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大人気絵本作家、ヨシタケシンスケ氏。絵本作家デビュー10周年を迎えた2023年に、初の長編絵本を刊行されることになりました。
なぜタイトルが『メメンとモリ』になったのか、絵本のテーマはなんなのか…
それは6月6日発表の『ダ・ヴィンチ』7月号を読んでいただくとして、今回は『メメンとモリ』のカバーができるまでの裏側をご紹介します!
○カバーイメージのすり合わせ
『メメンとモリ』の読者対象は小学校から大人向け。本の大きさもA5判(横14.8×縦21cm)と普通の絵本より小さめで、136ページと厚みがあります。内容がシリアスなため、カバーのテーマは「かわいくて、不穏」でヨシタケさんにご提案することに。
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この本のアイデアを一番はじめにいただいたとき、ヨシタケさんが手帳にメモしていたイラスト。
まだメメンとモリの髪型も定まっていない。
第1回目のカバーデザイン打ち合わせにて、「かわいくて、不穏」というテーマに合ったイラストと、カバーのイメージをすり合わせていきます。このとき、ヨシタケさんはどちらかといえば「かわいい推し」で、編集部は「不穏推し」。そのため『メメンとモリ』は最終的なカバーになるまでに、いくつものアイデアを試すことになりました。
○デザイナーさんにラフを依頼する
打ち合わせをしながら、ヨシタケさんがその場でイメージを描き足していきます。イラストの方向性がいくつかにしぼられたところで第1回目の打ち合わせは終了。そのあともメールや電話で話し合いをしながら案を煮詰めていき、デザイナーさんにデザインラフを組んでいただきます。ブックデザインはボラーレの関善之さん。ヨシタケさんの本をデザインしていただくのは『ヨチヨチ父』、『もしものせかい』、『にげて さがして』に続き4冊目です。本来ならデザイナーさんにはイラストもデザインもほぼ決まった状態で依頼するのですが、関さんはこの状態でも+αをたっぷり付けて“嬉しい誤算”のデザインをいくつも見せてくださるので、アイデアをまとめていくためにここでご依頼することに。
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打ち合わせをしながらその場でヨシタケさんが描き込んでいったラフ。
ちなみに最後に残るのが、マルが付いたイメージとイラスト。
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できあがってきた最初のラフデザイン。色のバリエーションを含めるともっと種類があり、これはほんの一部。
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このころメメンとモリの色も決定。どれになったかわかりますか?
○イラストとデザインが決定、完成へ
打ち合わせと試作を重ねつつ、とうとうヨシタケさんより「これでいきましょう」とデザインラフが届きました。この状態までくるとヨシタケさんのなかでイメージが固まっているので、ここからはデザイナー関さんのお力を借りて仕上げまで一直線。念のため関さんには違う色を数パターン見せていただきましたが、あっさりと緑に決定。最終データとくらべると、ラフの状態からほとんど調整していないことがわかります。
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デザインラフと最終デザイン。ほぼ調整していない。
今回はベースとなる緑色と、細かく入る線の模様のバランスがポイント。ヨシタケさんが目指す「遠くから見ると緑、近くで見ると模様が入っている」というデザインを実現させるため、印刷をする前にテスト校正(実際に印刷する紙でテストする)を何回か行います。
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テスト校正では、緑と模様の組み合わせ、紙の種類、加工(ピカピカさせるかさせないか、など)も何パターンも試した。
『メメンとモリ』のカバーは緑色が鮮やかで、ちょっと大人っぽくて、今までの作品とはひと味違いヨシタケさんも大満足の出来に。
内容とぴったりに出来あがったカバーを、本とともに楽しんでいただけたら嬉しいです。
【書籍情報】
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