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【スペシャルれんさい】『星のカービィ 夢幻の歯車 霧につつまれた大事件!?』第1回 旅の煙突掃除屋さん

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1 旅の煙突掃除屋さん

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「ヘイ、ヘイ、ヘーイ! 煙突掃除はいかが? 煙突掃除、煙突掃除なのサ~!」

 まっさきに聞きつけたのは、デデデ社長だった。

 デデデ社長の工場は、煙突の不具合で、休業中。

 従業員のワドルディたちも仕事ができず、毎日ため息をついてばかりだ。

 仕事はできないわ、大好きな飛行機レースもできないわ……で、デデデ社長の機嫌も日増しに悪くなる一方。そんなところへ、救いの声が聞こえてきたのだ。

「なに!? 煙突掃除だと!?」

 ベッドでふて寝していたデデデ社長は、ガバッと起き上がって、外に飛び出した。

「おーい、ここだ、ここだ! 煙突掃除屋! 来てくれ!」

「はいよ。ボクを呼ぶのは、ダレだい?」

「オレ様だ、デデデ社長様だ! こっち、こっち!」

 デデデ社長は、霧の奥から聞こえてくる声に向かって、両手を大きく振った。

 と――社長の前に、奇妙な人影が飛び出してきた。

 まるい顔に、くりくりっとした目。

 まるで道化師のような二股のトンガリぼうしをかぶり、大きなハシゴをかついでいる。

 デデデ社長は、めんくらった。

「……なんだ? きさまが煙突掃除屋……?」

「そうサ。ボクはマルク。腕ききの、煙突掃除屋さんなのサ!」

 マルクと名乗った煙突掃除屋は、愛想よく笑った。

 デデデ社長は、マルクをまじまじと見つめて、言った。

「見かけん顔だな。この街の者ではないな?」

「ボクは、旅の煙突掃除屋なのサ。この街が、煙突のススだらけで困ってるって聞いて、駆けつけたのサ!」

「そうか。それは助かる。うちの工場の煙突にススがつまってしまってな、仕事にならんのだ。掃除してくれんか」

「お安い御用サ。どんなススでも、パパっとやっつけちゃうのサ!」

 マルクは、にっこり笑った。

「よし、来い。こっちだ」

 デデデ社長は、マルクを工場へと案内した。

 マルクは、工場の大きな煙突を見上げると、陽気な声で叫んだ。

「マルクにおまかせ! このススだらけの煙突を、あっというまにきれいにしちゃうのサ~!」

「ああ、たのんだぞ」

 デデデ社長は手を振って、工場を出た。


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 しばらくたって。

 デデデ社長の部屋に、ワドルディが駆けこんできた。

「社長! 社長! たいへんです!」

「う……あぁ?」

 昼寝をしていたデデデ社長は、目をこすりながら起き上がった。

「なんだ? どうした?」

「煙突が……煙突が……!」

「ふぁぁ?」

「すっかり、きれいになりました!」

 ワドルディの声は、はずんでいた。

 デデデ社長は、おどろいて言った。

「なに? あいつがやったのか?」

「もちろんです。あのマルクって煙突掃除屋さん、すご腕ですよ!」

 デデデ大王は、急いで工場に駆けつけた。

 マルクは、床に落ちた大量のススを袋につめこんで、あとかたづけをしているところだった。トンガリぼうしから、靴の先まで、真っ黒だ。

 マルクはデデデ社長を振り返り、にっこりして言った。

「お掃除、終わったぜ! これでもう、安心なのサ!」

 ワドルディが、工場の機械を調べて、叫んだ。

「はい! 煙突がきれいになったおかげで、機械がちゃんと動くようになりました!」

「おおお……でかしたぞ、マルク!」

 デデデ社長は感激して、手をたたいた。

「お礼は、たっぷりしてやるぞ。ワドルディ、金庫をあけろ……」

 すると、マルクは頭を振って言った。

「お礼なんて、いらないのサ」

「え?」

「ボクは、困ってるみんなを助けたいだけなのサ。みんなの笑顔が、ボクのごほうびなのサ」

 デデデ社長は、おどろいて言った。

「なんと! おまえ、いいヤツだな。気に入ったぞ、マルク。せめて、うちでシャワーを浴びて、さっぱりしていけ」

「ダメダメ、まだボクの仕事は終わってないのサ。次の煙突掃除に向かわないとな。さよなら、社長さん」

 マルクは、さっさと出て行こうとする。

 デデデ社長は、あわてて叫んだ。

「待て待て、なにかお礼をせねば、オレ様の気がすまん。そうだ、仕事が終わったら、うちに来い。おまえの歓迎パーティをしてやる。うまい料理を、たっぷり食わせてやるぞ。ワドルディは料理の名人だからな!」

 マルクは、うれしそうに言った。

「ありがとう! じゃ、今日の仕事がぜんぶ終わったら、また来るのサ」

「待っているぞ」

 マルクは出て行き、デデデ社長は腕組みをして言った。

「えらいヤツだな! みごとな仕事ぶりだったわい」

 ワドルディも、深くうなずいた。

「それに、ちっとも欲がなくて、みんなのために働こうとしてるんです。りっぱです!」

「あいつのために、今晩はとびきりの料理を用意しろ」

「はい!」

 ワドルディはウキウキしながら、今晩のメニューを考え始めた。


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 大きなテーブルにならんだのは、チーズとベーコンとトマトたっぷりピザに、山盛りのハンバーグ、ポテトサラダ、マカロニグラタン、特大トンカツ、フライドチキン、具だくさんのピラフ……デザートにはアップルパイとアイスクリームも用意してある。

「うわあ、おいしそうだな!」

 マルクは歓声を上げた。

 パーティの前にシャワーを浴びて、ススを洗い流したので、顔もトンガリぼうしもツヤツヤだ。

「さすがワドルディ! 早く、早く食べようよ~! ぼく、おなかペコペコ!」

 目をキラキラさせて叫んだのは、カービィ。

 デデデ社長が、ジロッとカービィをにらんで言った。

「……なんで、おまえまで来るんだ? オレ様が招待したのは、マルクだけだぞ」

「マルクは、ぼくのアパートの煙突も掃除してくれたんだ。そのとき、今夜デデデ社長の家でパーティをするって聞いたんだよ。パーティなのに、ぼくがいないと、さびしいでしょ?」

「そんなわけがあるか!」

 デデデ社長は、カービィをどなりつけた。

 ワドルディが、あわてて言った。

「社長、とにかく始めましょう。マルクさんの歓迎パーティですよ。みなさん、たっぷり召し上がれ。お料理は、まだまだたくさんありますからね」

「わぁい、いただきまーす!」

 カービィはフォークとナイフを手に、いきおいよく料理を食べ始めた。

「ぬぬ!? 特大トンカツは渡さんぞ、カービィ!」

 デデデ社長も、ガツガツと料理を平らげていく。

 マルクをもてなすという目的を、さっぱりわすれてしまったようだ。

 ワドルディが、マルクのお皿にピザを取り分けて、言った。

「えっと……マルクさんの話を聞かせてください。この街に来るのは、初めてですか?」

「そうサ」

 マルクは、行儀よく料理を食べながら言った。

「たしか、この街って、以前はダイヤモンド・タウンって呼ばれてたよな? いつから、名前が変わったのサ?」

 マルクの質問に、ワドルディが答えた。

「少し前に、街をゆるがす大事件があったんです。鉱山から掘り出されていたダイヤモンドが、ぜんぶ、おいしいチョコレートになって……それで、街の名前も、チョコレート・タウンに変わったんですよ」

「ダイヤモンドが、チョコレートに? そんなフシギなことがあったのかい?」

「はい。ダイヤモンドをチョコレートに変える、古代機械が発見されて……大事な部品の歯車がなくなったせいで、ずっと停止していたんですけど、カービィたちが歯車を見つけたので、また動き出したんです」

「すごいな。それで、この街には、チョコレートのあまいかおりが漂ってるんだな」

 ワドルディは、にっこりした。

「はい。古代機械のおかげで、ぼくらも毎日チョコレートを食べられるようになったんです。以前は、そんな高級品、ひかりのまちのみなさんしか食べられなかったんですよ」

「ひかりのまちって?」

「この街は、二つのエリアに分かれてるんです。ぼくらが住んでるのは、かぜのまち。チョコレート・タウンの中心部は、ひかりのまちと呼ばれていて、そこには貴族のみなさんが住んでいるんです」

「ほほん……なるほど。貴族のみんなも、ススで困ってるかもしれないな。明日は、ひかりのまちに行ってみるのサ」

 デデデ社長が口をはさんだ。

「いや、ひかりのまちには入れんぞ。貴族の連中は、気取ってるからな。よそ者は、追い返されるに決まっとる」

 カービィが言った。

「もし追い返されそうになったら、メタナイトをたよるといいよ。メタナイトなら、きっと味方になってくれるよ」

 マルクがたずねた。

「メタナイト? そのひとも、貴族かい?」

「貴族だけど、いい貴族だよ。かっこよくて、強いんだ。ぼくたちの友だちなんだよ」

「わかった。なにかあったら、メタナイトって貴族をたよりにするのサ」

 デデデ大王が言った。

「それはそうと、マルク、おまえは、あちこち旅をしているのだろう? どこかで、同じような霧の話を聞いたことがあるか?」

 マルクは、困り顔で言った。

「ううん、ボクも、こんな霧は初めて見たのサ。本当にフシギな現象なのサ。霧が晴れないかぎり、煙突は汚れるばかりだし、心配なのサ……」

 カービィが言った。

「でも、だいじょーぶ! 煙突が汚れたら、マルクがお掃除してくれるもんね!」

「もちろんなのサ。この霧がおさまるまで、ボクはこの街にいるから、安心してほしいのサ!」

 デデデ社長は、笑顔でうなずいた。

「うむ、たよりにしているぞ。マルク、オレ様はおまえを歓迎する。シャワーも食事も、好きなだけ、うちを使ってくれ」

「ありがとう! ボク、みんなのために、力いっぱいはたらくのサ!」

 マルクはにっこりした。

 立ちこめる霧のことは心配だけれど、腕ききの煙突掃除屋がいれば、きっとだいじょうぶ。

 みんな、安心して、楽しい時間を過ごしたのだった。

     


とつぜんの霧で、みんなが困ってしまったけれど、腕ききの煙突掃除屋さん・マルクが来てくれたから、もうだいじょうぶ! …でも、そのいっぽうで、事件が起こっているみたいで…? 
次回『霧の中の魔法使い』をおたのしみに!(6月19日公開予定)



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