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【先行ためし読み!】最新刊『絶体絶命ゲーム17』 第2回


最悪の地【奈落】から生きて帰ったことで、さらに伝説的存在になった春馬と未奈。
けれど、そんなころ渋神中では、なんと春馬たちの学年である2年生の全員が、1年生の奴隷にされて、ひどい目にあっていたのだ――!
「春馬が帰ればなんとかしてくれる!」と待っていたみんなのために、春馬はふたたびゲームをすることに…!!
この立場をひっくりかえすには、もう一度、絶体絶命ゲームやるしかない!? ーーそして、春馬と未奈の関係にも変化が……。
読みどころいっぱいの絶体絶命ゲーム最新巻をためし読み!(全3回・水曜日更新、公開は2026年5月6日(水)まで)


 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

1.渋神中学の新たな支配者?

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 翌日。

 春馬と未奈は、代官山駅の改札で待ちあわせて、渋神(しぶかみ)中学にむかった。


 2カ月ぶりの学校だ。

 だが、クラスメイトたちと会う楽しみよりも、学校がどうなっているのか、不安が大きい。

 栄太郎から、もっと学校の状況を聞いておきたかった。

 でも、彼はあのまま救急車で運ばれていった。

 そのあと、栄太郎から入院すると報告があった。


 春馬と未奈は、不安を抱えたまま学校に到着した。

 まわりを警戒しながら、正門から、校内に入る。

 女子生徒が、なぜかじろじろと春馬たちを見てくる。

 まだ制服が新しいから、おそらく1年生だ。

 そのあとは、1年生の男子、3年生の女子、3年生の女子、1年生の男子、1年生の男子……。


「ねぇ、おかしくない……?」

 未奈に聞かれて、春馬はうなずいた。

「うん、おかしい。ここには、1年生と3年生だけだ。まるで、2年生はこの学校にいないかのようだ」

「どういうことかな?」

「とにかく、教室にいってみよう」

 春馬が2年生の教室にむかって歩きだそうとしたとき、うしろから声をかけられた。


「あれっ、そこにいるのは、目ざわりな2年生じゃないかな?」


 ふりむくと、さわやかな笑顔の茶髪の少年、塩鳥一輝(しおどり・かずき)がいる。


「2年生が、こんなところにいたらダメだよ。1年生や3年生の邪魔になるだろう」

「それ、どういうこと?」

 未奈が、むきになって聞いた。


「あれ、邪魔の意味がわからないのかな? そんなことだから、奴隷(どれい)なんだよ」

「きみは、1年生だよね?」

 春馬が、問いつめるように質問した。

 面長で体の大きな少年、佐藤渉(さとう・わたる)が、右手首につけたカラフルなミサンガをさわりながら答える。


「おまえは、2年生だろう! 1年生に敬語を使えよ!」

「自分から話しかけてくるのもダメよ。奴隷なんだから。……ほれ、ポチ、ワンと言いなさい」


 制服を着くずして、ギャル風のメイクをした手足の長い女子、神宮寺樹里(じんぐうじ・じゅり)が言った。


「土下座で、許してやるよ」

 渉が言うと、未奈は困惑する。

「な、なによ、それ! どういうこと!?」

「どうして、ぼくが土下座しないとならないのかな?」

 春馬が、きぜんとした態度で言った。

「それは、2年生は奴隷だからだよ。おれたちの視界に入ったらダメなんだよ」

 一輝が、半笑いで言った。

「土下座しないなら、2年生は売店の使用を禁止、……いや、トイレの使用を禁止にしちゃおうかな……」

 樹里が、楽しそうに言った。


「ぼくは、きみたちの奴隷になった覚えはない」

「あれ、2年生のくせに1年生に逆らうつもりなの? おまえたちは『絶体絶命ゲーム』で、おれたち1年生に負けたんだよ。1年生に逆らうことは、ゆるされないんだ」

「それは、ぼくと未奈が登校するまでの話だ。奴隷なんて、認めない」

 春馬を見て、一輝は大げさに天をあおぐ。

「あぁ、そうか。おまえが、武藤春馬だね。そして、滝沢未奈だね。おまえたちのうわさは、聞いているよ。でも、奴隷は奴隷だよ」


「認めないわ!」

 未奈が、強い口調で言った。

「春馬、未奈、お帰り。あいかわらず、威勢がいいね」


 さらさらの金髪にととのった顔立ちの風祭(かざまつり)ミッシェルが、きらきら光る刺繍(ししゅう)の入った大きなマントを羽織(はお)って優雅に歩いてくる。

 今まで騒いでいた1年生が、みな同時に直立不動になって「おはようございます」と、直角にミッシェルに頭をさげる。

 そのようすは、独裁国家のようだ。


「まさか『奈落』から、生きて帰ってくるとはねぇ……」

 ミッシェルが感心する。

「先輩、これは、どういうことですか?」

 春馬は、むっとした顔で聞いた。


「どういうことかって、事情は花宮栄太郎に聞いたんじゃないのかい?」

「聞きました。でも、このあつかいは、ひどすぎるんじゃないですか?」

「ゲームに負けて、奴隷になったんだ。我慢するんだな」

 ミッシェルは、そっけなく言った。


「……わかりました。それなら、再戦をしましょう。ぼくと未奈がもどったら、再戦をする約束ですよね?」

「そんな、約束をしたかな?」

 とぼけるミッシェルに、未奈が怒りをこらえて言う。

「栄太郎が嘘を言うわけないわ。約束したはずよ!」

「あぁ、そうだった。約束した。最近、忙しくて、忘れていました」


「再戦は、いつですか?」

 春馬の質問に、ミッシェルはわざとらしくこまったような顔をする。

「そのことなんだけど……、問題があってね」

「なんですか?」

「『絶体絶命ゲーム』をやる場所がないんだ」

「学校を使わせてもらえばいいでしょう。体育館でもグラウンドでもいいわ」

 未奈が言うと、ミッシェルは大げさに首を横にふる。

「簡単に言わないでほしいね。体育館やグラウンドは、授業や部活で使っているだろう」


「約束をやぶるつもりですか?」

 春馬が、ミッシェルの目を見て言った。

「そうじゃないよ。でも、とつぜん、やってきて『絶体絶命ゲーム』をしろと言われても、準備が必要なんです」

「いつなら、できるんですか?」

「……そうだなぁ。来年の卒業式かな。その日は、学校から校舎を使っていいと言われている」


「卒業式まで、あと10カ月もあるじゃない! それまで、2年生には、ずっとこんなあつかいがつづくの?」

 未奈は怒りで、体をふるわせている。

「まぁ、そうだね」

「そんなのおかしいわ。あたしたちがもどったら、再戦をやる約束でしょう?」

「『もどったらすぐに』とは言わなかったよ。再戦がわたしたちの卒業式の日だって、約束をやぶったことにはならない。それに、1つ言っておくけど、今、きみたちは、奴隷なんだよ。本来なら、カーストのトップ・オブ・トップの生徒会長のわたしと、まともに話をすることは、ゆるされないんだよ」

 ミッシェルが言うと、取りまきの1年生が大きくうなずく。

 春馬はくやしいが、じっと我慢する。


「あぁ、無駄な時間をすごしてしまったな。一輝、あとはたのむよ」

 ミッシェルは、マントをひるがえして、廊下を歩いていく。

「1年生の塩鳥一輝だ。春馬、未奈、今日は大目に見る。でも、明日からは1年生、3年生の邪魔にならないようにするんだ。わかったな!」

 春馬が黙っていると、樹里が拳銃を撃つポーズをして、

「バ———ン! 返事しないと、処刑よ!」

「樹里、物騒なことを言うな。校内では、平和にすごさないとダメだぞ」と渉。

「わたしは、樹里じゃない。JJ(ジェイジェイ)よ」

「はいはい、わかりました。JJね。……それよりも、春馬、未奈、返事をしろよ!」

 渉が、めんどうくさそうに言った。

「……わかったわ」

 未奈が無愛想に言った。

「その返事はなんだよ? わかりました。だろう!」と渉が言った。

 未奈が不満そうな顔で言いかえそうとするのを、春馬がとめた。

「ここは我慢しよう……。わかりました」

 春馬が言うと、未奈もふてくされたように、「わかりました」と小さな声で言った。


「まぁ、いいんじゃないか。がんばって勉強しろよ、2年生」

 一輝はそう言うと、取りまきの1年生を連れていく。

 春馬と未奈は、生意気な1年生たちに言葉が出ない。


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