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【スペシャルれんさい】『星のカービィ おいでよ、わいわいマホロアランド!』第2回 みんなでわいわい! マホロアランド


マホロアが作ったテーマパーク『マホロアランド』に、カービィたちをご招待! 今度のマホロアは、いったい何をたくらんでいるの!?
8月5日発売予定のつばさ文庫『星のカービィ おいでよ、わいわいマホロアランド!』の先行ためし読みだよ!

◆第2回

マホロアの作ったテーマパーク『マホロアランド』へやってきた、カービィ、デデデ大王、バンダナワドルディ、メタナイト。
大はしゃぎのカービィとデデデ大王のいっぽうで、バンダナワドルディとメタナイトは「マホロアは今回も何かをたくらんでいるのでは?」と注意して進んでいくけれど……?

 

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みんなでわいわい! マホロアランド

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 風船を追いかけて広場までやって来たカービィとデデデ大王は、大きな声を上げた。

「うわあああ! アイスクリーム屋さん! ドーナツ屋さん!」

「ポップコーンもあるぞ! 機械の中で、ポンポンはじけて、うまそうだわい!」

 マホロアランドの広場には、小さな売店がずらりとならんでいた。あげたてのドーナツや、こうばしいポップコーンの香りが、あちらこちらからただよってくる。

 ふんすいは高くふき上がり、花だんには美しい花が咲き乱れている。上を見れば、カラフルな三角旗(さんかくき)が何枚もつらなって、パタパタと風になびいていた。

 マホロアが言った。

「この広場は、マホロアランドの中心だヨ。食べものや、おみやげの売店がならんでるンダ。花だんのお花は、ゼーンブ、ボクが育てたんだヨォ!」

 カービィとデデデ大王は、マホロアの話などそっちのけで、次々に売店をのぞきこんでいる。

 マホロアは、二人に言った。

「なんでも、好きなだけ食べてネ。マホロアランドの食べものは、ゼンブ、食べホーダイだからネ」

「なんだと!? 食べほうだい!?」

 デデデ大王は飛び上がり、マホロアを振り返った。

 カービィも、目をうるませてさけんだ。

「ほんと!? ほんとなの!? アイスクリームもドーナツもポップコーンもいちご大福もチャーシューメン大もりも、ぜんぶ食べていいの!?」

「……エ、エット、いちご大福とチャーシューメンはないケド……あるものは、なんでも食べていいんだヨ!」

「やったぁぁぁぁ!」

「うひゃぁぁぁい!」

 カービィとデデデ大王は、広場をかけずり回り、売店の食べものをかたっぱしから食べ始めた。

 メタナイトとバンダナワドルディは、にぎやかな広場のふんいきに圧倒(あっとう)されて、立ちつくしている。

 マホロアが、にっこり笑って言った。

「マホロアランドには、まだまだ、たくさん楽しいコトがあるンダ! とても、一日じゃ回りきれないヨ。だから、ボク、ホテルも作ったンダ」

「ホテル?」

「ウン。あそこに見える、大きな建物だヨォ」

 マホロアが示した先には、まっしろにかがやく、りっぱな建物が建っていた。

「ミンナのお部屋を、ちゃんと用意しておいたヨ! ベッドはふかふかだし、おふろは広いし、おかしは食べホーダイ……」

 その一言を聞きつけて、売店めぐりをしていたカービィとデデデ大王が、すっ飛んでもどってきた。

「え!? また、食べほうだい!?」

「おかしを、好きなだけ食っていいのか!?」

「ウン。きっと、気に入ってもらえると思うナァ。何日でも、泊まりたくなっちゃうんじゃないかナァ……」

「泊まる! 泊まるぞ!」

 デデデ大王は、力強くさけんだ。

 カービィも、負けずに大声を上げた。

「ぜんぶ食べきるまで帰らない! 帰らないったら帰らない!」

 マホロアは、うつむいて笑い出した。

「クククッ……気に入ってもらえて、うれしいヨォ。ボクの長年の夢がかなったヨ……」

「長年の夢? どういうことだ?」

 メタナイトが聞き返した。

 マホロアは顔を上げて、答えた。

「ボク、テーマパークを作るのが夢だったンダ。ミンナが夢中になれる、銀河いちのテーマパークをネ!」

 メタナイトは、警戒するように言った。

「それは、初耳だな。初めて会ったとき、おまえはテーマパークの話など一度もしなかったではないか」

「あのときは、ローアを修理するのに夢中だったからネ! 他のコトなんて、考えられなかったんだヨ」

「だが、あれほど私たちを苦しめたおまえが、今さらテーマパークなどと……」

 メタナイトはマホロアにつめよったが、デデデ大王が大声でさえぎった。

「おい、マホロア! あそこにあるのはなんだ? おめんがたくさんならんでるぞ」

「ああ、アレはね、おみやげの、おめん屋さんだヨ!」

 マホロアは、ホッとしたようにメタナイトからはなれ、おめん屋の屋台に近づいていった。

 屋台には、たくさんのおめんがならべられている。

 カービィが、びっくりしてさけんだ。

「あっ、ぼくのおめんがある!」

 デデデ大王も、自分のおめんを発見して言った。

「これは、オレ様のおめんか。むむむ……ほんもののオレ様は、もっとかっこいいぞ!」

 カービィやデデデ大王の他に、メタナイトとバンダナワドルディのおめんもあった。

 そればかりではない。

 グーイやコックカワサキ、ボンカース、ワドルドゥ、ウィスピーウッズなどなど、カー
ビィたちがよく知っている顔がずらりとならんでいる。

 メタナイトは自分のおめんを手に取り、複雑(ふくざつ)そうな様子で言った。

「……なぜ、私のおめんまで? どういうつもりだ、マホロア」

「コレは、マホロアランドのおみやげだヨォ。好きなおめんをつけて、なりきり遊びができるンダ。ためしてみてネ」

 マホロアは、バンダナワドルディに、ボンカースのおめんをわたした。

「え? ぼ、ぼくが、ボンカースに……?」

 バンダナワドルディは、どぎまぎしながら、おめんをつけてみた。

 それを見て、デデデ大王が笑い出した。

「うわははは! おまえは小さすぎて、ちっともボンカースに見えんわい! まあいい、ボンカースになりきって、なにか言ってみろ」

「は……はい……『う、うりゃあ! オレはボンカースだぜ。強いんだぜ!』

「だめだ! ぜんぜん似とらんわい。オレ様がお手本を見せてやる」

 デデデ大王はボンカースのおめんをつけて、乱暴に腕を振り回し、ボンカースの声まねをして言った。

『どけどけぇ! オレが、プププランドで二番目に強いボンカースだ。ま、デデデ大王様にはかなわねえけどな!』

「わー! 似てます、似てます、大王様!」

 バンダナワドルディは感激して拍手をした。

 カービィは、コックカワサキのおめんをつけて言った。

『ぼくはコックカワサキ! お料理の名人だよ! 今日もカービィのために、おいしいお料理をたくさん作ってあげなくちゃ! 焼きそばと肉まんとバナナパフェとハンバーグとカツ丼とシュークリームとタコ焼きと、あと、あと……!』

 カービィは想像力をふくらませ、おめんの下で、よだれをたらしそうになった。

 なりきり遊びは、とても楽しかった。カービィもデデデ大王も、とっかえひっかえ、おめんをつけて、笑いころげた。

『オレ様はデデデ大王! プププランド一、食いしんぼうでなまけもの!』

「なんだと、失礼な! ならば、こうだわい。『ぼくはカービィだよ~ん。なにをやってもデデデ大王様に勝てなくて、くやしいよ~ん』

「あー! ひどい! ちっとも似てないよー!」

 メタナイトは、おめんで盛り上がっているカービィとデデデ大王に背を向け、マホロアにたずねた。

「おみやげのおめん……か。なぜ、こんなものを大量に用意したのだ?」

「エ? モチロン、テーマパークには、おみやげが必要だからだヨ!」

「それだけではあるまい。おまえのことだ、なにかたくらみがあって、こんなおみやげを作ったのだろう」

 するとマホロアは、じれったそうに身をよじって、言った。

「ちがうヨォ! なんで、そんなに、うたがうんだヨォ! ボク、ホントに、楽しいテーマパークを作りたいだけなんダ。ミンナがよろこんでくれるおみやげはなにかナって、いっしょうけんめい考えたんだヨォ!」

「だが……」

 メタナイトはマホロアを問いつめようとしたが、いきなり視界が暗くなったので、ハッとした。

 マホロアの攻撃か……メタナイトは剣をぬきかけたが、そうではなかった。

 カービィが、メタナイトに、ワドルドゥのおめんをかぶせたのだ。

「メタナイトもいっしょにあそぼうよー! ワドルドゥのまねしてよー!」

「…………」

 メタナイトは、なんとか威厳(いげん)をとりつくろい、無言でおめんをはずした。

 デデデ大王が、口をとがらせて文句を言った。

「やらんのか? ノリの悪いヤツだな!」

「……君たちが良すぎるのだ」

 メタナイトは、マホロアとの会話を続けようとしたが、マホロアはニコニコして、話題を変えてしまった。

「ミンナがおめんを楽しんでくれて、ボク、うれしいヨ! さて、次は、マホロア城に案内するネ!」

「マホロア城?」

「ウン! あのお城の名前だヨォ」

 マホロアは、広場の奥に建つりっぱなお城をさした。

 カラフルなとんがり屋根の塔が、何本もそびえている。正面には、大きなマホロアの顔のかざりがついていた。

「マホロア城の中には、たくさんのアトラクションがあるンダ」

「あとらくしょん……?」

「いろんなゲームで遊べるんだヨ。ミンナ、ボクについて来て!」

 マホロアは、お城に向かっていった。

 カービィとデデデ大王は、もうすっかり、マホロアランドにこころをうばわれている。はずむ足どりで、マホロアを追いかけた。

「待ってー、マホロア!」

「どんなゲームがあるのだ? オレ様が、必ず一番になるぞ!」

 のんきな二人を見送りながら、メタナイトはつぶやいた。

「アトラクション、か。気は進まんが、あの二人を放っておくわけにもいくまい。行こう、ワドルディ」

「はい!」

 バンダナワドルディはうなずき、メタナイトとともに歩き出した。

☆゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜・。。・

 マホロア城の長い階段を上ると、そこには、いくつものとびらがならんでいた。

 マホロアが言った。

「どれでも、好きなアトラクションを選んでネ。お客サマはキミたちだけだから、貸し切りで遊べるヨォ!」

 カービィたちは、とびらの上にかかげられた看板(かんばん)を見上げた。

 デデデ大王が、看板の文字を順番に読み上げた。

「ギガトンパンチ、刹那(せつな)の見斬(みき)り、スマッシュライド……聞いたことのない名前ばかりだぞ。遊び方がわからん」

 マホロアが言った。

「ダイジョーブ、どのゲームも、ルールはカンタンなんダ。すぐに覚えて、遊べるヨォ。それと、マホロアランドには、スタンプカードがあってネ……」

 マホロアは、四人にカードをくばった。

 デデデ大王がたずねた。

「スタンプカード? なんだ、これは?」

「ゲームに勝つと、スタンプを押せるンダ。スタンプがたくさんたまると、ゴーカ景品が当たるヨ!」

「ごうか景品!? なんだ!?」

「いろいろあるヨ。ミンナがゼッタイよろこんでくれる、スペシャル・プレゼントを用意してあるンダ……クククッ」

 マホロアはうつむき、押し殺した笑いをもらした。

「スペシャル・プレゼントだと? 肉か!? おかしか!?」

 デデデ大王が、いきおいこんでたずねた。

「ククク……ここでしか食べられない、スペシャル・メニューもあるかもネ!」

「よぉし、こいつは、負けられんわい!」

 デデデ大王は目をギラギラさせ、腕まくりをした。

 カービィも、もちろん、やる気まんまん。

「ぜったい、ぼくが勝つもんね! スペシャル・メニューは、いただきだよ!」

 マホロアは、うれしそうに言った。

「それじゃ、アトラクションを選んでネ。最初は、どれがいいカナ?」

「んーと……あれは、どういうアトラクションなの?」

 カービィがさしたのは、かざぐるまのような武器の絵が描かれた看板だった。

 マホロアが答えた。

「『一撃! 手裏剣道場』だネ。手裏剣を投げて、マトに当てるゲームだヨォ」

 デデデ大王が言った。

「おもしろそうだわい。最初のゲームは、それにしよう」

「ウン! それじゃ、ボクについてきて!」

 マホロアは、『一撃! 手裏剣道場』のとびらを開けた。カービィたちは、中に入ってみた。

 アトラクションの中は、しんと静かで、竹やぶがおいしげっていた。カベも天井も見えず、夕ぐれのようなあわい光がさしこんでいる。建物の中とは思えない風景だ。

 マホロアは四人に向き直り、手裏剣を三本ずつくばった。

「まるいマトが次々に出てくるから、この手裏剣を投げてネ。マトの真ん中に当てると、ドンピシャ! 高得点になるヨォ」

「なーんだ、それだけか。カンタンすぎるわい」

 デデデ大王が笑い、手裏剣をかまえた。

 マホロアが言った。

「それじゃ、まず、一のマトを出すヨ! ミンナ、準備はいいカナ?」

「おー!」

 カービィたちは声をそろえ、横一列にならんで、手裏剣を手にした。

「ハジメ!」

 マホロアのかけ声と同時に、四人の前に、大きなまるいマトがあらわれた。

 四人はいっせいに手裏剣を投げた。

 ピシッ!

 するどい音がひびいた。

 メタナイトとカービィの手裏剣は、中心から少しはずれたところに当たった。

 デデデ大王の手裏剣は、力が入りすぎて、マトのはしに、かろうじて当たった。

 バンダナワドルディの手裏剣は、マトに届かず、手前で落ちてしまった。

 マホロアがさけんだ。

「ザンネン! ドンピシャは出なかったネェ。さすがのキミたちにも、チョットむずかしすぎたかナァ? ゴメンネ……クックック」

 マホロアは、ゆかいそうに笑った。

 メタナイトは、無言でマホロアをにらみつけた。

 デデデ大王は、足をふみならして、くやしがった。

「くっ……ちょっとばかり、張り切りすぎたわい! 次は、ドンピシャを狙うぞ!」

 カービィも、手をぐるぐる回してさけんだ。

「ぼくだって、次はぜったいドンピシャだよ! マホロア、早く、次のマトを出して!」

「ウン! ミンナ、がんばってネ!」

 二枚目のマトがあらわれた――が、今回は、最初のマトとは動きがちがった。

 ゆらゆらと左右にゆれながら、下に落ちてくる。

「え!? え!? マトが動いてる――!?」

 思いがけない動きに、カービィたちは大あわて。

 メタナイトはすばやく狙いをさだめて投げたが、中心に当てることはできなかった。

 カービィとデデデ大王の手裏剣は、マトのはしに当たった。

 バンダナワドルディの手裏剣は、またしても、マトに届かなかった。

 マホロアは、悲しそうに頭を振った。

「アア……やっぱり、キミたちにはムリだったネ……ゴメンネ。三のマトは、ダレにでもドンピシャが出せるくらい、むちゃくちゃカンタンにしておくネェ!」

「――その必要はない」

 メタナイトが、目をギラッと光らせて言った。

「今のは、少しゆだんしただけだ。むずかしいほうが、手ごたえがあっていい。次は、ぜったいに、はずさない」

 最初は気乗りしない様子だったのに、すっかり、闘志(とうし)に火がついている。

 カービィも、手裏剣をかまえてさけんだ。

「ぼくだって! 次はぜーったい、真ん中に当てるぞ!」

 デデデ大王も言った。

「最初の二つは、こてしらべだ。次こそ、本気を出してやる! スペシャル・メニューは、だれにもわたさん!」

 バンダナワドルディは、小さな声で言った。

「がんばります。次は、もっと、力いっぱい投げるよ!」

 マホロアは、両手を口元に当てて笑った。

「クフフフ……! それじゃ、三のマトに行くヨ! ミンナ、がんばれー!」

 カービィたちは、息をつめて、竹やぶの先を見つめた。

 マトがあらわれる――と同時に、マホロアがマトの前におどり出た。

 マホロアは、マトの前で両手を振って、ぴょこぴょこ飛びはねた。

「三のマトだヨォ! ミンナ、楽しんでくれてるカナー?」

 メタナイトが、いらだってさけんだ。

「どけ、マホロア! じゃまをするな!」

「ククク! ボクをよけて、命中させられるかナァ? メタナイトサマなら、モチロン、できるよネェ? 銀河一の騎士だもんネェ?」

「どけと言っているのだ!」

「早く投げないと、時間切れになっちゃうヨォ。アーア……ボク、ガッカリだヨォ……まさか、あのメタナイトサマが一度もドンピシャを出せないなんてネェ……クククク!」

 マホロアは、うつむいて笑った。

 その瞬間――ステージに、闘気(とうき)がほとばしった。

「下がれ、マホロア!」

 メタナイトはさけび、思いっきり大地をけって飛び上がった。

 手裏剣を投げ捨て、すばやく剣をぬく。仮面の下のするどい目は、マトしか見ていなかった。

「スピニングナイト!」

 空中で回転しながら、マトに斬りつける……!

 マトの前のマホロアは、あぜんとして、立ちすくんだ。

「エ……エエエ!? ダメだヨォ! 剣はダメ! 手裏剣を投げるンダ!」

 しかし、闘志(とうし)に火がついたメタナイトには通じない。

「ヒャアアア! メタナイトを止めてェ! カービィ、デデデ大王、このゲームに勝ったらスタンプ百個プレゼントするヨォ! だから、どうか、メタナイトを……!」

 なんとかゲームを立て直そうとしたマホロアだが、この言葉が、かえって裏目(うらめ)に出てしまった。

 デデデ大王は目の色を変え、手裏剣を投げ捨てて、愛用のハンマーをかまえた。

「スタンプ百個だと!? メタナイト、きさまには、ゆずらんぞ! 三のマトはオレ様のものだ! えーい、ジャイアントデデデスイング!

 カービィも、負けてはいない。メタナイトとデデデ大王が投げ捨てた手裏剣を吸いこんで、一気にはき出した。

「それー! れんぞく手裏剣! スタンプ百個は、もらったよー!」

「キャアアアアアアア!」

 マホロアは悲鳴を上げて、その場にしゃがみこんだ。

 メタナイトとデデデ大王は、三のマトをこなごなにくだいてしまった。

 デデデ大王が、勝ちほこって言った。

「オレ様の勝ちだ! オレ様が、マトをぶっこわしてやったんだからな!」

 メタナイトは、剣をおさめて、クールに言った。

「いや、マトをくだいたのは、私の剣だ。この勝負、私がいただいた」

 カービィがさけんだ。

「だめだめ、剣やハンマーをつかったら、失格だよ! ぼくは、ちゃんと手裏剣で攻撃したもんね! ぼくの勝ちだよ!」

 三人は、大声で言い合った。

 マホロアは、よろよろしながら立ち上がって言った。

「キ……キミたち、みんな失格だヨォ! ルールをちゃんと理解してヨォ!」

 デデデ大王が、マホロアをどなりつけた。

「きさまが、じゃまをするからだろうが! やはり、きさまはゆだんのならないヤツだ!」

「ちがうヨォ! じゃまをしたんじゃなくて、マトを狙うのをむずかしくしたんだヨォ……!」

 メタナイトが、ハッと気づいて、言った。

「なるほど、これは、試練だったのか……むずかしいほうが手ごたえがあって良いと言ったのは、私だったな。すまなかった、マホロア」

「わかってくれたら、いいヨォ……それじゃ、ミンナのスタンプカードに、スタンプを押すネ。一位はメタナイト、二位はカービィ、三位はデデデ大王……」

 マホロアはスタンプを取り出して、みんなのカードに押した。

 たちまち、カービィとデデデ大王はきげんを直した。

「やったぁ! スタンプ三個たまったよ!」

「オレ様は一個だけか……フンッ、次はぜったいに負けんぞ! マホロア、早く次のアトラクションに案内しろ!」

「ウ、ウン……次は、なにがいいかナァ……」

 マホロアが歩き出そうとした、そのとき。

 バンダナワドルディが、声をかけた。

「ねえ、マホロア。ぼく、お手伝いをしようか?」

「エ? お手伝い?」

「アトラクションも、スタンプカードも、ぜんぶ一人でやるなんて、たいへんでしょ。ぼく、マホロアのお手伝いをするよ」

「……ホント? ワァイ、ありがとう!」

 マホロアは、声をはずませた。

 カービィが言った。

「いいの? ワドルディは、遊びたくないの?」

「遊ぶより、お手伝いのほうがしたいんだ」

 バンダナワドルディは、にっこりした。

 あんなにたいくつしていたデデデ大王が、すっかり元気になったので、バンダナワドルディはホッとしていた。

 それに、ここまでのマホロアの態度を見ていて、うたがう気持ちはほとんど消えていた。

 一人でがんばっているマホロアを、助けてあげたいという気もちが、めばえてきたのだ。

 デデデ大王が言った。

「それなら、おまえだけじゃなく、他のワドルディどもも呼んだらどうだ?」

「他の……仲間たちですか」

「うむ。急にオレ様が消えて、大さわぎしとるだろうからな。あいつらをここに呼んで、マホロアの手伝いをさせればいい」

 マホロアは、ますますうれしそうに、両手を上げた。

「トッテモ助かるヨォ! じゃ、ワドルディ隊をここへ呼ぶネ!」

 マホロアが両手を広げると、空中に、ぽっかりと穴があいた。

 ドサドサと落ちてきたのは、おおぜいのワドルディたち。

「ひゃあああ!」

「いたたたた!」

「な、なに!? 急に、からだが引っぱられて……ここは、どこ!?」

 積み重なるようにたおれたワドルディたちは、なにが起きたのかわからず、おろおろした。

 デデデ大王が、ピシャリと言った。

「ええい、うるさいわい! 静かにせんか、おまえたち!」

「……え? あっ、大王様!」

 ワドルディたちは起き上がり、大王に飛びついた。

「大王様! 急にいなくなっちゃうから、心配しました!」

「ぼくら、大王様を探してたんです。そしたら、急に、目の前がピカッと光って……」

「ここは、どこですか? なにが、どうなってるんでしょう?」

 デデデ大王は、めんどうくさそうに言った。

「説明はあとでしてやる、とにかく、おまえらは、マホロアの手伝いをしろ」

「マホロア……?」

 ワドルディたちは、とまどってあたりを見回し、ようやくマホロアに気づいた。

 にこやかなマホロアを見て、ワドルディたちは、飛び上がった。

「こ、このひとが、あの有名なうらぎり者のマホロア!?」

「大王様をだました、悪いヤツですね!?」

「わあああ! たいへん! みんな、逃げなきゃ!」

 あわを食って逃げ出そうとするワドルディたちの前に、手を広げて立ちはだかったのは、バンダナワドルディ。

「待って、みんな! 話を聞いて。みんなをここへ呼んだのは、マホロアのお手伝いをしてもらうためなんだ」

「あ……バンダナせんぱい!」

 ワドルディたちは、ふしぎそうにたずねた。

「お手伝い? マホロアの……?」

「どういうことですか? マホロアは、大王様をうらぎった敵なのでは……?」

「うーんと……ぼくも、よくわからないけど、今は敵じゃない……みたい。ここは、マホロアが作ったテーマパークなんだよ」

 マホロアが言った。

「ミンナには、テーマパークのキャストとして、はたらいてもらいたいンダ。よろしくネ!」

「……キャスト……?」

 ワドルディたちは、顔を見合わせた。マホロアが説明した。

「アトラクションを動かしたり、お客サマを案内したりする係だヨ! 他にも、レストランのお食事を作ったり、ショップでおみやげを売ったりするお仕事を、手伝ってもらいたいンダ」

「レストラン……ショップ……?」

「テーマパークの……お仕事……」

 きょとんとしていたワドルディたちだが、だんだん、目がキラキラし始めた。

「うわあ、おもしろそう!」

「やるやる! ぼく、前から、レストランのお仕事をしてみたいって思ってたんだ!」

「ぼくは、アトラクションのかかりがいいな!」

 バンダナワドルディが言った。

「それじゃ、チームに分かれて、お手伝いをしよう。マホロア、なにをすればいいか、教えてくれる?」

「ウン! まずは、アトラクションの説明をするネ……」

 マホロアは、ワドルディたちにかこまれて、楽しそうに話し始めた。

 そんな様子をながめながら、メタナイトがつぶやいた。

「前からテーマパークを作りたかった……か。本気なのか? マホロアは、いったい、なにを考えているのだ……?」

 そんなメタナイトをよそに、カービィとデデデ大王ははしゃぎ回っていた。

「次は!? 次はどんなアトラクション!? ぼく、ぜったい勝つよ!」

「フハハ! 引っこんでいろ、カービィ。ここからが、オレ様の見せ場だわい!」

 バンダナワドルディとワドルディ隊も、すっかりマホロアを信じきった様子だ。

「……やれやれ、だ」

 メタナイトは顔をそむけ、ひそかにため息をついた。

     


ワドルディ隊のみんなも加わって、いよいよにぎやかになったマホロアランド!
楽しい時間は、あっというま。夜になると、いよいよマホロアが動き出す……?
次回「二人の本当の気持ち」をおたのしみに!(7月28日公開予定)


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定価
792円(本体720円+税)
発売日
サイズ
新書判
ISBN
9784046322340

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作:高瀬 美恵 絵:苅野 タウ 絵:ぽと

定価
792円(本体720円+税)
発売日
サイズ
新書判
ISBN
9784046322234

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サイズ
B6判
ISBN
9784041116197

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