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【先行ためし読み!】『ふたごチャレンジ!』11巻 第2回 かえでちゃんは名探偵⁉ ~かえでと藤司の初デート~


今回のふたごチャレンジ最新巻は、なんと! 読者のみんなが寄せてくれた622通ものリクエストから、のべ150人以上のアイデアを採用したストーリー&イラストでできた、超豪華なスペシャル版!
本には、リクエストしてくれた人のお名前ものってるから、お楽しみに。あなたの名前もあるかもっ⁉
今回のためし読みは、その中から最初の部分を、ちょっとずつご紹介するよ。みんなでつくった、夢いっぱいの1冊、発売を楽しみにしていてね!
(全3回、公開は2026年5月31日(日)まで)


かえでちゃんは名探偵⁉ ~かえでと藤司の初デート~

 

1 落としもののチケットのナゾ

 ええと、このとびらって引くのかな、押すのかな……。

 あ、引くって書いてある。

 両手で、ひんやりしている取っ手をにぎって、体重をかけるようにして、ひっぱる。

 わ、重い……!


「よいしょっと……!」


 力いっぱいとびらを引いて、どうにか開いたすき間から、さっと中へ入りこむ。

 ふう。無事に入れたぞ。

 初めてくる場所って、ドキドキがいっぱいだ。

 胸をなでおろしてから、ゆっくり視線をあげると、


「わあ……」


 ずらりと一面に広がる、真っ赤な座席が目にとびこんでくる。

 映画館よりもずっと広くて、天井が、ものすご――――く高くて。

 それだけで、圧倒されてしまう。

 こんな大ホール、ぜんぶに人が入るのかな!?


 ……と、いけない。

 出入り口の近くで立ち止まってたら、次、入ってきた人がこまっちゃうよね。

 ぼくは、そっとホールの中を歩きはじめる。

 わ、ちょこっとずつ段差になってるから、足もとに気をつけないと。

 えーと、ぼくらの席はどこだろう――あっ、あのうしろ姿はっ。


「藤司くんっ」


 名前を呼んでみると、さっとふりむいた藤司くんと目が合う。

 その瞬間、藤司くんはぱっと笑顔になって、ぶんぶんと手をふる。

「かえで! こっちこっち!」

 ぼくは、いそいで、それでも足もとに気をつけながら下りていって、藤司くんのとなりの席に、腰をおろす。

 座面も、背もたれも、ふかっと柔らかくて、すわり心地がいい。

 学校のイスも、こんなふうだったらいいのに!


「藤司くん、くるの早かったんだねっ」

「いやあ、楽しみすぎて家でおとなしくしてられなくってさ。てか、かえでもはえーじゃん!」

「ふふ、ぼくもおんなじ理由だよ。……藤司くん、今日はおさそいありがとうっ」

「いやいや。おれのほうこそ、かえでといっしょにコンサートをきけるなんて、うれしいぜ!」

 ぼくらは、ニコッとほほえみあう。

「ぼく、吹奏楽の演奏をきくの、初めてなんだ。楽しみだなあ」

 今日は、藤司くんにチケットをもらって、藤司くんのお姉さんが所属する吹奏楽部が出演するコンサートに、さそってもらったんだ。

 このへんの、いくつかの中学校が、合同で開催するみたい。

 ぼく、ちょうど、藤司くんが担当しているトランペットのことや、演奏している曲のこと、もっと知りたいなって思ってたんだよね。

 藤司くん、5年生から金管クラブに入って、すごくがんばってるから……!


「それにしても、ホールって、すっごく広いんだね。席もたくさんで、ビックリしちゃったよ」

「なー! 去年は、小ホールのほうでやったんだけど。けっこう評判がよかったのと、今回は、さらにスペシャルゲストがくるからなんだって!」

「へー、スペシャルゲスト!? だれなんだろうねっ」


 座席にすわりながら、しばらく話していると、

「わり、おれ、ちょっとトイレいってくるな」

「うん、いってらっしゃい」

 藤司くんが、席を立って、たたたっとかるい足取りで階段をあがっていく。

 ふふ、藤司くんは、どこにいても元気いっぱいだな。ぼくはクスッと笑って前をむく。


 1人になって話し相手がいなくなると、慣れない場所へのちょっとした緊張がもどってくるよ。

 ホールの中は、音のきこえ方が少しいつもとちがって、なんだかドキドキする。

 イスに深く腰かけて、すうっと、深く息を吸いこんでみると。

 かぎなれない、思わず背筋が伸びるようなにおいがする。

 そして、目の前には、ライトに照らされて、広々としたステージがかがやいて見える。

 藤司くんのお姉さんは、あのステージの上でなかまといっしょに演奏するんだ。

 すごいなあ……!

 ぼくだったら、あのステージにあがるって考えただけで、緊張で、楽器を演奏する手が、震えてしまいそう。

 そしていつか、藤司くんも、あのステージの上で演奏することがあるのかなあ……なんて。

 ふかふかのイスに身をあずけながら、そんな想像をふくらませていると。


「かえで、お待たせ」

「あっ、藤司くん」

 やっと、藤司くんがもどってきた。

 ずいぶん時間がかかったような?

 気がついたら、ホール内にも、すっかり人が増えてる。


「……それがさ、かえで。トイレにいった帰りに、自販機のそばで、これをひろったんだ」


 藤司くんがぼくの前に差しだしたのは、スタンプが押された、受付ずみのコンサートチケット。

「わ、だれかがチケット、落としちゃったんだ」

 まあ、座席番号さえ覚えていれば、大丈夫だけど……。

 でもやっぱり、ないとちょっと、こまるかもね。

「ああ。だから、しばらくその場できょろきょろしてたんだけど。チケットをさがしてるっぽい人が見あたらなくて。それで、かえでに相談しにきたんだ」

 藤司くんが、こまったように頭をかく。

「そもそも、落としたってことに気づいてないのかもね」

 と、言いながら、ぼくはチケットをよく見てみる。

 チケットのどこかに、その人の名前が書いてあったり……は、ないかあ。


 ん? このチケットって……?


「藤司くん。ちょっと待って」

 ぼくは、おさいふの中から、今回のチケットを出す。

「……やっぱり。ほら見て。これ、今回のコンサートのチケットじゃないよ」

「へ?」

 この2つのチケット、一見したときは気づかなかったけど、絵柄がちがう。

 コンサートの名前もちがうし。

 それに――。


「藤司くん、ここ見て、日付……!」

「え、うおっ、10年前だ……!?」

 ぼくも藤司くんも、ビックリして目を見あわせる。

「10年前から、だれにも気づかれずにあそこに落ちてた……なんて、あるわけないよな?」

「うん。ホールだもん、きっと、こまめにおそうじしてるよね。だとしたら――」

「今日の客の中に、これを持ってきて、そして落としちゃった人がいる……!?」

「って、ことだよね……!」


 どうして、こんな古いチケットを、今日持ってきたのかは、わからないけど。

 きっと、なにかの事情があるはず。

 なにか、ほかに手がかりはないかなと、チケットを裏返してみると。

「あ、なにか文字が書いてある」

「お、なになに!」

「ええと……『好きです。もし、こたえてくれるなら、ききにきてください。あなたがプレゼントしてくれたリードで演奏します』だって……」

 ……え、


「「ええええええっっ!」」

 藤司くんの顔も、たぶんぼくの顔も、ボンッと赤くなってる。


「こ、これは……っ!」

「ラ、ラブ……っ、と、とにかくめちゃくちゃ大事なものだな!」

「うん、ぜったい、届けてあげなくちゃいけない気がする……!」

「だな! そ、そうだ、受付! 落としたことに気づいたら、きっと真っ先に受付にいくよな!」

「そうだよね、受付の人にわたしにいこうっ」

 開演までは、まだだいぶ時間があるし。

 ぼくらはいっしょにホールを出て、受付のところへいく。でも……。


「うおっ、すげー人だ!」

 早めに着いていたぼくらは、すんなり受付をとおったけど。

 今は、チケットを持った人が、ずらりとならんじゃってる。

 受付を担当してるのは、中学生のお姉さんお兄さんたちで、バタバタといそがしそう。

 うーん、おねがいするのは、むずかしそうだ。

 ……よーしっ。


「藤司くん。開演まで、あと30分ある。それまでに、ぼくらで落とし主をさがさない?」

「え、今から、おれたちで?」

 目をまるくする藤司くんに、ぼくは、コクリとうなずく。


「うん。だって、自分のお目当ての曲とか、演奏者だけきいて、あとは帰っちゃう人もいるかもでしょ。だから、開演までに見つけてわたしてあげたいなって……っ」

「なるほどな……! よっしゃ、おれらで届けてあげよう!」

 藤司くんとぼくは、ニッと笑って、うなずきあった。

(このつづきは本で読んでね!)

かえでと藤司がやってきたコンサートホールで拾ったのは、10年前のチケット。
しかも、そこにはとってもだいじなメッセージが書かれてたっ!
いったいだれの落としもの? ホール中のたくさんの人の中から、かえでと藤司は、持ち主を見つけ出せるのかっ⁉ かえでの調査&推理がさえわたるよ!


次回は、また別のお話の最初の部分をためし読みできるよ!お楽しみに!



このほかに、小説が5本、そして、みんなのリクエストをとりいれた、七都さん書き下ろしの「ちょこっと劇場」、そして、しめ子さん描き下ろしの「リクエストイラスト」もいっぱいのってるよ!
しかも、「ふたごチャレンジ!⑪」の発売に合わせて、「ふたごチャレンジ!フェア」もはじまります!
抽選で200名さまに、みんなの選んだキャラから応援メッセージつきのカードが届くスペシャルなフェア!
(キャラは7人の中からえらんでね)くわしくは、本の帯にのってるよ。
楽しみにしててね!


書誌情報


作: 七都 にい 絵: しめ子

定価
858円(本体780円+税)
発売日
サイズ
新書判
ISBN
9784046323866

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