【スペシャルれんさい】『星のカービィ　ワドルディのおるすばん大決戦!!』第1回　ワドルディ隊のおるすばん

デデデ城でおるすばん中のワドルディ隊に、メタナイツたちが『城を渡せ』と襲いかかってきた!?　ワドルディたちは力を合わせて、メタナイツに立ち向かう！　2025年7月9日発売予定のつばさ文庫『星のカービィ　ワドルディのおるすばん大決戦!!』は、ワドルディたちが主役の外伝シリーズ！　大注目の新作の、先行ためし読みだよ!! 

◆第１回
いつも通り、平和なプププランド。
デデデ大王とバンダナワドルディは、ふたりでどこかにおでかけしようとしているみたいだけど……？　ワドルディたちが主役の外伝シリーズ、スタートです！ 

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ワドルディ隊のおるすばん

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　いつものように、おひさままで大あくびをしそうなくらい平和な、プププランドの朝。

　バンダナワドルディは、いつもよりも、もっともっとウキウキしていた。

　なぜなら、今日は、デデデ大王とともに、コックカワサキの「新作デザート試食会」に招待されているからだ。

　メニューはまだヒミツだけれど、コックカワサキが、腕によりをかけて自信作を作ったらしい。他に招待されているのは、カービィとメタナイト。きっと、楽しい時間になるはずだ。

「では、そろそろ出かけるとするか」

　デデデ大王が、ソワソワしながら言った。

　試食会が始まる時間より、だいぶん早かったが、大王もやはり、楽しみすぎてじっとしていられないのだ。

「はい！　行きましょう、大王様」

　大王とバンダナワドルディは、城を出た。城門のところまで、おおぜいのワドルディたちが見送りに出てきて、口々に言った。

「行ってらっしゃい、大王様、バンダナせんぱい！」

「どんなデザートが出たか、あとでくわしく教えてくださいね！」

「いいなあ。ぼくも、食べてみたいなあ」

　バンダナワドルディは、にっこりして言った。

「みんなのぶんも、おみやげにしてもらえるように、コックカワサキに頼んでみるよ。だから、楽しみにしていてね」

「ええ!?　ほんとですか!?」

「わぁい！　わぁい！」

　ワドルディたちは、大よろこび。

「じゃあね。行ってきます」

　デデデ大王とバンダナワドルディが、出発しようとした、そのときだった。

「たいへん、たいへんです、バンダナせんぱい！」

　ひとりのワドルディが、血相を変えて駆け寄ってきた。

「ん？　どうしたの？」

「はいたつくんが、熱を出して、たおれてしまったんです！」

「……え!?　はいたつくんが!?」

　バンダナワドルディは、青ざめた。

　はいたつくん、というのは、ワドルディ隊のなかまのひとりだ。

　足が速くて、主に、デデデ大王のお使いを引き受けている。最近は、それだけではなく、みんなから頼まれた荷物を運ぶアルバイトもしている。

　報告したワドルディは、オロオロして説明した。

「はいたつくんは、昨日、小雨が降る中を走り回ってたんです。このくらいの雨ならへっちゃら、みんなの荷物を早く届けなくちゃって言って……それが、良くなかったみたいで……」

　デデデ大王が、怒ったように言った。

「ばかものが、無理をするからだ！　まったく、世話を焼かせるわい！」

　バンダナワドルディは言った。

「大王様、ぼくが様子を見てきます。大王様は、お先にコックカワサキのお店へ……」

「フン、まだ、時間が早すぎるわい。こんなに早く到着したら、オレ様が食いしんぼうだと思われるではないか！」

　デデデ大王は、まっさきに、城の中へと駆けもどった。

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　はいたつワドルディは、赤い顔をして、ベッドに横たわっていた。

「はいたつくん！　大丈夫!?」

　バンダナワドルディがのぞきこむと、はいたつワドルディはうっすらと目を開けた。

「あ……けほっ……バンダナせんぱい……けほけほっ……大王様……」

　他のワドルディたちは、ドアのところでひとかたまりになって、心配そうに部屋の中をのぞきこんでいる。

　デデデ大王が、大きな手を、はいたつワドルディの顔に当てた。

「少し、熱があるようだな。雨でぬれたのに、ちゃんとふかなかったんだろう。大ばかもの！」

「すみません、大王様……けほっ」

　はいたつワドルディは、はずかしそうに、毛布の中でもぞもぞした。

　熱とせきの症状はあるが、それほど重いかぜではなさそうだ。バンダナワドルディは、ホッとして言った。

「大王様、ぼくはお城に残って、はいたつくんの看病（かんびょう）をします。試食会は、大王様おひとりでどうぞ」

「むむ？　だが……」

「コックカワサキの新作デザートを試食するのは、大王様のたいせつなお仕事ですから。ぼくの分まで、たくさん食べてきてください」

「……なるほどな。もっともだわい」

　デデデ大王は納得し、バンダナワドルディに言った。

「では、オレ様は出かけてくる。オレ様が留守の間のことは、おまえにまかせたぞ」

「はい！」

　デデデ大王は、ドアのところに集まっているワドルディたちを見た。

「きさまらも、ちゃんと留守番するんだぞ。みやげは、持って帰ってきてやるからな」

　ワドルディたちは、ぴょんぴょん飛びはねて叫んだ。

「はーい！　ありがとうございます、大王様！」

「行ってらっしゃい、大王様！」

　デデデ大王は、ひとりで城を出て、コックカワサキの店へと向かった。

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　はいたつワドルディは、しょんぼりした表情で、バンダナワドルディに言った。

「ごめんなさい、バンダナせんぱい……けほほっ……せっかくの試食会なのに、ぼくのせいで……」

「気にしなくていいよ」

　バンダナワドルディは、ぬらしたタオルをしぼって、はいたつワドルディの頭にのせた。

「それより、早く良くなってね。ゆっくり休んで、栄養を取らなくちゃ」

「はい……ありがとうございます……」

「あとで、おかゆを作ってあげるね。それじゃ、よく眠るといいよ。おやすみ」

　バンダナワドルディは、はいたつワドルディにほほえみかけて、部屋を出た。

バンダナワドルディは、ワドルディ隊の頼れるリーダー。
はいたつくんの看病も、大王様がお留守でも、バンダナワドルディがいてくれれば、みんなが安心！
いっぽう、出かけていったデデデ大王のほうでは、意外なひとがあらわれて……？
次回「カービィのきょうだい登場!?」をおたのしみに！！ （6月20日公開予定）

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