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海のマメ知識 『水辺の冒険日記 いきものはいつも隣にいる』ためし読み


僕たちの身近な自然には、まだ知られざる生命のドラマが息づいています。より広く自然を見ることで、みなさんがいつも歩いている道端や眺めている川が、これまでとは違った表情を見せたり、何気ない日常が実は楽しさに満ちあふれていたりします。僕と一緒に、命をいただく冒険へ出発しましょう。

連載第4回は、「海·岩場·川のマメ知識」の中から「海のマメ知識」を紹介します!

※本連載は『水辺の冒険日記 いきものはいつも隣にいる』から一部抜粋して構成された記事です。

<海·岩場·川のマメ知識>海のマメ知識

干潟はいきものの生育場所

 干潟は潮が引いたときに現れる河口付近の砂泥地で、気軽に潮干狩りを楽しめる場所だ。
 おいしいマテガイやアサリ、エビ、ハゼが獲れるのも魅力だけど、水辺の食物連鎖を見られるおもしろさもある。
 ざっくり説明すると、川から流れてきた有機物や栄養塩で植物プランクトンや藻類が増え、それらを植物プランクトン、ゴカイ、貝、甲殻類が食べ、それらを魚や鳥が食べるというサイクルができている。最後の死がいさえも多くのいきもののエサとして利用される。
 干潟は稚魚、稚貝、稚ガニといった子どもたちの生育場所でもあり、海の生態系を支えていると言っても過言ではない。
 近ごろは埋め立てによって減っているのが心配だ。命のつながりの場であることを意識しながら、生物多様性を大切に観察してほしい。

砂浜にすむいきものは少ない

 海水浴場に指定されているような砂浜は、岸から沖のほうまで浅瀬が続いている穏やかな場所だ。
 スイカ割りをしている人の近くをヤドカリがトコトコ歩いているようなイメージが浮かぶかもしれないけど、実は海のいきものが少ない環境だ。
 干潟に比べて栄養になる有機物が乏しく、貝やカニも思っているほどいない。砂浜に落ちている貝殻は、浜に落ちている貝殻は、海で魚に食べられるなどして抜け殻になり、それが打ち上げられたものだ。
 もしかしたら、回遊しているキス、海底に潜むヒラメやカレイ、小魚を求めて浅瀬に来たシーバスくらいはチラッと見られるかもしれない。
 いきものを見たり獲ったりするにはちょっと物足りないけど、砂浜で貝殻やシーグラスを拾って楽しむことはできる。


海を空から見てみると、水の色の濃さで深さがわかることもある


急に深くなるドン深にご用心

 砂浜の波打ち際からいきなり深くなっている地形がドン深(ぶか)だ。陸地だったところが波に掘られてできた地形で、海中はかけ上がりという険しい崖になっている。
 砂浜が続いているように見えても、急に水深20m以上も深くなっていることもある。遠浅の砂浜は砂が細かく、ドン深がある砂浜には砂利が混ざっていることが多いので見分けるヒントにしよう。
 魚は変化に富んだ地形が大好きで、ドン深もかけ上がりも釣りには絶好のポイント。小魚を狙って隠れているメバルやアイナメ、マダイなどの大物も狙える。
 かけ上がりの途中には海藻が密集している藻場があり、タイドプールのような小型のいきものの成育場ができている。僕は素潜りで初めて海中のドン深の様子を見たとき、陸のすぐ近くに広がる海のいきものの世界にワクワクが止まらなかった。実際に行くのが難しい場所だからこそ、みなさんに見てもらえるように動画を制作したい。

絶好の釣りポイントになる堤防

 外洋の波を防ぐための堤防(防波堤)は、敷石や消波ブロックを積み上げた上にコンクリートで作られた建造物だ。ドン深や岩礁帯に近い環境ができている。
 陸から近い自然のドン深に対し、堤防は沖合いに変化に富む地形を提供する役割を果たしている。堤防のコンクリートの壁には、自然のかけ上がりと同じように貝や海藻がつき、小魚やエビが集まり、エサを求めて大きい魚も来る。いきものは人間が作ったものをうまく利用しているなと思う。
 沖合いまで張り出している堤防では、1000匹を超える圧巻のアジの群れを見られることもある。堤防釣りでは浅瀬には来ないブリのような大物も狙えるのが醍醐味だ。
 堤防では暗くなると常夜灯がつき、夜釣りも楽しめる。光に集まってくるプランクトンをエサにする魚や、夕方以降に活発になる甲殻類の観察もおすすめだ。


釣り場所としては絶好のポイントだけど、転落には要注意!


 


楽しさの裏に危険があることを忘れずに

水辺に限らず、自然には楽しさがあると共に危険が必ずあります。ちょっとした気のゆるみなどで甘く見ていると大きな事故など命にかかわる事態に繋がってしまいます。特に小さいお子さんは、ひとりで冒険に出るのではなく、ご家族に必ず確認を取って楽しんでほしいです。いつもみなさんに自然の素晴らしさを届けている僕も危険な体験をたくさんしてきました。楽しさを追いかけるだけではなく、安全面にも配慮して、新たな大冒険へ出発しましょう!

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