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「いみちぇん!」「サバイバー!!」あさばみゆきさん人気シリーズ
「星にねがいを!」
その7巻発売&シリーズ完結をきねんして、スペシャル短編が読めちゃうよ!
スペシャル短編①(11月号)
※ネタバレ注意だよ! 7巻を読み終わってから読んでね☆
サマァァア(夏)、来たれりぃ――っ!
真(しん)ちゃんがアメリカに留学して、ちょうど一年。
長いお休みの時には、彼が日本に帰ってきてくれてたけどっ。
この夏は、なぁぁんと、わたしから会いに来ちゃったんだ!
はじめての、子どもだけの旅行っ。しかーもっ海外!
「まいねーむいず、日向(ひなた)ヒヨ! アイあむトモダチのハウスごー! 7デイズ、オトマリッ、OK?」
学んできた英語力とイキオイで、空港の税関も、ぶじに突破!
ここはもう、カリフォールニアはロサンゼールスだ!
「着いたなーっ。長かったぁ~」
「体がなまっちゃうわね」
ハルルンと冴(さえ)ちゃんも、背のびしたり、肩をぐるぐる回したり。
スーツケースを引きずって待合ロビーへ向かいながら、夏の空気を胸いっぱいにすいこむ。
かわいた砂っぽいにおいに、ここは外国なんだなーって、ワクワクしてきちゃうよっ。
「もうおむかえ来てるかなぁ」
「天沢(あまさわ)だけだと、すっぽかされそうだけどな。真がいるんだから大丈夫だろ」
「相馬(そうま)だって、本に夢中でチコク――なんてよくあるわよ」
これから会える二人の顔を思い浮かべただけで、心臓がバクハツすんぜんだ。
フツーに歩いてるつもりなのに、足がふわふわしちゃって、天まで飛んでっちゃいそう。
ひとまず落ちつこうと、リュックから黒いフォーチュン・ノートを出してみた。
「ほら、ビヨスケ~ッ。ここがアメリカだよー! でっかい国だねーっ」
「――あっ! いた!」
ハルルンが声をあげ、ガラスのかべの向こうを指した!
わたしとわたしの心臓は、ピョンッと垂直にハネる。
あわててさがすと、行きかう人の流れのなか、こっちに手をふってるお兄さんたち――。
いやっ、あれ、真ちゃんと北斗くん!?
お正月以来の彼らは、背がますます高くなって、キラッキラなお兄さんっぷり!
ホンモノの二人だ……!
ど、どどどどどうしようっ。ホントに会えちゃうんだ!
会ったら何から話そうって、飛行機のなかでさんざん考えてきたのに、どうしたことか。
頭がまっしろになっちゃった。
気づいたらスーツケースをほっぽりだし、フォーチュン・ノートだけをかかえて、全力ダッシュ!
「真ちゃぁぁん~~っ! 北斗くぅぅぅ~~~ん!」
わたしは彼らに向かって、大ジャンプで飛びつ――、
べちんっ!
「イタァ!!」
ガラスのカベ! 忘れてた!
冴ちゃんとハルルンがあわてて追っかけてくる。
わたしは、真ちゃんのビックリ顔と、その後ろでブハッとふき出した北斗くんをながめながら、ずるるるる……っとガラスをズリ落ち。
しまいに、どすっとおしりで着地。
「オゥ、ニンジャガール……」
通りすがりのダレかがつぶやき、歩み去っていった。
※
おしゃれなビルが、照りっ照りの太陽の下、まぶしくきらめいてる。
ヤシの木とネオン看板の街なみ! ひっっっろーい道路!
そしてカリフォルニアの北斗くんちも、日本のおうちよりデッカかった!
ベッドルームも三つもあるから、北斗くんと真ちゃんの部屋、ちゃーんと分かれてるんだって。
これから一週間は、そこを男子部屋と女子部屋にしてもらっちゃうんだけどねっ。
おうちに到着してからは、さっそくお庭バーベキュー。
昼寝したらって言われたんだけど、目がギンギンで、とてもじゃないけどねむれないよ!
ぶあついステーキが焼けるのを待つあいだ、子どもたちで頭をつきあわせ、旅行中の予定を相談。
あしたは真ちゃんの大学へ遊びに行って、北斗くんのバスケチームの練習を見に行って。
あさっては巨大ショッピングモール、しあさっては北斗ママ引率で、ちょっとはなれたとこの遊園地。
次の日は北斗パパが、ビーチにも連れてってくれるって!
お肉をガツガツ食べて、庭のゴールポストでバスケ遊びして、お肉が焼けたらまた食べて。
冴ちゃんもハルルンも、おじさんもおばさんも、みーんな笑ってる。
北斗くんは、今は家族とうまくやってるみたい?
親のまえでもちゃんと笑ってて、すっごくホッとした。
わたしも満腹で、どさっと真ちゃんのとなりに座る。
彼は、日本から持ってきたガイドブックをながめてたみたい。
「あしたから、予定ギッシリだね。ヒヨたちがフセンをはってきたとこ、ぜんぶ案内したいな」
「ほんと!? 楽しみすぎて、一週間ずーっとねむれないかもっ。ビヨスケに報告すること、山ほどできちゃうねぇ」
笑いながら目を向ける。
と、すぐそこに真ちゃんの顔がある。
……なんか、すごいな。
きのうまで、半年もカタい画面ごしだったのに、本物がここにいるんだ。
ポ~ッと見つめちゃってたら、真ちゃんも本から視線を上げた。
彼のほうも、わたしをまっすぐ見つめ返してくる。
ますますオトナっぽくなっても、この夜明け色の瞳(ひとみ)は変わってない。
毎日毎日毎日、会いたいって想いつづけてた、わたしの大好きな人の瞳だ。
そう実感したら。
……安心してかな、うれしすぎてかな。
わかんないけど、急にじわぁっと涙がにじんできた。
楽しい話してたのに、なんたるコトだ!
「おりょっ、ごめ、なんでもなくってね」
ボロボロボロッと、でっかい涙のつぶが落っこちて、ヒザをぬらす。
真ちゃんが旅立った日だって、気合いで泣かずにのりきったのに。
なんで、このタイミングで――っ!
「どうしたんだろ、わたし。止まんなくなっちゃったよ。あはは、ヘンなの」
「ヒヨ」
真ちゃんは首をかたむけ、手で顔をおおうわたしをのぞきこんでくる。
「ヘンじゃないよ、ヒヨ」
すぐ間近にひびいた、ちょっとかすれた声。
「……実はね。オレも、ずっと泣きそうなんだ」
「へっ?」
バッと自分の手をはなしたら、すぐそこ、真ちゃんの瞳が、ほんとにウルッとしてる!
「し、し、真ちゃんっ。ハハハハンカチッ」
彼がこんな目をうるませるのなんて、えええとっ、いつぶりだ!?
ビヨスケが消えちゃったときとか?
自分だってボッタボッタ泣いてるけど、あわててポケットをさがす。
と、上からバサッと、なにかが降ってきた!?
「おわっ!?」
いきなり真っ暗になった視界に、まさか昼を夜に変える魔法ではっ! なんて空想しちゃったけど、
「どーぞ」
北斗くんの声!
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真ちゃんと二人してバッと頭を出すと、わたしたちがつかんでるのは、でっかいバスタオルだ。
北斗くんはハルルンと冴ちゃんの背を押し、リビングに上がっていく。
「ジャマ者はテッシューすんぞ」
「ならゲームでもやろっかね」
「わたし、相馬と天沢の写真を見たいわ。みんなに送るヤクソクしてるの」
「ハ? 相馬のだけでいいだろ」
わたしと真ちゃんは、バスタオルをつかんだまま、三人の背を見送る。
あわわ……、気をつかわせてしまった。
「……いくらなんでも、ここまで大きなタオルはいらない」
「わたしはいるや。だって、半年ぶん、タメにタメたうれしさだもんっ」
おたがい、自分の目にタオルを押しあてて、息をついたあと。
二人でちょっと笑った。
赤くなった目もとが照れくさいや。
「すごいな。ヒヨが本当にアメリカにいるなんて」
「真ちゃん、さっきのわたしとおんなじコト考えてる。さすがはおさななじみだねぇ」
と、彼はわたしの手をキュッとにぎってきた。
「たしかに、おさななじみだけど」
真ちゃんの群青(ぐんじょう)の瞳が、ちょっとスネたような色?
めずらしい表情に、わたしは心臓がドキッと上下にハネあがる。
「今は、それだけじゃないよね」
「――ほへ?」
「つきあってるんだよね? オレたち」
「あっ、はははは、はっ、はい! ソーデスネ!?」
確かめるように見つめられて、わたしは心臓が爆裂四散(ばくれつしさん)!
ボンッと頭頂部から噴火した!
「よかった」
ほほ笑む真ちゃんの、すなおな笑顔。
も、もう、胸がばっくんばっくん限界で、直視できないよ!
バスタオルを頭からかぶって、視界をシャットアウト!
必死に深呼吸して、正気を取りもどそうとしてたら。
しばらくたって、エンリョがちに、はしっこがめくれた。
「……せっかくヒヨがいるのに、見えないの、もったいない」
「あ、ご、ごめんね!?」
意を決してタオルをバサァッとどかしたらっ。
真ちゃん、めっちゃ笑ってるじゃーん!
こらえきれないってようすで、顔をそっぽ向けて、肩をプルプルふるわせてる。
「ぐぬぅ! 勇気出したのにぃっ!」
「ごめん」
笑ってる真ちゃんをムゥゥッとながめてたら、じわじわこっちにも移ってきちゃった。
わたしもブハァッとふきだして、二人して大笑い!
そのうち、どちらからともなく、おでこをコツっとぶつけあった。
「……やっと、おれの彼女に会えた」
「し、真ちゃん。わたしその単語聞いただけで、心臓止まりそうだよ」
「なれて」
ちいさく笑う声が、くすぐったい。
「が、がんばる……。えっと、わたしもね、か、かかかカレシさんに、ずっと会いたかったよ」
「…………やっぱり、はずかしいね。それに、ヒヨとの関係に名前つけるの、もったいない気がする。ヒヨはオレの、ぜんぶだから」
まっすぐな彼の言葉に、わたしはまた赤くなっちゃうけど。
おでこから、真ちゃんのぬくもりが伝わってくる。
彼の気持ちが、わたしの中ににじんで伝わってくる。
わたしの大好きって気持ちも、どうか真ちゃんに伝わって、彼の心の奥の深く深くにとけていきますように。
わたしね、今日からの七日間、めいっぱいにぬくもりをためて、もって帰るよ。
部屋のなかから聞こえはじめた、みんなの笑い声。
きらきら、星がまたたくような笑い声だ。
「大好きだよ、真ちゃん」
心の星のささやきを、大事にそうっと伝えて。
わたしは幸せでしょうがなくって、涙目で笑った。
了
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真「さて。これからは、キミたちにもがんばってもらわなきゃだね。よろしく涼馬(りょうま)」
涼馬「ご紹介どうも、真さん。『サバイバー!!』の主人公・マメとバディを組む、風見(かざみ)涼馬だ」
真「そっちの世界も……、いきなりのカコク展開らしいね」
涼馬「ああ。サバイバーを目ざす学校で、命がけの訓練に入った。いろいろあるが、マメと仲間と生きのこって、夢をつかみとりたいと思っている」
真「なるほど。ヒヨ風に言うなら『胸の星(きぼう)を信じてる』かな」
涼馬「そのとおりです。みんな、応えん、よろしくたのむ!」
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ニュース!
もう読んでる? あさばみゆきさん新シリーズ!
いきなりおもしろすぎると、さっそく話題!
2022年1月発売予定の2巻では「星にねがいを!」のヒヨたちが……?
まだのアナタは1巻を今すぐチェックだよ☆
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あさばさんファンも大満足! サイトに届いたみんなの声の紹介だよ☆
★う、うぉっ!これは・・・これは面白いぞ!ヤバイ!次が気になりすぎるよ〜
(小6 ルリルラさん)
★主人公に対してすごく親近感をいだきました 真っ直ぐな性格に心救われます
(小6 ひなたさん)
★シンプルに涼馬かっけぇ
(中1 さはさん)
★マメちゃんかわいい!!そして涼馬くんめちゃくちゃカッコいい!!♡
(小6 ハリネズミさん)
★はぁ~もう試し読みだけでオモロイの確定やん……
(小6 みあさん)
作:あさば みゆき 絵:葛西 尚
- 【定価】
- 726円(本体660円+税)
- 【発売日】
- 【サイズ】
- 新書判
- 【ISBN】
- 9784046320780
スペシャル短編は、もう1本あるよ。2021年年末ごろ公開予定!
おたのしみに☆
「星にねがいを!」シリーズ総復習!
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作:あさば みゆき 絵:那流
- 【定価】
- 726円(本体660円+税)
- 【発売日】
- 【サイズ】
- 新書判
- 【ISBN】
- 9784046319128