つばさ文庫7月刊『四つ子ぐらし(23)大ピンチ!? ドキドキの参観日』発売直前! 大ピンチの始まりだった『四つ子ぐらし(22)出会いと別れの新学期』のラストシーンから、23巻の物語の始まりを、発売に先がけてためし読みで大公開!!
どこよりも早く、気になる展開をチェックしちゃおう!
四つ子最大のヒミツ『姉妹四人だけでくらしている』ことがバレちゃいそう!? この大ピンチを切り抜けるため、協力しあうことになった、四つ子と、湊くん、直幸くん、杏ちゃん、ういなちゃん、ミカちゃん、たよりになる味方がいれば、きっとなんとかなりそう!
…そう思っていた姉妹たちに、ウワサを流した張本人がせまります…!
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先行ためし読み第4回
『知りたい派、せまる』
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次の日の、放課後。
昇降口に向かおうと教室を出たとたん、事件は起きた。
「三風っ」「三風ちゃん!」「三風姉さん」
バタバタと走ってやってきたのは、私の姉妹たち。
一花ちゃんはおこった顔をしているし、二鳥ちゃんはあせっているみたい。
四月ちゃんも、不安そうな表情をうかべてる。
なんだか、イヤな予感……!
「みんなっ、どうしたの?」
「大変や。知りたい派の人らが追いかけてくるねん!」
「ええっ!?」
私は思わず大声をあげた。
「シーッ。静かにしてください」
「見つかったらやっかいよ。すぐに帰るか、それともどこかにかくれるか――」
一花ちゃんが言いおわらないうちに、
「あーっ、四つ子ちゃーん!」
ろうかの向こうから大声が飛んできた。
私と四月ちゃんは、ビクッと身をふるわせて固まる。
一花ちゃんと二鳥ちゃんも、「「うわっ」」と顔をしかめた。
「いたいた!」「四人いっしょだ!」「ちょうどよかったあ!」――
ドヤドヤとやってきたのは、十人ほどの生徒たち――ファンクラブの知りたい派だ。
男子もいれば、女子もいる。
集団の先頭にいるのは、髪を、左右の二カ所、ちょこっと結った、活発そうな女の子。
『この子、もしかして』と思ったのと同時に、彼女は名乗った。
「こんにちは。私、四つ子ファンクラブ・花鳥風月の堀口羽音(ほりぐち はのん)と申します!」
やっぱりこの子が、ウワサを流したっていう、あの堀口さん……!
身構えたと同時に、堀口さんは、直接問いをぶつけてきた。
「四つ子ちゃんが子どもだけでくらしてるっていうウワサが流れているんですけど、本当なんですか?」
私は息をのんだ。
姉妹たちもこおりついた。
「や、やめなよ、迷惑だよ……!」
よく見ると、集団のうしろのほうで、狩野(かのう)さんが注意している。
だけど、一人じゃ、知りたい派の人たちを止めることはできなかったんだろうな。
どうしよう? なんて答えよう?
固まっていたら……。
「ふう……」
ため息をひとつつき、一花ちゃんが堂々と言いかえした。
「なーにが、『ウワサが流れているんですけど』よ。ウワサを流した張本人は、堀口さん、あなたでしょ」
「えへへ、バレてましたか」
堀口さんは、おどけたように、ペロッと舌を出して言った。
「だって私、推しのことはなんでも知りたくなっちゃうんですもん」
「いい迷惑よ!」
「ごめんなさ~い」
うっ……堀口さん、一花ちゃんの強めの注意すら、のらりくらりとかわしてる。
これは手ごわそうだ。
私もなんとかしなきゃ。
「ね、ねえ堀口さん――」
「あんたなあ――」
私が口を開くと、ほとんど同時に二鳥ちゃんも何か言いかけた。
そんな私たちに、一花ちゃんが、『ここは私がやるわ』と言いたげに目配せをする。
すぐに、堀口さんが話をもどした。
「それはそうと、答えてください。私、一人も見つけられなかったんですよ。『四つ子ちゃんのご両親を見たことがある』って人を。四つ子ちゃんのお母さんやお父さんって、どんな人なんですか?」
すると、一花ちゃんが、きっぱりと答える。
「あなたたちに関係ないでしょ」
それでも、やっぱり堀口さんは引き下がらない。
「もしかして……いないんですか?」
「いないわけないじゃない。いるわよ」
即座に一花ちゃんが返す。
「じゃあ、どうして『四つ子ちゃんのご両親を見たことがある』って人がいないんでしょうか? 離れてくらしているんですか?」
「いいえ。家族みんないっしょにくらしているわよ」
すると、集団の人から、次々と質問が飛んできた。
「お母さんはどんな人ですか?」
「お父さんは?」
「教えてください!」
苦虫をかみつぶしたような顔で、一花ちゃんが答える。
「……二人とも、仕事がいそがしくて、あまり家にいないの。だから私たち、お母さんやお父さんがどんな人か、質問されるのが苦手なの」
一年生のとき、杏ちゃんが新聞にのせてくれた内容とほぼ同じだ。
ファンクラブの人たちは、納得するのかと思いきや、
「四つ子ちゃんは、お母さん似ですか? それとも、お父さん似ですか?」
新たな質問をぶつけてきた。
『それくらいならまあいいか』と言いたげに、一花ちゃんが短く答える。
「お母さん似よ」
それを聞いたとたん、堀口さんがさけんだ。
「ほんとですか!? 四つ子ちゃんのお母さん、会ってみたーい!」
「会ってみたい!」「見てみたい!」――
「僕も!」「私も!」――
知りたい派の人たちも、ワイワイ盛りあがりだしちゃった!
昨日狩野さんが言っていた、知りたい派の人たちの暴走だ……!
姉妹全員、困りはてて、とっさに何も言えないよ。
「ね、一花さん。土曜日の参観日には、お母さんやお父さん、来てくれますよね!?」
「……それは、ちょっと……」
とっさに、一花ちゃんは言葉につまる。
「えっ? 来てくれないんですか!? 授業参観のあとには、二年生の保護者向けの進路説明会があるのに? これもウワサで聞いたんですが、一花さんって、将来のことをすっごくまじめに考えてるそうですね。なのに四つ子ちゃんたちのお家は、お母さんもお父さんも進路説明会に参加しないんですか? どうしてですか!?」
「っ……」
さすがの一花ちゃんも、堀口さんの質問攻めにひるんでいるようすだ。
私はあわあわしながらそのようすを見ていた。
今までの参観や個人懇談は、先生たちが事情を知ってくれているから、私たちの親が出席しなくても、ヘンに思われたり、理由を聞かれたりすることはなかったんだ。
でも、生徒相手じゃ、そうはいかないみたい。
進路説明会っていう大切な集まりに、『お母さんもお父さんも来ない』って、はっきり言っちゃったら、かえって不自然だよね……。
一花ちゃんも、同じことを考えたのかな。
「……そうね……家で、相談してみるわ」
しぶしぶといった感じで、そう返答した。
とたんに、ファンクラブの人たちは、また大盛りあがり。
「やった~」「参観日楽しみっ」――
「四つ子ちゃんのお母さんやお父さんに会える!」
「どんな人なんだろ~?」
「僕、『四つ子ちゃんの友達です』って自己紹介しちゃお!」
「私も、四つ子ちゃんのお母さんやお父さんと知りあいになろ!」
「四つ子ちゃんのことをいーっぱい教えてもらっちゃお~」
ファンクラブの人たち、もうすっかり、参観日に私たちのお母さんやお父さんに会えるものだと思って喜んでるよ。
「もう! なんでそんなさわぐんよ。やめてや!」
「ちょっと、みんな、ダメだよ――」
二鳥ちゃんや狩野さんの注意もとどかない。
四月ちゃんは、あ然としてる。
そのようすを見て、堀口さんが無邪気によびかけた。
「知りたい派のみんな~。喜ぶのはまだ早いかも! 四つ子ちゃんのお母さんやお父さんに、どんなことを質問するか、みんなで考えておこうよーっ」
はぁ……ほんと、どうすればいいんだろ……?
知りたい派の人たちに、全然歯が立たないよ。
私は内心頭をかかえ、とほうにくれたのだった。
四つ子の味方も増えて、大ピンチだけど何とかなりそう! …と思っていたけれど、『知りたい派』はなんだかとっても手強そう…!!
授業参観日をどうするか、姉妹で作戦会議です…! 次回『参観、どうしよう?』をおたのしみに!!
書籍情報
- 【定価】
- 880円(本体800円+税)
- 【発売日】
- 【サイズ】
- 新書判
- 【ISBN】
- 9784046324108
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