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【スペシャルれんさい】『星のカービィ ワドルディのおるすばん大決戦!!』第2回 カービィのきょうだい登場!?


デデデ城でおるすばん中のワドルディ隊に、メタナイツたちが『城を渡せ』と襲いかかってきた!? ワドルディたちは力を合わせて、メタナイツに立ち向かう! 2025年7月9日発売予定のつばさ文庫『星のカービィ ワドルディのおるすばん大決戦!!』は、ワドルディたちが主役の外伝シリーズ! 大注目の新作の、先行ためし読みだよ!! 

◆第2回
ワドルディ隊にデデデ城をまかせて、コックカワサキの店に向かったデデデ大王。店でまっていたのは、コックカワサキと、カービィと、メタナイトと……とっても意外なひとだった!? 

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カービィのきょうだい登場!?

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 デデデ大王がレストランに入って行くと、コックカワサキが言った。

「いらっしゃい。早いねえ! 試食会まで、まだ少し時間があるんだけど……」

 デデデ大王は、ふんぞり返って言った。

「大王たるもの、常に余裕をもって行動するものなのだ。カービィやメタナイトに、おくれを取らんようにな!」

 と、そこへ。

「あ、来た来たー! 遅かったね、デデデ大王!」

「待ちかねたぞ」

 テーブル席から、声が聞こえてきた。

 カービィとメタナイトだ。二人とも、すでに席についている。

 デデデ大王は、あぜんとした。

「……きさまら、もう……?」

 コックカワサキが、苦笑して言った。

「あの二人は、朝早くから押しかけてきて、君を待ってたんだよ。一刻も早く、新作デザートを試食したいんだね」

「そういうわけではない」

 メタナイトが、すばやく訂正した。

「たまたま、早く着いてしまっただけだ。たまたま、だ」

 カービィが、元気よく言った。

「ぼくは、楽しみすぎて、すっごく早起きしちゃったんだ。早く、早く食べたい!」

 コックカワサキは、笑顔でうなずいた。

「それじゃ、予定より早いけど、始めようか……と、思ったけど」

 コックカワサキは、ふしぎそうにデデデ大王を見た。

「バンダナくんは、どうしたの? ぼく、招待状を送ったんだけど……」

「あいつは、来られなくなったのだ。急に、はいたつが寝こんでしまったのでな」

「え? はいたつくんが?」

 コックカワサキは、目を丸くした。

 カービィが、心配そうにたずねた。

「寝こんだって、どうして? おやつを食べすぎちゃったの?」

「おまえといっしょにするな。雨にぬれたせいで、かぜを引いたのだ」

 コックカワサキが、気の毒そうに言った。

「かぜかぁ……はいたつくんは、まじめだからね。きっと、張り切りすぎちゃったんだね。ぼくも、お店の出前を、ときどき手伝ってもらってるんだよ。あとで、はいたつくんのためにゼリーを作ってあげるから、食べさせてあげて。早くよくなりますように」

「まあ、心配はいらん。ワドルディどもは、じょうぶだからな。なかまたちがついてるし、少し寝ていれば、治るだろう」

「そうだね。それじゃ、試食会を始めよう!」

 コックカワサキはにっこり笑って、胸を張った。

「新作のデザートを、三品、考えたんだ。食べたあとで、感想を聞かせてね」

「おー!」

 カービィとデデデ大王は大声を上げ、メタナイトは重々しくうなずいた。

 コックカワサキは、大きなお皿を運んできた。これまでに見たことのないデザートが、三人分ずつ三種類、美しく盛り付けられている。

「まずは、マキシムトマトのチョコシフォンケーキだよ。上にのってるマカロンに、マキシムトマトを細かくつぶして、練りこんであるんだ。ふつう、トマトはデザートには使わないんだけど、マキシムトマトの甘ずっぱさが、チョコにぴったりなんだ。われながら、すてきなヒラメキだったよ」

「すごい! おいしそう! いただきまー……」

 カービィは、大きく口をあけて、今にもデザートを吸いこんでしまいそう。

 コックカワサキが、あわてて止めた。

「待って待って! 食べる前に、デザートの説明をぜんぶ聞いて! 二番目は、まっちゃ味のプププ・ティラミス! ちょっぴりほろ苦いまっちゃソースが、ティラミスの甘さを引き立ててくれてるよ。三番目は、いちごプリン。チーズプリンに、いちごのシロップを合わせて、とろけるような舌ざわりに仕上げたよ。ピンク色だから、カップにカービィの顔をプリントしてみたんだ」

「わぁ、ぼくのプリンだ!」

 カービィは、目をかがやかせた。

 デデデ大王が、ムッとして言った。

「なんで、カービィのプリンがあって、オレ様のがないのだ? コックカワサキ、デデデ大王様プリンを、大至急作れ!」

「え、えっと……それは、また今度! とにかく、どうぞ、召し上がれ!」

「いっただっきまーす!」

 カービィが、舌なめずりをしながらフォークを手にした、その瞬間。

 ビュゥゥゥゥ!

 とつぜん、店内に、小さな竜巻が起きた。

「うわわわわわあああ!?」

 カービィは竜巻に巻きこまれ、天井まで吹き上げられて、悲鳴を上げた。

「な、なんだ!? 竜巻!?」

 デデデ大王は、あわててイスにしがみついた。メタナイトはすばやく剣に手をかけ、あたりを見回した。

 竜巻は、一瞬でおさまった。

 ただ――たった今までカービィがいた席に、ふしぎな客が座っていた。

 顔も体も、カービィにそっくりだ。けれど、カービィのようなピンク色ではなく、全身がまっくろだった。

 デデデ大王が、目をパチパチさせて言った。

「むむむむ? カービィ? どうしたんだ、きさま。今の竜巻で、色がハゲたのか?」

 そのとき、カービィの声がひびいた。

「ちがーう! ぼくは、ここだよ! 上! 上を見て!」

 デデデ大王とメタナイト、コックカワサキの三人は、天井を見上げた。

 そこに、ピンク色のカービィがいた。天井の照明に引っかかって、身動きが取れなくなっている。

 コックカワサキが、あせって叫んだ。

「カービィ!? ってことは、この黒い子は……!?」

 黒いカービィは、サッと手を伸ばした。

 三人分のデザートがのった大皿をかかえて、すたこらと逃げ出す。

 デデデ大王が叫んだ。

「な、何をする!? それは、オレ様のデザート……!」

 つかまえようとするデデデ大王を軽々と飛び越えて、黒いカービィは、レストランを走り出ていった。

 と同時に、ピンク色のカービィが天井から落ちてきた。ホバリングも間に合わず、デデデ大王の上に、まっさかさま!

「ぬぉぉぉぉ!」

「いたたたた!」

 激突したデデデ大王とカービィは、そろって頭をかかえ、うずくまった。

 コックカワサキが、ぼうぜんとして言った。

「な……何だったの、今のは? あの黒い子、カービィにそっくりだったよ……?」

 メタナイトが、ハッとしてつぶやいた。

「黒いカービィ……あれは、もしや……」

 デデデ大王が、不機嫌な口調で言った。

「カービィのきょうだいだな? きょうだいそろって、礼儀がなっとらんわい!」

 カービィは起き上がって、叫んだ。

「きょうだいじゃないよ。あの子は、シャドーカービィ!」

「シャドー……?」

「前に、会ったことがあるんだ。ぼくにそっくりだけど、すごく、いたずら好きなんだよ」

 メタナイトが言った。

「私にも覚えがある。以前、バディファイターズタワーで戦ったはずだ。デデデ大王、覚えていないのか?」

 デデデ大王は、考えこんだ。

「そう言われてみれば、見たことがあるような気もするが……」

「どこか別の世界からやって来た、カービィの影というところか。だが、いったい、なぜここに……?」

 カービィが、メタナイトをさえぎって言った。

「考えてる場合じゃないよ、メタナイト。あの子、ぼくらのデザートを持って行っちゃった! 取り返さなくちゃ!」

 カービィは、早くも駆け出している。

 デデデ大王も、急いでカービィを追いかけながら叫んだ。

「オレ様は、まだ一口も食べておらんのだぞ! シャドーだかなんだか知らんが、ゆるさんぞ、カービィめ!」

「ぼくじゃないよー!」

「おまえの影なら、おまえといっしょだわい! とにかく、デザートを取り戻すぞ!」

 メタナイトは、やれやれという様子で、コックカワサキに告げた。

「放ってはおけない。すぐにデザートを取り返してくるから、お茶の用意をしておいてくれたまえ」

「う、うん! がんばってね!」

 コックカワサキは手を振った。

 メタナイトはマントを広げ、飛ぶような速さで走り出した。


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「待てー! こらー!」

 カービィたちは、シャドーカービィを追いかけた。

 シャドーカービィは、ピョンピョンとはねるように逃げていく。

 すばらしく足が速いが、ときどきスピードをゆるめて振り返り、三人がちゃんと追ってくるのを確かめているようだ。

 気がつけば、シャドーカービィと彼を追う三人は、森の中を走り回っていた。

「待ってってば! デザートを返せぇー!」

 走る三人の前に、いきなり、木の葉がバッと舞い上がった。

「わわわわ!?」

 三人とも、前が見えなくなって、足を止めた。

 カービィが言った。

「リーフのコピー能力だ!」

 デデデ大王が、木の葉を手で払いのけながら叫んだ。

「コピー能力だと!? まっくろカービィも、コピー能力を使えるのか!?」

「うん。ぼくと同じだよ」

 メタナイトが言った。

「なるほど。レストランで起きた竜巻も、コピー能力のせいだったのか」

「うん。トルネイドのコピー能力だね」

「シャドーカービィは、だれかを吸いこまなくても、コピー能力を発揮できるらしい。やっかいだな……!」

 カービィが叫んだ。

「あ、あの子! あそこにいる!」

 カービィが指した先に、シャドーカービィがいた。三人のほうを、無表情で、じっと見つめている。

 デデデ大王が駆け出した。

「待て、この! オレ様のデザートを返せ!」

「ぼくのシフォンケーキとプププ・ティラミスといちごプリンを返せー!」

 シャドーカービィは、すばやく、木々の合間に逃げこんでしまった。

     


とつぜんあらわれた、シャドーカービィ! カービィたちは、コックカワサキの新作デザートを取りもどせるの!?
あちこちで大変なことが起こっているなか、戦艦ハルバードのメタナイツたちにも、大事件がせまっていて……?
次回「メタナイツ危機一髪!」をおたのしみに! (6月27日公開予定)



『星のカービィ ワドルディのおるすばん大決戦!!』は2025年7月9日発売予定!


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定価
814円(本体740円+税)
発売日
サイズ
新書判
ISBN
9784046323590

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814円(本体740円+税)
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新書判
ISBN
9784046323071

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