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【スペシャルれんさい】『星のカービィ 夢幻の歯車 霧につつまれた大事件!?』第3回 犯人をつかまえろ!



2026年7月発売予定の小説『星のカービィ 夢幻の歯車 霧につつまれた大事件!?』が、どこよりも早く読めちゃう、先行ためし読みスタート!
大人気発売中の『星のカービィ 夢幻の歯車を探せ!』に続く、飛行機乗りのカービィのお話だよ。いつものプププランドとはちがう、別の世界の物語の世界へ飛びこもう!

◆第3回
ふしぎな霧がチョコレート・タウンをつつみ始めたのと同時に起こった、『ひかりのまち』での盗難事件。霧との関係は? そして、犯人はいったいだれなのか…?
カービィたちが、事件の真相にせまります!

☆゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜・。。・

犯人をつかまえろ!

☆゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜・。。・

 その翌日の午後。

 ドロッチェ・カフェに、いつものメンバーが顔をそろえている。

 カービィと、デデデ社長と、ワドルディ。他に客はいない。テーブルには、山盛りのチョコレート・デザートがならべられていた。

 店主のドロッチェはイスにすわって、しゃべり始めた。

「聞いてくれよ。昨夜、ついに、メタナイトの館もやられたんだ」

 ドロッチェの言葉を聞いて、三人はおどろいた。

「やられた……って……泥棒に入られたってこと!?」

 カービィが叫ぶと、ドロッチェはうなずいた。

「ああ。警戒してたのに、まんまとやられた。もっとも、あいつは、貴族にしては宝石や美術品に興味がなくてな。貴重な古書やら、世界じゅうの武器やら、高級車やらは持ってるが、泥棒に狙われそうなものはないんだ」

「じゃあ、なにをぬすまれたの!?」

「執事さんの、へそくりさ」

 ドロッチェは、気の毒そうに頭を振った。

「キッチンの棚にかくしていたおこづかいを、ごっそり盗まれたそうだ。執事さんは、ショックで寝こんじまった。メタナイトは、そんな執事さんを心配しててな。ぜったいに泥棒をゆるさないと、激怒してる」

 ワドルディが言った。

「なんてことを……執事さん、かわいそうですね」

 デデデ社長が、いまいましげに言った。

「警察が無能だからだわい。署長め、的外れな捜査なんてやめて、とっとと犯人をつかまえろ!」

 カービィが、山盛りのパフェをすくいながら言った。

「飛行機が盗まれなくて、よかったね。ハルバード号が盗まれたら、メタナイトが寝こんじゃうところだったよね」

 ドロッチェは笑った。

「寝こむどころか、なにもかも捨てて、犯人探しの旅に出かねないぜ。それはともかく……一連の事件について、オレなりに考えてみたんだが」

 ドロッチェは、声をひそめた。

「事件が起きたのは、街が霧につつまれ出してからだ。犯人は、毎晩のように霧を利用して姿をかくし、盗みを重ねてる。できすぎてると思わないか? まるで、犯人のために、都合よく霧がわいてきたかのようだ」

「むむ……? どういう意味だ?」

 デデデ社長が首をひねった。

 ドロッチェは言った。

「この霧、ただの自然現象じゃないかもしれない。犯人が、作ってるんじゃないかと思うんだ」

 カービィが、びっくりして、パフェを食べる手を止めた。

「作る? 霧を? そんなこと、できるの?」

「ひょっとしたら、霧を作り出す魔法なんてものが、あるかもしれないだろ? オレは魔法のことはさっぱりわからないが、すご腕の魔法使いなら……」

 と、そのときドアが開いて、ススだらけのマルクが入ってきた。

 ドロッチェが言った。

「おや? どうした、マルク。うちの煙突は、今朝、掃除してもらったばかりだぜ」

「ボク、のどがかわいちゃったのサ。水を一杯、飲ませてもらえないかと思って」

「ああ、そんなことか。お安いご用だ。特製フルーツジュースを飲んでくれ。ついでに、ランチを食べて行かないかい? もちろん、タダにしておくぜ」

 マルクは、笑顔で言った。

「ありがとう、でも、いいのサ。ボク、ススだらけだから、すわったらイスが真っ黒になっちゃうのサ」

「そんなこと、気にするなよ」

「ううん、なるべくたくさんの家の煙突をきれいにしたいから、お水を飲んだらすぐに行くのサ!」

「そうかい。じゃ、すぐにサンドイッチを用意するから、持ってってくれよ。それなら、好きなときに食べられるだろ?」

「わあ、ありがとう、ドロッチェ」

「大急ぎで作るから、ちょっと待っててくれ」

 ドロッチェがキッチンに引っこむと、デデデ社長が言った。

「さっきの話の続きだが……ドロッチェの推理が当たってるとしたら、犯人は魔法使いってことになるな」

 ワドルディが言った。

「昔は、この街にも、たくさんの魔法使いがいたって聞きました。でも、今では見かけないですよね」

「うむ。魔法使いなんて、昔話だわい」

 すると、マルクが振り向いてたずねた。

「魔法使い? なんの話サ?」

 デデデ社長が、チョコレート・クッキーをつまみながら答えた。

「ああ、例の盗難事件のことでな。犯人は、霧にまぎれて姿をかくしてるらしい。ひょっとしたら、犯人が魔法で霧を作り出してるんじゃないかというのが、ドロッチェの考えなのだ」

 マルクは、一瞬びっくりしたように目を見開いたが、すぐに、あきれたように頭を振った。

「ええ!? 魔法で霧を作る? そんな話、聞いたこともないのサ。いくら魔法使いだって、そんなこと、できるわけないのサ」

「うむ、オレ様もそう思うんだが……」

 そこへ、ワドルディが大声を上げた。

「あっ、社長! ぼく、いいことを思いつきました!」

「む? なんだ?」

「もしも、本当に魔法が使われてるのだとしたら、カービィが持ってる星のコンパスが役に立ちますよ!」

「ぼくのコンパス?」

 カービィは、きょとんとした。

 マルクが、ふしぎそうに言った。

「星のコンパスって? なんだい?」

「カービィは、以前に、魔法ギルドの大長老から、星のコンパスをもらったんです。魔法の力に反応する、ふしぎなコンパスなんです」

 デデデ社長が、顔をかがやかせた。

「おお、そうだ、そうだ! 霧の発生源が魔法装置なら、あれを使えば見つけられるぞ!」

「……へーえ……そんなコンパスが……あるのか……」

 マルクは、わずかに目を細めた。

 カービィは、ぴょこんと立ち上がって言った。

「そうだね! ぼく、アパートに戻って、コンパスを取ってくるね!」

 ワドルディが、うなずいた。

「うん! あのコンパスを持って、街じゅうを探してみようよ。悪い魔法使いの居場所が、わかるかもしれないよ」

「すぐに取ってくる。待っててね」

 カービィは、カフェを走り出ていった。

 ワドルディが、笑顔で言った。

「前回の事件のときも、歯車を探すのに、星のコンパスが大活躍しましたよね。今回も、きっと役に立ちますよ」

 デデデ社長が笑った。

「もしも魔法使いを発見できたら、ただではすまさん。オレ様が、正義のハンマーでぶちのめしてやるわい!」

 マルクが叫んだ。

「え、え、えっと……! ボク、もう行かなくちゃ!」

「え?」

 デデデ社長とワドルディは、おどろいた。

「なにを言ってる。今、ドロッチェが、おまえのためにサンドイッチを作ってるんだぞ」

「ボ、ボク、やっぱり、おなかがすいてない気がしてきたのサ……」

 マルクが、そろそろと、ドアのほうへ歩き出したときだった。

 いきおいよくドアが開き、新たな客が入ってきた。

 耳つきのフードをかぶり、大きなスーツケースを引きずっている。

「コンニチハ! ヤァヤァ、久しぶりだネェ!」

 明るくあいさつをした客を見て、デデデ社長とワドルディは飛び上がった。

「マ……マホロア――!?」

「き、きさま、なぜここに!?」

 マホロアは、旅の薬売り。カービィたちとは、以前からの知り合いだ。

 前回の事件のときは、夢幻の歯車をめぐって暗躍し、カービィたちを出しぬこうとした。そのあとは、いずこへともなく、姿を消していたのだが……。

「ボク、この街が霧につつまれたって聞いて、心配になったんだヨォ。それで、ミンナの様子を見に……」

 マホロアは、ニコニコの笑顔で言いかけたが、そのとき、店内に立っているマルクに気づいた。

 とたんに、彼の目に、するどい光が宿った。

 マルクのほうも、けわしい目でマホロアをにらんでいたが――ふいに、その目がキラッとかがやいた。

 そこへ、キッチンから、紙袋を持ったドロッチェが出てきた。

 ドロッチェは、マホロアに気づいて、目をまるくした。

「マホロア? どうしてお前がここに……?」

 だが、マホロアが答えるより先に、マルクが言った。

「ドロッチェ、ボク、もう行かなきゃ!」

「ああ、待たせたな。ほれ、サンドイッチとフルーツジュースだ」

「ありがとう!」

 マルクは、にっこり笑って紙袋を受け取った。

「これを食べれば、元気が出るのサ。じゃあ……」

 店を出て行こうとしたマルクは、一瞬よろけて、マホロアにぶつかってしまった。

「あっ、ごめんよ、キミ!」

「……フン。気をつけろヨ」

「ごめん、ごめん!」

 マルクは、ふと思い出したように、つぶやいた。

「そういえば、ウワサを聞いたことがあるのサ。どこかに、魔法装置で霧を作ることができる魔法使いがいるって」

 デデデ社長が、きょとんとしてたずねた。

「なんだと? マルク、さっきは、いくら魔法使いだってそんなことはできないとか言ってなかったか?」

「今、思い出したのサ! この街の霧は、やっぱり魔法使いのしわざかもしれないのサ。じゃあな、また!」

 そして、マルクは、はずむような足取りで店を出て行った。

 マホロアは、ふゆかいそうに言った。

「……………………今の、ダレ?」

 デデデ社長が答えた。

「マルクだわい。腕ききの煙突掃除屋だ」

「煙突掃除屋……? フン……あやしいネェ」

「なんだと?」

「なんでもないヨ。それより、カービィは?」

 ワドルディが言った。

「カービィは、アパートに戻ってて……あ、来た来た」

 ドアが開いて、息を切らせたカービィが駆けこんできた。

「持ってきたよ、星のコンパス! これを使って……」

 と、そのとき。

 リンリンリン……と、軽やかな鈴の音がひびいた。

 カービィは、目をパチパチさせた。

「あれ? 星のコンパスが光って……音が鳴ってる……」

 コンパスを手にとって顔を上げたカービィは、目の前にマホロアが立っているのに気づいて、大声を上げた。

「マホロアァァ!? なんで、ここに……!?」

「久しぶりだネ、カービィ。ボクは……」

 しかし、マホロアをさえぎって、ドロッチェが叫んだ。

「カービィ! コンパスを確かめろ!」

「あ……あ……う、うん! この近くで、魔法の力がはたらいてるみたいだけど……?」

 カービィはコンパスをかまえてウロウロ歩き、マホロアにぶつかりそうになった。

 コンパスが、最大の音量で鳴っている。

 カービィは、自信をこめて言った。

「わかったー! このへんに、魔法の力があるよ!」

 たちまち、デデデ社長がおどり上がり、マホロアに飛びかかった。

「きさまか、マホロア! 魔法を使って霧を作り出しているのは――!」

 マホロアは、びっくりぎょうてん。

「エ……エエエエ……? なんのコト? ボク、ちっとも……」

「ええい、すっとぼけるな! 星のコンパスが反応しているのだ!」

 デデデ社長が、マホロアをゆさぶると――マホロアのマントの内側から、なにかがぽろりとこぼれ落ちた。

 小さな歯車が無数に組み合わされた、複雑な装置だ。

「これは……魔法の装置!?」

 デデデ社長がひろい上げた。

 マホロアは叫んだ。

「し、知らないヨォ! ボクのじゃないヨォ!」

「だが、おまえのマントの中から出てきたんだぞ。これこそ、霧を作り出す装置にちがいない!」

「ボク、知らな……あ! さっき、アイツが……!」

 マホロアは、必死にうったえた。

「あのマルクってヤツが、ボクにワザとぶつかってきたんだヨォ! あのとき、アイツがこっそり、ボクに押しつけたんだヨォ!」

 デデデ社長は、マホロアをにらみつけた。

「くだらん言いわけをするな! マルクが、そんなことをするはずがないだろう!」

「ホントだヨォ! ボク、そんな装置、知らないヨォ!」

「しらばっくれるか、こいつ……!」

 デデデ社長は、マホロアをつかまえた。

 だが、いきおいあまって、持っていた装置を床に落とし、思いきり踏みつけてしまった。

 装置は、パリン……と小さな音を立てて、割れた。いくつもの歯車がはじけ飛んだ。

 カービィが言った。

「わわわ、こわれちゃったよ! もう、デデデ社長ったら!」

「うわっ、すまん。だが、こいつが……」

 デデデ社長が、割れた歯車をひろい上げて、言いかけたときだった。

 ワドルディが叫んだ。

「あ、あれぇ!? 外を見てください! 霧が……!」

「え?」

 全員が、窓のほうを見た。

 たった今まで、窓の外は真っ白で、なにも見えなかったのだ。だが、街をつつんでいた霧が、みるみる晴れていく。

 向かいの店の看板や、道行くひとびとが見えてきた。みんな立ち止まり、おどろいたように、あたりを見回している。

「霧が、晴れた!?」

 カービィが、まっさきにドアを開けて、店を飛び出した。続いて、デデデ社長やワドルディ、ドロッチェも。

「どうして、急に!?」

 カービィは空を見上げた。本当に久しぶりに、青い空が見えた。あたたかな日の光も感じられる。

 デデデ社長が、割れた歯車をにぎりしめて、言った。

「やはり、これが霧の発生装置だったのだ。これをこわしたから、霧が晴れたのだ!」

 デデデ社長は、店のほうを振り返った。

「犯人はきさまだ、マホロア!」

 店から出てきたマホロアは、はげしく頭を振って叫んだ。

「ボクじゃないヨォ! ホントだヨォ!」

「ウソつきめ! ゆるさんぞ!」

 デデデ社長が飛びかかったが、マホロアはすばやくかわした。

「逃げるな、この!」

「ボクじゃない! 悪いのは、アイツ! マルクだヨォ!」

「まだ、そんな言いわけを!」

「ウワァァァン!」

 マホロアは、逃げ出した。霧の晴れた通りを、ぴょんぴょんと飛ぶように。

「待て、マホロア……!」

 デデデ社長は追いかけようとしたが、マホロアは逃げ足が速い。あっというまに、姿を消してしまった。

「逃げられたか……くっ!」

 デデデ社長はくやしがったが、もう、あとの祭り。

 カービィが言った。

「ぼく、なにがなんだか、わからないよ。なんで、マホロアは、この街に戻ってきたの?」

 ワドルディが言った。

「霧が気になって、ぼくらの様子を見に来たって言ってたけど……」

 デデデ社長が言った。

「ウソだわい。あいつが、魔法で霧を作って、盗みをくり返していたんだわい! ええい、腹立たしい……!」

 ドロッチェが、小さくつぶやいた。

「なんだか、引っかかるな……こんなやり口は、マホロアらしくない気がするぜ。それに、マホロアが犯人だとしたら、わざわざ、うちの店に顔を出す理由がないよな」

 カービィが、そのつぶやきを聞きつけて、言った。

「ぼくも、マホロアは犯人じゃないと思う!」

 ワドルディが言った。

「でも、霧の発生装置を持ってたんだよ。警察に届けたほうがいいんじゃ……」

「いや、警察には知らせん」

 と、デデデ社長が言った。

「え? でも、社長……」

「オレ様は、あの署長が気に入らんのだ。あいつに手柄を立てさせてたまるか!」

「ええ……じゃ、マホロアは、どうするんですか?」

「どうもせんわい。ほうっておけばいい。オレ様が、あいつの魔法装置をぶっこわしてやったからな。もう、二度と悪さはできまい!」

 デデデ社長は、いばって胸を張った。

「それでいいのかなあ……?」

 ワドルディは気がかりそうだが――そこへ、たくさんの歓声が聞こえてきた。

「霧が晴れた! わあ、青空が見えるよ!」

「うれしい! ようやく、洗濯物が外に干せるわ!」

「おひさまが、まぶしいなあ! こんなの、久しぶりだよ!」

 かぜのまちのあちこちに、よろこびの声があふれている。

 カービィたちも、笑顔になった。

「これで、飛行機レースができるね。やったぁ!」

「観光客も戻って来るだろう。オレ様の勇姿を見せてやるわい!」

 久しぶりに、気持ちのいい風が、町を吹きぬけていった。

     


みんなを困らせていた霧が晴れた! これからまた、元のように飛行機レースもできるはず!! …でも、この霧って、本当に、マホロアのせいだったの? 気になることはいろいろあるけれど、とりあえずは、事件解決…?
そんな『かぜのまち』に、あらたな旅人がやってくる!? 次回『名探偵登場!』をおたのしみに!(7月3日公開予定)



『星のカービィ 夢幻の歯車 霧につつまれた大事件!?』は2026年7月8日発売予定!


作: 高瀬 美恵 絵: 苅野 タウ 絵: ぽと

定価
880円(本体800円+税)
発売日
サイズ
新書判
ISBN
9784046323972

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前巻『星のカービィ 夢幻の歯車を探せ!』もチェック♪


作: 高瀬 美恵 絵: 苅野 タウ 絵: ぽと

定価
880円(本体800円+税)
発売日
サイズ
新書判
ISBN
9784046319821

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定価
814円(本体740円+税)
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サイズ
新書判
ISBN
9784046323590

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大人気発売中『星のカービィ 天駆ける船と虚言の魔術師』もためし読み公開中!



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定価
1,320円(本体1,200円+税)
発売日
サイズ
B6判
ISBN
9784041116197

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