つばさ文庫7月刊『四つ子ぐらし(23)大ピンチ!? ドキドキの参観日』発売直前! 大ピンチの始まりだった『四つ子ぐらし(22)出会いと別れの新学期』のラストシーンから、23巻の物語の始まりを、発売に先がけてためし読みで大公開!!
どこよりも早く、気になる展開をチェックしちゃおう!
絶対バレてはいけない四つ子最大のヒミツ『姉妹四人だけでくらしている』ことがウワサになって、バレちゃいそうな大ピンチ! でも、四つ子には、たよりになる味方がたくさんいます。みんなで、ウワサに立ち向かいます!
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先行ためし読み第3回
『みんなで協力』
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校舎に入って、姉妹たちと別れて。
私は、そーっと、自分のクラス・二年三組の戸を開けた。
そして、
「……湊くん、ういなちゃん、ちょっといいかな? 話したいことがあるの」
友達の、野町湊くんと、遠藤ういなちゃんに、念のため事情を聞いてもらうことにした。
巻きこんじゃって悪いけど、二人は、私たち姉妹のヒミツを知っている仲間だ。
だから、伝えなかったら、水くさいって言われるかなって思ったんだ。
ひとけのないろうかまで移動して、私は、狩野さんから聞いたことを話した。
「えぇ~。そんなことになってるの? 大変だ……」
いつものんびりしてるういなちゃんだけど、今はまじめな顔だ。
「心配だな……。そんなウワサが広まったら、三風ちゃんたち、安心してくらせなくなるよね」
湊くんも、真剣な顔で考えこむ。
「そうなの。……どうしたらいいのかな……」
つぶやくように、私は答えた。
じつは私、湊くんのことが好きなんだ。
湊くんって、優しくて、あったかい笑顔の、とってもステキな男の子なんだよ。
だけど、今は、キリッとした湊くんのまなざしにときめいたりしている場合じゃない。
しばらく三人でだまったあと、
「……あっ、前みたいに、新聞部に助けてもらうことはできないかな?」
湊くんが提案してくれた。
「杏にまた、新聞に書いてもらうんだよ。『四つ子ちゃんにお母さんやお父さんのことを質問しないで』『四つ子ちゃんに関するウワサを流すのはやめて。困っています』って」
「あ、そうだね……!」
湊くんのアイディア、いいかもしれない。
去年、杏ちゃんが学校新聞に、
『四つ子ちゃんは、お母さんやお父さんについてあまり質問しないでほしいと思っている』
って書いてくれたおかげで、私たち四つ子に注目している人たちのさわぎが、ちょっと落ちついたことがあったんだよね。
「よし、それじゃ、事情を知っている人だけで、今日の昼休み集まろう。だれにも話を聞かれたくないから、場所は校舎裏でいいかな。俺は、杏とナオに連絡しとくよ」
「それじゃ、私、姉妹のみんなに伝えておくね」
「あたしは三風ちゃんを手伝うよー」
そう取りきめたとき。
――キーンコーンカーンコーン……
チャイムが鳴りだしたので、私たちはあわてて教室にもどった。
ウワサをなんとかするために、手をつくしてみよう。
私は静かに気を引きしめた。
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時間がたって、昼休みがやってきた。
私、湊くん、ういなちゃんの三人は、さっそく校舎裏に向かう。
知りたい派の人たちに気づかれないよう、そーっと、三組の教室の戸を開けて……。
三人でろうかに出ると、
――ガラガラ
ちょうど、となりの、四組の戸が開いた。
出てきたのは……四月ちゃんだ。
「四月ちゃん」
四月ちゃんも、ちょうど今から、校舎裏に向かうところなんだね。
妹の顔を見て、ホッとしていたら……。
四月ちゃんのうしろから、もう一人、人が出てきた。
赤みがかった茶髪に、ルーズソックスの女の子。
四月ちゃんと同じクラスで友達の、入江虹乃さんだ。
入江さんは、ちょっぴり不良っぽい見た目だけど、
本当は、パソコン部で動画作りに取りくんでいる、ま
じめな子なんだ。
「あ……入江さんもいっしょなんだ」
私はちょっぴりとまどった。
湊くんとういなちゃんも、なんとも言えない顔でだまってる。
入江さんは、私たち四つ子が子どもだけでくらしていることとか、私たち姉妹の生い立ちのこととかを、まだ知らないんだ。
どうしよう……。
これから始まる校舎裏での話しあいを、入江さんに聞いてもらうことは……できない。
でも、そうしたら、入江さん、仲間はずれにされているって感じたりしないかな?
四月ちゃんと入江さんは、この前、誤解をといて仲よくなったばかりなのに。
そう考えて、ヒヤッとしたとき。
入江さんが軽くうなずき、四月ちゃんに言った。
「何か大事な話しあいがあるんでしょ。早く行っておいで。私には、話したくなったらでいいから」
そっけなく聞こえるしゃべり方だけど、私たちは知ってる。
入江さんは、元々こういう態度で、きげんが悪いわけじゃないんだ。
「だれも校舎裏に行かないように、昇降口のところで見張っててあげる」
そう言った、入江さんのりりしい横顔から、四月ちゃんを守ろうとする気持ちが伝わってくる。
「入江さん……ありがとうございます」
「ん」
四月ちゃんのお礼に、入江さんは短く答えた。
入江さん、四月ちゃんや姉妹の私たちが、何かかくしてるって気づいているのに、そっとしておいてくれるんだ。
きっと、四月ちゃんと入江さんのあいだには、もう信頼関係ができているんだね。
私は安心して、うれしく思いながら、昇降口へ行き、手早く靴をはきかえた。
そして、湊くん、ういなちゃん、四月ちゃんといっしょに、校舎裏へと向かったんだ。
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「三風ちゃん!」
「四月ちゃーん!」
ようやく到着した校舎裏では、みんなが私たちを待ってくれていた。
一花ちゃん、二鳥ちゃん。
新聞部の、杏ちゃんに、直幸くん。
それから、四月ちゃんの友達の、望月紀美香ちゃん――通称、ミカちゃん。
私と、湊くん、ういなちゃん、四月ちゃんが合流すると、さっそく話しあいが始まった。
「本当に悪いんだけど……新聞部の力だけじゃ、ウワサをしずめることはできないと思うわ」
開口一番、杏ちゃんがそう言って、肩を落とした。
「え~、どういうこと?」
ういなちゃんがたずねると、杏ちゃんが答える。
「新聞部って、一枚岩じゃないのよ。つまり、私やナオは四つ子ちゃんの味方だけど、そうじゃない人もいるっていうか……。……ごめんなさい。正直に言っちゃうと、新聞部の中には、知りたい派に加入しているメンバーもいるの」
「ええっ、そうなんや」
二鳥ちゃんが、眉をひそめておどろいた。
「よくも悪くも好奇心の強い人が多いんだよ……」
「なるほどな……」
直幸くんと湊くんが、そんなふうに言葉を交わし、
「ちょっとそこの二人。どうして私を見るのよ」
杏ちゃんはちょっぴりおこっちゃった。
杏ちゃんも好奇心が強いけど、知りたい派の人たちと同じ考えってわけじゃないものね。
前に、杏ちゃんが私たちにするどい質問をしたのは、直幸くんのことが心配なあまりしてしまったことだったわけだし。
「そういえば、『四つ子見守り隊』はどうなったの? ほら、私たち姉妹の悪口がネットの掲示板に書かれたとき、杏ちゃんが中心になって結成された――」
一花ちゃんの質問には、直幸くんが答える。
「『四つ子見守り隊』は、事件のあと、自然に解体されたみたいです。まあその……『四つ子見守り隊』になっていた人の中にも、『みんなが知りたがっている情報を四つ子ちゃんが公開すべきでは』と、結局は知りたい派と同じような主張をしている人もいるようで……」
「えぇ……」「あぁ――」「……そっか」――
私たちは、ため息をついた。
『四つ子見守り隊』も、今回は動いてくれそうにないんだね……。
みんなが頭をなやませる中、
「ねえ、私、ひとつ心配なことがあるんだけど」
小さく手をあげて発言してくれたのは、頭のいいミカちゃんだ。
「あのさ……もうすぐ、授業参観があるよね?」
私はハッとした。
そうだ……今週の土曜日は、参観日だ。
「知りたい派の人たち、参観日に期待してるっていうか、注目してるんじゃないかな。『四つ子ちゃんは子どもだけでくらしているのかな? それなら、四つ子ちゃんのお母さんやお父さんは参観に来ないのかな? それとも来るのかな?』って」
「あっ」「あぁ」「うっ」――
ありうる……。
参観日、もちろん、私たちのお母さんやお父さんは来ない。
でも、そうしたら、
『やっぱり四つ子ちゃんは子どもだけでくらしているんじゃない?』
って、ますますウワサが広がっちゃうかも。
ウワサに、参観日が重なって、私たち、大ピンチだよ……。
ふたたび、重いため息をつきそうになったとき。
「参観日って、四月二十五日でしょ。ちょうど三風ちゃんたちの誕生日だね」
あ、湊くん、気づいてくれてたんだ。
「あっ、うんっ。そうだよ。私たち姉妹の、誕生日……」
湊くんに誕生日を覚えてもらえていたことに、ほんのちょっとときめいたけれど、すぐに気持ちがしぼんでいく。
『参観日なら、学校は午前中で終わるし、午後から姉妹で誕生日パーティーしようかな』
なんて、この前まで思っていたけど、もうそれどころじゃなさそうだよ。
下を向いてしまった、そのとき。
「大丈夫。俺たちがついてる。誕生日を無事にむかえられるように、協力するよ」
湊くんが、真っ先に手を差しのべてくれて。
「私たちもいるわ」
「私も!」
「あたしも~」
「あの、僕も……!」
杏ちゃんも、ミカちゃんも、ういなちゃんも、直幸くんも、私たちをはげましてくれて……。
「みんな……」
私は胸がいっぱいになった。
一花ちゃんも、二鳥ちゃんも、四月ちゃんも、笑顔で返す。
「ありがとう。みんな」
「いつもごめんな。ほんまに助かるわ」
「ありがとうございます」
私も顔を上げてお礼を言った。
「本当に、みんなありがとう。助けてくれて、すごくうれしいよ」
すると、私たちをつつむ空気が、ホッとあたたかくなった。
「引きつづき、慎重にようすを見ましょ。何か事件が起こったり、変化を見つけたりしたら、すぐに知らせあっていきましょう」
まとめるように言う一花ちゃんに、
「うん」「はい」「わかったよ」――
みんなでうなずきあって、話しあいは終わった。
結局、解決の糸口は見えなかった。
でも、友達みんなが、私たちの力になろうとしてくれている。
そう思うと、たのもしくて、こんなときだけど、心の奥から力がわいてきたんだ。
超ピンチな状態だけど、友達みんなが協力してくれたら、きっとどうにかなりそう!
きずなを深める四つ子たちに、次回、ピンチが訪れます…!
先行ためし読み第4回『知りたい派、せまる』をおたのしみに!
書籍情報
- 【定価】
- 880円(本体800円+税)
- 【発売日】
- 【サイズ】
- 新書判
- 【ISBN】
- 9784046324108
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