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【スペシャルれんさい】『星のカービィ 地底世界の大冒険!の巻』第2回 いどめ、かちわりメガトンパンチ大会!


地面に開いた深~い穴に落っこちてしまったデデデ大王を助けに行くため、カービィたちが穴をおりると、そこには、見たこともない地底世界が広がっていた!? 2025年12月10日発売予定の『星のカービィ 地底世界の大冒険!の巻』でくりひろげられる、カービィたちの大冒険を、どこよりも早く先行ためし読みできちゃうよ! 

◆第2回
大きな岩を割ってプププランド最強のこぶしを決める『かちわりメガトンパンチ大会』が、いよいよはじまる!! 優勝するのは、いったいだれだ!? 

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いどめ、かちわりメガトンパンチ大会!

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 さて、こちらは、あいかわらずのんきなプププランド。

 いよいよ、「第一回デデデ大王様杯・かちわりメガトンパンチ大会」当日だ。

 会場となった広場に、おおぜいの住民たちがつめかけていた。

 最初はあきれていた住民たちだが、カービィやボンカース、ナックルジョーが出場することになって、がぜん、盛り上がっていた。

「すごいメンツだよな! まさに、プププランド最強決定戦だぜ!」

「だれが勝つと思う? オレは、ぜったい、カービィだと思うな」

「でも、コピー能力を使っちゃいけないんでしょ? だったら、カービィは不利じゃないかな」

「やっぱり、ボンカースだろ。あいつの強さは、ハンパないぜ!」

「いやいや、素手ならナックルジョーだよ」

「なにを言ってるんですか。デデデ大王様が優勝に決まってます!」

 あっちでもこっちでも、試合の予想で大さわぎ。

 雪がちらつく寒い日だというのに、客席には熱気がうずまいている。

 実況席のウォーキーが叫んだ。

「さあ、お待ちかね、プププランド最強のこぶしを決める大会が始まるぜ! みんな、応援よろしくなァァ!」

「おおお――!」

 客席から、大きな拍手と歓声がわき起こった。

「まずは、参加者を紹介するぜ。エントリーナンバー一番、デデデ大王! 二番、カービィ! 三番、ボンカース! 四番、ナックルジョー!」

 四人が広場にあらわれた。客席から、大きな声援が飛んだ。

「フレー、フレー、カービィ! がんばって!」

「大王様ー! すてきですー!」

「ぶちかませ、ナックルジョー! おまえが優勝だー!」

「行け行け、ボンカース! 応援してるぜ!」

 四人は声援にこたえ、手を上げて、かっこいいポーズを決めた。

 ウォーキーが叫んだ。

「続いて、この四人が挑む岩を見てくれ。勇者たちが割るのは、このメガトン岩だ!」

 ワドルディたちが協力して、台車にのせた四個の岩を運んできた。

 客席が、どよめいた。

「うわああっ、すごい! 想像してたより、ずっと大きいぜ!」

「ボクの背より大きいよ! いくらなんでも、むちゃだよ! あんな岩を素手で割るなんて!」

 その声を聞きつけたカービィが、手をぐるぐる回しながら、大声で叫んだ。

「このくらい、ぼくなら一瞬で割っちゃうよ! みんな、見ててね!」

 デデデ大王が、ふんぞり返って言った。

「フン、優勝はオレ様に決まっとる! 引っこんでろ、カービィ!」

 ボンカースが、鼻息も荒く、どなった。

「うるせえ、プププランド最強って言ったら、オレに決まってんだろ! オレの強さを見て、ビビるなよ、てめぇら!」

 ナックルジョーも、両手のこぶしをシュッシュッと突き出しながら叫んだ。

「すっぴんのカービィや、ハンマーのないデデデ大王とボンカースなんて、相手にならないッス! いつも、こぶしで戦ってるオレが最強ッスよ!」

 そこへ、コックカワサキが声援を送った。

「四人とも、がんばって! 優勝者には、コックカワサキ特製かちわりメガトンパフェをごちそうするからね!」

「え!? パフェ!?」

 カービィが、目の色を変えて、コックカワサキを振り返った。

 デデデ大王も、舌なめずりをして叫んだ。

「どんなパフェだ!? フルーツもチョコも、たっぷりのってるんだろうな!?」

「それは、ないしょ! 優勝してからの、お楽しみだよ!」

「ふぉぉぉ! ぜったいに、負けられんわい!」

「優勝は、ぼくだー!」

 デデデ大王もカービィも、ギラギラと目をかがやかせた。

 ボンカースが、足を踏み鳴らして怒り出した。

「やい、コックカワサキ! よけいなことを言うんじゃねえ! てめぇ、オレのじゃまをする気かよ!」

 コックカワサキは、おどろいて言い返した。

「そんなつもりじゃないよ。ぼくは、ただ、優勝の賞品を発表しただけで……」

「それが、よけいだっつってんだよォ!」

 ナックルジョーも、うなずいて叫んだ。

「こぶしなら負けないッスけど、食欲は、よゆうで負けてるッス! カービィとデデデ大王の食欲に、火がついちゃったッス! もう、手がつけられないッスよー!」

 実況席のウォーキーが叫んだ。

「おおっと、勝負の前から、バチバチと火花が散ってるぞ! 全員、すごい闘志だ! さあ、いよいよ始めるぞ! かちわりメガトンパンチ大会、これより開幕……」

 しかし。

 スタートの合図の前に、カービィが叫んだ。

「パフェは、ぼくのだ! とぉりゃぁぁぁぁぁぁ――!」

 飛び上がって、目の前の岩に、こんしんの一撃をたたきこむ!

 巨大な岩が、半分くらいまで、メリメリと割れた。

 客席から、おどろきの声が上がった。

「うわあっ、すごいぞ! さすがはカービィ!」

「あのメガトン岩を、あんなに、かんたんに!」

 デデデ大王が、こぶしを振り上げた。

「フン、カービィなんて、目じゃないわい! パフェは、もらった!」

 ガァァァァン!

 デデデ大王のこぶしが、メガトン岩をくだく!

 ウォーキーが絶叫した。

「ヒュゥゥゥ! さすがはデデデ大王! カービィと同じくらいか!? いや、大王がやや有利か!? これは、判定がむずかしいぞ!」

 ボンカースが、ヤケクソ気味に叫んだ。

「ちっ、負けられるかよ! でりゃああ!」

 ナックルジョーも、天をあおいで叫んだ。

「最後まで、勝負はあきらめないッス……とぉぉぉぉ!」

 ウォーキーが、残念そうに言った。

「おおっと、ボンカースとナックルジョーは、岩に少しヒビが入っただけ! これは完敗! 優勝候補は、二人にしぼられた! カービィか、デデデ大王か……」

「負けないぞー! パフェパフェパフェ――!」

 かけ声とともに、カービィがふたたび、こぶしを打ち下ろした。

 メリメリメリメリ!

 観客がどよめき、ウォーキーが興奮の声を上げた。

「おおおお! すごいぞ、カービィ! なんと、メガトン岩が真っ二つに割れた! パフェへの愛が、奇跡を起こしたんだ! これはもう、まちがいない、カービィの優勝……」

「なんの! 負けんわい! がぁぁぁ!」

 デデデ大王が吠えて、こぶしを打ち下ろした。

 ドゴォォォォォォ!

「うぎゃああ、信じられない! デデデ大王も、メガトン岩を真っ二つに割ったぁ! これ以上大きな岩は、用意していないぞ! ということは、勝負は引き分け……!」

 けれど、カービィが声を張り上げて、叫んだ。

「まだまだ! 優勝は、ぼくだってば! ええええええい!」

 ズドドドドドドドドドド!

 なんと。カービィのこぶしは、岩の下の地面をかち割った!

 すかさず、デデデ大王もこぶしを振った。

「パフェは渡さん! あきらめろ、カービィ!」

 ドガガガガガガガガガガ!

 またしても、地面が割れる。

 ウォーキーが、興奮をとおりこして、タジタジとなって言った。

「あ、あの、二人とも……そこまで。地面を割っちゃダメだぜ。プププランドの地面は、みんなのもの……」

 けれど、パフェのことで頭がいっぱいのカービィとデデデ大王を止めることは、できなかった。

「パフェパフェパフェ――!」

「負けられるかぁぁぁぁ!」

 二人のこぶしは、さらに地面を深く割り、大地をゆるがせた。

 デデデ大王は、顔をまっかに染めて、わめいた。

「これじゃ、すまんわい! 見ていろよ、デデデ大王様の実力を……!」

 大王は、腕をぶん回して、ひび割れた地面へ最強の一撃!

 ドグォォォォォォォォォン!

 轟音とともに、地面に特大の穴があいた。

「ふはは! どうだ、見たか! 優勝は、オレ様に決まり……!」

 ――と。

 そっくり返ったはずみで、大王はバランスをくずし、ずっこけた。

「……ぬぉ!? ひゃ、ひゃ、ひゃぁぁぁ!?」

 そのまま、自分があけた穴の中へ、まっさかさま!

 客席から、悲鳴が上がった。

「大王様――!?」

 ワドルディたちが、血相を変えて、駆けよってくる。

 カービィは、目をぱちくりさせて、穴の中をのぞきこんだ。

「おーい、デデデ大王! だいじょーぶ?」

 しかし、返事はない。

 穴の中は暗く、底が見えないほど深かった。

 バンダナワドルディが、穴のふちに身を乗り出して叫んだ。

「大王様――! 大王様――! お返事をしてください、大王様――!」

「ワドルディ、あぶないよ」

 バンダナワドルディまで落ちてしまわないよう、カービィが急いで支えた。

 ものしりワドルディが、慎重に穴をのぞきこんで言った。

「この穴……どうも、深すぎますね」

「大王様が、全力を出したからね」

「いいえ、バンダナせんぱい。おそらく、ここには、元から空洞があったものと思われます。大王様があけた穴が、地下の大空洞とつながってしまったのでしょう」

 ものしりワドルディは、メガネをクイッと押し上げた。

 バンダナワドルディは、とまどって言った。

「大空洞? そんなの、聞いたことないよ」

「ぼくも、ありません。しかし、この穴の形状を見るに、そうとしか考えられません。とすると、大王様は、こぶしであけた穴どころではなく、とんでもなく深い場所まで落ちてしまった可能性があります」

「なんだって……!」

 バンダナワドルディは、まっさおになった。

「たいへんだ! 穴の底に頭をぶつけて、気絶なさっているかもしれない! ぼく、助けに行かなくちゃ!」

 今にも穴に飛びこもうとするバンダナワドルディを、カービィが止めた。

「待って、ワドルディ。ぼくが見てくるよ。ぼく、ホバリングでおりられるから」

「ありがとう、カービィ。でも、ぼくも行くよ。ここで、じっとなんて、してられないよ!」

 ものしりワドルディも言った。

「ぼくも行きます。大空洞について、調べておいたほうが良いと思いますから」

 すると、ワドルディたちが口々に叫んだ。

「ぼくも行きます!」

「ぼくも!」

 大さわぎするワドルディたちを、バンダナワドルディが手を振って静めた。

「みんな、静かに。おおぜいで行っても、かえって身動きが取れなくなっちゃうよ。みんなは、ここで待ってて。ぼくとものしりくんと、カービィの三人で行ってくるから」

「バンダナせんぱい……」

 ワドルディたちは、しょげ返った。

 が、どうぐ屋ワドルディが言った。

「バンダナせんぱいの言うとおりだよ。ぼくらは、待つことにしよう。せんぱい、ぼく、ロープとヘッドライトを持っています。これを使ってください」

 どうぐ屋ワドルディは、バンダナワドルディに自作の道具を差し出した。

 ボンカースが言った。

「それじゃ、オレがロープを押さえててやるぜ。もしもデデデ大王が気絶してたら、ロープでしばり上げろ。引っぱり上げてやるからよ」

 ナックルジョーが言った。

「気をつけて行くっスよ。カービィがいっしょなら、だいじょうぶだと思うッスけど」

「うん、ありがとう。必ず、大王様を助けるからね」

 まず、カービィがホバリングで穴をおり始めた。

 続いて、ロープにつかまったバンダナワドルディとものしりワドルディも。

 三人の姿は、すぐに闇にのみこまれて、地上からは見えなくなった。

     


かちわりメガトンパンチ大会は、まさかの展開に!? はたして、デデデ大王は無事なのか? 穴の底には、なにが待っているのか……?
次回『地面の下の闇の中』をお楽しみに! (11月28日公開予定)



『星のカービィ 地底世界の大冒険!の巻』は2025年12月10日発売予定!


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定価
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発売日
サイズ
新書判
ISBN
9784046323606

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ISBN
9784046323071

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