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大人気!「お天気係におねがい! 運動会を晴れにせよ!」ためし読み連載 第1回

 放課後はいつも、まっすぐ家に帰る。それから、しごとがいそがしいママやパパが帰ってくるまで、一人で絵を描いたり、本を読んでお菓子をつくったりして過ごす。

 だけど、今日は――。

「はあ、はあ……ふぅ~」

 家を通り過ぎた先にある長い石階段のまん中で、ひざに手をついて息切れ中……。

 この階段を上ると、心強い味方――わたしのおばあちゃんの『お天気神社』があるの。

 なんとこの神社の神さま、お願いすれば、どんな天気もぜったいにかなえてくれるんだ!

 でも、わたしのおばあちゃんはもういない。小学二年生のときに、病気で亡くなったの。

 それ以来、神社にはお客さんもあんまり来なくなっちゃって……。お天気係になってからは、わたしが、一番お願いしてるお客さんだと思う。

 今は蘭ちゃんのために、雨をふらせてもらわなくちゃ。

 ひざから手をはなして、顔をあげる。そのとき、目の前に一匹の蝶があらわれた。

「うわ……」

 つい見とれちゃう。こんな蝶、見たことない。

 大きくて、きれいな赤色の羽。しかも、ぽわ~と光っている。

 ひらひら、階段を上るように飛んでいく。わたしは、つられるように後を追いかけた。

 とんとんっと一気にかけ上がって――。

「わっ!」

 どんっと、わたしの顔がだれかにぶつかった。

「びっくりした。空ちゃん、だいじょうぶ?」

「わたしはだいじょ……あっ、夜雲さん!」

 はかま姿に、長い髪を一つにたばねた男の人。わたしが生まれたときから、この神社ではたらいている夜雲さん。やさしくて手先が器用で、ほんとうのお兄さんみたいな存在なんだ。

 おばあちゃんがいなくなってからも、一人でこの神社をお世話してくれている。

「ぶつかってごめんなさいっ」

「ぼくもだいじょうぶだから、気にしないで」

 切れ長の目をさらに細めて、やさしくほほ笑む。

「今日も、天気のお願いに来たんだよね。ずいぶんあわててるけど、なにかあったの?」

「すごくきれいな蝶を見かけて、追いかけてたの。見なかった?」

「うーん、見てないなあ。まあ、ゆっくりしていって。ぼくは少し、出かけてくるね」

「うん。夜雲さん、ありがとう」

 赤い鳥居をくぐって、おさいせん箱のほうに向かった。

 やっぱり今日もだれもいなくて、さみしい……。

 わたしが、たっぷりお願いしよう!

 おさいせん箱の前には白いひもがたれている。ひもの一番上には、わたしの顔よりも大きくて、ピカピカ金色に光った鈴がついている。

 おばあちゃんいわく、この鈴の中に神さまがいるから、鳴らして呼ぶんだって。

 両手でひもをにぎる。そこに、さっきの蝶がふらふらやって来て鈴に止まった。

 この蝶も暑すぎて、お願いしにきたのかな? よーっし、いつもより力をこめて……。

 ズルッ。

 とつぜん、鈴がひもからはずれた。わたしめがけて落ちてくる。

「ひぃ!」

 頭をかかえながら、とっさによけた。

 ガシャ―――――――――――ン!

 するどい音が、神社に鳴りひびいた。しばらくして、ふせていた顔をゆっくりあげる。

「あ、あ、あわわわわわっ……」

 顔が、サァーと青くなった。

 すっ、鈴が……神さまがいる鈴が……割れちゃった……!

「ど、どうしよう! そうだ、夜雲さん! ……は、いないんだった。えっと、あっと」

 もう、大パニック!

 と、とにかく。落としたままはよくないよね……?

 ふるえる手で、バラバラになった鈴を拾おうとする。

 ゴロンッ。

 うごいた⁉ まださわってないのに。

 ふしぎな現象は、まだ終わらない。割れた鈴の破片たちから、ナゾの光があふれ出して――。

 ばたんっ。

 電気が消えたみたいに頭の中がまっ暗になって、わたしはたおれた。


第2回へつづく


書籍情報


作: あさつじ みか 絵: しそこんぶ

定価
858円(本体780円+税)
発売日
サイズ
新書判
ISBN
9784046323736

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