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第5章『キケンな彼と、まさかの再会!』


中学1年生の結乃がある日ばったり出会ったのは、鏡でも見ているぐらいに顔も声もそっくりな女の子・芽衣! もしかして、生き別れのふたご?と思ったけれど、ふたごじゃないし、姉妹でもない。そんなふしぎなふたりが大親友になって、ドキドキの毎日が始まります! 大好評の第1巻のつづきが、なんと8月5日につばさ文庫から発売予定✨ 大注目の2巻目を、どこよりも早く先行ためし読みしちゃおう!


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そっくりな顔の結乃と芽衣は超気の合う大親友だけど、おたがいの存在は、家族や友人にはぜったいヒミツ。でも、おたがいのこと、もっと知りたい!
第2巻は、芽衣が結乃のおうちにこっそり遊びに行くことから始まります!

 

★5★ キケンな彼と、まさかの再会!

 もやもやした気持ちを引きずったまま、若葉市へ。

 空はくもって、お日様のすがたはない。風も冷たくて、寒い。

 ここは、大きな教会のとなりにある、これまた大きな広場。

 芽衣がかよう春蘭学園の近くだったから、迷わずに来られた。

 きれいに手入れされた芝生に、大きな噴水。ところどころにアートっぽいモニュメントがある。

 木々には電飾が巻かれている。ひょっとして、夜になったら光るのかな?

 クリスマスのイルミネーションだ。すてき!

 すでに、ほかのバザー出店者さんが設営をはじめていたり、キッチンカ―がたくさん並んでいたりで、にぎやかな雰囲気。なんだか、わくわくしてきた。

 よし。せっかくのイベントなんだし、楽しまなくちゃね!

 噴水の向こうには、ステージも設置されて、そのまわりにテーブルと椅子もたくさん準備されていた。

 芽衣たちは、あのステージで合奏とダンスを発表するみたい。

 子どもたちが主役で、自分たちはサポート役だから、って、芽衣は言ってたけど、どんなステージをするのか、気になるなあ……。

 今日は、わたしは、デニムに白いニット、黒いダウンジャケットを着ている。

 芽衣とクローゼットの中を見せ合って、アイテムを合わせたんだ。

 ふたごみたいにおそろいの服やアイテムを身につける、いわゆる「ふたごコーデ」ってやつ!

 これで、いざという時に入れ替われるし、わたしが芽衣のふりしてごまかすこともできる。

 そっと首元に手をやった。芽衣と色ちがいの、さくらんぼのネックレスも、つけてきたんだ。

 もちろん、芽衣もつけてくるって。おそろいのアクセサリー、うれしくて心がそわそわするよ……。

 っていうか、はやく設営しなきゃ!

 割り当てられたエリアに、シートを広げる。

 ここにキャンプ用の折りたたみテーブルを置く予定なんだけど……。

 テーブルと椅子は、芽衣が自分の家から持ってきてくれるって言ってた。

 電車で来るわたしが、大きい荷物を運ぶのは大変だから、って。

 イベントは10時スタート。

 だから、9時30分までにはここに来て、こっそり置いておいてくれるって話だった。

 時間を確認しようとスマホを見ると、ちょうど、芽衣からメッセージが届いた。

『ごめん結乃、いろいろあって家出るの遅くなりそうで、かわりの人に行ってもらうことになった』

 かわりの人……?

 きょろきょろしていると、

「ごめんごめん。遅くなったー」

 声がして、びくっと肩がふるえた。

 あらわれたのは、

「な、なんで陸斗くん!?」

 茶色がかった短い髪に、意志の強そうな大きな瞳。すらりと背が高い。

 間違いない、芽衣の幼なじみの陸斗くんだ。

 荷物をかかえた陸斗くんが、笑顔で駆け寄ってくる。

 ま、まさか、「かわりの人」って、陸斗くん!?

「おっす芽衣」

「え? あ」

 びっくりしてる場合じゃない! 芽衣のふり、しなくちゃ!

「お、おはよう」

 でも、まぬけな声しか出てこない。

 さっそく、陸斗くんがてきぱきとテーブルを広げ始めた。

「位置、ここでいい?」

「う、うん。ごめんね、重いのに」

「全然? こう見えて軽いから余裕。ってか、イベント当日にこんなでかいもん持ってくるの忘れるなんて、そそっかしいよな」

 芽衣、テーブル忘れたからここに届けて、って陸斗くんに言ったんだ。陸斗くんもステージイベントでここに来るから頼みやすいし。

「ほんとにごめん……!」

 ふつうに会話しながらも、心の中では冷や汗がとまらない。

 当然だけど、陸斗くんは、わたしが「芽衣」だって思ってしゃべってるんだよね? 

 陸斗くんって、芽衣いわく、「カンがするどい」。

 芽衣に会うためにこの街に来たとき、そして、春蘭の文化祭に行ったとき、陸斗くんと出会ってしまって、なりゆきで芽衣のふりしていっしょに行動した。

 陸斗くん、うっすら、わたしが「芽衣じゃない」って気づいてるみたい。

 だって、『あんた、いったいだれだ?』とか、『やっぱり芽衣じゃねーだろ?』みたいなこと、言ってたもん!

「わああっ、どうしよう!」

「どうしようって、何がだよ? テーブルの位置変えるのか?」

「変えません。ごめんなさい」

 リュックから布を出して、テーブルの上に広げておおう。

「友だち、来られなくなって残念だったな」

 陸斗くんがつぶやく。来られなくなった友だち……? 

 そうだ。そういう設定だった。

 芽衣は、友だちが出すハンドメイド小物のお店を手伝う予定だった。でも、友だちが急病で来られなくなってひとりでやることになった、っていう設定。

 今日イベントに来る陸斗くんが、万一わたしを見かけても大丈夫なように、芽衣が考えて話しておいてくれたんだ。

 テーブルにコルクボードをたてかける。

 ボードにピンを打って、シュシュやヘアゴム、ブレスレットをひっかけてディスプレイする。

 もうひとつボードを置いて、こっちには何本かひもを張り、小さいピンチで、洗濯物を干すみたいに、小物を吊り下げていった。

「なるほど、見やすいな」

 陸斗くんが感心している。

「っていうか、これ、ぜんぶ、芽衣の友だちが作ったのか?」

「え? う、うん」

 芽衣の友だち、それはすなわち、わたし、青井結乃。

 コルクボードの下にも、小物を並べていく。

 そうか。これ、ぜんぶ、わたしが作ったんだ……。

「すげえな」

 陸斗くんがつぶやく。

 瞬間、どきんと心臓がはねて、思わず、陸斗くんの横顔を盗み見る。

 ほんとに、ほんとにそう思う? 

 陸斗くんは、まるでまぶしいものを見るかのように、目を細めて、わたしの作った小物たちを見つめていた。

 その口元は、少しだけほころんでいて。やわらかく、やさしくほほえんでいるみたい。

 作ったの、わたしだよって……もしも言えたなら……。

 小さく首を横に振った。言えるわけ、ないよ。

 だって、陸斗くんの前では、わたしは『芽衣』だから。

 なんだか、胸がきゅっとなった。

『青井結乃』の存在を、知られるわけにはいかないのに……。

「このミニイーゼル、ここでいいか?」

 話しかけられて、われにかえる。

「うん」

 テーブルの前に立てかけたミニイーゼル。ここに、芽衣といっしょにつくった、「Twinkle(トゥインクル)」の看板を置いた。

 あとは、カラフルな値札や、商品の説明を書いたポップをかざって……。

「できた!」

 時間を見ると、ちょうど10時。バザー、スタートだ。

「じゃな。おれ、用事あるから、いったんここ離れる。また来るから、それまでがんばれよ」

 にこっと、陸斗くんは笑う。

「うん。ありがとう。……っていうか、また来るの?」

「気が向いたら、な」

 じゃな、と片手を挙げて、陸斗くんは去っていった。

 じっと、その背中を見つめる。

 わかってる。彼はキケン。これ以上かかわったら、ひみつがばれてしまいそうだし、できるだけ、キョリをとらなきゃ。でも……。

「すみません」

 声をかけられて、ふり返った。

「となりのキッチンカーの店主です。ワッフルのお店なんですよ。よろしくお願いしますね」

 感じのよさそうな女の人! そばには小学生……3、4年生ぐらいかな? の男の子がいる。親子なのかな?

「こちらこそ、よろしくお願いします!」

 ぺこっと頭を下げる。 

 どきどきしてきた。

 いよいよ始まるんだなあって感じがするよ!

 こっそり芽衣といれかわる作戦もあるし、それまでひとりでがんばらなきゃ!



ドキドキのクリスマスバザーは、意外でビックリな陸斗くんの登場からスタート! 結乃の作品は、みんなに手に取ってもらえるの? そして芽衣とのいれかわり大作戦はうまくいくの!!?
超気になるこのあとの展開は、発売中のつばさ文庫『ふたりはニコイチ(2) 絶対ヒミツのいれかわり大作戦!』でたしかめてね!


書籍情報


作: 夜野 せせり 絵: 駒形

定価
924円(本体840円+税)
発売日
サイズ
新書判
ISBN
9784046324122

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