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【バッタ】の種類はたくさん! 昆虫採集YouTuberむし岡だいきさんが解説

子どもたちが夢中になって追いかける昆虫「バッタ」。公園や草むらなど、身近な場所に生息しています。

でも、どんな種類がいるかなど、知らないことがたくさんある昆虫でもあります。

そこで今回は、昆虫採集YouTuberむし岡だいきさんにバッタの種類、捕まえ方や育て方など、さまざまな事をおうかがいしました!


バッタってどんな昆虫?

 バッタとは一般的にはバッタ目というグループに含まれる昆虫のことを指しますが、バッタ目にはコオロギ、キリギリス、カマドウマやコロギスなど、後ろ脚がジャンプするために適した形になっている昆虫のグループになります。

 本記事では、バッタ目の中でもショウリョウバッタやトノサマバッタ、イナゴなどが含まれる「バッタ亜目」に含まれる昆虫をバッタとしてお話しします。

 日本にはいろんな種類のバッタが生息しており、そのほとんどが植物を食べて生活しています。

 みなさんもきっと公園や、河川敷の草むらなどで見かけることが多いと思います。

 しかしバッタたちには、植物の種類や日の当たり具合など、それぞれの種類によって好きな環境がわかれています。そのため、自分の好きなバッタはどんな環境を好むのか? というのを覚えることで、みなさんのバッタ採集が何倍も楽しくなっていきます。

 それではみなさんの身の回りで見つけられる代表的なバッタを数種類紹介します。

オンブバッタ

 人家の家の庭などにも生息する、一番よく見かけるバッタです。背丈の低い草むらでさまざまな植物を食べるため、街中から草原までさまざまな場所に生息しています。名前の通り、メスがオスをおんぶしているところを多く見かけます。あれはオスが自分のメスを他のオスに奪われないようにしている行動といわれています。




ショウリョウバッタ

 夏になると、公園や河川敷で多く見かけるバッタです。イネ科の植物を好むため、イネ科の植物が生えていて背丈が高すぎない、比較的明るい草むらにたくさん生息しています。オスは羽で飛ぶ際に「チキチキ」と音を立てて飛ぶことから「チキチキバッタ」とも呼ばれます。メスは非常に大きな体をしており、日本のバッタの中でも最大級の大きさになります。





トノサマバッタ

 河川敷などの開けた草地に生息する大型のバッタです。日当たりがよく、地面が見えているような場所に生息しています。逃げるのがとても上手で、人の気配に気づくと背丈の高い草むらへと素早く飛んで逃げていきます。6月から11月頃まで成虫が見られます。




コバネイナゴ

 田んぼやその周りの草むらにたくさん生息しているバッタです。イネの葉っぱをよく食べるため、農家の方からは害虫として扱われていました。よく似ているハネナガイナゴは近年生息地を減らしています。




ツチイナゴ

 秋や春に多く見かける大型のバッタです。クズの葉が生えている場所を好みます。バッタの中では珍しく、成虫で越冬する種類のため、真冬に草の枯れた草原を探すと、越冬している姿を見つけることもできます。




クルマバッタ

 トノサマバッタによく似ている大型のバッタです。山の中にあるような、背丈の低い草原に生息しています。後ろ翅にある模様が、飛んでいる時に車輪が回転しているように見えることからクルマという名前がついたと言われています。似ている種類にクルマバッタモドキというバッタがいますが、彼らの方が体が小さく、背中にX模様が入っていることから区別できます。




フキバッタのなかま

 林の下草に生息しているバッタです。林道を歩いていたり、キャンプをしたりしている際などに見かけることが多いです。翅が退化しており、成虫になっても短いままです。そのため、地域によって種類が細かに分かれています。




つかまえるコツはある?

 バッタを捕まえる際には注意しなければいけない点が2つあります。

 まず一つは、「後ろ脚を掴まないこと」です。バッタのジャンプする後ろ脚は非常に取れやすくなっており、人につかまれると自分から切り離して逃げていきます。これを自切といいます。そのため、バッタを捕まえた際は体をつかむか、すぐに観察ケースなどに入れるようにしましょう。「後ろ脚を2本同時に掴むと自切しない」という話もありますが、筆者がツユムシを採集した際、自分の脚を2本同時に自切して逃げていった経験があり、それがトラウマなのでできるだけそうしないようにしています。



 もう一つは、捕まえた際、彼らが「口から茶色い汁を出す」ということです。この汁を吐き出す理由は、いまだに詳しいことはわかっていないようですが、これは胃の中のものを外敵への抵抗として出していると言われています。これには毒があるわけではないですが、手や服などが汚れてしまいますので、捕まえたら速やかに観察ケースなどに入れてあげましょう。



 バッタを捕まえるには網を使うのが一般的です。トノサマバッタやツチイナゴなどはジャンプ力も飛翔能力も非常に高く、素手で捕まえようとすると簡単に逃げられてしまいます。非常に敏感なので、静かに音を立てないように近づき、口径の広い網を素早く被せて捕まえます。葉っぱの上に乗っているバッタを見つけた時は、葉っぱごと勢いよく網を振り抜くと捕まえやすいです。

バッタの飼育方法を知りたい!

 バッタはほとんどの種類が比較的簡単に飼育することができます。風通しのいいメッシュ状の蓋のケースで、餌となる植物を入れて飼育してあげましょう。植物は枯れやすいので、水を入れたビンなどに刺して、それをケースの中に入れてあげるのがよいでしょう。ただし、まれに水の入った瓶に入ってそのまま出てこれずに死んでしまう場合もあるため、ビンの口はティッシュなどで塞いであげましょう。



 水もよく飲むため、1日に一回程度霧吹きをして草を湿らせてあげます。草についた水滴を飲む姿を観察することができます。バッタはとてもたくさんの糞をします。産卵を目的としない場合は、ケースに土などを入れる必要はなく、ケースの底にフンが溜まってきたら掃除してあげましょう。

 バッタのなかまのほとんどの種類は、土の中に産卵するため、メスを捕まえてきて産卵させたい場合は、タッパやプリンカップなどに土を入れてケース内に置いてあげましょう。産卵の時期が来ると、その土の中にお尻を差し込んで産卵する行動を観察できます。




バッタの豆知識

茶色いバッタと緑のバッタ

 バッタは同じ種類でも、茶色くなったり緑色になったり、時にはピンク色のものが見つかったりすることもあります。なぜ色が変わるのかは、日当たりや周りの植物の種類、湿度、遺伝などが原因と考えられていますが、いまだに詳しいことはわかっていません。緑のバッタの幼虫を飼育していても、大きくなると茶色くなることもあります。



トノサマバッタは釣れる?

 バッタの捕まえ方の一つに「バッタ釣り」というものがあります。黒い木片に糸を結んで、オスのバッタの近くに落とすと、メスと勘違いしてオスが上に載ってくるという採集方法です。主にトノサマバッタのオスに有効な採集方法です。しかし動かし方や木片を落とす場所、木片のサイズなど、やってみるとかなりのコツがいるため、決して効率よく採れる方法ではありません(笑)

 色々な方法を試して自由研究の題材にするのも面白いかもしれません!




写真:PIXTA


【プロフィール】
むし岡だいき
昆虫採集YouTuber 。チャンネル登録22万人 、一番好きな昆虫はコロギス。




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