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宗田理さんの「ぼくらシリーズ」書き下ろし新作をどこよりも早くヨメルバで大公開!
ぜひ、れんさいを読んで、みんなの感想を聞かせてね。感想はコチラ♪
『ぼくらのオンライン戦争』は2023年3月8日発売予定です! お楽しみに♪
登場人物
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菊地英治(きくちえいじ) 中2 いたずらを考える天才。
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中山ひとみ(なかやまひとみ) 中2 水泳が得意。
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相原 徹(あいはらとおる) 中2 仲間をまとめる。
☆100秒でわかる! ぼくらシリーズの動画はコチラ!
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第4回
「菊地(きくち)、昨日の話だけど、カッキーのおじいさんからオーケーが出たぜ」
英治(えいじ)のスマホに相原(あいはら)から電話があったのは、その日の夜のことだった。
「カッキー、やったな!」
「明日、終業式の後に、クラスのいつものメンバーに声かけようぜ」
英治と相原は二年一組に在籍している。一年の時も同じクラスだったが、夏休みにクラスメイトとともに廃工場(はいこうじょう)に立てこもり、大人と戦う事件を起こしたために、二学期からは罰として別のクラスにされてしまった。
その時、一緒に行動したクラスメイトもクラスをばらばらにされたが、二年になると、そのうちの十五人が英治や相原と同じ二年一組になった。それは、英治たちのような問題のある生徒をまとめて規則でがんじがらめにするための学校側の策略(さくりゃく)だったのだが、そんなものでへこたれる連中ではない。彼らはむしろ担任教師を襲ったおそろしい凶悪犯(きょうあくはん)を、力をあわせて追いつめるなどして、より仲間同士の絆(きずな)を深めていた。
「おれもそうしたいけど、安永(やすなが)とか、『相原進学塾(しんがくじゅく)』に入ってないやつもいるだろ? 塾の夏期講習にしちゃったら参加しにくくないか?」
「気にする必要ない。塾なんて、夏期講習や冬期講習だけ受ける生徒も普通にいるし、そもそも今回の『勉強合宿』はおれたちが自主的にやるんだ。『相原進学塾』は、親の許可を取るための口実みたいなもんさ」
「それを聞いて安心したよ」
「じゃあ、決まりだな」
「もちろんだ」
英治と相原は電話を切るとすぐに、昨日、相原の家に来た安永、谷本(たにもと)、天野(あまの)、日比野(ひびの)に、柿沼のおじいさんから別荘(べっそう)の使用許可が出たことを伝えた。四人とも喜んで参加を表明した。
翌日、一学期最後の日。
二年一組では新米の担任教師、北原(きたはら)が生徒たちに夏休みの心得を話している。
このクラスには、去年の終業式後に廃工場に立てこもり、大人たちに反旗をひるがえし、子どもだけの解放区を作った生徒が大勢いる。当時の校長も担任教師もすでにいないが、ゴーストスクールで英治たちに散々振りまわされた今の校長の進藤から、しっかりと釘(くぎ)を刺しておくようにと、北原は伝えられていた。
「……というわけで、これから長い休みに入るが、毎日規則正しい生活を心がけるように」
「先生、それで終わり?」
やけにあっさりした挨拶(あいさつ)だったので、英治が思わずツッコミをいれた。
「うん。まあ、そんなところだ」
「なんだか拍子ぬけしちゃうな。ぼくたちには特に厳しめに言っとかないとまずいんじゃないの?」
「菊地、よけいなこと言うなよ」
後ろの席の佐竹(さたけ)が英治の背中を小突(こづ)いたが、北原は校長からの忠告を忘れていたわけではなかった。
「自分からそんなことを言うのは、菊地に自覚がある証拠じゃないか」
「あ、そっか」
英治は頭をかいた。
「これ以上何も言うことはない。ぼくはこのクラスの生徒をみんな信用している。いちいち名指しして注意するつもりはないよ」
「新米先生にしちゃあ、おれたちのことがわかってるよな」
天野がとなりの席の柿沼に小さな声でつぶやいた。
「違うよ、新米だから理想に燃えてるのさ。ずっとこのままの先生でいてほしいけど、だんだんすれてきちゃうんだよ、校長みたいに」
「ただし、校長先生はぼくの考えとはちょっと違うみたいだけど」
教壇(きょうだん)から聞こえる北原の声に、柿沼がすぐさま反応した。
「ほらな?」
「どう違うんですか?」
天野が北原にきいた。
「きみたちに迷路に閉じこめられたことがあったろ? あのせいで、今でもあいつらは何をしでかすかわからん連中だって信用していないんだ」
「意外としつこい性格なんだな」
柿沼が言うと、
「あれはおもしろかったからなあ。迷路から出られなくなってあたふたした挙句、とうとうギブアップしちゃって。まだ根に持ってるなんて相当くやしかったんだよ」
日比野が思いだし笑いをした。
「最初は強気だったくせにね」
「そうそう。でも、あの時はわたしたちが誘ったわけじゃなくて、校長先生が勝手に来たんだよ」
「どうせ、わたしたちのやることにケチをつけてやろうと思ったんだろうけど」
「それで信用できないなんて言われてもねー」
ゴールデンウィークに作ったゴーストスクールにいた、ひとみ、純子、久美子の女子たちも盛りあがっている。
「あのときは、きみたちが廃校(はいこう)をアジトにしていた悪い連中を捕まえたというから心配して見に行ったんだよ。ケチをつけに行ったわけじゃない」
「本当にそうなのかな~」
校長のフォローをした北原の言葉を、ひとみたちは信じていないようだ。
「とにかく、きみたちはまだ中学生だ。あまり危険なことに首を突っこむんじゃないぞ」
「わかっています。先生たちにご心配をおかけするようなことはしませんから、安心して夏休みをお過ごしください」
英治が丁寧(ていねい)な口調で言ったので、北原は苦笑いすると、
「校長先生にもそう伝えておくよ」
と言って、教室から出ていった。
「よし、いよいよ夏休みだ!」
英治がその瞬間を見計らって、声を上げた。
「やけに威勢がいいなあ。さては今年も何か企んでるんでしょ」
「さすがはひとみだな。ホームルームが終わったら、みんなに話そうと思ってたんだ」
「菊地くんって、わかりやすいからね。で、何するの?」
ひとみは興味津々だ。
「勉強合宿だよ」
「それ、本気?」
「半分は本気」
「じゃあ、あとの半分は?」
「それは順番に話すとして。勉強合宿は相原進学塾がやるんだ」
「相原進学塾なら、わたしだって通ってるけど、そんなの初めて聞いたよ」
「昨日急に決まったんだよ。なあ、相原」
「じつは、そうなんだ。このまま学校で話すのもなんだから、この話に興味のあるやつは、後でおれの家に集まらないか?」
「相原の家でもいいけど、純子(じゅんこ)、来々軒(らいらいけん)はダメかな? ランチタイムが終わったあとの休憩時間なら、他のお客さんのじゃまにならないだろ?」
英治がきいた。
「そうだなあ、二時から休憩になるから、二時半ごろならだいじょうぶじゃないかな」
「やったあ、助かるぜ。じゃあみんな、昼飯を食べたら来々軒に集合だ」
「余りもので良かったら、お昼ご飯の用意もできるかもよ」
「マジで? いいの?」
「どうせ弟や妹たちのご飯も用意するから」
「純子はやっぱり気が回るなあ」
「菊地くん! 最初から純子がそう言ってくれるの、期待してたんでしょ?」
「そ、そんなことないよ。おれはちゃんと昼飯を食べたらって……」
ひとみに言われて、英治は必死で否定したが、
「まあ、そう言われても仕方ないよな」
今回ばかりは、相原も助けてくれない。
「純子、わたしと久美子(くみこ)も手伝うからね」
「菊地、おれたちも早めに行って、ランチの皿洗いを手伝おうぜ」
ひとみににらまれた英治に、柿沼がなぐさめるように声をかけた。
<第5回とつづく>(3月3日公開予定)
*実際の書籍と内容が一部変更になることがあります。
『ぼくらのオンライン戦争』は3月8日発売予定!
作:宗田 理 絵:YUME キャラクターデザイン:はしもと しん
- 【定価】
- 836円(本体760円+税)
- 【発売日】
- 【サイズ】
- 新書判
- 【ISBN】
- 9784046322005
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