地面に開いた深~い穴に落っこちてしまったデデデ大王を助けに行くため、カービィたちが穴をおりると、そこには、見たこともない地底世界が広がっていた!? 2025年12月10日発売予定の『星のカービィ 地底世界の大冒険!の巻』でくりひろげられる、カービィたちの大冒険を、どこよりも早く先行ためし読みできちゃうよ!
◆第3回
デデデ大王がおっこちてしまった深い穴へとおりていく、カービィとバンダナワドルディ、ものしりくん。穴の底には、未知の世界が広がっていて……!?
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地面の下の闇の中
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穴は、想像以上に深かった。おりてもおりても、底が見えない。
ものしりワドルディが言った。
「やはり、とてつもない大空洞があったのですね。興味深いです」
バンダナワドルディは、ハラハラしながら言った。
「こんな深い穴に落ちたなんて……! 大王様、だいじょうぶかな!?」
カービィが、ふわふわホバリングしながら、のんきに言った。
「へーきへーき。大王は、がんじょうだもんね」
「それは、そうだけど……」
そのとき、カービィの足が、やっと固い地面についた。
カービィは叫んだ。
「ついた! 穴の底についたよ!」
バンダナワドルディとものしりワドルディも、しっかり着地して、ロープから手をはなした。
「大王様は!? 大王様、どこですか!?」
バンダナワドルディは、頭を左右に振って、ヘッドライトの光であたりを探した。
とつぜん、ものしりワドルディが、大声を上げた。
「わあ、見てください! あれは……家!? 家があります!」
「え?」
バンダナワドルディとカービィは、そちらに目を向けた。
なるほど、数軒の小さな家が建っている。ぼんやりと、明かりも灯っているようだ。
バンダナワドルディは、息をのんだ。
「こんな場所に……? だれかが、住んでるってこと?」
「信じられません。地の底に、住民がいるなんて」
「行ってみよう!」
と叫んで駆け出したのは、カービィ。
バンダナワドルディとものしりワドルディは、あわてて追いかけた。
「待って、カービィ! 急に近づいちゃ、あぶないよ。様子を見て……」
と、そのとき。
三人の前に、何者かがヌッとあらわれて、立ちふさがった。
「わわっ」
カービィたちは、あわてて、つんのめった。
ふきげんそうな、ドラ声がひびいた。
「きさまら、その明かりを消せ! まぶしくて、かなわん!」
「え? あ、明かり……?」
バンダナワドルディが気づいて、ヘッドライトのスイッチを切った。
あたりが暗くなった。家々の窓に、やわらかな明かりがぼんやりと灯っているが、三人の目には、ほとんどなにも見えない。
三人の前に立ちはだかっているのは、大きな影だった。
影は、横柄な口調で言った。
「きさまら、地上の者だな? さっき落ちてきたヤツの仲間か?」
バンダナワドルディが答えた。
「そうです! 落ちてきたのは、ぼくらの大王様なんです。ご無事ですか?」
「頭を打って気絶してる。とりあえず、しばり上げて、オレの家にかつぎこんでやった」
「しばり上げた!?」
カービィが、びっくりして叫んだ。
「どうして? デデデ大王が、なにかしたの?」
「……オレは毎日、村を見回ったあと、ここのベンチにすわって、奥さんの手作り弁当を食べるのを日課にしている。オレの奥さんは、宇宙一の料理じょうずでな。毎日、オレのために、愛情たっぷりの弁当を作ってくれるのさ」
話しているうちに怒りがこみ上げてきたのか、影は声をふるわせた。
「だが、とつぜん、あいつが目の前に落ちてきたもんだから、オレはびっくりして、ベンチごとひっくり返ってしまった。奥さんの手作り弁当は、下じきになって、ペチャンコさ! 弁当は台なしになるわ、オレは足をくじくわ、さんざんな目にあったんだ! あんまり頭に来たから、気絶してるあいつをロープでぐるぐる巻きにしてやったのさ! 文句あるか?」
相当、頭に血が上っている様子だ。
ものしりワドルディが、ていねいに言った。
「おたずねします。あなたは、どなたなんですか? この地下の住民の方ですか?」
すると、影はえらそうに答えた。
「オレは、村長のモーリィだ」
カービィが、目をまるくした。
「村長さん? 地下に、村があるの?」
「そうさ。ここは、暗がりと静けさを愛する、地下の民の村だ」
三人の目が、だんだん、暗がりになれてきた。わずかな明かりでも、あたりの様子が見えてきた。
数軒の小さな家が、よりそい合うように建っている。辻には街灯がともっており、あちこちにベンチが置かれている。
モーリィは、濃いサングラスをかけ、首元におしゃれなスカーフを巻き、大がらな姿をしていた。よく見れば、足に包帯を巻き、太い杖をついている。
「しかも、だ。おまえら、天井に穴をあけただろう」
モーリィは、手で上を示した。
三人はそちらを見上げた。
三人がおりてきた穴が、小さく小さく見えている。
バンダナワドルディが言った。
「ぼくらの地面が、ここでは天井になるんですね」
「ああ。困るんだよ、あんな穴なんかあけられたら。オレたちが大きらいな、日光が入ってきちまうじゃないか」
カービィは、きょとんとした。
「おひさまがきらいなの? どうして?」
「言っただろう。オレたちは、暗がりと静けさを愛する、地下の民なのさ。日光なんて、まぶしいし、暑いし、うっとうしいだけだ」
ものしりワドルディが、つぶやいた。
「なるほど。地下に村があるなんて信じられなかったけど、くらやみにさえなれれば、ここは意外に住みやすい場所なのかもしれないな。天候に左右されないし、暑さや寒さも地上ほど感じないし……興味深い暮らし方だな」
バンダナワドルディが、ていねいに、頭を下げた。
「おケガをさせてしまったことも、せっかくのお弁当を台なしにしてしまったことも、穴をあけてしまったことも、あやまります。ごめんなさい」
素直な態度を見て、モーリィは気を良くしたらしい。
ほんの少し、口調をやわらげて言った。
「穴をふさいでくれ。そうしたら、あのガウンのならず者は返してやる」
カービィが言った。
「まかせて! 大王があけた穴なんて、ぼくが、パパっとふさいじゃうからね」
「急いでくれよ」
そう言って立ち去ろうとするモーリィに、バンダナワドルディは急いで声をかけた。
「待ってください。作業に取りかかる前に、デデデ大王様に会わせてください」
「……ああ?」
「ご無事かどうか、たしかめたいんです。お願いします」
「フン……まあ、いいだろう。来い」
三人は、モーリィに続いて、村の中心に建つ大きな家に入っていった。
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モーリィの家は、思いのほかきれいで、掃除が行き届いていた。
明かりは薄暗いものの、やわかなじゅうたんが敷きつめられ、どっしりした木製の家具が置かれている。あたたかく、居心地のよさそうな家だ。
奥から、モーリィによく似た女性が出てきた。おそろいのサングラスとスカーフをつけており、頭にはたくさんの花かざりをつけている。
「お帰りなさい、あなた……あら、そちらのみなさんは?」
「地上の連中さ。あのガウンのならず者をむかえに来たんだと」
モーリィはそう言って、三人に向き直った。
「オレの奥さんだ。あいさつしろ」
「はじめまして! ぼく、カービィ!」
カービィが元気よく言い、バンダナワドルディとものしりワドルディも、行儀よく名乗った。
「ぼくらは、デデデ大王様の部下なんです。天井に穴をあけてしまって、ごめんなさい。これから、ふさぎます」
「あらあら、かわいい子たちね。あたくしは、ミセス・モーリィ。村長夫人ですわ」
ミセス・モーリィは、にっこりした。
バンダナワドルディは、ミセス・モーリィを見上げて言った。
「大王様に、会わせてもらえませんか?」
「まだ、気絶したままなのよ」
「でも、どんなご様子か、たしかめたいんです」
「いいわ。こっちへいらっしゃい」
ミセス・モーリィは、三人を奥の部屋へ案内した。
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デデデ大王は、ロープでぐるぐる巻きにされて、床に転がされていた。
「大王様――!」
バンダナワドルディとものしりワドルディは、急いで駆けよった。
大王は、目を閉じたままだ。けれど、大きなケガはなさそうだった。
ミセス・モーリィが言った。
「がんじょうな方ですわ。あんな高いところから落ちてきたっていうのに、ケガもなくて。ずっと気絶したままですけど」
ものしりワドルディが、大王を調べて言った。
「問題はなさそうです。ただ、ロープは、ほどいてあげてほしいんですけど……」
モーリィが、きっぱりと言った。
「ダメだ。さっき話したとおり、こいつはオレの弁当を台なしにし、オレにケガをさせたんだ! 放ってはおけん!」
「でも、あなた」
と、ミセス・モーリィが言った。
「ずっと、このままにはしておけませんわ。この方が目をさましたら、地上に帰してあげないと」
「む……むむ……うむぅ……」
モーリィは、奥さんに弱いらしい。うなずいて、言い直した。
「わかった。こいつのロープはほどいておいてやるから、おまえらは、さっさと天井の穴をふさいでくれ」
バンダナワドルディが、ホッとして言った。
「ありがとうございます。すぐに取りかかります」
ものしりワドルディが言った。
「いったん地上にもどって、必要な道具をそろえましょう。みんな心配してるでしょうから、大王様がご無事だって伝えなきゃ」
モーリィが言った。
「どうでもいいが、さわがしくするんじゃないぞ。オレたち地下の民は、うるさいのが大っきらいだからな」
「はい。静かに作業します」
三人はモーリィの家を出た。
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「帰ったら、みんなに地下の村のことを話そうね。みんな、びっくりするだろうなあ」
カービィが言った。
バンダナワドルディは、うなずいた。
「うん。でも、めずらしがって押しかけたりしないように、みんなにきちんと言っておかないとね。地下の住民たちに、迷惑をかけないように」
ものしりワドルディが言った。
「ますますモーリィさんを怒らせてしまったら、たいへんですからね。気をつけないと」
三人が、地上へもどろうと、ロープのところまで来たときだった。
「ねえ、君たち。地上から来たんだよね?」
ふいに、そんな声がした。
振り返ると、小さな住民が三人を見ていた。
姿はモーリィ夫妻にちょっと似ているが、ずっと小さい。鼻先がドリルのようにとがっている。サングラスは、かけていなかった。
カービィが言った。
「うん、そうだよ。ぼくはカービィ。君は?」
「ボク、ディグーっていうんだ。あのね、教えてくれないかな、地上のこと……」
ディグーがそう言いかけたときだった。
モーリィが気づいて、近づいてきた。
「こら、ディグー。なにをしてる?」
ディグーは、「しまった」という表情で返事をした。
「なんにもしてませんよ、村長さん。見なれない子たちがいるなーって思って、話しかけてみただけです」
「そんなことより、おまえには反省文を書く宿題を出しただろう。早く家にもどりなさい」
「……はぁい」
ディグーはがっかりした様子で、村にもどっていった。
カービィが言った。
「はんせい文って? ディグーは、なにをはんせいするの?」
「おまえたちには関係のないことだ」
「でも、もうちょっとお話したかったな。ディグー、地上のことを教えてほしかったみたいだし……」
「ダメだ」
モーリィの声は、けわしかった。
「でも……」
「しつこいぞ。ダメだと言ったら、ダメだ。あいつには、かまわんでくれ。とにかく、とっとと穴をふさぐんだ!」
モーリィはきびしく言って、家へもどっていった。
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カービィたちが地上にもどると、心配して待っていたみんなが、ワッと声を上げた。
ボンカースが言った。
「あんまりおせぇから、おまえたちが地下で迷子になってるんじゃないかと思ったぜ」
どうぐ屋ワドルディが言った。
「大王様はどうしたんですか? 見つからなかったんですか?」
「ううん、ご無事だったよ。ただ……」
バンダナワドルディが、地下の村のことや、デデデ大王がロープでぐるぐる巻きにされていることを話した。
みんな、目をまるくした。
バーニンレオが、ポッポッと火を吹いて叫んだ。
「この地面の下に、村があるだって~!? そんなの、想像したこともなかったぜ!」
ボンカースが言った。
「いきなり上からデデデ大王みたいなのが落ちてきたら、そりゃびっくりするよな。地下の連中に、同情するぜ」
バウンシーがたずねた。
「地下の住民って、どんな感じなの? こわいの?」
カービィが答えた。
「ううん。村長のモーリィさんは怒りっぽいけど、奥さんはやさしかったよ。それに、すごくお料理じょうずなんだって! ぼく、穴をふさいだら、お弁当を作ってくださいってお願いしてみるんだ!」
カービィは、よだれをたらしそうになった。
ものしりワドルディが、付け加えた。
「地下のみなさんは、地上とはまるでちがう生活をしているんです。急に天井に穴があいて、大王様が落ちてきたので、村長さんは警戒してるんですよ。でも、根は悪いひとではなさそうです」
チリーが言った。
「なんだか、おもしろそうだね。ぼくも行ってみたいな。地下の住民たちと、友だちになりたい!」
すると、みんな口々に「オレも!」「わたしも!」とさわぎ出した。
バンダナワドルディが言った。
「地下の住民たちは、うるさいのが苦手なんだって。だから、みんなで押しかけるのは、やめよう」
「ふぅん……そうか。残念だね」
「とにかく、穴をふさがなきゃ。そうすれば、大王様も帰ってこられるから。どうぐ屋くん、穴をふさぐための道具を、用意してくれるかな?」
どうぐ屋ワドルディは、張り切ってうなずいた。
「すぐに、持ってきます! ちょっと待っててください!」
どうぐ屋ワドルディは、大急ぎで城へ引き返して行った。
バンダナワドルディは、他のワドルディたちに言った。
「みんなは、お城に帰ってて。時間がかかりそうだし、ここは寒いからね」
「でも……」
ワドルディたちは、心配そう。
バンダナワドルディは、言い聞かせた。
「こっちのことは、心配しなくてだいじょうぶ。ぼくら三人で、必ず穴をふさいで、大王様を連れもどしてくるからね」
「……はい、わかりました」
ワドルディたちは、こころぼそそうに、うなずいた。
コックカワサキが言った。
「それじゃ、ぼくはお弁当を作ってあげるよ。作業しながら食べられるように、おにぎりとサンドイッチをね」
たちまち、カービィが目をかがやかせた。
「ほんと!? うわぁい! ぼくね、たらこおにぎりとツナマヨおにぎりが食べたい! あと、たまごサンドとコロッケサンドとフルーツサンドと、あと、あと……!」
コックカワサキは、にっこりしてうなずいた。
「うん、たくさん作るから、がんばってね」
「おー!」
いよいよ、穴をふさぐための大工事が始まった。
デデデ大王が無事(?)なようで、ほっとひと安心。でも、ロープをほどいて、地上に返してもらうために、がんばって穴をふさがなきゃ!
いっぽう、地下世界での新しい出会もあって…? 次回『ないしょの友だち』をお楽しみに! (12月5日公開予定)
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