KADOKAWA Group
ものがたり

【スペシャルれんさい】『星のカービィ メタナイトとあやつり姫』第2回 国王の大事な話


仮面の剣士・メタナイトが主人公の特別編がスペシャルためし読みれんさいで登場!
ケーキ作りで有名なシフォン星のお姫さまがゆくえ不明になってしまった!? メタナイトは、カービィたちとシフォン星へ向かうのだが…? ドキドキ&ハラハラいっぱいのお話です!

◆第2回

ケーキ作りで有名なシフォン星のマローナ姫がゆくえ不明!? 事件を解決するため、メタナイトは、カービィ、デデデ大王、ワドルディとともに、戦艦ハルバードでシフォン星へ!
マローナ姫をさらった犯人とは……?


☆゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜・。。・

国王の大事な話

☆゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜・。。・


 着陸した戦艦ハルバードからテキトーに放り出されたカービィとデデデ大王だが、もちろん、そのくらいのことではビクともしない。

 首都の中央にそびえ立つ真っ白な宮殿(きゅうでん)――シフォン城を見ると、二人は同時に飛び上がってさけんだ。

「あれがおかしのお城だね〜!」

「とつげきだ〜!」

「まちたまえ」

 今にも駆け出そうとする二人に、メタナイトが声をかけた。

 同時に、ソードナイトとブレイドナイトが飛び出して、二人を力ずくで引き止めた。

「忘れているようだが、私たちの目的は王女を救出することだぞ。菓子(かし)が目的なら、君たちとはここでお別れだ。ケーキ屋でもクッキー屋でも、好きなだけ食べ歩くがいい」

「そ、そんなこと言わないでよ、メタナイト」


「そうだ、もちろんオレ様たちの目的は王女救出だぞ! オレ様を、ケーキに目がくらむような食いしんぼうと思ってもらっては困るわい!」

 二人とも、正義感は人一倍強い。王女を助けたいという気持ちに、ウソはなかった。

 ……ただ、正義感と同じくらい食欲が強すぎるのが、ちょっと困りものなだけ。

「……まあ、いい。これから、国王に会いに行く。失礼のないようにするんだぞ」

「はーい!」

 カービィとワドルディは、すなおに手をあげた。

 デデデ大王は、えらそうにふんぞり返った。

「まかせておけ。オレ様はプププランドの偉大(いだい)なる大王だ! シフォン星の国王だろうがなんだろうが、相手にとって不足はないわい!」

「うでまくりをするな! 戦いに行くのではないぞ!」

 ともかく、メタナイトを先頭に、一行(いっこう)はシフォン城に向かった。


☆゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜・。。・


 シフォン星の国王・メレンゲール十三世は、まるまると太った、やさしそうな人物だった。

 しかし、その表情は暗く、目に光がやどっていない。

 ベッドから起きられないほど弱りきっているのだが、メタナイトがおとずれたと聞いて、力をふりしぼって出むかえたのだった。両わきを重臣(じゅうしん)たちに支えられているけれど、足がふるえて、今にもたおれそうだった。

「よくぞ……来てくださったな、メタナイト殿」

 メレンゲール十三世は、弱々しい声で言った。

「マローナ姫の事件を知り、急いでかけつけたのだ。力を落とすな、王よ。マローナ姫は必ず、私が救い出す」

 メタナイトの言葉を聞くと、メレンゲール十三世は目をうるませ、ずらりとならんだ重臣(じゅうしん)たちを見回した。

「おまえたちは下がれ。わしは、メタナイト殿と大事な話をせねばならぬ」

「はっ」

 重臣(じゅうしん)たちは王を玉座(ぎょくざ)にすわらせると、頭を下げて、広間から出て行った。

 メレンゲール十三世は、心配そうなまなざしをカービィたちに向けた。

「ソードナイトどのとブレイドナイトどのは、メタナイト殿の部下であったな。しかし、後ろのお三方は、知らぬ顔じゃ……」

 カービィが、元気よく答えた。

「ぼくらは、メタナイトの友だちだよ! よく、いっしょに遊んでるんだ!」

「……私は君たちと遊んだ覚えは一度もないが」

 メタナイトがぼそりとつぶやいた言葉は、さいわい、国王の耳には入らなかったらしい。

 メレンゲール十三世は、重いため息をついた。

「メタナイト殿のご友人であれば、心配ないな。これから打ち明ける話は、とても重大なのだ。ぜったいに、ひみつを守っていただきたい」

「だいじょーぶ! ぼく、ひみつを守るよ!」

「オレ様もだ。この口は、食べること以外には使わんわい」

 国王は、ホッとしたようにうなずいた。

「……実はな、わが国はじまって以来の危機(きき)なのだよ」

「マローナ姫がゆうかいされたことは聞いている。犯人からの要求は……?」

「いや、それがな……」

 メレンゲール十三世は、気まずそうに目をふせた。

「姫は、ゆうかいされたわけではないのだ」

「……何?」

「マローナは、自分の意志で出て行った。それを告げる書きおきが、姫の部屋にのこされていたのだ」

 国王は、ふところから一通の手紙を取り出した。

 メタナイトはそれを受け取って、読み上げた。

「『さよなら! お父様なんか大っきらい! お父様の思いどおりにはさせませんからね! マローナ』……ふむ、これは……」

 メタナイトは国王を見上げ、少しあきれたように言った。

「親子げんかをしたのか? それで姫がすねて、家出してしまったというわけだな。なんだ……それなら心配はない。きっと、すぐに反省(はんせい)してもどってくるだろう」

 ソードナイトとブレイドナイトは顔を見合わせた。

「なんだ、ゆうかいではなかったのか!」

「そのようだな……ホッとしたような、気が抜けたような」

 カービィとデデデ大王も、口々に言った。

「心配することなかったね。よかった〜!」

「まったく、人さわがせだわい。これじゃ、オレ様の出番がないわい」

「ケーキ食べに行こうよ、デデデ大王」

「そうしよう。行くぞ、ワドルディ」

「はい!」

 カービィたちが広間を出ていこうとすると、国王が呼び止めた。

「待ってくれ。話は、これからなのだ」

「……というと?」

 メタナイトが問い返した。

 メレンゲール十三世は、うなだれて続けた。

「ゆうかいよりも、もっとしんこくな事態(じたい)なのだ。というのも、姫がわが国の宝を持ち出してしまったのでな」

 宝と聞いて、カービィとデデデ大王の足が止まった。

 メタナイトがたずねた。

「宝とは何だ?」

「わが王家に代々伝わっている、秘伝のレシピブックだ。ケーキやクッキーなどのレシピが、数千種類もしるされている」

 王の言葉を聞いて、カービィとデデデ大王は飛び上がった。

「ケーキのレシピが!?」

「数千種類、だと!?」

「そうだ。複雑な味わいを生み出す、極上(ごくじょう)のレシピばかりだ。わがシフォン星のケーキが宇宙一と言われているのは、そのレシピブックのおかげなのだ。いつもは、王立ケーキ工場の金庫に保管(ほかん)されていて、部外者は近づけない。マローナは、それを持ち出してしまったのだ」

「なんと……」

 メタナイトは考えこんだ。

「姫は、なぜ、そのようなことを?」

「さては、ケーキ屋をひらいて大もうけする気だな!」

 デデデ大王が推理(すいり)をひろうした。

 カービィも負けてはいない。思いついたことをさけんだ。

「宇宙一のケーキを山ほど作って、パーティをするつもりなんだよ、きっと! ぼくも行きたいよー! パーティ、パーティ!」


 ソードナイトが言った。

「まさか。おまえたちではあるまいし」

 ブレイドナイトもうなずいて、賛成した。

「あの上品な姫様が、そんな食い意地(いじ)のはった計画を立てるものか」

「……何か、事情がありそうだな」

 メタナイトがつぶやくと、

「そのとおり!」

 メレンゲール十三世は、身を乗り出してうなずいた。

「マローナはとてもすなおで、やさしくて、口ごたえなど一度もしたことがない良い子だった。だが、そのマローナが、急に変わってしまったのだ……」

「……何?」

「しばらく前から、わしとあまり口をきいてくれなくなった。たまに口を開けば、もんくばかり言うようになってな」

 メレンゲール十三世は、かなしげに目をふせた。

「もんく?」

「うむ。あまいものはからだに良くないとか、国民がみんな虫歯になってしまうとか、ケーキ作りを禁止するべきだとか」

「えー!?」

 カービィはびっくりして、大声を上げた。

「ケーキを作っちゃダメっていうこと? なんで!? ケーキのない世界なんて、メープルシロップがかかってないホットケーキと同じだよ!」

 大王も、大きな足で床をふみならしてさけんだ。

「そうだそうだ! イチゴがのっていないショートケーキみたいなものだ!」

「ダイコンが入ってないおでんだよね!」

「うむ! 肉が入ってないすき焼き同然だ!」

「……食べ物のたとえは、もういい」

 ほうっておくとキリがないので、メタナイトが止めた。

「ふしぎだ。なぜ、マローナ姫は急にそんなことを?」

「わからない。だが、わしは、ある人物があやしいとにらんでいる」

「ある人物?」

「うむ。何か月か前に、とつぜんこの星にやって来た男だ」

 国王は、いまいましげに顔をゆがめた。

「身なりがよく、れいぎ正しい。しかも話じょうずで、みなに好かれた。由緒(ゆいしょ)ある家柄だと聞いたので、すっかり信用してしまったのだが……」

「その男が、何か?」

「マローナとともに、姿を消しているのだ」

 王は、くやしそうに手をにぎりしめた。

「思い返してみると、あの男は、最初からマローナにやさしかった。言葉たくみにマローナに近づき、わしの悪口を吹きこんだにちがいない。すなおなマローナは、あの男にすっかりだまされてしまったのだ!」

「その男のとくちょうは?」

「うむ……背が高くて、とてもエレガントだ。ふるまいが紳士(しんし)的で、人をひきつけるみりょくがある。男爵(だんしゃく)と呼ばれておった。それで、すっかり信用してしまったのだが……」

「男爵(だんしゃく)、だと?」

 ふいに、メタナイトの声がきびしくなった。

 ソードナイトとブレイドナイトは息をのみ、メタナイトに向き直った。

「男爵(だんしゃく)……!」

「メタナイト様、まさか、あいつでは……!?」

 メタナイトは、メレンゲール十三世につめよった。

「なんという名なのだ、その男は!」

「ガリック男爵(だんしゃく)だ」

 その名を聞くと、ソードナイトとブレイドナイトは飛び上がった。

 二人とも、今にも剣を抜きそうな剣幕(けんまく)。怒りに声をふるわせて、さけんだ。

「ガリック……やつが、またしても悪事を!」

「メタナイト様! こうしてはいられません!」

「おちつけ、おまえたち」

 メタナイトは手を上げ、部下たちを止めた。

 いつもなら、メタナイトの命令にはすぐにしたがう二人だが、この怒りはどうしてもおさえられない。はげしく言いはった。

「おちついてなんて、いられません! ガリックめ……!」

「今度という今度は、にがすものか! メタナイト様、行きましょう!」

「おちつけというのだ!」

 メタナイトはきびしく部下たちをしかりつけた。

 興奮(こうふん)していたソードナイトとブレイドナイトは、ハッとして身をすくめた。

「も、もうしわけありません、メタナイト様……」

「やつをにくむ気持ちは、私も同じだ。だからこそ、冷静にふるまわなくては。手がかりもなしに飛び出しても、どうにもならないぞ」

 メタナイトたちのやりとりを聞いていたカービィが、たずねた。

「ねえ、どういうこと? そのガリックってやつのこと、知ってるの?」

「……ああ。やつとは、いささか因縁(いんねん)がある」

 メレンゲール十三世は、おろおろして、たずねた。

「どのような因縁(いんねん)が? やはり、やつは悪い人物なのか……?」

「きわめてきけんだ」

 メタナイトは、苦い記憶(きおく)をかみしめるように、うなずいた。

「王よ。今回の事件は、かつて私自身の身に起きた事件とよく似ている」

「なんと……?」

「私の忠実(ちゅうじつ)な部下たちが、やつの標的(ひょうてき)とされたことがあったのだ」


 メタナイトは、ゆっくり、ソードナイトとブレイドナイトを振り返った。

 二人は、はじいったように、うつむいている。沈黙(ちんもく)ののち、やっと顔を上げたのは、ブレイドナイトだった。

「なさけない事件だったが……かくしていてもしかたがない。はじをしのんで、話そう」

 ソードナイトも言った。

「ああ。今回の事件の解決につながるかもしれないからな」

「俺とソードナイトは、あるとき、立ちよった星のレストランで、ガリック男爵(だんしゃく)と名乗る男に出会ったんだ……!」

 ブレイドナイトは、こみ上げてくる怒りをおさえるように、言葉を切った。

 ソードナイトが続けた。

「とてもエレガントで、気前のいい男だと思った。そのときはな。なにしろ、高級な服に身をつつみ、店じゅうの客にごちそうを大ばんぶるまい。なんでも好きなものを注文していいと言われた」

「えっ! みんなに、おごってくれたっていうこと!?」

 カービィは、ひっくり返りそうなほど興奮(こうふん)した。

 デデデ大王も、身をのり出した。

「なんという星の、なんというレストランだ!? オレ様もおごられたいわい〜!」

「だ、大王様。はずかしいです……」

 ワドルディが赤くなって、大王の服のすそを引っぱった。

 ソードナイトが言った。

「だが、それはとんでもないワナの始まりだったのさ。やつは、最初から俺たち二人を標的(ひょうてき)にして、近づいてきたんだ」

「……どうして?」

「ねらいは、メタナイト様がお持ちの宝剣(ほうけん)ギャラクシア」

 全員の目が、メタナイトにすいよせられた。

 メタナイトは、静かに剣を抜いてみせた。抜き身の宝剣(ほうけん)ギャラクシアは、シャンデリアの光を受けて、まばゆいばかりにかがやいた。

 彼はすぐにその剣をさやにおさめたが、その美しいかがやきは、みんなの目に焼きつけられるほどだった。

「きれいだねえ……」

 カービィがつぶやくと、ソードナイトは、自分のことのようにとくいげに言った。

「ああ、宇宙一の名剣さ! ガリック男爵(だんしゃく)め、あの剣を手に入れようとたくらんだのだ」

「それで、おまえらに近づいたのか」

 デデデ大王が問うと、二人はうなずいた。

「その夜は、ガリックに礼を言って別れた。そして次の晩、また別の店で会ったのだ」

「ぐうぜんだと思ったが、そうではなかった。やつは、俺たちの行動をチェックしてたんだ」

「話をするうちに、すっかり打ちとけた。何しろやつは、話じょうずで、人の気をひくのがうまい」

「おろかにも、俺たちは、やつの言葉をすっかり信じこんでしまったんだ」

「言葉……?」

「やつは、メタナイト様のことをあしざまにののしった」

 ソードナイトは、怒りをあらわに言った。

 ブレイドナイトがうなずいた。

「メタナイトは宇宙の平和を乱し、征服(せいふく)をたくらんでいる大悪人……退治(たいじ)しなければたいへんなことになる……俺たちに、そうふきこんだんだ」

「なんだって!」

 カービィは、びっくり。ワドルディも、目をまるくした。

「そんなこと、信じちゃったんですか〜!? いくら、ごちそうされたからって!」

「いや、ちがう」

 否定したのは、メタナイトだった。

「ふだんの二人なら、そんな言葉に耳をかすはずはない。だが、ガリックは特別な術を使ったらしいのだ」

「術……? どんな?」

「それが、よく覚えてないんだ」

 ソードナイトが言うと、ブレイドナイトもうなずいた。

「ガリックからメタナイト様の悪口をふきこまれ、すっかり信じてしまった……それは確かなんだが、その前後の記憶があいまいだ」

「気がついたら俺たちはメタナイト様のギャラクシアをぬすみ、ガリックに届けていた」

 全員、言葉も失って、ソードナイトとブレイドナイトを見つめた。

 メタナイトが言った。

「そのとき、私に力を貸してくれたのが、あの大盗賊ドロッチェだった。彼はさすがに、犯罪者の世界にくわしい。ガリックという男は、これまでにいくつもの犯罪にかかわったうたがいがあると教えてくれた」

「うたがい……?」

「ああ。やつはけっして証拠(しょうこ)をのこさない。だから、うたがいとしか言えないのだ」

 メタナイトは、いまいましげに言った。

「そのときは、ドロッチェの協力のおかげで、なんとかこの二人を正気に返すことができた。ギャラクシアも無事にもどってきた」

 ブレイドナイトが、うなずいた。

「ドロッチェさんは、さすがに百戦錬磨(ひゃくせんれんま)。ガリックの手口もよく知っていた」

「おそらく、さいみん術のようなものだろうということだ。やつは、強力なさみん術で、二人の心をあやつったのだ」

「ハッ! さいみん術なんて、おろか者がかかるものだわい」

 デデデ大王は、おなかをかかえて大笑いした。

 ブレイドナイトとソードナイトは、キッとなって大王につめよった。

「俺たちがゆだんしていたことはみとめるが、おろか者なんて言われるすじあいはないぞ!」

「ガリックの使う術は強力なんだ。おまえだって、きっと、のがれられないぞ!」

「ハハハッ! オレ様をだれだと思っている。プププランドの偉大(いだい)なる支配者、このデデデ大王様が、くだらんさいみん術なんかにかかるものか!」

「なんだと、えらそうに……!」

 今にもケンカになりそうな三人を、メタナイトが止めた。

「やめろ、仲間われをしている場合ではない。あのとき、ガリックを取り逃がしてしまったことが、心残りだった。やつは、ねらった宝を手に入れるためなら、手段を選ばない。きっとまた悪事をはたらくだろうと心配していたのだが……」

「……なんということ!」

 メレンゲール十三世は、顔をおおってなげいた。

「マローナも同じ手口で、心をあやつられてしまったのだ。そしてわしをにくみ、大事なレシピブックを持ち出したのだ!」

「そのようだな」

 メタナイトは、メレンゲール十三世に向き直った。

「そうとわかったら、ほうってはおけない。いっこくも早く、マローナ姫を助け出さなくては」

「うむ、行こう……!」

 メレンゲール十三世は、よろめきながら立ち上がろうとしたが、メタナイトが止めた。

「王はからだが弱っている。無理をしてはいけない」

「しかし、むすめが……!」

「ここは私にまかせてくれ。ガリック男爵(だんしゃく)は、私にとってもにくむべき敵。必ずやつを倒し、姫を助ける」

 ソードナイトとブレイドナイトも、こぶしを突き上げてちかった。

「あのときのうらみ、晴らすぞ!」

「マローナ姫を助けて、今度こそやつをこらしめてやる!」

 たのもしい言葉を聞いて、王は目をうるませた。

「……メタナイト殿……部下のお二人……どうか、たのみましたぞ……」

「ぼくも行くよ!」

 カービィがさけんだ。

「そんな悪いやつ、ゆるせないよ! ぜったい、つかまえて、とっちめてやる!」

「オレ様も行くぞ」

 デデデ大王が、カービィよりも大きく声を張り上げた。

「オレ様は、悪をにくみ正義を愛する大王だからな! 人の心をあやつるようなやつは、ほうっておけんわい!」

 いさましく言い切ったあとで、デデデ大王は付け加えた。

「お礼のことは気にせんでいいぞ、メレンゲ王」

「……わしは、メレンゲール十三世だ」

「まあ、どうしてもと言うなら、『永遠にケーキ食べ放題券』を受け取ってやってもいいがな。べつに、ほしいと言ってるわけではないぞ。ただ、オレ様はケーキが大好きだということは覚えておいてほしいわい。ケーキだけじゃなく、フルーツもプリンもババロアもゼリーも……」

「デデデ大王! 行くぞ!」

 今にもメレンゲール十三世に抱きつきそうになっているデデデ大王を、メタナイトがひきはがした。

「たのみますぞ、メタナイトどの。どうか、マローナを……」

 広間を出て行く一行(いっこう)を、メレンゲール十三世は、なみだのにじむ目で見送った。

     

国王の話で、事件のことが、しだいにわかってきた。ガリック男爵(だんしゃく)の悪事を止めるため、メタナイトが動き出す!
いっぽう、そのころ、マローナ姫がどうしていたかというと……?
次回「ガリック男爵(だんしゃく)とマローナ姫」をおたのしみに! (1月6日公開予定)

 


作:高瀬 美恵 絵:苅野 タウ 絵:ぽと

定価
748円(本体680円+税)
発売日
サイズ
新書変形判
ISBN
9784046314833

紙の本を買う

電子書籍を買う


新刊『星のカービィ まんぷく、まんまる、グルメフェス!』好評発売中!ためし読みも公開中だよ♪



作:高瀬 美恵 絵:苅野 タウ 絵:ぽと

定価
792円(本体720円+税)
発売日
サイズ
新書判
ISBN
9784046321824

紙の本を買う

電子書籍を買う


大人気発売中『星のカービィ 大盗賊ドロッチェ団あらわる!の巻』ためし読み公開中!




大人気発売中『星のカービィ ディスカバリー 絶島の夢をうちくだけ!編』ためし読み公開中!




大人気発売中『星のカービィ ディスカバリー 新世界へ走り出せ!編』ためし読み公開中!




その他のカービィの本は以下のバナーからチェック♪



©Nintendo / HAL Laboratory, Inc. KB22-P3926



この記事をシェアする

ページトップへ戻る