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ものがたり

【スペシャルれんさい】『星のカービィ プププランドで大レース!の巻』第1回 テレビ番組がやってくる!


プププランドに、テレビ・プロデューサーのキザリオがやってきた!撮影するのは、カービィやワドルディ、おなじみプププランドの住民たちに、メタナイトまでまきこんだ、レース番組。優勝して、豪華(ごうか)賞品を手にするのは、いったいだれだ!?

◆第1回

今日から、つばさ文庫『星のカービィ プププランドで大レース!の巻』のれんさいが始まるよ! キャピィとウォーキーのもとに、とつぜんやってきた『ある人物』が、プププランドに大そうどうをまきおこす!?


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テレビ番組がやってくる!

 

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 空に浮かぶ雲もとろけてしまいそうなほど、のどかな昼下がり。

 草原に寝ころがって流れる雲を見上げながら、話しこんでいる二人がいた。

 一人は、キノコのようなぼうしをかぶったキャピィ。もう一人は、マイクに似た姿をしたウォーキー。どちらも、このプププランドの住民だ。

 長い長いおしゃべりの話題がようやく尽きかけたとき、ふと、思い出したようにキャピィが言った。

「そういえばさ、ヘンなうわさを聞いたんだけど。ウォーキー、知ってる?」

「なんだ、ヘンなうわさって」

「何日か前に、南のほうの森の近くで、大きな足あとが見つかったんだって」

 キャピィは、おそろしそうに声をひそめた。

「足あと?」

「うん。家をふみつぶせちゃうくらい、大きな足あとだってさ!」

「はっ、ばかばかしい。そんなの、ウソに決まってる」

 ウォーキーは、せせら笑った。キャピィはムッとして、言い返した。

「ウソじゃないよ。オレの友だちから聞いたんだから!」

「うわさっていうのは、どんどん尾ひれがついていくもんだ。ちょっと大きなくぼみが見つかったって話が、いつのまにか大げさになっただけだよ、きっと」

「足あとだけじゃないよ。その近くで、化け物のうなり声みたいな、気味の悪い声を聞いたって証言(しょうげん)もあるんだって」

「風やかみなりの音だろ。びくびくしてるから、なんでも化け物の声に聞こえちゃうんだ」

「そうかなあ……」

「決まってるさ。だって、このプププランドに、そんな巨大な怪物がいるはずないじゃないか。そんなのがいたら、とっくに大さわぎになってるよ」

「それもそうか」

 キャピィが、うなずいた時だった。

 雲一つなくなった青空に、小さなしみのような黒い影があらわれた。

「……ん?」

 ふたりが目を見開いて見守るうちに、その小さな影は、どんどん大きくなった。

「お、おい。たいへんだ!」

「なんだ、あれは……!」

「宇宙船みたいだぞ! 南の草原のほうだ!」

「行ってみよう!」

 二人はガバっと起き上がり、南へと走り出した。

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 見渡すかぎり緑が広がる、プププランドの大草原に、小型の宇宙船がまいおりてきた。

 最新型で、外装はピカピカの金色。しかも、ゴテゴテしたかざりがいくつも取りつけられていて、とても目立つ。

 宇宙船は、草をなぎ倒して着陸した。

 ハッチが開き、まるまるとした人影が出てきた。

 ぽっちゃりした顔に、大きなサングラスをかけている。身につけた服は、宇宙船と同じくらいピカピカで、ゴテゴテしていた。

「ここがプププランドかい。なるほど、うわさどおりのイナカだぜ」

 男はサングラスをはずし、数歩歩いて、まわりを見回した。

「なんにもないじゃないか。コンビニも、カフェも、映画館も。たいくつなところだぜ……」
 男は、いまいましそうに顔をしかめて、サングラスをかけ直した。


「ああ、早く都会に帰りたい。一秒でも早く、アレを見つけ出さなきゃ……」

 そのとき、近くの草むらで、ガサッと音がした。

 男は、おどろいて顔を向けた。

 草をかき分けてあらわれたのは、急いで駆けつけたキャピィとウォーキーだった。

 二人は、宇宙船と男に気づくと、びっくりして足を止めた。

「なんだ、おまえは?」

 口を開いたのは、キャピィ。

 男は、気分を悪くして、二人をにらんだ。

「なんだとは、なんだ。このボクに向かって、失礼な」

「なんだとは、なんだとは、なんだ! あやしいヤツめ」

 二人は、男を警戒(けいかい)しながら言った。

「空から何かが落ちてきたから、ようすを見に来てみれば……」

「何者だ? 名前を名乗れよ」

 きびしく問いつめられて、男はますますムッとした。

 が、ここでケンカになっては、まずい。そう思い直して、おとなしく答えた。

「ボクの名前はキザリオ。有名な、テレビ・プロデューサーさ」

「……テレビ?」

「プロデューサーだって?」

 キャピィとウォーキーは、顔を見合わせた。

 キザリオは、かっこをつけて髪をかき上げ、二人に近づいて名刺を渡した。

 キャピィが、名刺に書かれた文字を読み上げた。

「コメットテレビ……? 聞いたことがあるような、ないような……」

「あ、オレ、知ってるぞ!」

 ウォーキーが声を上げた。

「人気番組をたくさん放送してるテレビ局だ。歌番組とか、アニメとか……」

「そのとおり。全宇宙にネットワークをもつテレビ局さ。そして、うちの局で特に人気がある番組は、全部ボクが担当してるんだ」

「えー!? すごいですね!」

 ウォーキーは、たちまち、態度(たいど)をあらためた。

 キャピィのほうは、まだ警戒(けいかい)をとかない。じろじろとキザリオを見て、たずねた。

「テレビ・プロデューサーが、プププランドに何の用だ? 旅行にでも来たのか?」

「ちがうちがう。ボクは、旅行なんかするほどヒマじゃないぜ。もちろん、仕事で来たのさ」

「プププランドで、仕事……?」

「下見ってやつさ。今度、プププランドを舞台にしたテレビ番組を作るつもりでね」

「え!?」

 これには、二人とも、びっくり。

 キザリオは、「フフッ」と笑って続けた。

「撮影にふさわしい場所を探すために、下見に来たというわけなんだ。なかなか美しい星じゃないか、気に入ったよ」

「プププランドで……テレビ番組を……!」

 ウォーキーは、声をうわずらせた。

 キャピィが、あわててウォーキーに言った。

「興奮(こうふん)するなよ、ウォーキー。おまえが興奮(こうふん)して大声を出したら、たいへんなことになっちゃうからな」

「わかってるって。……キザリオさん、すばらしい計画ですね。オレたち、もちろん協力しますよ」

 ウォーキーは、はりきってキザリオに向き直った。

「オレ、声にはちょっと自信があるんです。テレビ向きだと思うんです。そのぅ……よければ、オレを出演させて……」

「もちろん、この星の住民には協力をお願いするつもりだ。住民の助けがなければ、良い番組は作れないからな」

「ですよね!」

「できるだけ多くの住民の力をかしてほしいんだ。キミたち、さっそくだが、プププランドのみんなに知らせてくれるかな?」

「もちろんです! まかせてください!」

 ウォーキーは大張り切り。くるっと向きを変えて、走り出した。

 キャピィが、あわてて追いかける。

「おーい、待てよ、ウォーキー!」

「急げ急げ! こんな大ニュース、めったにないぞ。早くみんなに知らせなくちゃ!」

「だいじょうぶかな? あのキザリオってやつ、なんとなく、うさんくさいよ。信用してもいいのかな……?」

「だいじょうぶに決まってる! なんたって、あのコメットテレビのプロデューサーなんだからな!」

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 ……さて、二人が去った後。

 キザリオは、ほくそえんで、ひとり言を言った。

「ははっ、しめしめ。住民を巻きこむ手間がはぶけたぜ。うまくいきそうだ」

 その声は、もちろん、だれの耳にも届かなかった。

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 その翌日(よくじつ)。

 キザリオはさっそく、デデデ城にまねかれた。

 広間で彼をむかえたのは、この城の主デデデ大王。そばには、部下のワドルディがひかえている。

「よく来たな、キザリオよ」

 デデデ大王は、イスにふんぞり返ってキザリオを見た。

 キザリオのほうも、負けずにソファにふんぞり返って、デデデ大王を見返している。

 デデデ大王は、上きげんだった。

「話はワドルディから聞いたぞ。もう、プププランドじゅうに、うわさが広まっているようだな」

「そのようだね」

「このプププランドでテレビ番組を作ろうとは──いいところに目をつけた!」

 デデデ大王は、満面の笑みでこぶしをにぎり、自分の胸をたたいた。

「なにしろ、プププランドにはオレ様がいる! 全宇宙に放送する大河ドラマの主役として、オレ様以上にふさわしいスーパースターはいないからな!」

「……なに? 大河ドラマ……?」

「おう。心配いらんぞ、ストーリーはオレ様が考えてやるからな」

 大王は、うっとりして目を閉じた。

「オレ様のはなばなしい活躍をえがく『デデデ大王戦記』はどうだ? オレ様が、宇宙最強の力で敵をバタバタなぎ倒す、痛快なアクションドラマだ!」

「あ……あくしょん……?」

「いや、しかし、戦う場面が多すぎると女性ファンにウケないな……女性ファンに人気が出そうなのは、やっぱり、ロマンスだ! 『愛とかなしみのデデデ大王』はどうだ? オレ様と、宇宙一の美人女優の切ないラブロマンス! 大人気まちがいなし!」

「ろ……ろまんすぅ……?」

「いや、だれもが楽しめるドラマといったら、やはり推理(すいり)ドラマかな。オレ様がバツグンの推理力でなぞを解決していく『名探偵デデデ大王』はどうだろう? 毎回、豪華俳優をゲストにして……」

「待ってくれ、デデデ大王くん」

 大王の言葉に圧倒(あっとう)されていたキザリオだが、ようやく、さえぎった。

「ボクが企画してるのは、ドラマなんかじゃないんだ」

「なに?」

「ボクは、もっとユニークな番組を作りたくて……」

 その時だった。

 ろうかのほうから、大きな声と足音が近づいてきた。

「やっほ──! デデデ大王、聞いた!? 大ニュースだよー!」

 広間に飛びこんできたのは、カービィだった。

 カービィはぴょんぴょん飛びはねながら、早口でまくしたてた。

「プププランドでテレビ番組を作るんだって! 全宇宙に放送されるんだってー!」

「うむ、今、その話をしていたところだ」

「どんな番組だろう!? ぼく、グルメ番組がいいと思う! もちろん、ぼくが主役だよー!」

「フン。きさまが主役なんて……」

 せせら笑ったデデデ大王だが、カービィはぜんぜん聞いていない。うっとりと目をかがやかせて、しゃべり続けた。

「プププランドのおいしいお店を、全宇宙に紹介するんだ! こうやってマイクをにぎって……えー、今日はコックカワサキのレストランから生中継です! おいしそうなにおいがしています! さあ、今日のランチメニューは何でしょう!?」

「カ、カービィ……あの……」

 ワドルディが止めようとしたが、カービィは夢中だった。マイクを持った(つもりの)手をにぎりしめ、ペラペラと続けた。

「なんと、きょうのメニューは、牛肉ぶた肉とり肉全部入り野菜も大盛りカレー☆福神づけモリモリスペシャル! おいしそうです!」

「カービィ……あの……」

「では、さっそく一口食べてみましょう! ん〜、さいこ〜! おかわり、おかわり〜! さあ、カレーの後はお待ちかねのデザートを……」

「うるさいわーい! だまれ、腹がへる!」

 デデデ大王が大声でどなりつけて、やっとカービィをだまらせた。

 よだれをたらしそうになっていたカービィは、いいところでじゃまをされてムッとした。

「もう……うるさいのはそっちだよ、デデデ大王。せっかく、これからデザートってところだったのに! 今日のデザートは、アイスクリームたっぷりのせ特製マンゴープリンだったのにー!」

「おまえの妄想(もうそう)には、付き合いきれんわい。プププランドで作るテレビ番組は、グルメ番組なんかじゃないぞ。オレ様が主役の大河ドラマ……だが……うーむ……」

 デデデ大王は、ふと考えなおした。

「いや、グルメもいいな。よし、オレ様主役の大河グルメドラマにしよう。オレ様が毎回、最高の料理を食べまくって事件を解決する、痛快グルメ・アクション・ロマンス・ミステリーだ! タイトルは……『デデデ大王・愛の食べ歩き戦記のなぞ』……!」

「ちょっと、ちょっと、待ってくれよ」

 あっけにとられていたキザリオが、ようやく口をはさんだ。

「勝手に話を進めないでくれ! ボクが作りたいのは、ドラマでもグルメ番組でもないんだ。話を聞きたまえ」

「……なに?」

 デデデ大王は、「おまえ、まだいたのか」という顔になった。

 カービィも、目をぱちくりさせて、キザリオを見た。

「だれ……?」

 キザリオは髪をフサッとかき上げ、かっこをつけて名乗った。

「ボクは、あのコメットテレビの超有名プロデューサー、キザリオさ!」

「ぷろ……じゅーさ……って?」

「ま、かんたんに言えば、テレビ番組の責任者ってことさ。新しい番組を作るために、このプププランドに下見に来たんだ」

 カービィは、興奮(こうふん)して飛び上がった。

「わあ、よろしく! ぼく、カービィ! グルメ番組なら、まかせて!」

「いや、だから、ボクが企画しているのはグルメ番組じゃなくて……だね」

 キザリオはパチンと指を鳴らすと、高らかに叫んだ。

「入りたまえ、ウォーキーくん!」

 その声が消えないうちに、広間の入り口にウォーキーがサッと姿をあらわした。

 デデデ大王は、目をむいてどなった。

「ウォーキー!? きさま、オレ様のゆるしもなく、このデデデ城に……!」

「すみません、大王様。オレ、キザリオさんの助手になったんで!」

 ウォーキーは広間の真ん中に進み出ると、のどの調子をととのえるように、せきばらいをした。

「コホン……えー、発表します。コメットテレビが総力(そうりょく)をあげてお送りする期待の番組、そのタイトルは!」

「ちょっと待て、ウォーキー!」

 デデデ大王が、あわててクギをさした。

「あまり大きな声を出すなよ。きさまが叫ぶと、だいじなデデデ城のカベにヒビが入っちゃうからな」

「はい、気をつけます。新番組のタイトルは……『プププランド☆ときめき☆はちゃめちゃ☆大レース』です!」

「……」

 デデデ大王、カービィ、そしてワドルディ。三人の顔に、なんともびみょうな表情が浮かんだ。

「大……レース……だと?」

「そうです! このプププランドを舞台(ぶたい)にくり広げられる、スリルまんてんの大レース! それを、スタートからゴールまで密着取材しようというスペシャル番組なのです! 実況(じっきょう)はもちろんこのオレ、ウォーキー!」

「……えー……?」

 ウォーキーの張り切りっぷりとは反対に、カービィはがっかりした。

「レースぅ……? そんなの、ちっともおもしろくないよ。おいしそうじゃないし……」

「それはちがうぞ、カービィくん」

 キザリオが、指を立てて振った。

「レースといっても、ただのレースじゃない。途中にさまざまなチャレンジを盛りこんだ、ハラハラ・ドキドキのレースなんだ」

「……ふぅん……」

「その中には、もちろん、グルメ・チャレンジもある!」

 グルメと聞いて、カービィはパッと顔を上げた。もちろん、つまらなそうに目を伏せていたデデデ大王も。

 キザリオは、自信たっぷりに続けた。

「出場者には、さまざまな試練があたえられる。たとえば、大食いチャレンジとか、のどじまんチャレンジとかね。もちろん、スリルたっぷりの乗り物も用意する。すべてのステージをクリアし、もっとも早くゴールに到達(とうたつ)したものが優勝するんだ。まさに、夢の大レースだ!」

「大食いチャレンジもあるの!?」

 カービィは飛び上がり、興奮(こうふん)のあまり、空中で一回転した。

「それなら、ぜったいに負けないよ! ぼくが優勝だ!」

「いや、オレ様だ! プププランド一の大食い王といえば、このデデデ大王様に決まっている!」

 にらみ合うカービィとデデデ大王を見て、キザリオはニヤリと笑った。

「優勝者には、豪華(ごうか)賞品を用意するよ。優勝めざして、がんばってくれたまえ」

「豪華(ごうか)賞品って、何!?」

「カレーライス一年分か!? それとも、ラーメン一年分か!?」

 デデデ大王は、舌なめずりをした。

「言っておくが、オレ様は他の連中の十倍は食うからな。オレ様の一年分は、ふつうの十倍、つまり十年分という意味だからな!」

「ぼくは、みんなの百倍食べる! だから、ぼくの一年分は、百年分だよ!」

「なにを!? じゃあ、オレ様の一年分は二百年分だわい!」

「じゃあ、ぼくの一年分は三百年……!」

「もういい! わかったから!」

 キザリオは手を振って、二人をだまらせた。

「なんでも好きなものを、好きなだけ用意してやる。だからキミたち、本気でがんばってくれよ。番組の成功は、レース出場者の意気ごみにかかっているんだからな」

「おお!」

 デデデ大王は目をかがやかせた。もちろん、カービィも。

「見ていろ、オレ様が、番組を盛り上げてやるわい!」

「ぼくも、がんばる! ぜったい優勝するよ〜!」

「ああ。期待しているよ」

 キザリオは、満足そうに目を細めた。

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 キザリオが、ウォーキーとともに城を去った後。

 ワドルディが、心配そうに言った。

「大王さま。だいじょうぶでしょうか、今の話……」

「む? なんだ、ワドルディ。きさま、まさか……」

 デデデ大王は、けわしい目でワドルディをにらんだ。

「オレ様がカービィに負けるとでも思っているのか!? それでもオレ様の部下か!」

「ち、ちがいます。そういう意味じゃなくて……」

「え? じゃあ、ワドルディはぼくが負けると思ってるの!?」

 カービィも、ワドルディをにらんだ。

 二人にはさまれて、ワドルディはおろおろしながら言った。

「勝ち負けのことじゃなくて、あのキザリオさんって人、なんとなく信用できない気がして……」

「なんだと。どういうことだ」

「優勝の賞品が、なんでも好きなものを好きなだけなんて、気前が良すぎます。あやしいです……」

 これを聞いて、デデデ大王とカービィは、同時に笑い出した。

「わははは! おまえはおくびょう者だから、すぐにビクビクするんだわい」

「そうだよ、ワドルディ。ぼくは、キザリオさんっていい人だと思う!」

「そうだそうだ。気前のいいヤツに、悪者はおらんわい!」

 デデデ大王とカービィは、口をそろえた。

 それでもまだ、ワドルディの顔は晴れない。

「そうかなあ……だいじょうぶかなあ……」

 心配そうにつぶやいたワドルディに、デデデ大王が命じた。

「レースには、おまえも出場するんだぞ、ワドルディ」

「……え!? ぼく!?」

 思いもかけない命令に、ワドルディはあわてふためいた。

「む、むりです。ぼくは足もおそいし、大食いでもないし……」

「ばかもん、だれもおまえに期待なんぞしとらんわい。ただ、レースの規模(きぼ)は大きいほうがいい。参加者は、一人でも多いほうがいいのだ。オレ様のかつやくが目立つからな!」

「ぼく……でも……レースなんて……」

 うろたえるワドルディに、カービィが言った。

「いっしょにがんばろうよ、ワドルディ! 優勝めざして、明日から特訓(とっくん)だー!」

「特訓(とっくん)〜!?」

「おー!」

 カービィは、ワドルディの悲鳴になど耳もかさず、元気に片手を突き上げた。

     

プププランドを舞台(ぶたい)にしたテレビ番組は、レース番組に決定!
実況(じっきょう)を任されたウォーキーは、銀河で有名な『あの人』に協力をお願いするようです。
次回「ウォーキーのお願い」をおたのしみに!(3月24日公開予定)

 


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