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先行ためし読み!『四つ子ぐらし(24) お花畑の五人目の姉妹』第1回


はじめての姉妹旅行で、四つ子たちは海辺の花畑へ! はじめての新幹線と、はじめての姉妹だけのお泊まりにわくわくいっぱい!! でも、泊まっていたホテルで、姉妹そっくりの顔をした女の子の写真を見つけてしまって……!?
ドキドキの展開の24巻を、どこよりも早く先行ためし読みで読んじゃおう!



もうすぐ、ゴールデンウィーク! 姉妹でどこかにおでかけしたいね、と話していたら、思いがけない『おさそい』の電話をもらっちゃった!?
わくわくいっぱいの姉妹旅行、計画スタートです!



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先行ためし読み第1回
『花畑でお仕事?』

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 すっきりと晴れた、四月の末の、ある日の朝。

「よーし、あともうちょっと……」

 今日は祝日で、学校はお休み。

 私・宮美三風は、庭で四人分の上履きを洗っていた。

 庭なら、多少水や泡が飛びちっても平気だから、気楽に洗えるんだよね。

 上履きの洗い方は、とっても簡単。

 まず、靴底についている汚れやゴミを、ブラシでこすって取りのぞく。

 次に、バケツにぬるま湯を入れて、洗剤をとかす。

 洗剤がとけた液に、上履きを三十分くらいつけおきする。

 そのあと、もう一度ブラシでこすって洗う。

 最後に、きれいな水ですすいで泡を落としたら、おしまい!

「ふう……」

 洗い方は簡単だけど、四足も洗うとなると、けっこう大変だなぁ。

 だけど、手をぬかず、しっかり汚れを落としてきれいにしなきゃ。

 私が家族の上履きを洗う係なんだもん。

 ほかの姉妹たちには、別の仕事があるんだよね。

「――よしっ、できた!」

 四足の上履きを洗って、干しおえて、私はにっこり。

 すると、姉妹たちが次々に集まってきた。

「私も洗濯物、全部干せたわ」

 すぐそばで声をかけてくれたのは、ポニーテールにピンクの髪飾りの、宮美一花ちゃん。

「うちも布団、全部干せたで!」

 はきだし窓から庭に出てきたのは、ツインテールに赤い髪飾りの、宮美二鳥ちゃん。

「僕も、トイレとお風呂のそうじ、終わりました」

 二鳥ちゃんのうしろからやってきたのは、ハーフアップに紫色の髪飾りの、宮美四月ちゃん。

「みんな、お疲れさまっ」

 私は声をかけて、姉妹たちと笑いあう。

 一花ちゃんと二鳥ちゃんは私のお姉ちゃんで、四月ちゃんは私の妹。

 そっくりな四つ子の四姉妹の私たちは、自立の練習をするために、この一軒家で子どもだけでくらしているの。

 家事だって、なんだって、こうしてみんなで分担しているんだ。

「さ、仕事は終わったし、居間でお茶を飲んで休憩しましょ」

「「「さんせーい!」」」

 うれしいな。今日みたいな天気のいい日は、冷たい麦茶がおいしいんだよね。

 私たちは、続々と和室の居間に集まった。

 そして、麦茶を飲みながら、ちゃぶ台を囲んだ。

 しばらくおしゃべりしたあと、

「テレビでもつけよか」

 二鳥ちゃんがリモコンを手に取り、テレビをつけた。

 放送されているのは、お昼の情報番組だ。

『まもなくゴールデンウィーク本番! 今日は全国各地の観光地のようすを、ひと足先にのぞいちゃいましょう。まずはこちら!』

 司会者の人がそう言って、パッ、と画面が切りかわったとたん、

「「「「わあぁ……っ」」」」

 私たち四つ子は、思わず同時にため息をもらした。

 テレビに映しだされたのは、すっごくステキな、広~いお花畑だったんだ。

 色とりどりのいろんなお花が、あたり一面に咲きみだれている。

 その向こうに見えるのは、太陽の光を反射して輝く青い海。

『見てください! きれいですね~。こちらは、S県にある、海辺の花畑。カラフルな花畑と青い海の両方を楽しめる、毎年人気の行楽地です。景色が美しいため、おとずれると元気になれるパワースポットとしても有名なんですよ』

「……海辺の花畑……」

 私は、うっとりとつぶやいていた。

 どこまでも続くお花畑と青い海があまりにきれいで、まるで夢のようだったんだもん。

『おとずれると元気になれるパワースポット』っていうのも納得だよ。

「はあ~。きれいやなぁ」

「ほんとね……」

「絶景ですね」

 姉妹たちも、心をうばわれたみたい。

 みんな画面にくぎづけで、目をキラキラさせている。

『ゴールデンウィークは、海辺の花畑へ、ぜひお越しください!』

 そんな言葉を最後に、紹介が終わったあと。

 すぐにテレビを消して、二鳥ちゃんがみんなによびかけた。

「なあなあ、ゴールデンウィーク、お出かけせえへん? あの海辺の花畑、行ってみたいわあ」

「海辺の花畑はS県ですから、移動は新幹線になるでしょうし、日帰りはむずかしそうですよ」

 四月ちゃんの指摘を受けて、二鳥ちゃんはさらに言う。

「そしたら、泊まりがけでもええやん。姉妹旅行や!」

「姉妹旅行!?」

 ステキ! と、私は声をあげた。

 お出かけするだけでもワクワクするのに、泊まりがけの姉妹旅行だなんて、もっとウキウキするよ。

 でも……。

「どこかに出かけるのは賛成。でも、遠すぎるお出かけも、お泊まりもムリよ。そんなお金ないもの」

 一花ちゃんが、やんわりと却下した。

「ですよね」

 四月ちゃんもうなずくと、

「はぁ……やっぱしそうか~。わかってるねん。言うてみただけ」

 二鳥ちゃんが、残念そうにため息をつく。

 私たちは、国の、『中学生自立練習計画』の参加者。

 ひと月に使えるお金は、かぎられているもんね。

 わかってはいたけど、私もちょっぴり残念だなぁ。

「もっとお金があればなぁ……。働いてお金をかせげたらいいのにね。そうしたら、旅行とかもできるかも」

 なーんて、ついそんなことを言っちゃった。

「あっ、せやな。アルバイトとか?」

 二鳥ちゃんは本気にしてるみたい。

「うーん、職場体験学習ならともかく、働くのはムリだと思いますよ。中学生を労働者として雇うと、労働基準法違反になるはずですから……」

 四月ちゃんが言いにくそうに言うと、一花ちゃんもうなずいて口を開いた。

「私は小学生のとき、猫カフェで『アルバイト』したことがあったけど――」

「あっ、せやせや。そんな話、前にしてたなぁ」

 なら自分も、と言いたげな二鳥ちゃんに、一花ちゃんは首をふる。

「あれは、お金をもらっていたわけじゃなくて、『お手伝いしたら猫とふれあっていいよ』って言われただけよ。本当のアルバイトじゃないわ。仕事は責任をもってやるものでしょう? 中学生の私たちには、まだ早いのよ」

「う……」

 現実的な意見に、さすがの二鳥ちゃんも口を閉じた。

「そうだよねぇ……」

 私もうなずいて、『しかたがないかぁ』と思った、そのとき。

 ――ピピピピピッ、ピピピピピッ、ピピピピピッ……

 私のスマホが鳴りだした。

 この音、メッセージアプリの、テレビ電話の音だ。

 反射的に出てみると、

『やあ、三風。元気?』

 画面の向こうに現れたのは、キラッと光る笑みがまぶしい、整った顔立ちの男の子。

「トウキくん!?」

「「「ええっ!?」」」

 姉妹がおどろきの声をあげ、私のそばにワッと集まった。

 電話をかけてくれたのは、いとこでアイドルの、椿吉トウキくん(本名・四ツ橋桃希くん)だったんだ。

 トウキくんは、大人気アイドルグループ・リュミファイブの最年少メンバーとして、いろんなところで大活躍しているんだよね。

「トウキくん。どうしたの? 急に」

 たずねると、トウキくんはニコニコしながら答えた。

『じつは、三風たち四人にお願いがあってさ』

「お願い?」

『うん。ゴールデンウィーク、予定空いてる? アルバイトしてみない?』

「「「「アルバイト!?」」」」

 姉妹四人の声がぴったり重なった。

 私たち、さっき、そのことについて話していたばかりだよ。

「アルバイトって、そんなのできるの? 私たちまだ中学生よ?」

「労働基準法違反にはならへんの?」

 たずねた一花ちゃんと二鳥ちゃんへ、トウキくんはすぐに答えた。

『あぁ、それは大丈夫。前に李央から聞いたんだけど、映画や演劇のお仕事については例外があるんだよ。実際、僕はアイドルをやってるけど、アイドルだって仕事のひとつでしょ?』

「あ、たしかにそっか」

 私たちが納得すると、トウキくんは説明を始めてくれた。

『僕がドラマの主演をすることは、前に話したよね』

「うん。『月波一夜の事件簿』だよね」

『そうそう。今、そのドラマ撮影のエキストラを募集してるんだ』

「エキストラ……って何?」

 首をかしげた私に、アイドルやテレビにくわしい二鳥ちゃんが答えてくれた。

「聞いたことあるわ。エキストラって、映画やドラマの、名無しの通行人の役とかする人のことやろ? セリフとかはほぼなくて、背景の一部みたいな役っちゅうか」

『さすが二鳥、よく知ってるね』

 トウキくんはうなずき、説明を続ける。

『つまり、僕が主演するドラマで、通行人の役をしてほしいんだ。場所はちょっと遠いんだよね。S県の、海辺の花畑ってところ』

「えっ?」

 私はおどろき、早口で答えた。

「知ってる! さっきテレビで見たよ。すっごくきれいな場所だよね」

『そうそう! すっごくきれいな花畑らしいんだ。知ってるなら話は早いね』

「あっ……! 舞台が海辺の花畑ということは、原作の二巻のエピソードでしょうか?」

 原作小説のファンの四月ちゃんも、興味ありげだ。

「四月もさすがだね。そのとおりだよ」

 答えて、トウキくんは話を進めた。

『アルバイトとは言うけど、友情出演みたいなあつかいだから、バイト代は出ないんだ。でも、新幹線のチケットは用意するし、泊まる場所も用意するよ。さらに、ドラマ撮影の見学もできるし、通行人の役でドラマに出演できちゃうんだ。どう?』

「めっちゃええやん!」

「おもしろそうっ」

「一泊旅行で海辺の花畑に行けちゃうってことよね?」

「すばらしいと思います」

 降ってわいた話に、私たちは満場一致で賛成した。

『ありがとう! くわしい日取りや新幹線のチケットはあとで送るよ。それじゃ、ロケ地で会えるのを楽しみにしてるね』

 いそがしいのか、トウキくんは、そう言うとすぐにテレビ電話を切っちゃった。

「楽しみね」

「うん!」

「ええ」

「せやな!」

 私たち姉妹は、期待に満ちた顔を見合わせた。

 あぁ、本当にステキなおさそいをしてもらっちゃった。

 心の中が、喜びでパアッと明るくなったみたい。

「姉妹で海辺の花畑にお出かけして、お泊まりして、ドラマに出られて撮影の見学までできるやなんて、一石二鳥? いや三鳥? 四鳥?」

 二鳥ちゃんは、そんなことを言ってぴょんぴょんとびはねてる。

「はしゃいでばかりじゃダメよ。あくまで『アルバイト』なんだから」

 しっかり者の一花ちゃんは、指をピンと立てた。

 でも、顔はうれしそうに笑ってる。

「僕は、目立つことは得意ではありませんが、通行人の役くらいならなんとかできそうですし、何よりドラマの原作小説が大好きなので……!」

 四月ちゃんも、今からソワソワウキウキしてるみたい。

 私も胸がおどるよ。

 姉妹いっしょに、遠くへ泊まりがけでお出かけするのは、初めてのことなんだもの。

「本当に楽しみだね。お出かけに、お泊まりに、ドラマ撮影の『アルバイト』っ」

 私が声を高くしてそう言うと……。

 一花ちゃんも、二鳥ちゃんも、四月ちゃんも、そっくりな笑みを返してくれたんだ。


トウキくんのおかげで、行ってみたいねと話していた『海辺の花畑』に行けることになっちゃった!
次回、わくわくの旅行準備&姉妹旅行のスタート!! 第2回『子どもだけのお出かけ』をおたのしみに♪

書籍情報


作: ひの ひまり 絵: 佐倉 おりこ

【定価】
968円(本体880円+税)
【発売日】
【サイズ】
新書判
【ISBN】
9784046324214

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