『星のカービィ 夢幻の歯車 霧に包まれた大事件!?』発売延期のお知らせ
2026年7月8日の発売を予定しておりました角川つばさ文庫『星のカービィ 夢幻の歯車 霧につつまれた大事件!?』につきまして、制作上の都合により、発売日を2026年8月5日に延期させていただきます。
楽しみにお待ちいただいている読者の皆様には多大なるご迷惑をおかけいたしますことを、心よりお詫び申し上げますとともに、発売まで今しばらくお待ちくださいますようお願い申し上げます。
角川つばさ文庫編集部
2026年8月発売予定の小説『星のカービィ 夢幻の歯車 霧につつまれた大事件!?』が、どこよりも早く読めちゃう、先行ためし読みスタート!
大人気発売中の『星のカービィ 夢幻の歯車を探せ!』に続く、飛行機乗りのカービィのお話だよ。いつものプププランドとはちがう、別の世界の物語の世界へ飛びこもう!
◆第4回
街じゅうの煙突を詰まらせていたふしぎな霧がようやく晴れて、みんなは大よろこび!
そんなとき『かぜのまち』に、霧の事件を追って、かわいい旅人がやってきて…?
☆゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜・。。・
名探偵登場!
☆゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜・。。・
その晩、ドロッチェ・カフェに、いつもの顔ぶれがそろった。
普段は、デデデ社長の家に集まっているが、今夜は特別。霧が晴れたお祝いをすることになったのだ。
テーブルの上に、ドロッチェとワドルディが協力して作ったごちそうがならんだ。
「わぁい、おいしそう! いただきまーす!」
「おかわりだ、おかわり! どんどん持って来い!」
「社長サン、まだなにも食べてないのに、おかわりなんてヘンなのサ!」
明るい笑い声がひびく。
デデデ社長は、上機嫌で言った。
「オレ様が魔法の装置をこわしたおかげで、街が救われたのだ。フハハ、また一つ、手柄を立ててしまったわい」
ワドルディが言った。
「もう安心ですね。あ、でも……」
ワドルディは、マルクを見た。
「霧が晴れたということは、これまでのような煙突掃除は必要なくなるということでしょうか。マルクさんは、どうするんですか?」
カービィが言った。
「煙突掃除はたいせつだよ! マルク、出て行ったりしないよね? ずっと、かぜのまちにいるよね?」
マルクはうなずいた。
「うん。ボクはこの街が気に入ったのサ。しばらくの間は、とどまるつもりなのサ」
「しばらくじゃなくて、ずっと、ずっと……」
と、カービィが言いかけたとき。
カフェのドアが開いた。
パタパタと飛びながら入ってきたのは、大きな耳をした、水色の客だった。
チェック柄のぼうしをかぶり、片手に虫めがねを持っている。
「こんばんは! ちょっと、いい!?」
はつらつとした、大声だ。ドロッチェが、めんくらって言った。
「もうしわけありません、お客様。今夜は、貸し切りなんですが……」
「ボク、お客じゃないんだ。みんなに、お話を聞かせてほしくて!」
「お話って……?」
「もちろん、連続盗難事件の話だよ! 知っていることを、なんでも話してほしいんだ。なにが盗まれたの? 被害者はだれ? 現場の状況は!?」
虫めがねをしまいこみ、メモをかまえて、真剣な表情をしている。
デデデ社長が言った。
「ちょっと、おちつけ。おまえ、だれだ?」
すると、水色の訪問者は、はずかしそうに言った。
「あっ、ごめんね。ボクは、名探偵見習いのエフィリン!」
「……名探偵、見習い?」
「これから名探偵になるために、修行中なんだ。この街で、盗難事件が続いてるって聞いて、解決しに来たんだよ。このお店に、ひとが集まってる気配がしたから、お話を聞かせてもらえると思って!」
ずいぶん、張り切った様子だ。
デデデ社長が言った。
「その事件なら、もう片づいたぞ」
「え!?」
「犯人がわかったのだ。オレ様のおかげでな」
「……わあ、遅かった……犯人、つかまっちゃったんだ……」
エフィリンは、がっかりした様子。
ワドルディが言った。
「つかまってはいないよ。逃げられちゃったんだ」
「え? どういうこと?」
ふしぎそうなエフィリンに、みんなで、かわるがわる事情を説明した。
「ふうん……その、マホロアっていう容疑者が、魔法を使って霧を発生させ、盗みをくり返していたんだね。現在は逃走中……と……」
エフィリンはメモを取り、元気よく言った。
「それなら、ボクの出番だね。ボクがぜったい、マホロアをつかまえるよ!」
デデデ社長が言った。
「だが、おまえはマホロアの顔を知らんじゃないか。どうやって見つける気だ?」
「あ、そうだった。マホロアの特徴を教えてくれる?」
カービィが言った。
「ぼくが、マホロアの似顔絵を描いてあげるよ。ぼく、絵がとくいなんだ!」
カービィは、エフィリンからメモとペンを受け取り、サラサラと絵を描き始めた。
「マホロアは、こんな顔で、こんなフードをかぶってて、マントはこう……」
カービィは自信たっぷりだが、描き上がった似顔絵は、マホロアとは似ても似つかなかった。
どちらかというと、できそこないのケーキか、とけかけたアイスクリームに見える。
のぞきこんだワドルディが、困り顔で言った。
「え、えーと……じょうずだね、カービィ。ぼくが、ちょっとお手伝いするね」
ワドルディはカービィの絵を描き直した。
青い耳つきのフードや、白いマント、スーツケースなどの特徴もつけ加え、マホロアそっくりの似顔絵ができ上がった。
エフィリンは、似顔絵をながめて、力強くうなずいた。
「ありがとう! ボク、ぜったいに、マホロアを見つけ出すよ」
ドロッチェが言った。
「もしもマホロアが見つかったら、警察じゃなく、ここに連れて来てくれよ」
デデデ社長が、うなずいた。
「うむ! あの署長に手柄を立てさせたくないからな!」
ドロッチェは首を振った。
「いや、そういうわけじゃない。オレは、ただ、マホロアの言い分を聞いてみたいんだ」
「言い分……?」
「ああ。あいつ、自分じゃないって言いはってただろう。だんなが追いつめたせいで、逃げ出しちまったが……あいつの話を、くわしく聞きたいんだよ」
デデデ社長が言った。
「あんなウソつきの言い分なんて、聞く必要ないわい。どうせ、ウソしか言わん」
「そうとも限らないぜ。ひょっとしたら、マホロアは、だれかに陥れられただけかもしれない……」
ドロッチェは、さりげなく、全員の顔を見回した。
一瞬だけ、その視線が、マルクのところで止まった。
だが、ドロッチェはすぐに視線をそらせた。
マルクが、にっこり笑って言った。
「そんなことより、パーティを続けようぜ。今夜のお料理、どれも最高なのサ! よければ、エフィリンくんも席についたら?」
「え? でも、ボクは……」
エフィリンはえんりょがちに首を振ったが、そのとたん、おなかがグーッと鳴った。
エフィリンは、真っ赤になって言った。
「わわわ! 実は、ボク……朝からなんにも食べてなくて……」
ドロッチェが、笑い出した。
「それならそうと、早く言えよ。いいから、すわれ」
「でも……」
「なんでも作ってやる。好物は?」
「えっと……えっと……チーズとか……たまごとか……」
「わかった。待ってろ」
ドロッチェは、手早くチーズオムレツを作って、エフィリンの前に置いた。
「わあ……おいしそう! いただきます」
ふわとろオムレツを一口食べると、エフィリンの目が星のようにかがやいた。
「んんんおいしいぃぃぃぃぃぃ! ボク、こんなおいしいもの、初めて食べたよ!」
ドロッチェは、うれしそうに笑った。
「ははは! こんなので良ければ、いくらでも作ってやるよ。さあ、どんどん食え」
「ありがとう、えっと……?」
「ドロッチェだ、よろしくな」
「うん、よろしくね、ドロッチェ! みんなも!」
エフィリンが加わったおかげで、パーティーはますます盛り上がったのだった。
パーティが終わり、みんなはドロッチェの店を出て、それぞれの家に帰って行った。寝る場所がないエフィリンは、カービィのアパートに泊めてもらうことになった。
マルクは笑顔でみんなに「おやすみ」を言ったが、一人になったとたん、不機嫌な表情でつぶやいた。
「ドロッチェのヤツ……一瞬だけど、ボクをおかしな目で見てたな。まさか、ボクを疑ってるのか? フン。この街はおひとよしだらけだと思ってたけど、アイツにだけは、気をつけたほうが良さそうだぜ!」
☆゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜・。。・
夜ふけになって、ドロッチェは、ひかりのまちのメタナイト邸を訪れた。
もちろん、かぜのまちの住民は、ひかりのまちに立ち入ることはできない。二つの街をへだてる門を、きびしい門番が見はっているからだ。
けれど――昼は気のいいカフェ店長、その正体は大盗賊のドロッチェにかかれば、門番なんて置物みたいなもの。監視の目をかんたんにかいくぐって、やって来たのだ。
「よう、メタナイト。こっちは、相変わらずだな」
いつものように、玄関ではなく窓から侵入したドロッチェは、あいさつもそこそこに、そう切り出した。
居間のロッキングチェアにすわり、読書にいそしんでいたメタナイトは、顔も上げずに言った。
「相変わらず、とは?」
「霧が立ちこめてるってことさ。かぜのまちの霧は、すっかり晴れたんだが」
「……なに?」
メタナイトは顔を上げ、本をかたわらに置いた。
「本当か? 霧が?」
「ああ。霧の発生装置が見つかってな。ぶっこわしたら、とたんに晴れた」
「なんだと? では、この霧はやはり自然現象ではなく、何者かのしわざだったということか……」
「何者かじゃなく、マホロアさ」
「マホロア?」
「ああ。ヤツが魔法の装置を使って、霧を発生させてた……ってことが、わかったんだ」
メタナイトは、身を乗り出した。
「なんと!? マホロアめ、いつのまに、チョコレート・タウンに戻っていたのだ。しかも、霧を作り出して、盗みをくり返していたというのか?」
「そういうことになってるんだが、オレはどうも、ふに落ちなくてね。というのも……」
ドロッチェが、話を続けようとしたときだった。
居間のドアがノックされ、バル執事が入ってきた。
バル執事はドロッチェを見ると、どんよりしたため息をついた。
以前なら、窓から侵入したドロッチェを見るやいなや、「出て行け!」とどなりちらしたものだが、へそくりを盗まれて以来、あらゆる気力を失ってしまっているのだ。
「……だんな様。お客様です」
「客? こんな夜ふけに? 今夜は、だれとも会う予定はないが」
「約束はしていないようですが、どうしてもと言いはっていて……」
すると、バル執事の後ろから、ヒョコッと顔をのぞかせた者があった。マホロアだ。
マホロアは、以前の事件のとき、古代機械の歯車を手に入れるために、メタナイトを利用しようとしたことがある。
結局、たくらみがバレて、メタナイトを怒らせてしまったのだが、当のマホロアはさっぱり気にかけていない様子だ。
「コンバンハ、メタナイト様! お久しぶりだネェ!」
マホロアは、かわいらしく手を振った。
バル執事は、どんよりした目でマホロアを見下ろすと、以前のように怒り出すこともなく、そのまま居間を出て行ってしまった。
ドロッチェが言った。
「執事さん、だいぶん重症だな。なんとかして、へそくりを取り返してやらないと」
マホロアはトコトコと居間に入ってくると、ドロッチェを見て、わざとらしくおどろいた。
「ワア、ドロッチェもいたんダ! びっくりしたナァ!」
ドロッチェは、ニヤリとした。
「見えすいた芝居はいらないぜ、マホロア。やっぱり、メタナイトをたよって来たか。さあ、洗いざらい、話してもらおうか」
するとマホロアは、ふてくされた様子で、ソファにピョコンとすわった。
「話せることなんて、ないヨ! ボク、なんにも知らないんダ。ワナにかけられたんだヨォ!」
「あの霧発生装置は、おまえの物ではないんだな?」
「ちがうヨォ! マルクってヤツが、ボクに押しつけたんだヨォ!」
「……やっぱりな」
ドロッチェはうなずいたが、メタナイトが口をはさんだ。
「煙突掃除屋のマルクのことか? 彼は、とても善良な掃除屋だが……?」
マホロアは、たまりかねたように叫んだ。
「ゼンゼン、ちがうヨォ! メタナイト様は、アイツにだまされてるんだヨォ!」
「……なに?」
「アイツは、ただの煙突掃除屋じゃないヨ! ボク、わかるんダ。アイツから……ボクと同じニオイを感じるんだヨォ!」
「おまえと同じ……におい……?」
メタナイトは、じっとマホロアを見つめて、言った。
「ウソつきな裏切り者のにおい、という意味か?」
マホロアは、両手を振り上げて怒り出した。
「ちがうヨォ! ワァン、メタナイト様、ボクのこと、そんな風に思ってたんだァァ!?」
「……ちがうのか?」
「当たり前だヨォ! アイツから、魔法のニオイをプンプン感じるんだヨォ!」
「魔法だと……?」
メタナイトは、おどろいて聞き返した。
「マルクが魔法使いだというのか? いや、まさか」
「ホントだヨ! アイツは、邪悪でずるがしこい魔法使いだヨ。アイツが、魔法で霧を発生させて、貴族サマのお屋敷からお宝を盗んでるんだヨ。信じてヨォ、メタナイト様!」
「ことわる。私は、うさんくさいおまえより、まじめなマルクを信じる」
「ウワァァン! ひどいヨォ! メタナイト様のばかァ!」
二人のやり取りを、おもしろそうに聞いていたドロッチェが、口を開いた。
「まあ、待てよ、メタナイト。マホロアはたしかに、ウソつきの裏切り者だが、今回ばかりは、オレはこいつを信じるぜ」
「……エ?」
メタナイトとマホロアは、ドロッチェを見た。
「オレも、最初はマルクを信じてた。善良で、まじめなヤツだってな。だが、どうも引っかかってるんだ」
「なにがだ?」
メタナイトがたずねると、ドロッチェは言った。
「オレは、マルクがマホロアにぶつかるところを見た。そのあと、マホロアのマントの内側から、霧発生装置が転がり出てきた。思い返してみると、あのぶつかり方は、ちょっとわざとらしかったぜ。あのとき、マルクがマホロアに装置を押しつけたんだろう」
マホロアは、コクコクとうなずいた。
「そうだヨ! さすが、ドロッチェだヨォ!」
「それに、毎晩、晩メシを食べたあとのマルクがどこでなにをしてるのか、不明なんだ。アイツは野宿をしてると言ってるらしいが、公園でも広場でも、アイツが寝泊まりしてるのを見たって話は聞かない。これはちょっと、おかしいんじゃないか?」
メタナイトが言った。
「かぜのまちも、霧が深かったのだろう? だから、人目につかなかったのではないか」
「そうかね。オレは、どうも、マルクが見かけどおりのヤツとは思えなくなってきたんだ。大盗賊のカンってヤツかな」
マホロアが、飛び上がって拍手をした。
「ワァイ、さすが、大盗賊ドロッチェ様ァ! かっこいいヨォ!」
ドロッチェは、ソファに深くすわり直して言った。
「今のところ、みんながマホロアをうたがっている。だが、オレは真相を突き止めたい。本当の犯人がだれなのか、あばいてやりたいんだ」
メタナイトが、ふしぎそうに言った。
「ずいぶん熱心だな。どういうわけだ? 警察のまねごとなど、君らしくない」
「警察だって? やめてくれよ」
ドロッチェは、気分を害したように、メタナイトをにらんだ。
「オレは、この犯人のやり口が、気に入らないだけさ」
「なんだと?」
「魔法の装置で霧を作り出し、姿をかくしてコソコソ犯行を重ねるなんて、ぜんぜんスマートじゃない。しかも、価値ある宝石や美術品ばかりか、執事さんのへそくりまで盗み出すなんて! 要するに、金目のものなら、なんでもかまわないんだろう。オレは、そんなつまらんヤツに街を荒らし回ってほしくないのさ」
メタナイトは、笑った。
「なるほど。つまり、君の美学に反するということか。それなら納得だ」
ドロッチェは、熱くなりすぎてしまったことに照れたのか、早口で言った。
「とにかくさ、オレは、マルクが本当に悪党なのかどうか確かめたいんだよ」
「どうやって?」
「オレに、考えがある」
ドロッチェは、マホロアを見た。
「エフィリンって探偵が、かぜのまちにやって来たんだ。ぜったいにマホロアを見つけ出すって、張り切ってる」
マホロアは、ムッとした。
「知らないネ、そんなヤツ。ボクが、探偵なんかに、見つかるはずないヨォ!」
「いや、見つかってくれ、マホロア」
「……エ? どうして?」
「真相を突き止めるために、事件についてのくわしい情報を手に入れたい。つまり……」
ドロッチェは、ニヤリと笑った。
「警察に、堂々と乗りこみたいのさ。そのために、マホロア。おまえの協力が必要なんだ」
『かぜのまち』の霧が晴れて事件解決!と思っていたけれど、犯人は、マホロアではないみたい…? 事件の真相を追って、メタナイトとドロッチェ、そしてマホロアが動き出します! 次回『犯人は、だれだ』をおたのしみに!(7月10日公開予定)
『星のカービィ 夢幻の歯車 霧につつまれた大事件!?』は2026年8月5日発売予定!
- 【定価】
- 880円(本体800円+税)
- 【発売日】
- 【サイズ】
- 新書判
- 【ISBN】
- 9784046323972
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『星のカービィ ワドルディのおるすばん大決戦!!』好評発売中!ためし読みも公開中だよ♪
- 【定価】
- 814円(本体740円+税)
- 【発売日】
- 【サイズ】
- 新書判
- 【ISBN】
- 9784046323590
大人気発売中『星のカービィ 天駆ける船と虚言の魔術師』もためし読み公開中!
作:高瀬 美恵 絵:苅野 タウ 絵:ぽと
- 【定価】
- 1,320円(本体1,200円+税)
- 【発売日】
- 【サイズ】
- B6判
- 【ISBN】
- 9784041116197
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