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先行ためし読み!『四つ子ぐらし(24) お花畑の五人目の姉妹』第3回


はじめての姉妹旅行で、四つ子たちは海辺の花畑へ! はじめての新幹線と、はじめての姉妹だけのお泊まりにわくわくいっぱい!! でも、泊まっていたホテルで、姉妹そっくりの顔をした女の子の写真を見つけてしまって……!?
ドキドキの展開の24巻を、どこよりも早く先行ためし読みで読んじゃおう!



おまちかねの『海辺の花畑』へやってきた、三風たち四姉妹。
はじめての姉妹旅行で、観光スタートです!



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先行ためし読み第3回
『海辺の花畑』

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「「「「うわぁ…………」」」」

 海辺の花畑に、足をふみいれて。

 私たち四つ子は、景色のすばらしさに圧倒されていた。

 木立をぬけた先にあったのは、テレビ番組で見たとおりの、見渡すかぎり広がるお花畑。

 お花畑には、ピンクのツツジ、黄色いヤマブキ、紫色のフジ、カラフルなポピー、バラ、キンギョソウ……。

 あちらにも、こちらにも、いろんな花が、たっくさん咲きみだれてる!

「まるで、別の国に来たみたいね」

「おとぎ話の風景みたいやな」

「すっごくきれいだね」

「天気もいいですし、本当にステキです」

 私たちは、遊歩道を歩きながら、美しい景色を思う存分楽しんだ。

 私が特に気にいったのは、広い丘一面に咲く、水色のお花!

 私、お花なら、コスモスが一番好きなんだ。

 昔くらしていた施設の花壇に生えているのを見て、いいなって思ってたの。

 だけど、この水色のお花も、とってもステキ。

「うわぁ、きれい! ずーっとここにいたくなっちゃう……! この水色のお花、なんて名前なんだろう?」

「ネモフィラですね。五月ごろ楽しめる代表的な花だそうですよ」

「さすが四月、くわしいわね」

「シヅちゃん、ホームページとか図鑑とか見て、めっちゃ下調べしてたもんなあ」

「えへへ……」「あははっ」――

 そんなことをおしゃべりしながら、道なりに歩いてたどりついたのは、大きな風車。

「うわぁ、大きいね」

 風車を見上げ、私は笑みをうかべた。

 雲ひとつない空をバックに、四枚の巨大な白い羽根が、海風を受け、ゆっくりと回っている。

「ほんと、大きいわね。五階建てのビルくらいあるじゃない」

「オランダみたいやなあ。風車って、なんのためにあるんやろ?」

「オランダでは、水をくみあげて排出したり、穀物をひいて粉にするために風車が使われていたようですよ。……この風車は観光用の建物で、中は休憩所になっているそうですが」

 さすが四月ちゃん。

 物知りだし、下調べもばっちりだね。

「よっしゃ、もっとそばに行ってみよっ」

「あぁ、待って――」

 二鳥ちゃんが笑顔でかけだして、一花ちゃんも、私も、四月ちゃんもあとに続いた。

「わぁ、なんやろこれ? かわいい」

 風車の入り口の前で、二鳥ちゃんが声をあげた。

 そこには、いわゆる、『顔はめパネル』が立っていたんだ。

 大きなパネルにえがかれたキャラクターの、顔の部分だけがくりぬいてあって、そこに自分が顔を出して、写真をとってもらったりすることができるみたい。

「このキャラクター、なんだろう?」

 長い髪に、白いワンピースの女の子みたいだけど……?

 首をかしげていたら、説明書きを読んだ一花ちゃんが教えてくれた。

「海辺の花畑のイメージキャラクターの『ハナちゃん』だそうよ」

「へぇ、そんなキャラクターがいるんだ。かわいいね」

 お花の妖精さんみたい。

 なんて思っていたら、

「なあ、だれか、写真とって!」

 ふふふっ。二鳥ちゃん、ノリノリで顔はめパネルから顔を出してる。

 つられて、私も楽しくなってきた。

「いいよ! はい、チーズっ。二鳥ちゃん、私の写真もとって」

「ええよ。はい、チーズ!」

 私たちは、かわりばんこに顔はめパネルから顔を出して、スマホで写真をとりあった。

「二人とも、とれたの?」

「見せてください」

 一花ちゃんや四月ちゃんに言われて、とれた写真を見比べてみると……。

「ぷっ」「あははっ」「ふふふっ」――

「どっちがどっちかわからへん!」

「二人とも同じ顔だもんね」

 私たち、みんな同時にふきだして、クスクス笑っちゃった。

 そっくりな四つ子の姉妹だから、しょうがないね。

「姉妹旅行の、思い出の写真ですね」

 四月ちゃんがそう言うと、二鳥ちゃんがポンと手を打つ。

「あっ、せや。三風ちゃん、この写真、湊くんに送ったらええやん」

「えええっ!?」

 私はすっとんきょうな声をあげちゃった。

 湊くん――野町湊くんは、私の好きな人。

 湊くんって、あったかい笑顔の、とってもステキな男の子なんだ。

 で、でも、

「この顔はめパネルの写真を送るなんて、はずかしすぎるよっ」

 あわてて答えると、

「そうね。送るなら、景色の写真のほうがいいわ。せっかく海辺の花畑に来たんだもの」

「僕もそう思います。きっと喜んでくれますよ」

「一花ちゃんと四月ちゃんまで……」

 写真を送ることは、もう決定してるって感じになってるよ。

 姉妹に恋愛を応援してもらうと、ちょっぴりはずかしくなっちゃうな。

 だけど……はずかしがってる場合じゃないのかも。

 だって、一花ちゃんの言うとおり、こんなにすばらしい場所に来たんだもの。

 湊くんにも、海辺の花畑を見てほしいな。

 花畑や海の写真を見て、ステキな気分や楽しい気持ちを、いっしょに感じてほしいよ。

 美しい景色に背中を押されるように、私は前向きな気持ちになった。

「そうだね……! 湊くんに送れるような、いい写真をいっぱいとろうっと」

「その意気よ」

「がんばれ三風ちゃん。うちも李央くんに写真送ろうっと!」

「あ、僕も、直幸くんに――」

 ワイワイしゃべりながら、次に私たちが向かったのは、海のほう。

 お花畑と海が見渡せる場所で、私は何枚か写真をとった。

 私が写真をとっているときは、姉妹たちも写真をとったり、景色をながめたり、おしゃべりしたりして、待っていてくれたんだ。

 そして、一番よくとれた一枚を、スマホのメッセージアプリで湊くんに送った。

 ネモフィラの水色の花畑の向こうに、白いさざ波の光る青い海、そして、広々とした青空が見渡せる、とっておきの写真。

《今、姉妹といっしょに、S県の海辺の花畑に来てるんだ。とってもきれいだよ》

 全然特別な内容じゃないけど、そんなメッセージもいっしょに。

 しばらくすると、

 ――ピリリリリリリ、ピリリリリリリ……

「わっ……!?」

 電話の着信音が鳴りだした。

 相手は――湊くんだ!

 反射的にスピーカーモードの通話ボタンをタップすると、すぐに湊くんの声が聞こえてきた。

『三風ちゃん、写真ありがとう! すっごくいい景色! きれいだね』

 湊くん、喜んでくれてる。

 あぁ、よかった!

 ホッとして、うれしくて、心があったかくなるのを感じながら、私は言葉を返す。

「えへへ、どういたしまして。気にいってもらえてよかったぁ」

『ネモフィラの花畑も、海も、空も、みんな青くて、でも少しずつちがう青色だから、ついじっくりながめて、魅力的だなって見とれちゃうよ。三風ちゃん、センスあるなぁ』

 湊くん、いつにない、興奮したような早口だ。

 私がとった写真を、本当に気にいってくれているみたい。

 私ははずかしくなってきて、照れかくしのように言った。

「えぇ、そうかなぁ。私のとった写真なんて、まだまだだよ。湊くんなら、きっと私の何倍もじょうずな写真をとることができると思うよ」

 すると、湊くんは、『ううん』と、まじめな口調で答えた。

『俺、自分で写真をとるのも好きだけど、だれかがとった写真を見るのも好きなんだ。その人がどこで何を見て、どう感じたのかを知ることができるから。写真がじょうずかどうかより大事なことがあるんだよ。三風ちゃんが、この風景を写真にとって俺に見せてくれたことが――気持ちを伝えたいって思ってくれたことが、うれしいんだ』

「湊くん……」

 なんだか、胸がジーンとしちゃったよ。

 湊くん、写真をとることに対して、しっかりとした意見を持っているんだ。

『じょうずかどうかより、気持ちを伝えたいと思ったことが大事だし、うれしい』

 って、とってもいい考え方だな。

 感心して、ついだまってしまったとき。

 湊くんが、なんでもないような口調で言った。

『なんか語っちゃってごめんっ。あっ、送ってもらった写真、スマホの待ち受け画面にしたよ』

「ええっ!? まま、待ち受け……!?」

 私の心臓がはねあがった。

 照れくさくって、顔がカーッと熱くなる。

「ありがとう……! うれしいな」

 私は、そんな返事をするのがせいいっぱい。

 喜びでふるえていたら、

『また話、聞かせてね。本当にありがとう。それじゃ』

「あっ、うん、またね……!」

 湊くんは、すぐに電話を切ってしまった。

「湊くん、喜んでたやん」

「待ち受け画面にしたって言ってましたね」

「よかったじゃないの、三風」

 通話が聞こえていた、二鳥ちゃんも、四月ちゃんも、一花ちゃんも、みんなにっこりしてる。

「えへへ……」

 私は、ついはずかしくなって、だけど、その百倍ハッピーな気持ちで頭をかいた。

 そういえば、私のスマホの待ち受け画面も、湊くんから送ってもらった写真なんだよね。

 今年の二月ごろに送ってもらった、湊くんがお家のベランダに積もった雪で作ったという、ミニ雪だるまの写真だ。

 この写真を私に送ってくれたとき、湊くんも私と同じように、

『写真を見て、ステキな気分や楽しい気持ちを、いっしょに感じてほしい』

 って思ったのかな。

 私たち、おたがいがおたがいを思って送りあった写真を、スマホの待ち受けにしているんだ。

 そんなことを思うと……。

 私は、なんだかますます湊くんと仲よくなれたような、幸せな気持ちになったんだ。

 

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 海と花畑にはさまれた道を歩いて、しばらくして。

「なあなあ、おなかすかへん? あっちのほうに、いろんなお店あるで!」

 二鳥ちゃんの指さすほうを見てみると、

「わぁ……!」

 そこに並んでいたのは、何軒かの売店と、キッチンカーの屋台。

 冷たい飲み物に、ソフトクリームに、クレープに、ワッフル。

 焼きそばやホットドッグ、カレーやフライドポテトもある。

「なんか食べへん? ていうか食べよっ。せっかくの旅行なんやし!」

 せかすように言いながら、二鳥ちゃんが一花ちゃんを見た。

 私も四月ちゃんも、期待のまなざしを向ける。

 宮美家のお財布のひもは、しっかり者の一花ちゃんがにぎってるんだ。

 いつもなら、たいてい、『ムダづかいはダメよ』って、反対されちゃうんだけど……。

「そうね……」

 一花ちゃんは、しばらくだまったあと、パッと笑ってこう言った。

「一人ひとつだけなら、買ってもいいわ。だって今日は、特別な旅行なんだもの」

「「「やったー!」」」

 私、二鳥ちゃんや四月ちゃんと、バンザイして喜んじゃった。

 さっそく姉妹で、売店やキッチンカーのほうに行ってみる。

「私、これにするわ」

「うちはこれ!」

「僕は、あっちのお店が気になります」

「私は、どれにしようかなぁ――」

 みんなでお店を見て回って、しばらくして。

 一花ちゃんが選んだのは、カスタードとりんごのクレープ。

 二鳥ちゃんが選んだのは、海辺の花畑限定の、青いレモネード。

 四月ちゃんが選んだのは、バラのお花みたいな形の、おしゃれなソフトクリーム。

 私は迷ったけど、アーモンドバターのワッフルにしてみた。

 食べ物を受けとったら、海のそばへと移動する。

 晴れた空の下、びゅうっ、と海風が吹きわたってきて、とっても気持ちいい!

 ワッフルをひと口食べると、香ばしくて甘くて、すっごくおいしい。

「一花のクレープ、ひと口ちょうだい!」

「いいわよ。じゃ、二鳥のレモネードも味見させて」

「ええよ!」

「ああっ、見て! 向こうに見えてるの、船かな?」

「遊覧船かもしれませんね」

「ほんまや! おーい!」

 二鳥ちゃんが手をふると、船に乗った人たちも手をふってくれた。

 そばの歩道には、ランニングを楽しむ人や、犬を散歩させている人もいて、時々足を止め、船や海をながめてる。

 なんだか、明るくて自由でさわやかで、いい雰囲気だなぁ。

 海辺の花畑は、海や花畑以外にも、ステキなところがいっぱいだ。

「「「「おーいっ」」」」

 私は、姉妹といっしょに船へ手をふって、海風に吹かれながら、楽しく笑いあった。


姉妹といっしょの花畑観光はとっても楽しいし、三風は湊くんと写真のやりとりもできちゃった♪ いっぱい遊んだら、次はごはん!! ……楽しいことだらけの姉妹旅行だけど、思わぬ事件が起こって……?
次回『ホテルでバイキング!』をおたのしみに♪(11月6日(金)更新)

書籍情報


作: ひの ひまり 絵: 佐倉 おりこ

【定価】
968円(本体880円+税)
【発売日】
【サイズ】
新書判
【ISBN】
9784046324214

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