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注目シリーズまるごとイッキ読み!『放課後チェンジ 世界を救う? 最強チーム結成!』第5回 推(お)し活(かつ)したいよー!


2024年 新シリーズ人気【第1位】「放課後チェンジ」の1巻がまるごと読める!
「イッキ読み」を公開中!
4人は、ドキッとしたら動物に変身!? 
力を合わせて大事件を解決する、無敵のコメディ&アクションのストーリー!

まなみ、尊(たける)、若葉(わかば)、行成(ゆきなり)は仲良しの4人組。
中1のゴールデンウイーク、フシギな指輪を見つけたことで、なんと、動物に変身しちゃった!!!
猫や犬の運動能力、タカの飛ぶ力が使える! でも……指輪が指から外れない!!!


※これまでのお話はコチラから

 

3章 キケンな事件と心のキズ

1 推(お)し活(かつ)したいよー!


 飛行物体X事件の後、すぐに中間テスト期間に入った。

 中学校では、定期的に大きなテストがあって、サイアクだよ~!

 その一週間前は、勉強に集中しなさいってことで、部活動は全部お休み。

 仕方なくチーム㋐(マルア)の活動もしばらくお休みしてたんだけど、本日、めでたく中間テストが終了したんだ!

 というわけで、放課後、さっそく新たな事件の調査にやってまいりました。

 指輪を外すために解決しなきゃいけない怪事件(かいじけん)、第三弾(だん)。

 町のあちこちにつけられた大きなひっかき傷。

 ゴールデンウィークが終わった後くらいから、建物の壁(かべ)や屋根など、いろんなところに、人間の手のひらサイズの爪(つめ)あとがつけられるようになったんだって。

 まるで、肉食獣(にくしょくじゅう)が引っかいたみたいな……。

 夜の間に増えてるんだけど、防犯カメラには、それらしき犯人は写っていないらしい。

 悪霊(あくりょう)が関わっているとみて、まちがいないよね。

 まずは四人で実際に爪あとがついてる場所をまわって、なにか手がかりとかが残ってないか、調べてる。今のところ、成果はゼロだけど……。

「そういえば尊、バスケ部も今日から練習再開じゃない? 行かなくてよかったの?」

「ああ、休むって伝えてあるから」

 若葉ちゃんに聞かれて、さらりと答える尊。

「もうずっと休んでない? ムリしてこっちに参加しなくてもいいよ?」

 わたしが言うと、尊は「ムリしてないって。そうだ、行成、明日の古文の課題──」と話をそらした。

 尊……前は毎日、放課後になるとすぐバスケ部に直行してたのに。

 休日も関係なく練習づけで、すごいハードでスパルタだって言いながらも、楽しそうだった。部活でなにかあったのかな……?

 にゃーん、と鳴き声がして、ふと目を向けると、道のはしっこを白猫が歩いていた。

『今日はどこで昼寝しようかしら』

 独り言を言いながら、しっぽを振って通りすぎていく姿に。

「…………!」

 じんと目頭が熱くなって、胸が苦しくなってくる。

 やっぱりまだ……白猫は、見るのもつらい、な……。

「まなみ……だいじょうぶ?」

「ごめん、だいじょうぶ」

 心配そうな幼なじみたちに笑顔を作りながら……尊の部活のこと以外にも、実は心の中でずっと気になっていることがあった。

 わたしが半年前まで飼っていた、白猫のシロップ。

 その最期は、けっして、幸せなものじゃなかった──わたしの、とり返しのつかないミスのせいで。

 もしシロップが、悪霊になっていたらどうしよう……?

 なにより、蔵でわたしを呼んだ声。

 もしかしたら、シロップの声だったんじゃないのかな?

 ……わたしたちの指輪が外れない呪(のろ)いも、シロップがかけていたとしたら……?

「うひょひゃん!?」

 突然、首の後ろに冷たいものが押しあてられて、わたしはヘンな悲鳴をあげてとびあがった。

 同時に、ボン! と猫に変身する。

「プッ、すげー声!」

 あわてて振りかえると、缶ジュースを手にした尊が笑っている。

「いきなり何するの! 心臓止まるかと思ったよ!?」

「ぼーっとしてるのが悪い。ナイスリアクションのほうびに、これをやろう」



 そう言いながら、ジュースを差しだす尊。

 わたしの好きなカロピスソーダ。

「ありがと……って、この姿じゃ飲めないし!」

「ははっ。人間にもどるまでお預けだな」

「ちょっと尊、こんな町中で、もし通行人に見られたらどうするの?」

「ちゃんと周りは確認したぜ」

 若葉ちゃんにきびしくたしなめられて、首をすくめる尊。

 うっかり人に見られたら、人生終わりだもんね!

 でも、気をまぎらわせようとしてくれたのかな……。

「なるほど、変身したければそういう方法もあるのか」

 行成は、感心したようにつぶやいた。

「最初に透明犬(とうめいけん)を追いかけた時のように、さしせまった時は感情が高ぶって変身するようだが、落ちついていても、好きな時に変身できる手段を知っておくのは悪くないだろう」

「そうそう、オレもそれを確認しようと思ったんだよ」

「絶対ウソでしょ!」

 調子よく同意する尊に、思いっきりツッコむわたし。

「とりあえず、まなみがもどる時のために、ひとけがない場所に移動しよう」

 若葉ちゃんがそう言って、めったに人が来ない児童公園に行くことにした。


「さっきの、変身する方法だけど、こういうのはどうだ?」

 公園に着いたところで、尊はスマホをいじって、「行成」と画面を見せる。

「!」

 とたんに行成の顔が引きつって、ボン! とタカの姿に変わった。

「すごい、いつも冷静な行成が!?」

「何見せたの、尊」

「こないだのコイの集合写真」

 あ、やっぱりアレ行成にはダメだったか~。

 鉄棒に止まった行成は、バサバサと羽を動かして尊に文句を言う。

「いきなりグロいもの見せるな。鳥肌がすごいぞ」

「タカだしな」

 二人のかけ合いに笑っていたら、ボン! とわたしの姿が人間に変わった。

「もどった! ……でも、やっぱり、疲れる……」

「あー、その欠点はあるよな」

 変身した後は、ほんとにだるいんだよ~。

 マラソン大会(大キライ!)に参加した後みたいな感じ。

「そういえばまなみ、今度、漣くんがソロライブするって聞いた?」

「ウソウソウソ知らなかった! すごすぎ漣くんの人気ヤバいもんね絶対行かなきゃ──」

「ごめん、ウソ」

「……若葉ちゃん?」

 大コーフンしたのに、あっさり言われて、あぜんとする。

「ごめんね、改めて実験したかったの。今の、いつものまなみなら変身してたでしょ? でも変わらないってことは、やっぱり立てつづけの変身はできないんだね」

「そういうこと……」

 クタクタだったのに、ガッカリしたせいでさらに疲れて、わたしはベンチにぐでーっと座りこんだ。

 うなだれるわたしの頭を「ごめんね」とよしよしする若葉ちゃん。

 まあ、今のままだと、ソロライブがほんとでも参加できないか……。

 やっぱり早く指輪を外したい!

 心おきなく、推(お)し活(かつ)したいよおおおおー!!

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