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【先行ためし読み!】最新刊『絶体絶命ゲーム17』 第3回


最悪の地【奈落】から生きて帰ったことで、さらに伝説的存在になった春馬と未奈。
けれど、そんなころ渋神中では、なんと春馬たちの学年である2年生の全員が、1年生の奴隷にされて、ひどい目にあっていたのだ――!
「春馬が帰ればなんとかしてくれる!」と待っていたみんなのために、春馬はふたたびゲームをすることに…!!
この立場をひっくりかえすには、もう一度、絶体絶命ゲームやるしかない!? ーーそして、春馬と未奈の関係にも変化が……。
読みどころいっぱいの絶体絶命ゲーム最新巻をためし読み!(全3回・水曜日更新、公開は2026年5月6日(水)まで)


 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

3.転校生のおんがえし?

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 廊下に、おかっぱボブの小柄な女子がいる。


「「土黒虹子(つちくろ・にじこ)!」」

 そのすがたを見て、春馬と未奈が、大きな声を出した。


『奈落』Ⅰ区の鉄格子のはまった部屋に、閉じこめられていた、あの土黒虹子だ。

 いまはなぜか、未奈と同じ、渋神中の制服を着ている。


「春馬、未奈、ひさしぶり。2人なら、『奈落』から出てくると思ったよ」

「虹子は、どうしてここにいるんだ?」

 春馬が、不思議に思って聞いた。

「転校してきたんだ。……前に言っただろう、ぼくたちが会うのは運命だ

 クラスメイトたちの視線を感じた虹子が、自己紹介する。


「ぼくは、土黒虹子だ。1年1組に転入してきたばかりだ。よろしくな」

 クラスメイトたちが、不安そうにざわめく。

 今、2年生は1年生の奴隷なのだ。

「虹子は友だちなの。……ふつうに話しても、大丈夫よ」

 未奈が、緊張しているクラスメイトたちに言った。


「土黒って、めずらしい名字だよねえ。もしかして、都市伝説で有名な『ドクロ一族』だったりして……?」

 栄太郎が、その場をなごませるように言った。

「よくわかったな。ぼくは、その『ドクロ一族』だ」

「えっ!? またまた、冗談だよね?」

「ぼくは、冗談は言わない」

 長い沈黙のあと、

「ひぇぇぇぇぇ……」

 栄太郎は、聞いたことのない悲鳴をあげた。


「おい、栄太郎。失礼だぞ」

 春馬が注意した。

「ご、ご、ご、ごめんなさい……。で、でも、『ドクロ一族』って……、ほ、ほ、本当に、実在するの?」

「ここに実在している。ところでおまえは、ぼくの一族のこと、どれくらい知っているんだ?」

「そ、そ、それは……」

「いいから、聞かせろ」

 虹子に言われて、栄太郎は震える声で説明する。


「……と、都市伝説で言われていることだけど……『ドクロ一族は、国が公にはできない闇の仕事を担っている、日本で最恐の一族』だと……

「そうか。だいたい、当たってる。ただ、今は国からの仕事はしてないようだ」

「ちなみに、『国が公にできない闇の仕事』ってなにかな……?」

 栄太郎の質問に、虹子は冷たい笑顔で答える。


「それを知ったら、今夜から眠れなくなるぞ。……それでも、知りたいか?」

「い、いえ、知りたくありません」

 栄太郎が、すかさず否定した。


「それがいい。……それよりも、春馬はそんなに『絶体絶命ゲーム』をやりたいのか?」

 虹子は、春馬たちの会話を聞いていたようだ。

「ゲームがやりたいわけじゃない。今の2年生の立場を、回復したいんだ。それには……」

 春馬が言いかけると、虹子がさえぎる。


「その話は知ってるから、説明はいらない。要するに、『絶体絶命ゲーム』で1年生と戦いたいのだろう」

「そうだけど……。それには、生徒会長のミッシェル先輩の許可が必要なんだ。でも、それができなくて、こまっているんだよ」

「実を言うと、ぼくはミッシェルと話してきたんだ。そうしたら、『絶体絶命ゲーム』の再戦を許可してくれた」

「それ、本当なのか!?」

 春馬が、目を丸くして言った。


「ミッシェルに、文句は言わせない。……そうだった、証拠があるんだ」

 虹子はスマホを取りだした。

 スマホのディスプレイに、青ざめた顔のミッシェルが映る。

 録画した映像らしい。


『……「絶体絶命ゲーム」の再戦は、すべて土黒虹子にまかせました。わたしは、もう、この件には、一切関与しない。1年生と2年生で、勝手にやってくれ……』


 ミッシェルの映像はそこで終わる。

「……ということだ」

 虹子が、満面の笑みで言った。


「ミッシェル先輩、ずいぶん、顔色わるかったわね」

 未奈の言葉を、虹子は聞こえないふりをする。

「それに、かなりふるえていたようだ」

 春馬の言葉にも、虹子は無反応だ。


 博学なミッシェル先輩なら、『ドクロ一族』のうわさを聞いたことがあるだろう。

 虹子が、その一族だと、知っていたのかもしれない。


「場所と案内人は、ぼくの一族が用意する。——場所がどこになっても、春馬は、『絶体絶命ゲーム』をやるだろう?」

 急な展開に、春馬はまだ気持ちが追いつかない。

「そうだな……」


「あれ、どうしたんだ? 『絶体絶命ゲーム』をやりたかったんじゃないのか?」

 躊躇している春馬に、虹子が不思議そうに質問した。

「そのゲームで、ぼくたちが勝ったら、2年生は元の生活にもどれるんだよね?」

「それを望むなら、そうなる。……前にも言ったけど、ぼくは卑怯なことはきらいだ。だから、ゲームは公平におこなう」

「その心配はしてない。……ところで、ぼくたちが負けたら、どうなるんだ?」

 春馬の問いに、虹子がにやりと笑った。

「あぁ、その話はまだだったな。春馬たちが負けたら、2年生は奴隷のままだ。それと……」

「なんだ?」

 春馬の脳裏に、不安がよぎった。


「……春馬には、土黒家の仕事を手伝ってもらう」


「そ、そ、それって春馬が、闇の仕事をやるということ?」

 未奈が、あわてた口調で質問した。

「くわしくは、ぼくも知らない。でも、どうやら、土黒家の連中は、春馬に興味を持ったみたいだ」


「春馬、やめよう。闇の仕事なんて、絶対にダメよ」

 未奈が言うと、虹子が首を横にふる。

「それなら、勝てばいいんだ」

「まぁ、そうなんだけど……」

 つぶやいた春馬は、悩んでいる。


『絶体絶命ゲーム』の再戦は、2年生全員が望んでいることだ。

 でも、負けたら春馬は、ドクロ一族の仕事を手伝わないとならない。

 それなら、断るか……?

 いや、でも、こんなチャンスを逃していいのか?

 虹子の言うとおり、ゲームに勝てばいいんだ。


「ちょっと、春馬と2人だけで話をさせて……」

 未奈が、春馬を教室のすみにひっぱっていく。

「あたし、いやな予感がするわ」

「ぼくも同じだ。……でも、このままじゃ打開策はないだろう?」

「でも、負けたら、闇の仕事なのよ」

「わかってる。わかっているけど……」

 春馬が迷っていると、いらいらした虹子がやってくる。


「まだ決まらないの。……今の環境の居心地がわるいなら、自分の力で変えるしかないんだ。それには、挑戦するしかないんだ


「本当に、ゲームは公平なんだな?」

 春馬が確認する。

「ぼくは卑怯なことはきらいだ。何度も言わせるな。それから、ゲームは1チーム3人のチーム戦だ。メンバーは、自分たちで決めていい」

 虹子の話を聞いて、未奈の気がかわる。


「春馬、やろう」

「急に、どうしたんだ?」

「あたしもいっしょにゲームをやるわ。そうすれば、絶対に負けないわ」

 未奈の力強い言葉に、春馬の迷いは吹っ飛んだ。

「そうだな。ぼくには、未奈がいるんだな」

「もう1人は、ぼくがやるよ」

 栄太郎が立候補するが、未奈が首を横にふる。

「昨日まで入院していたんだから、栄太郎はダメよ。まずは、身体を万全にして」

「そんな、もう元気だよ」


「わたしがやるわ!」

 そう言って、亜沙美が教室に入ってくる。

「亜沙美、どうして?」

 春馬が問うた。

「さわがしいから、きてみたのよ。……そんなことより、『絶体絶命ゲーム』に参加する残りの1人は、わたしよ」

「亜沙美が『絶体絶命ゲーム』に出たいと言うなんて、なにか、わけがあるのかい?」と春馬。

「1年生からゲームに出る3人は、入学式と同じで、一輝、渉。それに、JJでしょう?」

「おそらく、そうだと思うけど……。3人を知っているのかい?」

「JJのことだけね。……彼女は、剣道部よ」

 亜沙美は、怒りのこもった声で言った。

「この前、話をしていた1年生の剣道部員って、JJのことだったんだな」

 春馬が言うと、、亜沙美はうなずく。

「うん、あたしは、亜沙美でいいわよ」

 未奈が言うと「ぼくもだ」と春馬が答えた。

 栄太郎も、ほかのクラスメイトも納得の顔をしている。


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