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【先行ためし読み!】『くいなちゃんはゾンビ!』 第5回


【主人公が●んじゃってる】なんて……そんなのアリ!?
ごくフツーの小学生だったはずなのに、目が覚めたらゾンビになっちゃってた、くいなちゃん。それでも気を取りなおして、学校に通うことにしたんだけど、ちょ~たいへん!毎日がハラハラドキドキそして大爆笑(なんで!?)だらけ。次の章でなにがおきるか、まっったく予測不能な、最強ゾンビガール学園コメディ。しかも、な、なんとさし絵イラストがカラー!!みんな、ぜったいぜったい、見ててよねっ!




 

5 ミラクルスーパーキックで、どーん☆



 体育の授業の後半。

 出席番号でチーム分けして、試合をすることになった。


 Aチームは、わたしと、頼人(らいと)くんと、大日南(おおひな)さん。

 Bチームのゴールキーパーには、先生の指示で黒羽(くろばね)くんが立っている。


 なぜかっていうと、黒羽くんはサッカーが上手すぎて、フィールド内でボールを持つと無双しちゃうからなんだって! すごっ!


 もうすぐ、試合がはじまる。

 わたしも、へたくそなりに、ベストをつくそう!

 と、腕をぐるぐる回しているところに、頼人くんがひそひそ話しかけてきた。


「くいな、相手と体をぶつけないように、注意しなよ。とにかく、人のいないところへ動くんだ。ボールを持っても、なるべくはやめに、だれかへパスするんだよ」

 あー、もう! わかってるってばっ!

 わたしだって、ゾンビだとバレて、さわぎをおこしたくないんだから!


 試合がはじまると、わたしは、意識して、さりげなく人のいないところへ動いた。

 うん、うまいこと、人とぶつからずにゲームに参加できてる!

 ……けれども。


「………………」

 す――――ん。


 わたしのまわりは、スッカスカ

 そのぶん、ボールがこっちにくる機会も少ないんだよねー。

 せっかくだから、もうちょっとボールにさわりたい気もするなぁ。


 そして、どちらのチームも点を取れないまま、ゲームは進んだ。

 先生が「残り3分!」と大声を出す。

 わたしは、相手ゴール前でフリーになってる。


 そのとき、ボールを受けた大日南さんが、パッとわたしを見た!

 えっ!?


「存美(ありよし)さん、おねがいっ!」


 そうさけんで、大きくボールを蹴る。

 ワンバウンドしたボールは、正確に、わたしの足もとへ転がってきた!


「わ、わわ、と、と、と……」

 わたしは、よたよたしながらトラップしてから、相手ゴールを見た。

 気がつくと、ペナルティエリアが、かなり近いなぁ。


「存美さーん。そこからゴールをねらってくれて、かまわないよ」

 ゴールを守る黒羽くんが、声をかけてきた。

 むむ、余裕だね!

 わたしが点を取れるとは、夢にも思ってなさそう。


「わかったよ。よ~~~~しっ!」

 わたしは、ボールを蹴ろうと、おおきく足をひいて――――

 とちゅうで、やめた。


「ねー、黒羽くーん! ボールを強く蹴るコツって、どんなの?」


 大きな声でたずねてみる。


「えっ? あっはっは! それ、キーパーのおれにきいちゃうんだ」

 黒羽くんは、楽しそうに笑うと、

「軸足を、ボールの横にしっかりおくのが基本だよ」

 と、まじめに教えてくれた。

「あとはスピードをつけて踏みこんで、足首をボールにあてる意識で、おもいきり蹴ればいい」

「ふむふむ。ありがとう!」


 黒羽くんは、ニコニコしている。

 いい人だね!

 相手チームのみんなも、笑いながら見まもってくれている。

 やさしい世界♥


「よ~し! こんどこそ、いくぞっ」

 わたしは、もう一度、ぐいーんと足を引いて、ボールを蹴る体勢に入った。

 アドバイスのおかげか、いい感じな気がするよ!


「てーいっ」


 そう声を出しながら、わたしがボールを蹴った瞬間、


ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!


 花火が打ちあがるときのような爆音がした!


「ひゃっ!」「なんだ!?」「えええっ!?」と、まわりからも声があがる。


 そしてなぜか、わたしはバランスをくずして、こてん、と地面にたおれちゃっていた。

 蹴ったボールへ目をやると、ものすごいスピードで黒羽くんへ飛んでいくっ!


「へっ!?」

 のばした黒羽くんの手は届かず、ボールは、そのままゴールネットへつきささった!


 ――だけじゃなく、ネットをつきやぶって、ゴールのむこうまで飛んでいった。


 う、うわわわわ……。

 ネットは、ブスブス……と音をたてて、煙まで出てるような……?


「…………すご」

 だれもがぼうぜんとして、言葉を失っている。

 もちろん、シュートした本人である、わたしも。


 な、な、なんなのーっ!? あのシュートの威力は!

 完全に、アニメかゲームの世界だよ!

 ていうか、わたし、たおれてるの? なんで?


 ……って、うええぇぇぇぇっ!?


 2メートルほど先の地面に転がっているものを見て、わたし、さけびそうになっちゃった!


「くいなっ!」

 頼人くんが、駆けよってきた。


「ら、頼人くん、ごめん。あれを、とってきてくれないかな……?」

 わたしは、小さな声で言って指さした。

 そこに転がっているのは、わたしの運動靴。

「なんだ、シューズなら自分で……」

「いや、立ちあがれなくて」


「ケガでもした? ゾンビなのに?」

 小声で言いながら、頼人くんが、わたしの右足を見た。

 そして、気づいた。


 わたしの足首から先が、ないことにっ!


 そう、あの弾丸シュートをうったとき、シューズといっしょに、足がとれちゃったんだよーっ!


「うおおぉぉぉぉいっ!」


 頼人くんが、さけびながらダッシュした!

 わたしのシューズ(と、その中に入った足)をひろいあげると、もどってきて、わたしをせおう。


「ちょ、ちょっ!?」

「しょうがないだろ、とにかく移動しないと!」

 頼人くんは、先生にむかって大声でさけんだ。


「存美さんが足をくじいたようなので、ぼく、保健室に連れていきますっ!」


 先生が返事をする前に、頼人くんは、わたしをせおったまま走りだした……。


第6回につづく

↓本には、こんな感じで、もっと楽しいしかけがいっぱい! 絶対見てね♫





書誌情報


作: 平河 ゆうき 絵: からあげたろう

定価
880円(本体800円+税)
発売日
サイズ
新書判
ISBN
9784046324061

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