」って!
 めちゃくちゃ華やかだったなぁ。

 わたしはチラッと、左右のありあちゃん冴(さえ)ちゃんを見くらべる。
 今もなお、視界がめちゃくちゃ華やかだ。
 ありあちゃんのは大正ロマンな、緑色のテマリがら。
 冴ちゃんのは深い青に、銀の糸で白いボタンの花がおっきく描かれた、大人っぽい着物。
 いやぁー、美しい……!

 そんでわたしが着させてもらったのは、白い無数の点々でもようを染めぬいた、総シボリっていう、なんだかスゴイらしい着物だ。
 全体に小花がいーっぱい散らしてあって、上品でめちゃくちゃカワイイ!

「ヒヨ、甘酒やってるわよ。いただく?」
「うんっ、待ってましたぁっ!」
 社務所(しゃむしょ)のまえの列に、わたしたちもくっつく。
 「あらあら。お人形さんが三人、かわいらしいこと」
 通りすがりのおばあちゃんたちに、ニコニコ手をふられた。
 それが照れくさいやらうれしいやらで、みんなで顔を見合わせ、くすくす笑っちゃう。

 そんなこんなで、お待ちかねの甘酒ゲットォ!
「いっただっきまぁーす!」
 グビィっと一気に! ――あおろうとしたんだけど。
 飲みこもうとしたとたん、胃が圧迫されて、ぜんぜん飲みこめない!?︎
「ぐぬぬっ!?」
 おそるべし! 帯ヒモによる胃ぶくろのシメ技よ!
「ヒヨ、飲まねぇビヨ? はー、もったいねぇビヨねぇっ。オレさまによこせビヨォ♪」
「ああっ、待ってぇ!」
 ビヨスケが紙コップにクチバシをツッコみ、大喜びでゴクゴクッ。
 極悪使い魔を無理やり引きはがすも、もう半分も残ってないよ!
 悲しみにくれながら、ちびちびちょっとずつ飲む。
 ……けど実際、今日の胃ぶくろじゃ、このくらいがちょうどいいのかもな……。
 楽しみにしてたのにっ、年に一回の甘酒さぁぁんっ!

「――ハルキは、この後どうすんの」
「今日はもうなんもないや。ひさしぶりにゆっくり昼寝でもしちゃおっかなー」

 ハッ!
 わたしの真(しん)ちゃんアンテナがビビビッと動いた!
「今、真ちゃんの声!」
「ええっ? 相馬(そうま)くん?」
「こんな人ゴミに来るわけないわよ」
 とはいえ、おさななじみ&片想い歴七年のアンテナは、超正確なはず!
 わたしはアンテナを三百六十度にぐるりめぐらせる。

 すると。
 お参りを終えたとこなのか、本殿からの階段を、二人の男子がおりてくる。
 人目を引くオーラの彼ら。
 一人はキャップをかぶって顔はよく見えないけど、ふわふわつるるんの髪質は、あきらかにアイドル男子・ハルルン!
 そんで奥のマフラーを口もとまで上げてる、物静かな雰囲気の男子は、
 ――やっぱり真ちゃんだ!

 こんなとこで会えると思ってなかったよ。
 心臓がどどどどどっと猛スピードでかけだした。
 今年は大吉、まちがいなし!
 それに、こうして知らないヒトの距離感で見てみると――。
 やっぱ彼って、とびぬけてカッコイイな。
 アイドルのハルルンと並んで立って、おたがいを輝(かがや)かせあっている!

「ヒヨ。せっかくだから、着物すがた、相馬に見せてあげたら」
 冴ちゃんに耳に吹きこまれ、わたしはピエッと飛びあがった。
 いや、今の今まで、走ってって声かける気満々だったけどさっ。
 そうだ。わたし、着物だった。
 いつもと違うかっこうだと思ったら、急に怖気(おじけ)づいてしまった。
「まままま待ってっ。わたし、こういうおしとやかなの、性格と合ってなくて、おかしいかもって……」
「「おかしくない。かわいい」」
 冴ちゃんとありあちゃんの即答。
 おおう。二人は優しい。
 いや……、でもさ。
 この前のひみつのデートさわぎは、わたしのカンちがいだったけど。
 真ちゃんって、冴ちゃんのコト好きっぽいんだよな。
 だとしたら彼、冴ちゃんのこんなキレイな着物すがた、きっと見たいよねぇ。
 なーんてモンモンと考えてたら。

「ねぇ。いっしょに屋台まわんない?」
 ハッと目をもどせば、ななななんと、女子二人組が、真ちゃんたちに声をかけてるっ。
「……あら、先こされたわ」
 冴ちゃんがドスのきいた声を出し、ありあちゃんは目を細くして様子をうかがう。
「あのコたち、アイドルのハルルンって知って……はないみたい?」
 たしかに彼本人は、マフラーを鼻まで上げ、ぼうしもまぶかにかぶりなおしてる。
 パッと見、顔はよくわかんない……かな?
「キミたち、中学ここらへんなの? おしゃべりしよーよ」
「ごめんね。今日はもう解散するんだ」
 ハルルンが、ニコニコだけど、きっぱりとていねいなおことわり。
「えー。でもさぁ」
 もう一人が、真ちゃんのコートのソデをつかんだ、そのとたんっ。
 それまで、シラッとながめてただけの彼が、
   ギッ!
 心臓瞬間冷凍レベルの、極寒の視線!
 ひょええええっ。
 遠巻きなわたしたちですら、体の前半ぶん凍りついたよ!
「あ、え、えと、ごめんね、ジャマしちゃったみたいで」
 中学生女子ズは、半笑いで後ずさり、あわてて逃げていく。

「「「うわぁ……」」」
 タイミングを見失ってたわたしたちも、そのまま立ちつくしてたら、
「じゃあオレ、ほんとに帰る」
「真、お守りとか買ってかないの?」
 二人は何事もなかったかのように歩きだした。
 まさか、なれていらっしゃる……!?
「オレは、ヒヨにもらったビー玉お守りがあるからいい」
「ヒヨ子にお返しにあげたら、きっと喜ぶよ。この神社、恋むすびがSNSで話題なんだよね。ペアのお守りをくっつけると、まんなかに桜の花と♡マークができるっての」
 真ちゃんがぴたりと足をとめた。
「……たしかにオレ、ヒヨの恋愛を応えんするって決めたけど……」
 ボソッとつぶやいた彼に、わたしは心の中でウギャッと悲鳴をあげた。
 真ちゃん、わたしがハルルンのことを好きって、カンちがいしたままなんだよね!

 ほんとに応援してくれるつもりか、彼はハルルンのあとに続こうとして――。
 パッとこっちに首を向けた。

「ヒヨ」

 バチッと、音をたてて視線がぶつかった。
「うわっ、なんだ。みんな来てたの!?」
 男子二人は、棒みたいに立ったままのわたしたちにも、それからたぶん、いきなりの着物姿にもおどろいて、そろって目をまんまるにした。



 ハルルンは、撮影のお仕事帰り。
 真ちゃんは返却期限ギリギリの本を図書館に返してきたとこ。
 ってなわけで、駅でばったり会った二人は、せっかくだからって、初もうでに寄ってみた(真ちゃん的には「連行された」)んだって。
「もうすぐお昼になっちゃうね。ヒヨ、なんか食べてく?」
 みんなでぷらぷら参道をもどりながら、真ちゃんがポソリと言う。
「あのね。実は着物の帯がきゅうきゅうで、おなか入んなくって」
「……そう」
「でも、焼きそば食べたかったなぁ。せっかくお年玉、五百円持ってきたのに」
「オレさまも食いたいビヨォ、焼きそば焼きそば焼きそばビヨォ~~!」
 連呼するおっさんヒヨコのクチバシを、わたしはガッと指ではさむ。
「ビヨスケ、わたしの甘酒、けっきょくほとんど飲んじゃったでしょっ。焼きそばまでズッコイから、ガ・マ・ン!」
 しかしヤツは、万力のような力でぐぎぎぎぎっとクチバシを開けてくる。
「ヤァーキィーショォバァァァ~~ビヨォ……ッ!」
 ギリギリと閉める開けるの攻防に夢中になってたら、真ちゃんがスッとはなれていく。
 ほらぁ、あきれられちゃったよ!

「――はい」
 もどってきた彼に、大きなビニールぶくろを差しだされた。
 かぐわしい、ソースのにおい!
「こっ、こっ、これは……‼」
 受けとったふくろの中をのぞいてみたら、まさに!
 プラスチックの容器に、はみ出すほどぎゅうぎゅうにツメこまれた、焼きそばさん!?︎
「新作ゲームアプリで、バイト代が入ったんだ。着物ぬいでから、ヒヨんちで食べなよ」
「わっ、わっ、わっ」
「おっ、おっ、おっ」
「「ありがとう!」ビヨ!」
 わたしたちはプルプルふるえながら、真ちゃんと天の神さまに感謝する。 

「どういたしまして。だけどビヨスケのじゃないからね」
 彼がくちびるをちょっと持ち上げてくれたとこで。
 ふり向いたハルルンが、ぷふっとふき出した。
「買ってあげたんだ? 真ってほんっと、ヒヨ子の保護者だよなー」
「……まぁ、そうだね」
 真ちゃんは瞳の温度を下げ、半眼になる。
 そりゃ、おさななじみの保護者役なんて、なんのお得感もないもんねぇ……。
「あの、真ちゃん。これ大盛りだからさ。真ちゃんもウチでいっしょに食べない? あと、えーと、おむすびなら作れるよ」
「じゃあ、行こうかな」
 うなずいてくれた彼に、わたしはパアッと笑顔になっちゃう!
「わたしも行っていい? 自分で自分のごはん買ってくるから」
 冴ちゃんもおさいふを出して、キョロキョロ。
「なに、二次会? ボクも行こうかな」
「あら。すぐ帰るんじゃなかったの、大河(おおかわ)」
「それは方便ってヤツでぇ」
 いたずらっぽい目をかわした二人は、やったぁっと大喜びのわたしを残し、さっそく屋台のほうへ。

 すると、 
「あっ、ありあも! 日向さんち、また行きたい!」
 意を決して――って感じの、ありあちゃんの大きな声!
 わたしもみんなも、そろって彼女に注目した。

「ダ、ダメかな……?」
 彼女の、一生懸命な顔。
 ――ありあちゃんがウチに来てくれたのって、クラスの女子を巻きこんだ仲間ハズレさわぎの、仲直りのときだった。
 あの時は、巨大おむすびつくって、女子三人で食べて。
 そんで、友だちになれたんだよね。

 二回目の今日は、男子二人もまざって、きっと、もっともっと、友だちになれちゃうね!

 わたしは全力で笑顔になった。
「もちろんっ! 今日はみんなで、焼きそばパーティだぁ!」

「この前のクリスマス会のドレスもだけど、身の丈にあった服じゃないとタイヘンだね。きれいだけどさぁ」
 焼きそばのふくろをブンブン、みんなそろって道をゆく。
 となりを歩く真ちゃんは、前を向いたまま、うん、とうなずいた。
「きれいだけどね」
「――えっ」
 彼の口からとびだしてきた思わぬフレーズに、わたしはゲタの足がつまずきそうになるっ。
 あっ? あ、ああ! きれいって、もちろんそうだよね、ちがうちがう!

「着物がねっ。これね、ありあちゃんが七五三で着たんだって。あ、もしかしてわたし、七歳に見えたりした?」
「見えないよ」
 こっちを向いた真ちゃんは、眉が一ミリだけ上がってる。
「そ、そっか。よかった。これ、ありあちゃんのおばあちゃんのでね、赤と白なんだけど、はなれて見るとピンクっぽく見えて、おもしろいよね。ちょうどこのコと色が似てるから、ほら、ここに留めてもらったんだ」
 帯にかざったキーホルダーのピンクヒヨコを指さすと、真ちゃんは「へぇ」と目をまたたいた。
「クリスマス会のときのだ」
「うんっ。真ちゃんと冴ちゃんが選んでくれたやつ。超・宝物! いっしょにお参りしたくて連れてきちゃったんだ」
 ペラペラと説明を始めたわたしに、真ちゃんはなぜか、一瞬目を泳がせる。
 そして今度はちゃんと私を見て、「ちがうよ」って。

「ヒヨのことだよ。きれいって言ったのは」

 ぶつかった視線が、すぐ、また下を向いちゃう。
「いつもよりオトナっぽく見えて、びっくりしたんだ」
 言いのこした彼は、急に歩く速度をあげて、ハルルンのほうへ行ってしまう。
「なんだ真、どした。顔赤くない?」
「ベツに」

 わたしは完全に足が止まって、その場に立ちつくした。
「……ほえええ……」
 きれいって、わ、わたしが……っ!?︎
 しししし真ちゃんって、むかしから時々、ふいうちでびっくりするようなコト言うんだよなっ。
 これはあれだ、おとなっぽい天才少年ゆえの、おとなっぽい社交辞令ってヤツだ!
 めずらしく空気読めたけど、ハカイ力ばつぐんだよ!

 たましいが、ぬけた……っ。

「日向さーんっ、どうしたの~っ?」
「行くわよー!」
 ありあちゃんと冴ちゃんが、道の先から手をふってる。
「あ、う、うんっ!」
 あわてて歩きだそうとした、その瞬間。
 ビヨスケがわたしの頭のうえで、げえぷっとキタないゲップをした。
「腹いっぱいだビヨォ。うまかったビヨねぇ~」
 ――うまかった!? なにが!?︎
「まさか!」
 ビニール袋を、ガバッと開ける。
 そしたらっ、そしたらっ!
 プラスチックの容器が、食い散らかされて、からっぽになってる!
 焼きソバが! あとかたなく! 無きソバに!

「ビ、ビ、ビヨスケェェ~~~ッ!!」

 悲痛なさけびが冬の空にひびきわたり、さわやかに消えていった。

 
 

 


 

★☆。..★。.:*・。★☆。..★。.:*・。★☆。..★。.:*・
ヒヨ「や~、思い出の初もうで! 楽しかったなぁ♪ マメちゃんたちも、みんなで初もうでに行ったりするの?」
マメ「こんにちは、「サバイバー!!」のマメですっ。実はね、ヒヨちゃん。こっちは塩鬼リーダー(涼馬くん)がスパルタで、『初もうでに行こうよー』なんて、さそえる空気じゃないんだよねぇ……」
ヒヨ「そうなの? でもさっきマメちゃんがいないとき、涼馬くん、『あいつはがんばってる』って言ってたよ?」
マメ「うそぉ!? それ、ヒヨちゃんの幻聴じゃ……!? と、とにかくっ、あたしたちも夢をめざしてがんばるねっ」
ヒヨ「がんばれー! マメちゃんたちの願いが、星に届きますように☆」
マメ「ありがと、ヒヨちゃん。みんな、どうか応えんよろしくお願いしまーす!」
★☆。..★。.:*・。★☆。..★。.:*・。★☆。..★。.:*・

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