KADOKAWA Group
ものがたり

【スペシャルれんさい】『星のカービィ メタナイトと魔石の怪物』第4回 いきなり船バトル!?


メタナイトが、海の怪物・キングフロッツォ討伐に挑む! 好評発売中のつばさ文庫『星のカービィ メタナイトと魔石の怪物』は、メタナイトが主人公の外伝第4弾!! 大人気外伝のためし読みを、今すぐチェックしよう☆ 

◆第4回
メタナイトたちが怪物・キングフロッツォの退治をすると聞いて、家を飛び出していってしまったピエトロの孫娘・ルチア。メタナイトに敵意を燃やすルチアが、海上で出会った船の正体は……?
 

☆゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜・。。・

いきなり船バトル!?

☆゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜・。。・ 

 ルチアは帆船の甲板(かんぱん)に立って、青い髪を風になびかせながら、水平線を見つめていた。

「キングフロッツォは、オレがぜったい、この手でぶっ倒す。よそ者なんかに、手出しはさせねえ!」

 決意を新たに、こぶしをにぎったときだった。

 ルチアは、すぐ近くに、見覚えのある白い帆船(はんせん)が航行していることに気づいて、びっくりした。

「あれは、メタナイトたちが乗ってきた船じゃねえか! どうして!? このルチア号が、追いつかれるなんて……!」

 ルチアは、目をギラッと光らせて、つぶやいた。

「オレのじゃまは、させねえぜ! 覚悟しな、メタナイト!」

☆゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜・。。・

 ……実は、それは、メタナイトたちの『夕映えのハーモニー号』ではなかった。

 そっくり同じ型の『朝焼けのメロディ号』。つまり、カービィやデデデ大王、ワドルディ隊を乗せた船だった。

 カービィたちは、本格的な船旅に、大はしゃぎ。

 船の冷蔵庫に用意されていたデザートを食べ散らかし、ドリンクを飲み散らかし、すっかりリゾート気分だった。

「ウッホホーイ! 極楽だわい!」

 デデデ大王は、甲板のデッキチェアに寝そべって、トロピカルドリンクを片手に、くつろいでいる。

 カービィは、両手にカップケーキを持ってぱくぱく食べながら、言った。

「これを食べ終わったら、つりをしようっと。おっきなおさかなをつるぞー!」

 バンダナワドルディが、甲板をそうじしながら言った。

「カービィ、つりもいいけど、ぼくらの目的は、タコ退治だよ。忘れないでね」

「もちろん、忘れてないよー! 早く出てこい、キングタコッツォ!」

「キングフロッツォだよ……」

 と、そのとき。

 マストに上って、双眼鏡(そうがんきょう)であたりを警戒(けいかい)していたぼうけんワドルディが、声を上げた。

「たいへん、たいへん! あやしい船が近づいてきます! まっくろな帆に……うわあ、ドクロのしるし! あれは、海賊船です!」

「え? 海賊?」

 みんな、ぼうけんワドルディを見上げた。

 バンダナワドルディが、にっこりして言った。

「伝説の海賊、ピエトロ船長ってひとかな? 海賊だけど、いいひとなんだよね」

 デデデ大王が、デッキチェアからむっくり起き上がって言った。

「大ダコの足を切り落としたとかいう海賊だな。いちおう、あいさつをしてやろう。残る七本の足はオレ様のものだと、宣言してやるわい」

 カービィも、ウキウキして言った。

「ピエトロさんも、タコ焼きパーティによんであげようよ! いろんなお話を聞きたいよ!」

 しかし。

 ぼうけんワドルディは、双眼鏡ごしに目をこらし、緊迫(きんぱく)した声を上げた。

「ピエトロ船長は、引退したって聞きました! あの船に乗ってるのは……あっ、女の子です! 青い髪の女の子です!」

 デデデ大王が、きょとんとして言った。

「女の子だと? ピエトロとは別の海賊なのか……?」

 と、その瞬間。

 ドバァァァァン!

 轟音がひびき、海面に盛大な水柱が上がった。

 すさまじい衝撃が、『朝焼けのメロディ号』をおそう。

「うわああああ!?」

「ひゃぁぁぁぁぁ!」

 カービィもデデデ大王もワドルディたちも、悲鳴を上げて、甲板をころころと転がった。

 ぼうけんワドルディは、落っこちないようにマストにしがみついて、叫んだ。

「砲撃です! 海賊船が、大砲を撃ってきました!」

「なんだと――!?」

 ぼうけんワドルディは、双眼鏡ごしに目をこらし、報告を続けた。

「敵は、やる気まんまん! また砲撃がきます! たいへん! 戦わなきゃ!」

 ぼうけんワドルディは、マストから飛び下りた。

 続けざまに、二発目、三発目の砲撃がおそいかかった。

 直撃はしなかったが、周囲にバンバンと水柱が上がる。

『朝焼けのメロディ号』は、荒れる波にもまれて、木の葉のようにゆれた。

 デデデ大王が、わめいた。

「ええい、ふとどきな海賊め! 許せんわい! デデデ大王様にケンカを売るとどうなるか、思い知らせてやる! ワドルディども、こっちも大砲で反撃だ!」

『朝焼けのメロディ号』は、ただの観光用の帆船ではない。勇者たちの冒険にも耐えられるよう、本格的な兵器を積みこんでいるのだ。

 しかし、ワドルディたちは、兵器の扱いなんて、なれていない。

「え、えっと、大砲って、どうやって撃つの……?」

「ばくはつしたら、どうしよう!?」

 うろたえるばかりで、だれも、大砲に近よることすらできない。

 デデデ大王は、かんしゃくを起こして、どなった。

「ええい、大砲は、もういい! ぶき屋、オレ様のハンマーを持ってこい!」 

「は、はい!」

 ぶき屋ワドルディが、大急ぎでハンマーをかついで来た。

 どうぐ屋ワドルディが、カービィに言った。

「ぼく、カービィさんが使えるよう、『コピーのもと』を準備してます! ファイアでもアイスでもソードでも、なんでもそろってます!」

 カービィは、飛び上がって叫んだ。

「ありがとう、どうぐ屋くん! それじゃ、ソードをお願い!」

「はい!」

 カービィは、どうぐ屋ワドルディから『コピーのもと』を受け取り、くるっと一回転した。

 たちまち、カービィの姿が変化した。

 緑色のぼうしに、大きな剣。おなじみ、ソードのコピー能力だ!

 デデデ大王が、ハンマーを振り上げて、叫んだ。

「悪い海賊を、ぶちのめすぞ! 船をもっと近づけろ!」

 舵を取っていたワドルディが答えた。

「よーそろ! 敵船に接舷(せつげん)します!」

 『朝焼けのメロディ号』は、はげしい砲撃をものともせず、黒い海賊船に向かっていった。

 デデデ大王が、敵船に乗り移る体勢になって、叫んだ。

「行くぞ! みなの者、オレ様に続けー!」

「おー!」

 ワドルディたちが、ときの声を上げた。

 中でも張りきっているのは、ぼうけんワドルディ。

 初めての大ぼうけんに、やる気をみなぎらせ、大声を上げた。

「海賊め、ぼくが、やっつけてやる! 思い通りには、させないぞ!」

 もちろん、カービィも、おくれは取らない。

「いちばん乗りは、ぼくだもんね! 海賊め、かくごしろー!」

 カービィ、デデデ大王、そして大勢のワドルディたちが、いっせいに海賊船に飛び移ろうとした――そのとき。

 無数の火矢が、『朝焼けのメロディ号』めがけて、放たれた。

 海賊船ルチア号のひみつ兵器、ウルトラ・デンジャラス・ファイアー・ウェポンだ!

 予想外の攻撃に、カービィたちは、びっくりぎょうてん。

「うわああああ! 火が!」

「たいへん! 火事になっちゃう!」

 甲板の荷物や、マストや、帆に、火が回ろうとしている。

 ワドルディたちは、大あわてで、消火に向かった。

「海の水をくんで! 早く!」

「バケツをもっと持ってきてー!」

 カービィもデデデ大王も、戦うどころではない。

「どうぐ屋くん、ウォーターのコピーのもとをちょうだい! ウォーターで、火を消すよ!」

「バケツを貸せ! ええい、ワドルディども、やけどするぞ! オレ様の後ろにかくれろ!」

 てんやわんやの『朝焼けのメロディ号』のみんなは、まったく気づいていなかったが――。

 この騒ぎの間に、ひとりのワドルディが、海に落ちていた。

 ぼうけんワドルディだ。

 張り切りすぎた彼は、だれよりも早く海賊船に飛び移ろうとして、足をすべらせてしまったのだ。

「た、た、たすけてー! 大王さまぁ!」

 波間をあっぷあっぷしながら、声を限りに叫んだが、その声は、さわぎにかき消されてしまった。

  デデデ大王もカービィもワドルディたちも、消火にかかりっきりで、まるで気づいていない。

「た……たす……け……!」

 海水が、ようしゃなく口の中に流れこんでくる。

 もはや、声も出せない。

「…………! ……!」

 目が見えなくなり、意識が遠のいていく。

 ぼうけんワドルディは、そのまま気を失ってしまった。


ルチアのかんちがいの砲撃で、ぼうけんワドルディが大ピンチ!? ぼうけんくんは、ボロボロになったカービィたちの船はどうなっちゃうの!?
次回「ぼうけんワドルディのゆくえ」をおたのしみに!   (4月13日公開予定)



『星のカービィ メタナイトと魔石の怪物』は好評発売中!


作: 高瀬 美恵 絵: 苅野 タウ 絵: ぽと

定価
814円(本体740円+税)
発売日
サイズ
新書判
ISBN
9784046323057

紙の本を買う

電子書籍を買う

つばさ文庫「星のカービィ」シリーズは2023年で10周年! 10年分の大冒険でいっぱいの特集ページだよ!!



最新『星のカービィ 早撃ち勝負で大決闘!』好評発売中!ためし読みも公開中だよ♪



作: 高瀬 美恵 絵: 苅野 タウ 絵: ぽと

定価
814円(本体740円+税)
発売日
サイズ
新書判
ISBN
9784046323071

紙の本を買う

電子書籍を買う

大人気発売中『星のカービィ 天駆ける船と虚言の魔術師』もためし読み公開中!



作:高瀬 美恵 絵:苅野 タウ 絵:ぽと

定価
1,320円(本体1,200円+税)
発売日
サイズ
B6判
ISBN
9784041116197

紙の本を買う

電子書籍を買う


その他のカービィの本は以下のバナーからチェック♪



© Nintendo / HAL Laboratory, Inc.



この記事をシェアする

ページトップへ戻る