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NEW ものがたり

【先行ためし読み!】最新刊『絶体絶命ゲーム17』 第3回

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4.やってきた謎の少年

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 日曜日の朝。

 春馬、未奈、亜沙美は、渋神中学の校門の前に集合した。


『絶体絶命ゲーム』に参加する1年生も、すぐに校門の前にやってきた。

「何回やっても、無駄だよ。奴隷が、おれたちには勝てないよ」

 一輝は、あいかわらず生意気だ。

「返り討ちじゃ! バサッ、バサッ、バサッ!」

 JJがおどけて、亜沙美を刀で斬るポーズをする。

 亜沙美は、無視する。

「ノリがわるいなぁ……。まぁ、いいわ」

 JJは、わざとらしく退屈そうにあくびをする。

「あれ、渉は? まだきてないのか?」

 一輝が、まわりを見ながら聞いた。


 そのとき、あどけない顔の少年が、チューブに入った氷菓子のパペポを食べながらやってくる。

「……よかった。間にあったみたいだ」

「ハァ……? おまえ、だれだ?」

 JJが、少年をにらみつけながら言った。

「渉くんが発熱したんだ。それで、ぼくがかわりにきたんだよ」

「おまえが、渉のかわりだって? バカなこと、言うんじゃないよ!」

「でも、ゲームは、3人対3人なんでしょう。参加者が2人しかいないと、不戦敗だよ。それでもいいの?」

 少年が言いかえすと、JJは一輝を見た。


「渉は、本当に発熱なのか?」

「うん、そうだよ。でも、熱を出さない人間は、生きてないけどね

「……おれたちの邪魔はするなよ」

 一輝が、はき捨てるように言った。

「もちろん、そんなことはしないよ」

 少年はそう言うと、春馬たちを見る。


「紹介がまだでしたね、先輩たち。1年3組の蓬木怜央(よもぎ・れお)です」


 怜央はパペポをすいながら、ていねいにあいさつをした。

 そのとき、黒のワンボックスカーが、6人の前にとまる。

 助手席の窓が開いて、虹子が顔を出す。


「みんな、そろってるな。これで、ゲーム会場まで送るよ」

 6人は、ワンボックスカーの後部座席に乗りこむ。

 運転席には、黒服の男がいる。

「虹子、ゲーム会場は遠いのかい?」

 後部座席から春馬が聞いた。

「すごく遠いよ。でも、心配はいらない。そこまで、眠っていればいいんだ」


 虹子はそう言うと、前の座席と後部座席の間にある仕切りを閉めた。

 次の瞬間、後部座席に白い煙が流れこむ。

 未奈、亜沙美、1年生の3人は、あっという間に気を失う。


「な、なにも、眠らせなくても……、いいだろう……」

 春馬も気を失った。



「到着だ。みんな、起きて」

 虹子の声で、春馬は目を覚ました。

 未奈、亜沙美、1年生の3人も目を覚ます。

 ここは……、6人の乗ったワンボックスカーの中だ。


「とりあえず、なんの仕掛けもなかったわね」

 未奈に言われて、春馬は苦笑いする。

「『奈落』にいかされたときは、目が覚めたら、いきなり鉄格子の檻の中だったからな」


 6人がワンボックスカーをおりると、そこは緑深い山の中だ。

「こっちだよ」

 虹子が、どんどん歩いていく。

 春馬たちがついていくと、100メートルほどの長さの、今にも壊れそうなぼろぼろのつり橋がある。

 橋の50メートルほど下には、たっぷりな水量の川が流れている。


「橋をわたった先にある村に、今回のゲーム会場になる屋敷があるんだ。ついてきて!」

 虹子はつり橋を、かろやかな足取りで走っていく。

 橋は左右に大きくゆれるが、虹子はかまわずにわたっていく。

「うわぁ、おもしろそうじゃん!」

 JJも、つり橋を走っていく。

「おい、ゆれるだろう!」

 一輝は、あきれたように言って、橋をわたっていく。

 怜央と亜沙美も、橋をわたっていく。


「……未奈、わたれそうかい?」

 春馬が、心配して聞いた。

「……わたれるわ。『奈落』にいくときは、飛行機から落とされたのよ」

「そうか、そうだったな。あのときは、ひどい目にあわされたな」

「前までなら、絶対に無理だった。でも、今なら、わたれる……」


「一応、手をつなごうか……?」

 春馬がはずかしそうに言って、手をさしだした。

「うん、お願い……、なんて言わないわよ!」

 未奈はおどけて言うと、1人でつり橋を歩き始める。

「本当に、大丈夫なのか?」

 春馬はつぶやくと、未奈のうしろを歩いていく。

「これ、ハイキングだったら、すごく楽しいのにね……」

 未奈が、深い山にかこまれた風景を見まわしながら言った。

「うん、そうだね」


 そのとき、突風が吹いて、つり橋が大きくゆれた。

「キャッ!」

 未奈がよろけて体勢をくずすと、とっさに春馬がささえた。

 そして、春馬は、未奈の手をとった。

「えっ!」

 未奈は小さく言ったが、すぐに、春馬の手をにぎりかえしてきた。


 川のせせらぎ、鳥の鳴き声が聞こえる。

 春馬と未奈は、無言でつり橋を歩いていく。

 なにか言えば、この時間が終わってしまいそうな感じがする。

 つり橋を無事にわたりきると、2人はなごりおしい気持ちをかくしながら、1年生から見られる前に、いそいで手を離した。


 先頭の虹子は、かるい足取りで山道をくだっていく。

 春馬たち6人は、虹子についていく。

 森にかこまれた道を抜けると、小さな村に出る。

 道の横に、村に入る人を見張るように地蔵がある。


「こんな山奥に、村落が……」

 まるでタイムトリップしたように、ひっそりと、数軒の古い家がならんでいる。

「春馬、あの人たち……!」

 未奈に声をかけられて、春馬が目をむける。

 編み笠をかぶり、黒のレインコートを羽織った不気味な男たちが、こちらをじっと見ている。

 離れていても、ただならぬ殺気を感じる。

「彼らのことは気にしなくてもいいよ」

 虹子は、村のはずれまで、ずんずんと歩いていく。


「ここがゲーム会場になる、土黒家の屋敷だ」

 かやぶき屋根で、周囲にくらべても各段に大きな古民家だ。

 玄関の引き戸には、『絶体絶命ゲーム ☆』と書かれている。


「まず、ぼくが入るよ。みんなはあとからきて」

 虹子が、引き戸を開けると、内側にもう1枚引き戸がある。

 2枚の引き戸を引いて、虹子は屋敷の中に入っていく。


「……ミッシェル先輩の命令だから、虹子についてきたけど、あいつって、なにものなんだ?」

 一輝が、不思議そうに聞いた。

「よくわかんないけど、転入生のくせに生意気なの。その内、ぎゃふんと言わせてやるわ」

 JJが、気に食わなそうに言った。

「この戸に、星が1つついてるけど、レストランでもあるのかな?」

 怜央が首をかしげると、一輝が笑う。

「こんなところに、レストランがあるわけないだろう」

「そうか……」

 怜央は、戸に書かれた☆をじっと見ている。


「……虹子は、『みんなはあとからきて』って言ってたけど、もう入っていいのかな?」

 未奈が、待ちくたびれて聞いた。

「うん、入ってみよう」

 春馬は、1枚目の引き戸を開け、さらに2枚目の引き戸も開けて、屋敷に入る。


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タイトルは「三国亜久斗は名探偵⁉︎」ーーつまり、亜久斗が主役!これは絶対、見逃せない‼︎



書籍情報


作: 藤 ダリオ カバー絵: さいね 挿絵: チヨ丸

定価
858円(本体780円+税)
発売日
サイズ
新書判
ISBN
9784046323743

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