はじめての姉妹旅行で、四つ子たちは海辺の花畑へ! はじめての新幹線と、はじめての姉妹だけのお泊まりにわくわくいっぱい!! でも、泊まっていたホテルで、姉妹そっくりの顔をした女の子の写真を見つけてしまって……!?
ドキドキの展開の24巻を、どこよりも早く先行ためし読みで読んじゃおう!
はじめての、姉妹だけの旅行は、知らないことだらけ!
持ちものは? 新幹線の乗り方は? どうやって行動時間の計画を立てる? 分からないことも、姉妹で協力して何とかしなきゃ!
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先行ためし読み第2回
『子どもだけのお出かけ』
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トウキくんから連絡をもらったあと。
私たち姉妹は、旅行が楽しみで、毎日ワクワクしていた。
「旅行は準備のときから楽しいもんなあ。どんな服着て行こ? ああっ、迷うわあ~」
おしゃれな二鳥ちゃんは、服選びに夢中。
「私もちょっと迷っちゃう。五月って、暑かったり寒かったり、いろいろだから……」
「わかります。僕もです」
うなずきあう私と四月ちゃんに、一花ちゃんがアドバイスをする。
「そういうときは、一枚羽織るものを持って行くといいのよ。カーディガンとかね。そうすれば、気温に合わせて調節できるもの」
「「なるほどっ」」
そうして、着ていくことにきまったのは……。
一花ちゃんは、重ね着風のピンクのTシャツに、細身のデニムパンツ。
二鳥ちゃんは、うすい茶色のワンピースに、フードつきの赤いカーディガン。
私は、白い七分袖のブラウスに、ひらひらした水色のスカート。
四月ちゃんは、紫色のリボンがついた、かわいいシャツワンピース。
次は、荷物の用意だ。
「お泊まりだから、荷物が増えちゃうね」
「カバンは大きいほうがよさそうですよね」
「そうね。ええと、歯ブラシに、歯みがき粉に、タオルに――」
準備を進める、私、四月ちゃん、一花ちゃんに、
「あぁ、たぶんいらんで、そんなん」
と、二鳥ちゃんが割りこんだ。
「いらないって、二鳥ちゃん、どうして?」
「今回の旅行で泊まるのはホテルやろ? うち、ホテルは何回か泊まったことあるけど、たいがいのホテルには、歯ブラシやタオルが用意されてあるわ。そういうのを『アメニティグッズ』っていうねん。せやから、自分らで持っていく必要はないと思うで」
「そうなんだ!」
二鳥ちゃんが、昔、養子になっていた大阪のお家は、ちょっぴりお金持ち。
だから二鳥ちゃんは、いろいろな場所へ旅行に連れて行ってもらったことがあるそうなんだ。
きっとそのとき、ホテルに泊まることだってあったんだろうな。
「そういうことなら、経験者のアドバイスを信じるわ」
と、私たちは大きいカバンを持っていくのをやめにした。
そんなある日、トウキくんから送られてきたのは、新幹線の乗車券。
私たち四姉妹は、居間に集まり、興味津々で四枚の乗車券をのぞきこむ。
「おお、これが新幹線の乗車券ですか……」
「普通の切符より大きいわね」
「これを、ええと……普通の切符みたいに、駅の改札機に通すんだよね?」
「せやで。うち、新幹線は乗ったことあるから、仕組みとか、ちょっとわかるわ」
そう言って、二鳥ちゃんが姉妹に説明をしてくれた。
「この乗車券は指定席や。ほら、ここに、何時何分発の何号車の何番の席か書いてあるやろ? この列車の、この席にしか座ったらあかんってことやで」
「なるほど~。そうなんだ」
私はのんきにうなずいたけど、
「……つまり、うっかりこの列車に乗りおくれたら、大変なことになるってことよね」
「普通の電車と同じだとは思わないほうがいいですね」
「う……」「あっ……」
二鳥ちゃんと私は、一花ちゃんと四月ちゃんに指摘されて、二人同時に固まった。
最初はウキウキ、ただただ心を弾ませていたけれど……。
子どもだけでお出かけするのって、大変なことも多そう。
「今のうちに気づけてよかったわ。さっそく、計画を立てましょ」
「ええ。移動に必要な時間を計算して、当日は余裕を持って早く起きましょう」
「ええと、新幹線の出る駅までは普通の電車で移動するんだよね?」
「ルートを調べとこ! 『備えあれば憂いなし』や」
自分たちで、どこまでどうやって移動するか考えたり。
電車とかの時間に遅れないよう工夫したり。
しなくちゃいけないことや、気をつけなきゃいけないことがいっぱいだから、うかれてばかりもいられないよ。
そうして、日はすぎて……。
いよいよ、お出かけの日がやってきた。
朝、目覚ましの音で起きた私たちは、四人でテキパキと準備に取りかかった。
朝ごはんを食べて、身じたくをして、家事をすませて。
二日間家を空けることになるから、戸じまりチェックもわすれない。
「一階の戸じまり、OKだよ」
「窓の鍵、全部閉まってます」
「二階の戸じまりもOKや!」
「ありがとう。火の元も大丈夫よ。完璧ね」
そのあと、用意してあったお泊まりの荷物を持って。
「「「「いってきまーす!」」」」
だれもいない家に向かってあいさつをして、四人いっしょに出発!
そして、最寄りの駅から電車を乗りつぎ、新幹線の発着する大きな駅へ向かう。
ここまでは何事もなく、時間どおりにできた。
でも……。
「し、新幹線の発着する駅って――」
「――めっちゃ大きい……!」
「うわわっ、しかも、ものすごく混んでますよ」
「さすがゴールデンウィークね……。新幹線の乗り場ってどこかしら?」
初めて来た、広くて大きな駅は、どこもかしこも人、人、人!
私たちは、あやうく迷いかけた。
ここまで来て、新幹線に乗りおくれて旅行に行けないなんて絶対にイヤだよ。
どうしようっ……!
あせりながら視線をめぐらせて、私はあっと声をあげた。
「見て! 駅員さんがいるよ」
「ほんまや!」
「聞いてみましょう」
「すみませーん!」
そうして、乗り場をたずねて、どうにかこうにかホームに出て。
時間どおりにやってきた新幹線の、乗るべき車両に乗りこんで、乗車券に書いてあるとおりの席にたどりついて……。
「「「「ふう……」」」」
座席に座って、私たちは四人いっしょにため息をついたのだった。
発車のベルが鳴り、窓の向こうの景色が、ゆっくりと動きだす。
「ま、間にあった~……」
「……ですね…………」
ハラハラしながらダッシュしたせいか、私と四月ちゃんはぐったり。
でも、一花ちゃんと二鳥ちゃんは平気なようすで、
「ねえ、こっちの座席、回転させましょうよ」
「ええやん! 四人、向かい合わせにしよっ」
って、元気いっぱい、よびかけてくれた。
すると、つられるように、四月ちゃんがほほえんで。
「そうだね!」
って、私の心も、あっという間に元気を取りもどしたんだ。
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私たち四つ子を乗せた新幹線は、ビュンビュン音を立て、飛ぶように走っていた。
天気は五月らしい快晴。
知らない土地の知らない景色が、どんどん流れてはうしろに消えていく。
「すごいね~」
「遠くにお出かけ、って感じですね」
「ワクワクするなあ」
「ほんとね」
私たちは窓の外を見て笑いあった。
二人がけの座席は、片方を回転させて、四人向かい合わせになるようにしている。
進行方向に向いている、窓際の席が私、通路側の席が四月ちゃん。
私の正面が二鳥ちゃんで、四月ちゃんの正面の席が一花ちゃんだ。
――「三風と四月は、乗り物よいになりやすいから、前向きに座ったら?」
――「せやせや。新幹線は、案外細かくゆれるで」
って、お姉ちゃんたちがすすめてくれたんだよね。
窓から景色を見るのにあきたら、
「「「「いただきまーす」」」」
車内で、軽い昼食をとる。
といっても、駅弁とかじゃなくて、家で作ってきたおにぎりだ。
しかも、時間がなかったから、全然特別なおにぎりじゃないんだけど……。
「新幹線の中で食べると、なんだか特別って感じがするね」
「わかるわ~。水筒のお茶すらおいしいような気ぃするもん」
「お出かけならではですね」
「ねえ、あとでお菓子も食べましょうよ」
「「「さんせーい」」」
楽しいな。
今の私たち、お出かけのワクワク気分でいっぱいだから、何をしたってゆかいだし、どんなことだって特別な思い出になりそう。
私は、胸がウキウキでいっぱいになったんだ。
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「さて……」
「「「「とうちゃーく!」」」」
新幹線を降り、私たちはS県に到着した。
駅からはバスに乗り、まずはホテルへ向かう。
ホテルに一歩入って、
「「「「おお~……」」」」
私たちは、ため息をもらした。
旅館とホテルの中間みたいな、ちょっとレトロで雰囲気のある宿泊施設だ。
一階のロビーには、ステンドグラスや、水の流れるオブジェがあって、とってもおしゃれ。
奥の壁には、額に入れられた写真が、何枚か飾られているみたい。
「小学校の修学旅行で泊まったホテルの豪華版、って感じね」
「ほんまや」
「ほんとだねっ」
一花ちゃん、二鳥ちゃん、私は、そう言ってはしゃいだ。
……じつは、本当は、中学生だけでホテルとかにお泊まりすることは、できないらしいんだ。
十八歳未満の子どもだけで宿泊する場合は、保護者の同意書が必要なんだって。
でも、ドラマ撮影のスタッフさんや、ホテルのえらい人がOKしてくれて、特別に子どもだけで泊まらせてもらえることになったんだよね。
――「そんなのいいの? ご迷惑じゃないかしら?」
特別に泊まらせてもらえることが決まったとき、一花ちゃんは、少し心配そうだったけれど、
――『大丈夫さ。それに、これはきみたちが参加してる中学生自立練習計画の一部だっていう考え方もできるよ。ホテルに泊まるのは、立派な社会経験だもん。自立の手助けになるはずさ』
なんて、電話でトウキくんに言われて、
――「本当にそうでしょうか? ものは言い様というか……」
――「うちはトウキくんの言うとおりやと思う! だって、たとえば会社にお勤めして、出張に行かなあかんようになったとき、新幹線の乗り方とか、ホテルに泊まってどうふるまうかとかわからんかったらあかんやん」
――「あっ、たしかにそうだよね……。旅行だけど、半分は勉強だと思ってやってみようか」
って、姉妹と相談して、お言葉に甘えることになったんだよね。
まずは、一花ちゃんが姉妹を代表して、ホテルのフロント――カウンターのある、受付みたいなところに声をかける。
チェックイン、つまり、到着と入館の手続きをするんだ。
「すみません。今日から一泊で予約している、宮美です」
すると、すぐに従業員さんが笑顔で返事をしてくれた。
「宮美様ですね。お部屋の鍵はこちらでございます」
さっそく、鍵を受けとって、私たちは従業員さんの説明を聞く。
「夕食は十八時から、明日の朝食は六時半から、二階のレストランにてお召し上がりください。大浴場は一階奥にございます」
そう言ったあと、従業員さんは、ロビーの奥を手で示し、笑顔で続けた。
「ホテルのロビーもぜひご覧ください。当ホテルの従業員が撮影した、おすすめスポットの写真が飾られているんです。とてもステキな写真だと評判なんですよ」
へぇ、どんな写真なんだろ?
「あとで見てみよか?」
「うんっ」
私が二鳥ちゃんに返事をしたとき、
「わかりました。ありがとうございます」
一花ちゃんが、テキパキと受けこたえをして、私たちは部屋へと向かうことになった。
エレベーターを降りて、ドアを開け、自分たちの部屋に入って……。
そして、またびっくり。
「うわぁ……」
「広い!」
「すごいっ」
「ステキですね」
四人で泊まるからか、部屋は思ったより広かった。
畳のスペースはもちろん、カーペットにソファーが置かれた洋風のスペースもある。
部屋の奥には、大きな窓。
窓の外には、バルコニー。
そして、その向こうに見えるのは……。
色とりどりの花々と、キラキラ光る青い海。
「あっ」「ああっ」――
「「「「海辺の花畑!」」」」
一花ちゃんも、二鳥ちゃんも、私も、四月ちゃんも、同時に声をあげちゃった。
「ホテルからも見えるくらい、近くにあるんですね」
「ほんとだね。きれいだね」
言葉を交わすと、心が弾んで、テンションが上がっていく。
「ドラマ撮影の『アルバイト』は明日だから、今日は一日、めいっぱい遊ぶわよ」
一花ちゃんがよびかけると、待ちきれないように二鳥ちゃんがさけぶ。
「そしたらさっそく行こっ! 海辺の花畑へ!」
「「「おーっ」」」
私は、姉妹たちといっしょにこぶしをあげた。
そして、四人そろって、ホテルの部屋をあとにしたんだ。
はじめての新幹線移動も、はじめてのホテルのチェックインも、バッチリ大成功!
姉妹で刊行をめいっぱい楽しんじゃおう!! 第3回『海辺の花畑』をおたのしみに♪(10月30日(金)更新)
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