2026年7月発売予定の小説『星のカービィ 夢幻の歯車 霧につつまれた大事件!?』が、どこよりも早く読めちゃう、先行ためし読みスタート!
大人気発売中の『星のカービィ 夢幻の歯車を探せ!』に続く、飛行機乗りのカービィのお話だよ。いつものプププランドとはちがう、別の世界の物語の世界へ飛びこもう!
◆第1回
飛行機乗りのカービィがかつやくする、大好評『夢幻の歯車』の世界の物語、第2弾!
いつものプププランドとはちがう、別の世界のカービィたちの大冒険が、いま、始まるよ!!
これは、いつものプププランドとはまったくちがう、
別の世界のものがたり。
ここは、チョコレート・タウン。
飛行機が大好きなカービィは、
デデデ社長やワドルディたちと、
のんきな毎日を送っている。
そんな平和な街に、
ある日、大事件が起きる。
はたして、カービィたちは、
事件を解決することができるのか。
夢幻の歯車がふたたび回り、
新たな冒険の幕が上がる――
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プロローグ
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ぽかぽか陽気の昼下がり、雲一つない真っ青な空の下。
三機の飛行機が、ぬきつぬかれつ、激戦をくり広げていた。
「今度こそ、オレ様の優勝だわい! おまえらには負けんぞ!」
操縦レバーをにぎりしめて叫んだのは、「グレートキングDDD三十四世号」のパイロット、デデデ社長。
そのすぐ後ろについたのは、「ハルバード号」のメタナイトだ。
「あまいな、デデデ社長。君の飛行機は、もう限界だ。ここは、私が!」
二機をのんびり追いかけているのは、「ワープスター号」のカービィ。
「勝負はここからだよ、二人とも。それじゃ、そろそろ、本気を出しちゃおうっと!」
カービィは、スピードを上げるスロットルに手をかけた。
ワープスター号が、ぐんっと加速する。
真下の原っぱには、おおぜいの観光客が押しよせていた。
ここチョコレート・タウンは、チョコレート鉱山から生み出される最高級チョコレートのおかげで、観光地として大にぎわい。
そして、カービィたちの華麗な飛行機レースも、観光の目玉として人気を集めているのだ。
「おおっ、すごい! さすが、カービィさん! あっというまに他の二機をぬき去ったぞ!」
「メタナイト様~! ぜったい勝って~!」
「デデデ社長、応援してるぞ! 今日こそ優勝してくれ!」
観光客たちは、旗やタオルなどの応援グッズを振って、大さわぎ。
彼らにまじって空を見上げていたワドルディが、大声で叫んだ。
「残り、半周です! レースは大接戦! 三人とも、気をつけて!」
と、そのとき。
とつぜん、太陽の光がさえぎられた。
けむりのようにわき上がった真っ白な霧が、街をつつみこんだのだ。
観光客たちは、どよめいた。
「うわっ、どうした!?」
「霧だ! 急に、霧が……!」
「あぶないぞ! 飛行機は、だいじょうぶか!?」
カービィは、いきなり視界が真っ白になり、あわてふためいていた。
「わわわ!? なに、これ!? ぜんぜん、前が見えないよ……!?」
デデデ社長もメタナイトも、とつぜんのアクシデントに大あわて。
「霧!? まずい、これでは操縦できんぞ!」
「しかたあるまい、脱出だ!」
二人は緊急脱出用のパラシュートを急いでせおい、機外に飛び出した。
けれど、カービィは逃げようとしなかった。
あせったのは、一瞬だけ。深呼吸を一つして、気持ちをおちつけると、操縦レバーをギュッとにぎり直した。
ワドルディが叫んだ。
「カービィ!? 早く脱出しなきゃ! パラシュートをせおうんだ、早く、早く!」
カービィは、じっと前方をにらんでいた。
これまでに、何百回も飛んでいるコースなのだ。
ゴール地点は、もうすぐ。視界はまったくきかないけれど、こころの目にははっきり見えている。
「ここだ……!」
カービィは、操縦レバーを思いっきり押しこんだ。
ワープスターはゴールラインを越えて、急降下した。
予定どおりの滑走路に、みごとに着陸!
同時に、轟音がひびいた。グレートキングDDD三十四世号とハルバード号が、もつれ合うように激突し、観光客がいない川べりに墜落、炎上したのだ。
「な、なんだ!? どうなった!?」
「パイロットたちは無事か!?」
霧の中で、観光客たちがうろたえている。
カービィは、元気よく飛行機から飛び下りて叫んだ。
「ぼくの勝ち! やったあ、これで百五十連勝だよ!」
「カービィ!?」
ワドルディが駆けよってきた。そして、パラシュートをせおったデデデ社長と、メタナイトも。
「よかった、カービィ! 無事だったんだね!」
「うん! 二人は、だいじょーぶ?」
「カービィ……うぬぬぬぬ!」
デデデ社長が、腹立たしげな声を上げた。
「今回のレースは無効だ! 霧のせいで、操縦できなくなったんだからな!」
「えー。ぼくは、できたもんね!」
メタナイトが、くやしそうにつぶやいた。
「私としたことが、判断をあやまった……脱出など、するべきではなかった!」
ワドルディが、あきれて言った。
「なにを言ってるんですか。とにかく、三人ともケガがなくてよかったです」
ワープスター号のまわりに、観光客たちが集まってきた。
「みんな、だいじょうぶ!?」
「ワープスター号だけが無事……? ってことは……」
カービィが、にっこりして言った。
「うん、ぼくの勝ちだよ!」
観光客たちは、どよめいた。
「この霧の中で、着陸したの!? すごい、カービィさん!」
「うわあ、ゴールするところ、見たかったよー!」
カービィは言った。
「霧が晴れたら、またレースをやるよ。そのときは、ぼくがかっこよく一番でゴールするところを見てね!」
すかさず、デデデ社長とメタナイトが叫んだ。
「くぁーっ、ふざけるな! 次はオレ様の勝ちだわい!」
「次こそ、君に敗北の屈辱を味わわせてやろう!」
観光客たちは、三人の闘志に、おしみない拍手を送った。
「いいぞ、三人とも!」
「次のレース、期待してるぞ!」
「早く機体を修理してね」
今回は残念だけれど、霧が晴れれば、また大迫力のレースが見られるはず。
みんな、そう思っていたのだが……。
次の日も、その次の日も、霧は晴れなかった。
カービィたちが住む「かぜのまち」は、いつもなら、活気あふれる陽気な街だ。けれど、霧のせいで、街から笑い声や歌声がなくなってしまった。
みんな、困り果てている。なにしろ、歩いているだけで、だれかにぶつかりそうになるし、少し遠出をしようものなら、帰る道がわからなくなってしまう。
それだけではなく、もっと深刻な問題も起きていた。
濃い霧のせいで、煙突から出るけむりが空に上って行かず、街じゅうがススだらけになり始めたのだ。
家々の壁も、道路も、黒いススにおおわれた。これでは、洗濯物を干すこともできないし、健康にもよくない。
観光客たちは、波が引くように、街を去っていった。
いくらチョコレートがおいしくても、街がこんなありさまでは、観光どころではない。
大繁盛していたホテルも、レストランも、みやげ物屋も、がらがらになってしまった。
「どうなってるんだよ!」
「このままじゃ、この街はおしまいだ!」
「だれか、なんとかしてぇ~!」
みんなが悲鳴を上げていた――そのとき。
かぜのまちに、陽気な声がひびきわたった。