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【先行ためし読み!】『ふたごチャレンジ!』12巻 第6回 きみと、いっしょなら


挑戦したいんだ。自分の好きなことを「好き」って言うために。言いつづけるために。
いつもチャレンジしつづけるふたごのあかねとかえで。今回は、めっちゃ楽しい林間学校編!
なんたって、緑田小のみんな――鈴華ちゃんや凜ちゃんやさわや莉々乃ちゃん、藤司や吉良くんや真壁のほかに
あざみ小の子たち――そう、太陽もいっしょに行くんだから‼
いつもとはちがう経験がいっぱい、いつもなら見られない表情もいっぱい‼ トキメキもい――――っぱい‼‼なスペシャルな1冊。
先取りでためし読み、どうぞ‼ 読むときっと元気になっちゃうよ。(公開期限:2026年11月30日(月)23:59まで)





 

6 きみと、いっしょなら

「え、林間学校の部屋分け? あかねちゃん、いっしょの部屋になろうよっ!」

「楽しそー、私も入れてー!」

 と、さわと春葉ちゃん。

「いやいや、あかねは俺らと同室で、まくらなげ大会っしょ!」

「そうそう、寝落ちするまで盛りあがろうぜー! あ、辰紅も参加するよな!」

 と、真壁や藤司。


 うちが、個室にするか、4人部屋にするか、迷ってるってみんなに話したら。

 こうして、女子からも男子からも、声がかかったんだ。


「いやー、人気者はつらいねえ~!」

 と、うちはおどけてみせる。

 みんな笑ってくれるけど、吉良くんだけ、なんだか心配そうな顔をしてる。


「あかねは、俺らと……男子部屋で、いいのかよ?」

 吉良くんの言葉に、うちはすぐにこたえられない。

「うーん……いいのかなあ?」

「自分のことなのに、なんで疑問形なんだぁ?」

 真壁が首をかしげるけれど。

 なんとなく、さ。

 これって、自分がよければいいって話じゃないと思うんだよね。


 そのとき、ふと、うちらの輪の外でかわされてる会話が、耳に飛びこんできた。

「……俺は、しょーじき、あかねと同室は気まずいぜ?」

 うちらのおしゃべりのボリュームが下がったことで、きこえてきたみたい。

「だよなあ。あかねと遊ぶのおもしろいし、同室になったらなったで楽しいだろうけど……やっぱちょっと、な」

 その会話は、すぐにべつの話題に移ったけど。


「おいおい、失礼だろあいつら!」

「あ、みんなにもきこえてた?」

「きこえたさ。あかね、ガツンと言ってやるか?」

 真壁や藤司は、むっとしたみたい。

「いいっていいって! 気まずいって思うのは、その人の自由じゃん。べつに悪口じゃないよ」

「うーん、そうなのか……?」

 うちの言葉に、首をひねる真壁。

 真壁や藤司は、「うちと同室なのが気まずくてイヤ」って感覚が、ピンとこないみたいだけど。



 吉良くんが、さっききいてくれたのは、「うちが」気まずくないのか。

 そして、さっきの男子たちは「自分たちが」気まずくなるのを心配してる。

 つまり、うちがいることで、クラスに1つ、ギクシャクのタネを作っちゃったわけで。

 せっかく、みんなが楽しみにしてる林間学校を、うちの存在がかきまわしちゃったようで。

 あああ、居心地がわるいなあ……。


   ●▲●▼


「――ってわけなんだ。自分がいなければ、こんなこと話題にもならなかっただろうなって思ったら、なんかもうしわけないなっていうかさあ~」


 うちが話している相手は、スマホの中にいる、太陽。

 ビデオ通話で、うちは太陽に、今日あったできごとを話してたんだ。

 太陽は、途中で言葉をさえぎったりせず、静かにうちの話に耳を傾けてくれていた。

 こういうクラスでのできごとって、クラスメイトには話しづらいけど。

 学校のちがう太陽が、じっくりきいてくれるのが、ありがたいんだ。


 うちの言葉がとぎれると、太陽がため息といっしょに、言った。

「……そうか、あかねもなんだね」

「えっ?」


「そういうこと、俺もいつも思ってるからさ。――俺がいるせいで、みんなに時間や気をつかわせちゃうなあって」

 あ、そっか。そうだよね。


 太陽は、生まれつき、人よりもずっと体が弱い。

 だから、授業やイベントで、みんなと同じようにはできないことが、いろいろあるんだ。

 そのたびに、先生も、クラスメイトも、対策を考えておかなきゃいけないんだね。


「楽しいはずのイベントなのに、楽しみな気持ちだけじゃいられないのって、しんどいよね」

「わー、そうなんだよ! 今うち、ちょっとだけ楽しみよりユウウツな気持ちが勝っちゃってる~~~~~!」


 こんなネガティブな気持ちを、はきだせるの、すごくほっとするよ。

 太陽がニコッとしてくれる。


「俺も。やっぱり、泊まりのイベントって、すごく大変なんだ」

「そうかあ。太陽は、どんなことにこまってるの?」


「じつは……俺の場合、泊まりがけのイベントってなると、いざってときのために親にもついてきて、近所で待機しててもらわなきゃいけないらしいんだ。そんな手間ひまかけてでも、俺が『みんなと同じ体験ができるように』って、先生や親が対策してくれるのはありがたいんだけど……みんなは自分ひとりで参加するのに、俺にはそれができないんだっていうのが、くやしくて……ううん、はずかしい、かな?」

 スマホの画面の中で、太陽が顔をしかめる。


 そうだよね、太陽の場合は、最悪、命にかかわることもあるもんね……。

 でもうちは「はずかしい」なんて言葉を、すなおに伝えてくれてることが、うれしいな、なんて思ってる。

 だって以前の太陽なら、絶対言わなかったと思うし……。


「太陽もそうなんだ。……なんかさ、みんなとちがうってソンだなーっていうか……いちいち考えこんじゃうっていうか」

「うんうん! そのうち、もんもんと考えてる自分のことがイヤになってきちゃうんだ」

「! あーそうかも。だからうちも最近、心に霧がかかったみたいでイヤだったのかも」

 うちって、イヤなことをずーっと考えてるよりも、さっさと楽しいことに目をむけちゃおう! って思うタイプだから。

 自分のネガティブな気持ちとむきあったこと、正直、あんまりなかったけど。

 でも、太陽は、自分のそういうネガティブさを、すっかりわかってるみたいだ。


 ……ず―――っと、考えてきたんだろうな。

 自分のままならなさと、つきあってきたんだ、太陽は。


「うちは、それでもさ。林間学校、いきたいなって思ってるけど。太陽は、どうするの?」

 すると、太陽が、まっすぐうちを見かえした。


「俺も……いくつもりだよ」


 わ! 声が、力づよい!

 声色と表情から、迷ってないことが、伝わってくる。


「わあっ、じゃあうちら、いっしょにいけるんだ……!?」

「うん! あ、でも、俺はバスには乗らずに、現地から合流するつもりだけど。長距離バスは、けっこう体にくるんだ」

 そっか。いっしょに遊園地にいったとき、しんどそうだったもんね。

 太陽、なんだか、うまく力を抜けるようになった感じがするなあ。


「……じつは、親からは『林間学校はやめておかない?』って言われたりしたんだ。旅先で体調が悪化したら、心配だって」

「え! そうなの!?」

「うん。俺も今までなら、やめるほうを選んでたと思うよ。でも今回は……あかねがいるから」


「!」


「あかねのことを思いうかべたら、俺、ユウウツな気持ちをぶっとばして、どうしてもいきたいって思えたんだ」


「!!!」

 うわああああ……。

 うちの存在が、太陽が林間学校にチャレンジする、きっかけになったってこと?

 し、しかも、その言い方……!!

 あ、赤くなるな、うちの顔!


「もちろん、藤司や鈴華さんたちといっしょなのも、楽しみだしね」

「あ、う、うん、そうだよねっ!!」


 スマホ越しで、ホントによかったよ。

 直接会って話してたら、うちの様子がおかしいこと、絶対にバレてた……!


「じゃ、じゃあ、次に会うのは林間学校で、かなっ!」

「うんっ。楽しみにしてるね」


 …………ふー。

 通話を切ると、やっと少し、胸のドキドキがおさまってきた。

 あんなふうに、ストレートに言葉にできちゃうって。

 ――太陽って、マジで、うちのこと、どう思ってるんだろ……?

 やっぱり「親友」、なのかな……。

 う――――む。


 太陽のうちへの気持ちがなんなのかは、わかんなくても。

 でも……うちの太陽への気持ちは、もう否定できないんだ。

 太陽が、林間学校にくる!

 それだけで、心がぴょんぴょんしちゃってる。

 1泊2日もいっしょにすごすなんて、初めてだもん。


 楽しみだけど……ドキドキするなあ。


第7回につづく(9月4日公開予定)




書誌情報


作: 七都 にい 絵: しめ子

定価
880円(本体800円+税)
発売日
サイズ
新書判
ISBN
9784046324092

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