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怪盗レッド スペシャル 第11話 アスカの誕生日

中学生だけど、みんなにはヒミツで「正義の怪盗」をやってる、アスカとケイ。
そんな2人のかつやくを描いた「怪盗レッド」シリーズは、累計125万部を超える、つばさ文庫の超・人気シリーズです!

今回は、ちょっと(だいぶ?)遅れちゃったけど、アスカの誕生日のお話。
人気者のアスカだから、いろいろな人がお祝いをしたがっているみたいで…!?
「怪盗レッドの記録係」である秋木真さんから、アスカへの誕生日プレゼントとして書かれた小説です。楽しんでね!

 

       

 

「――ケイ、ここに置けばいいんだよね?」

 わたしは、今日の仕事で手に入れてきた、美術品をとりだした。

 これは、悪いやつの犯罪(はんざい)(しょう)()

 ケイにみちびかれてやってきた(はい)(きょ)のビルに、ぽつりとあったロッカーの扉を開け、そこに美術品を入れる。

『ああ。(けい)(さつ)へは知らせた』

 ケイから、インカムに返事がある。

 ケイが、怪盗レッドの名前で、警察にこのロッカーのことを連絡すれば、今日の仕事も終わり。

あとは警察が、美術品を本来の持ち主のもとに返してくれるし、うまくいけば、悪いやつらのことも(つか)まえるはず。

「オーケー。それじゃあ、わたしもここからはなれるね」

 もたもたしていて、警察とはちあわせしたりしたら、大変だからね。

 わたしがビルからはなれたとき、入れちがいで、パトカーがビルに近づいてくる音がきこえてきた。

 わたしは、あらかじめ決めてあったポイントで、レッドのコスチュームから洋服に着替える。

 ふぅ……。

 今日も無事にレッドの仕事を完了できたし、いそいで帰ろうっと。

 

           

 

 家に着くと、ケイが先に、わたしたちの部屋にもどっていた。

「ただいま」

 パソコンに向かうケイの背中に、声をかける。

 ケイはちらりとわたしを見ただけで、すぐ視線をパソコンの画面にもどす。

「……明日は……いや、もう今日か。前に知らせたとおり、レッドの予定はない。休みだ」

「うん、りょーかい」

 ケイにしては、めずらしくていねいに知らせてくれる。

 けげんに思っていると、ふと気づく。

 ……そっか! 今日って。

 レッドの仕事が、7月19日の夜から始まって、終わったのは日付が変わった20日。

 つまり、今日はわたしの誕生日だっけ!

 レッドに集中しすぎてて、今まで忘れてたよ。

 ()(さき)たちが、誕生日パーティーをしてくれる予定なんだよね。

 楽しみだなぁ。

 おっと。そんなことを考えてると、(すい)(みん)時間がますます減っちゃう。

 明日は学校だし、そろそろ寝なくちゃね。

 おやすみなさーい!

 

           

 

「アスカ先輩! 誕生日おめでとうございます!」

 (かなで)が、満面の笑みで黄色いブーケをわたしてくる。

「ありがとう、奏! ()(さき)()(づき)()(なつ)も」

 わたしは、奏のうしろにいる3人にも目を向ける。

 ここは、お父さんが働いているイタリアンレストラン。

 今日は定休日なんだけど、特別に貸しきりにしてもらったんだ。

 午前授業だった今日、学校が終わってから4人とお店にきて、わたしの誕生日パーティーを開いてもらうことになっていた。

「料理はどんどん作るから、(えん)(りょ)せずに食べてくれ」

 お父さんが、奥のキッチンから顔をだして、言う。

 すでに、おいしそうなマルゲリータピザや、シーフードサラダが、テーブルにならんでいる。

「じゃあ、おじさんの言葉に甘えて、さっそくはじめちゃいましょう」

 実咲が、オレンジジュースの入ったコップを持つ。

 みんなも、それぞれジュースの入った、コップを持った。

「あらためて……アスカ、お誕生日おめでとう、かんぱーい!」

 コン、とみんなとコップをあわせて、わたしたちは(かん)(ぱい)する。

 オレンジジュースを飲んでから、さっそくマルゲリータピザを、ひと口。

 チーズがとろりと口の中でとろけて、トマトソースの味とあわさって、ほおが落ちそう!

 やっぱり、お父さんが焼いたピザは最高だよ!

「それにしても、せっかくお店を貸しきれたんだから、もっといろんな人に声をかけたらよかったね」

 お父さんが追加で運んできてくれたパスタをとりながら、実咲に言う。

 ん?

 実咲たちが、ため息をつきながら、顔を見あわせてる。

 え? わたし、なにか変なこと言った?

「アスカの誕生日パーティーに来たいっていう子は、ほかにもいたんだけどね。だけど、希望者が50人を超えてさ。さすがに、そんな大きなパーティーをやるわけにはいかないでしょ?」

 ご、50人以上!?

 そんなに希望者がいたの!

 実咲の言うとおり、さすがに、その人数を集めたら、大変なことになっちゃうよ。

アスカが(すけ)()に行ってる部活の子が多かったわ。それで、私たちで手分けして、事情を説明して、今回は遠慮してもらったわけ」

「みんな、そういう事情ならって、すぐに納得してくれたよ」

 水夏と優月が、教えてくれる。

「1年生だけでも、アスカ先輩の誕生日パーティーがあるなら行きたいって子が10人以上いましたよ! 遠慮して言いだせなかった子は、もっといたと思いますけど」

 奏も、事情説明に協力してくれたらしい。

「なんだか、みんなに手間をかけさせちゃって、申しわけないなぁ。わたし、ぜんぜん知らなかったから……」

 知ってたら、わたしも説明とか手伝ったのに。

「アスカの誕生日なんだから、気にしなくていいの」

 実咲たちは、なんでもないこと、とばかりに笑う。

「うん。みんな、ありがとう」

 わたしは、実咲たちにお礼を言う。

「とにかく、今日は誕生日パーティーなんだから、楽しまなくちゃ!」

 水夏に言われて、わたしたちはもう一度、乾杯し直した。

 いろんな話をしながら、お父さんが作ってくれる料理を食べる。

 それから2時間ほどして――

「それじゃあ、そろそろパーティーもおしまいにしないとね」

 実咲が時計を確認して言う。

 もうそんな時間なんだ。すっごく早く感じたよ。

「最後に、わたしたちからアスカに、誕生日プレゼント! ほら」

 水夏が、きれいにラッピングされた(ふくろ)を、手わたしてくる。

「え? だって、最初にきれいなブーケをもらったよ? それにパーティーの準備だってしてくれたし」

 わたしは、びっくりして、実咲たちを見る。

「プレゼントを用意しないわけないでしょ?」

 実咲が、あきれたように、肩をすくめる。

「開けていいの?」

「もちろんだよ」

 優月に許可をもらって、わたしはラッピングをていねいに、開いていく。

 中から出てきたのは……。

「わあぁ……シュシュだ。しかも4つも!」

「1人ずつ、アスカ先輩に似合う布を選んで、みんなで作ったんです! わたしからは赤のです」

 奏がうれしそうに、赤いシュシュを指さす。

「わたしは、青だよ」

「黒と白のチェックはわたし」

「黄色い布を選んだのは、わたしだよ。気に入ってくれるといいな」

 実咲、水夏、優月がそれぞれが作ったシュシュを、指でしめす。

 どれもカラフルで、おしゃれだ。

「ありがとう! 大切に使わせてもらうね!」

 わたしは、ラッピングにつつまれたシュシュを、ギュッとだきしめる。

 こんなにお祝いしてくれる友達がいて、最高の誕生日だよ!

作家プロフィール

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