学校でも、塾でも教えてくれない「スマートフォン(スマホ)・インターネット(ネット)」のカッコいい使い方とは? スマホやネット、ぼんやり眺めているだけだと、ビックリするようなことも起きてしまうかも!? 情報社会にこれから出ていくみんなが読んでおきたい最強の教科書。
第5回目は「ギモン4 好きなものだけ見て、楽しんでます。それで幸せだから問題ないですよね?」を試し読み!
※本連載は『スマホを見てただけなのに! 13歳から知っておきたい情報社会のかしこい生き抜き方』から一部抜粋して構成された記事です。
それで幸せだから問題ないですよね?
好きなアイドルの推し活やって、友だちとビーリアル。それからネットフリックスでドラマを見て、ユーチューブの新しい動画をチェックして、それから……。
そんな感じで、私たち現代人は、毎日おおいそがし。
ある意味、スマホのおかげで充実した日々を送ることができています。そうやって、好きなものを見て、楽しむことって、いけないことなのでしょうか?
つい乱されがちな現代人
食べものを偏食すると、からだに異変が起こります。これは私たちにとって、当たり前のことですね。
同じように、スマホでかたよった情報ばかりにふれていると、やっぱり、からだに少しずつ(時には急に)、異変がおきてくるかもしれません。
スマホが登場してから、世界中で、心の病気や引きこもり、寝不足に悩む人、さらにストレスがたまって病気になったり、イライラして人に迷惑をかけるような問題をおこしたりする人が増えています。なぜか? それは、スマホによる「情報の偏食」が、理由のひとつと言われています。
たとえばSNSの情報ばかりを好んで食べている人の場合。
急に流れてくる過激な動画で心を乱されたり、他人のキラキラした生活を見て、自分と比較して落ち込んでしまったり、あるいはネガティブなコメントで心がすり減ったり……。
こうした“情報のダメージ”を日頃から無意識に受けつづけているせいで、ある時ささいなことをきっかけに、ズシンと、急に心が落ち込んでしまうかもしれません。
「偏食」をおすすめするスマホ
さらによくないことに、実はスマホには、見ている人に「(情報の)偏食」をさせやすくする仕組みがあります。
たとえば、あなたがある動画を“たまたま”見たとします。
あなたがその動画を何秒間、じっとして見たか。
何秒くらい、次の動画をさがすためにスクロールしたか。
今まであなたがグッドボタンをおした動画や登録チャンネルは、他にどんな人たちから見られているか……などなど。
ここに書ききれないくらい、ものすごくたくさんのデータを、スマホは集め、分析しています。
これらのデータをもとに、スマホは「次は、こんな動画はいかがですか?」と、あなただけに向けた「おすすめ」を表示するのです(これを「レコメンド」といいます)。
中には「私はおすすめされたものはあまり見なくて、ぜんぶ自分で選んでいるので大丈夫です」という人もいるかもしれません。でも、あなどるなかれ。おすすめ動画を見たか、見なかったのかさえ、スマホにとってはありがたいデータとなります。
このように、あなたが好きそうなもの――スマホから見た「あなたが食べてくれそうな情報」を、スマホは毎日、勝手に選んで、玄関前までウーバーしてくれているような感じなのです。結果的に、私たちがみんな、自分の好きな情報ばかりを「偏食」することになってしまうのも無理はありません。
アレルギー予防に「りれきチェック」!
ところで、そうやってレコメンドされた動画を楽しむことって、だめなことでしょうか?
いえいえ。けっして、だめなことではありません。スマホからおすすめされて、ついタップしてしまったとしても、好きなものは好き。だって、家庭科の先生も、お医者さんも、料理研究家も、甘いものを食べるし、たまにはファストフードにも行きます。
ひとつだけ言えるのは、なにかを食べたあとのからだの反応は、人によってさまざまだということです。食べ物でも、アレルギー反応が出る人もいれば、そうでない人もいますよね。ラーメンやパンなど小麦でできた物を食べてもなんともない人もいれば、太りやすかったり、胃もたれしたりする人もいます。
スマホから摂取する情報もそれと同じで、過激な動画を見続けて、元気がなくなってしまう人もいれば、逆になんともない人もいる。こわいニュースを見て、悲しくなってしまう人もいれば、ステキな解決策やアイデアがひらめく人もいます。
つまり、スマホからレコメンドされて、「つい」「たまたま」見たものが、もしかしたら自分のからだに合わないかもしれないということです。食べてみたらアレルギー反応をおこして、急にぐあいが悪くなるかもしれません。
ですから、本当に自分がその動画を“心から”楽しめているか、そうではないかを、たまにはじっくり考えてみましょう。最近見たものをおさらいする「りれきチェック」で、「この動画は(自分にとって)◎」「これは×(ちょっと苦手)」など、自分でふりかえってみてください。
スマホの「あなたにおすすめ」は便利ですが、あなたの気持ちや体調まで守ってくれるわけではありません。りれきチェックを習慣にすると、自分に合わない情報を早めに見つけて、ひどくなる前に避けることができます。これは、心のアレルギー予防の“セルフチェック”です。
好きなものを見て、楽しむことは少しも悪くない! でも、その中に添加物がたくさん入っていたり、刺激強めの情報ばかり食べていたりすると、調子が悪くなっちゃうかも!? たまに、自分が最近食べたものをチェックしてみて!!?
◆第6回目「ギモン5 今のところ、自分は健康です。この本を閉じていいですか?」へつづく(5月7日公開予定)
【著者プロフィール】
鈴木雄也(すずきゆうや)
1989年生まれ。岐阜県出身。情報的健康プロジェクトメンバー兼慶應義塾大学 X Dignityセンター連携所員。横浜国立大学卒業後、地方テレビ局の報道記者や営業担当として約10年間にわたり取材・制作・営業などに従事。その後、外資系ウェブメディア、新聞社と、メディア業界の現場を横断的に経験。2022年より情報社会とリテラシーに関する研究・発信をライフワークとし、「情報的健康プロジェクト」に参画。慶應義塾大学法科大学院・山本龍彦教授らとともに共同提言を執筆。Podcast、noteなどで情報社会における“情報的健康”の重要性について発信している。