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【先行ためし読み!】『ふたごチャレンジ!』11巻 第3回 おえかきクラブに、おまかせ!~めぐちゃんと虎道くんのチャレンジ~


今回のふたごチャレンジ最新巻は、なんと! 読者のみんなが寄せてくれた622通ものリクエストから、のべ150人以上のアイデアを採用したストーリー&イラストでできた、超豪華なスペシャル版!
本には、リクエストしてくれた人のお名前ものってるから、お楽しみに。あなたの名前もあるかもっ⁉
今回のためし読みは、その中から最初の部分を、ちょっとずつご紹介するよ。みんなでつくった、夢いっぱいの1冊、発売を楽しみにしていてね!
(全3回、公開は2026年5月31日(日)まで)


おえかきクラブに、おまかせ!~めぐちゃんと虎道くんのチャレンジ~

 

1 きっと、ここでなら

 カラカラカラ……

 わたし――小町屋めぐが、ひかえめに、そっと図工室のとびらを開けると。


「あ、めぐちゃん!」


 6年生のゆかり先輩が、すぐに気づいて手をふってくれる。

 つづいて、

「やっほー!」

「めぐちゃん、待ってたよっ」

「おいでおいで。今日はなにを描こうって、話してるんだ!」


 絵奈先輩も。かえで先輩も。凜先輩も。

 おえかきクラブの先輩たちが、みーんなで声をかけてくれる。

 わたしは、だまったまま、ぺこっとおじぎをする。

 それだけで、みんな、ニコッと笑ってこたえてくれる。


 図工室に足を踏み入れると、全身が、ぽわっとあったかく感じるくらい。

 すっかり、ここは、わたしにとって、「安心できる」場所になってるんだ。


 わたしが、みんなと同じでなくてもいいよって、伝えてもらえる場所。


 しゃべれないことで、誤解されてしまう心配もなく。

 きらわれてしまう不安や、申しわけなさや気まずさを、感じずにいられる場所……。

 わたしがわたしのままで、いられる。

 クラブ活動がある日を、わたしは、いつも楽しみにしているんだ。


 4年生になって、幼なじみの友だちと、ちがうクラブをえらぶのは、最初、すごくこわかった。

 そんなわたしを気にかけながら、わたしに勇気をくれたのは――。


 わたしが、うつむきながら考えたとき。

「そういえば、今日は虎道くんはいっしょじゃなかったんだね」

 絵奈先輩が言う。


 空本虎道くんっていうのは、わたしと同じ4年生の、おえかきクラブのメンバーなんだ。

 わたしを、この場所につれてきてくれた人。


「あれ? そういえば虎道くん、前回もきてなかったよね?」

「前のクラブの日は、学校をお休みしてたんだっけ」

「カゼをこじらせちゃったのかな?」

 かえで先輩と凜先輩は、心配そうに顔を見あわせてる。

「あ、ひょっとして、今日は居残りかも!」

 ゆかり先輩が、思い出したように言う。

「「「居残り?」」」

 って、ゆかり先輩にききかえす先輩たち。


「このあいだ、放課後に4年生の教室の前を通ったらね、虎道くんが1人でプリント解いててさ。ろうかから『なにしてるのー』って声かけたら、『宿題忘れちゃって、居残りなんすよ~』って笑ってたんだ」

「わはは~目にうかぶ~」

「思いかえしてみると、虎道くんって、ちょくちょくクラブにおくれてきますよね」

「たしかに。でも、いつもあたしらがおしゃべりに夢中になってるから、そこに虎道くんがうま~く入ってきてくれるんだよな」

「虎道くん、いつも元気だもん。きっともう全回復してるよね!」

「うん、もう少ししたら、『ちーっす!』ってやってくるんじゃない?」

 だんだんと、先輩たちに、笑顔がもどっていく。


 でも、わたしの中に広がるのは、ほっとした気持ちじゃなくて――――迷いだった。


 ……やっぱり、やめておこうかな。

 先輩たちに、心配かけないほうがいいのかな。

 先輩たちの言うとおり、空本くんはおえかきクラブで、いつも元気にしてるし。

 わたしが心配しすぎなだけかも。

 空本くんだって、大事にされるのはイヤかもしれない。

 それに、わたしのせいで、空本くんが、おえかきクラブにいづらくなっちゃったりしたら……。


 ――ううん。

 わたしは、みるみるふくらんでいく不安な想像を、ぐっとおし止める。

 おえかきクラブの先輩たちなら、きっと大丈夫。

 空本くんも、おえかきクラブの先輩たちのことが大好きだって、前に話してたんだ。

 先輩たちになら、相談しても、きっと空本くんは、ゆるしてくれるはず。


 ……よし。

 わたしはやっと、気持ちをかためた。


 でも、気がついたら先輩たちの話題はすっかりべつの方向に変わっちゃってる……どうしよう。

 どうやって声をかけよう。いつ口をはさもう。

 タイミングをまちがえたら、おしゃべりのジャマになって、気まずい感じになっちゃうかも。


 ――だれもが、なんでもないことみたいに、こなしてるけど。

 わたしは、こわいって感じてしまうんだ……。

 心も体も、カチコチにこわばっていくのが、自分でもわかる。

 どうしよう、このままじゃ――……あ、そうだ。

 あれをやってみよう。


 わたしは、つくえの下で、にぎったこぶしにギュッと力をこめて、それから、パッとゆるめる。

 それを、何度かくりかえしたら、次は、かかとをぎゅーっと上げて、ストン。

 体に入っていた力が、すっと抜けたのを、じわっと感じる。

 最初は、保健室の辻堂先生から教わって。

 それから、おうちで、お母さんといっしょにやってる「心のお守りのしぐさ」なんだ。

 こうやって、目立たず、こっそりできるの。


 体のいくつかの場所で、ぎゅーっ、ストンをくりかえしていると。

 だんだん、おうちですごしているときのこと――好きな動画を見ているときや、ペットの三毛猫のみいちゃんと遊んでいるとき。

 好きなことをしているときの、ほっとした気持ちが、心の中によみがえってくる。

 少しだけ、緊張がほぐれた気がする。


 ……うん、大丈夫。

 わたしは、準備してきたルーズリーフを、そっとポケットの中からとりだす。

 そして……。


「…………」


 私は、空本くんみたいに、ぺらぺらぺらっと、おしゃべりすることは、むずかしい。

 でも、あせらなくて、いいんだ。

 先輩たちなら、きっと――そう思いながら、見まわしていた、そのとき。

 ぱちっと、かえで先輩と目が合った。


「めぐちゃん、あの、ぼくたちに、なにか話したいこと、ある?」


 気づいてくれた……!

「あ……あの……っ」

 わたしの口から出たのは、とっても小さな声だったけど。

 先輩たちは、わたしにむかって、そろって耳をかたむけてくれたんだ。

2 めぐちゃんの相談ごと

 ぼく――かえでが、いつもみたいに、おえかきクラブで楽しくおしゃべりしながら、なんとなくみんなを見まわしていると。


 あれ? めぐちゃんが、なにかを言いたそう……?


 いつのまにか、手には、折りたたまれたルーズリーフがにぎられてる。

 なにか、話したいことがあるとき、めぐちゃんは、事前にメモを書いて、準備していることがあるんだ。

 あっ……目が合った。

 伏し目がちなことが多いめぐちゃんの、けん命な視線に、ぼくは思わず声をかけてみた。

 すると。


「あ……あの……っ。そ、空本くんのことで……相談があるんです……」


 めぐちゃんはそう言って、折りたたまれたルーズリーフを開いた。

 こちらに、見せてくれるのを、ぼくたちはそろって、のぞきこんだ。


  空本くん、運動会が終わって少ししてから、ずっと学校をお休みしてるんです。

  明るくふるまってたけど、運動会の前から、少し元気がなかったんです。

  わたし、心配で……。


 ほそくて、キレイな字。

 だけど、たくさん、消しゴムで消した跡がある。

 きっと、たくさんたくさん考えて、文章にしたんだろうな。


 めぐちゃんからの相談をきいて、

「ええっ、あの虎道くんが、ずっとお休みっ!?」と、おどろくぼくたち。

「運動会の前から、調子がわるかったの? ぜんぜん気づかなかった……!」

 と、6年生の先輩たちは、顔を見合わせてる。


 運動もとくいだし、社交的な虎道くん。

 運動会について話してたときも、

「運動の苦手なみんなのぶんも、俺、がんばるっす!」

 なんて、はりきってたのにな。


「元気がなかったって……どうしてだろうね」

 凜ちゃんの言葉に、

「なにか、なやみごとがあったとか……」

 って、ぼくは答えたけど。

「じつは体調がわるいのを、かくしてたとか……」

「おうちで、なにかあったとか?」


 あ、そっか。そういう理由も考えられるよね。

 ゆかり先輩と絵奈先輩の答えをきいて、ぼくは、見えていなかったいろんな可能性に気づいた。


「めぐちゃんは? なにか虎道くんから、きいてたの?」

 小さく首を横にふる、めぐちゃん。

「そっか。――じゃあさ、めぐちゃんって、虎道くんの連絡先知ってる?」

 ぼくがたずねると、めぐちゃんは、こくりと小さくうなずいた。

 そして、ルーズリーフに鉛筆を走らせ、ぼくらに見せてくれる。


  空本くんが、まえに教えてくれました。

  やりとりしたことは、まだないけど。


「じゃあ虎道くんに、心配してるってこと、メッセージを送ってみたら?」

「いいね。それで、もし、こまりごとやなやみがあるんだったら、わたしたちおえかきクラブも、全力で力になるよって、伝えてほしいなっ!」

 凜ちゃんも、ぼくの提案にのってくれる。

 でも、めぐちゃんの表情は、くもったまま。

 むしろ、目線が下にむいて、不安そうだ。


「……自分が虎道くんに連絡していいのかなって、考えてるの?」

 凜ちゃんがやさしくたずねると、めぐちゃんはハッとしたように、小さく目を見開く。

 そして、わずかにうなずいた。


「大丈夫だよ。あたしたちから見て、めぐちゃんと虎道くんは『友だち』だもん!」

「友だちから、心配してくれてるメッセージがきたら、きっとうれしいよ」

 ゆかり先輩と絵奈先輩の言葉に。

 めぐちゃんは、今度はほっとした顔になってうなずく。

 そして、ルーズリーフに、ゆっくりと文字を書いた。


   メッセージ、なんて書くか、いっしょに考えてくれますか。


「「「!」」」

 めぐちゃんが、ぼくらをたよってくれたのがうれしくて。

「「「もちろん!」」」

 全員のおっきな返事がそろって。

 まるで、運動部の号令みたいに、部屋にひびきわたった。

 それが、ぼくららしくなくって、おかしくって。

 みんなと思わず笑いながら、見ると、めぐちゃんもほほえんでくれていた。

(このつづきは本で読んでね!)

少しずつ「おえかきクラブ」になじんできた、めぐちゃんが持ちかけたのは、同じ4年生部員・虎道くんのようすがヘンだっていう相談。
いつも元気いっぱいの虎道くんに、なにがあったのか……かえで、凜ちゃん、そしてめぐちゃんがいっしょに、虎道くんの問題解決にがんばるお話だよ!



このほかに、小説が5本、そして、みんなのリクエストをとりいれた、七都さん書き下ろしの「ちょこっと劇場」、そして、しめ子さん描き下ろしの「リクエストイラスト」もいっぱいのってるよ!
しかも、「ふたごチャレンジ!⑪」の発売に合わせて、「ふたごチャレンジ!フェア」もはじまります!
抽選で200名さまに、みんなの選んだキャラから応援メッセージつきのカードが届くスペシャルなフェア!
(キャラは7人の中からえらんでね)くわしくは、本の帯にのってるよ。
楽しみにしててね!


書誌情報


作: 七都 にい 絵: しめ子

定価
858円(本体780円+税)
発売日
サイズ
新書判
ISBN
9784046323866

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